インタビュー
「リネージュ リマスター」アップデートがライブサービスに実装。日本運営プロデューサーにアップデートの注目ポイントと今後の展開を聞いた
そんな進化の歴史のなかでも“リネージュ史上最大級”と謳われる大規模なアップデートが,韓国版リネージュの20周年を記念して実装された「リマスター」アップデートである。日本では,今年2月に「リマスター」が適用された新ワールド「オリジンサービス ハルパスワールド」がオープンしており,7月15日に実施されたアップデートでついに「ライブサービス」にも「リマスター」が適用されたのだ。
今回,運営プロデューサーであるイ・ジョンウォン氏に,この「リマスター」アップデートの概要と今後の展開について聞いた。
先行して「リマスター」化が行われた「オリジンサービス ハルパスワールド」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。リネージュの日本サービスは,今年(2020年)2月で18周年を迎えましたが,先にサービスを開始した韓国では,昨年が20周年という大きな節目になりましたね。
はい。MMORPGに限らず,オンラインゲームとしてこれほど長くサービスを続けているゲームはそう多くありません。そのなかでも,多くのお客様に愛されているゲームはほんの一握りだと思います。オンラインゲームを取り巻く環境がめまぐるしく変化するなかでも,リネージュが現役のタイトルであり続けていることを誇りに思っています。
4Gamer:
その20周年の折に,“リネージュ史上最大級”を謳う超大型アップデート「リマスター」が韓国で実装されました。一方,日本では今年の2月に「オリジンサービス ハルパスワールド」がオープンし,ここで「リマスター」アップデートを体験できました。そして今回,既存のライブサービスに「リマスター」アップデートが適用されることになります。
イ氏:
オリジンサービスでは,新型コロナウイルスの影響もあって予定していた追加アップデートが遅れてしまい,フォローはまだ足りていないと感じています。今後も引き続きしっかりとケアしていかなければと,気を引き締めているところです。
ただ,韓国で「リマスター」アップデートが実施されたときには,日本のプレイヤーの皆さんからも少なからず不安の声が上がりましたが,オリジンサービスを先行導入したことで,その不安を少しは払拭できたと思っています。さまざまな要素がアップデートされますが,まずは綺麗になったリネージュの世界を楽しんでもらえると幸いです。
4Gamer:
昔ながらのグラフィックスも個人的には味があると思っているのですが,これから5年,10年先を見据える運営をしていくことを考えると,どこかで刷新する必要が出てきますね。逆を行くようですが,いずれは昔ながらのクラシカルなグラフィックスを再現したクラシックワールドができることにも期待したいです(笑)。
「リマスター」化でグラフィックスが格段に向上。新クラスや新スキルなどの追加要素も多数実装
4Gamer:
すでにオリジンサービスで体験している人も多いかもしれませんが,改めて「リマスター」で追加される新要素について教えてください。
イ氏:
新規クラスの「フェンサー」は,瞬時に相手の懐まで飛び込み,戦いの口火を切れるようなスキルを備えたクラスです。
このフェンサーは,本来ほかのクラスよりも多く経験値を入手できる「グロース」というパッシブスキルを習得できるのですが,新規ワールドとして開始されたオリジンサービスでは,ほかのクラスとの兼ね合いもあったのでグロースを除外していました。ライブサービスでは,ほかのクラスがすでに育っている状況ですので,グロースが使えて育成が捗る仕様になっているので,ぜひその効果を体感していただければと思います。
4Gamer:
以前の先行プレイで触れましたが,スキルの系統ごとにクールタイムが設定されていて,スキルを連続で使うことで本領を発揮する今までにないタイプのクラスでしたね。
イ氏:
そうですね。一見上級者向けのクラスのように感じるかもしれませんが,自身を強化するパッシブスキルも非常に豊富なので,実はリネージュに慣れていない人でも遊びやすいクラスになっています。前衛職のなかではHPがやや少ないのですが,狩りでもPvPでも活躍できるクラスなので,ぜひその力を体験していただければと思います。
4Gamer:
