連載
大網亜矢乃の構成要素:第5回「花と夢」
「とても印象的な夢を見たんです」という大網さん。それがどんな夢なのかは,本文を参照していただくとして,夢占いやら夢分析で,この夢の意味を読み解けるのであれば,ぜひ読み解いてみたいような……いや,読み解かないほうがいいような……。
おっさんは,私を見ると殺気だった目になり,私に向かってきました。
殺されかけて,私も負けないくらい恐い顔でそのおっさんに飛び掛かり,手を紅葉のように真っ赤にしながら素手で刀を奪い,おっさんがビビった瞬間に
背中をパスッと斬りました。
しかし私はひどく冷静でした。
パスッと切れたおっさんの背中からは,血ではなく,お花が出てきました。
ヒマワリやスミレやカスミソウ。
私は一瞬驚きましたが,それらのお花がとてもいい香りだったので,嬉しくなりました。
そして血のように飛び散ったその花達は,地に根を張り,唄い始めました。
「ヨイトマケの唄」を。
私も一緒に明るく歌っていると,いつの間にか泣いてしまいました。
すると花達も一緒に泣き始め,哀しみを吸収しながらグングン成長していき,私より大きい花になりました
豪華で甘い香りのする花。
影の蜜に誘惑され,その花に近づこうとする人々の中に,私が背中を斬ったおっさんがいました。
私は怖くなってまた日本刀を握り,静かに様子を見ていました。
そのおっさんは,自分の背中から出てきて成長した花を殺そうとしていました。
私は飛び出て,またおっさんの背中をスパッと斬りました。
すると今度は,背中から数字の3と6がモノクロの風と一緒に飛び出して来ました。
モノクロの風
モノクロの風
そうだこれは夢なんだ。
目が覚めると下の台所から母の焼くパンケーキの匂いがしました。
そういえば母はたまに,
「朝顔見た? 綺麗でしょ?」
と嬉しそうに言うけれど,私はぶっきらぼうに
「興味ない」
と返してしまう癖があります。
でもこの夢を見て以来,夜になってしぼんだ朝顔に,
「おやすみ」
と,心の中で呟いている私がいるのです。
夢というものは,しばしば不条理で独特の怖さを持っているもの。だからこそ,ゲームの舞台として夢の中の世界が選ばれることがあるのかもしれません。そんなゲームの代表作といって,やはり真っ先に思いつくのは3Dアクション「アリス・イン・ナイトメア」でしょうか。この作品が持つダークで狂気的な世界観は,大網さん好みかも。そういや映画化の話はどうなったんだろう……。
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アリス イン ナイトメア
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