分かりました。システム的には,やはりPSS(Play Support System)という自動戦闘システムの導入が大きなトピックになるのでしょうか。
イ氏:
PSSは,プレイヤー自身が戦闘の設定をすることで,それに応じて自動で戦ってくれるシステムです。オリジンサービスでは,韓国版の設計のままで問題なく動作していましたが,ライブサービスは日本独自のアイテムが多かったことで,思わぬ不具合が起きてかなり苦労しました。それでも,現在(7月上旬時点)は検証が進んでいますので,安定して作動できる状態で実装できると思います。
4Gamer:
育成が進んでいるライブサービスのプレイヤーがとくに気にしているであろう「伝説スキル」についてはいかがでしょうか。
イ氏:
「伝説スキル」はキャラクター育成のコアな要素になっていて,クラスの弱点をなくし,クラスの強みを増加させる強力なものになっています。
4Gamer:
オリジンサービスでは,どちらかというとフェンサーが注目の的になっていた印象でしたが,「伝説スキル」は想像以上に重要なものになっているんですね。
イ氏:
ええ。「伝説スキル」は強力な分入手難度も非常に高く設定されています。長くライブサービスで遊んでいる方なら,のどから手が出るほど欲しいスキルであることは間違いないと思います。一例をあげると,君主なら,自分の周囲にいる血盟員を強化するバフを掛けることができますし,ナイトなら最大7秒間効果を発揮する強力なスタン効果のある技が使えるといった感じですね。
4Gamer:
そんな強力な「伝説スキル」は,どうやったら手に入れられるのでしょうか。
イ氏:
具体的な入手方法は仲間と情報を共有しながらいろいろと模索していただきたいと思っていますが,各フィールドのボスモンスターからの希少なドロップになることが多い,とだけお伝えできればと思います。場合によっては,そのボスモンスターをめぐってプレイヤー間で争いが起こることがあるかもしれません。
4Gamer:
おそらくは,「伝説スキル」を手に入れるために血盟単位で動き,運良く入手できたら,話し合いによって血盟員の誰に渡すのかを決める流れになりそうな気がします。
イ氏:
リネージュはもともと血盟間で政治的な働きかけを行うようなゲームですが,これからは,血盟内でも「伝説スキル」を発端とした政治的な駆け引きが生まれるのではないか,と想像しています。プレイヤーの動向は気になるところなので,運営として引き続き注視していきたいですね。
4Gamer:
PSSの導入などで,遊び方はオープン当初とは大きく変わっていますが,こうした要素の入手までの道のりは,なんというか実にリネージュらしいですね。
イ氏:
そうですね。時代の流れにあった調整は必要不可欠ですが,これまで好評を得ていた“リネージュらしさ”は絶対に残すべきだと考えています。今回の「リマスター」アップデートも同様で,根本にあるMMORPGとしての醍醐味が変わってしまうようなことはありません。ただ,一部コンテンツに関してはインターサーバー(全ワールドのプレイヤーが同一マップで同時にプレイできるシステム)の調整などで,一時停止させていただくものもあります。そこだけご注意いただければと思います。
4Gamer:
「リマスター」アップデートに合わせてイベントやキャンペーンなどは実施されますか?
イ氏:
「オリジンサービス ハルパスワールド」に触れていただいているプレイヤーの方にはお馴染みの「シグネチャークーポン」が今回のアップデートでも登場します。これは各種ステータスが恒久的に+1される「エリクサー」をランダムで1種入手できるアイテムが製作できる「エリクサー100%製作券」や,「ルームティス/スナッパー+1強化券」といったお得なアイテムがセットになったものです。なお,従来の「ルームティス/スナッパー+1強化券」は,ルームティスのイアリングかスナッパーのリングどちらか一方を選んで強化券を入手できる形でしたが,今回は「ルームティス+1強化券」「スナッパー+1強化券」が1枚ずつ入手できます。
もう1つ,有料のサービスとなりますが,作成済みキャラクターの獲得経験値を別のキャラクターに移せる経験値合算サービス「イシルロテの祈り」も実施します。
4Gamer:
新クラスが導入されるタイミングですし,「経験値合算」をしたい人は結構いるように思います。
イ氏:
以前行った「経験値合算」は,「ウォリアー」が実装された2015年なので,久しぶりの実施になります。先日「性別変更」ができるサービスを提供したところ,予想以上の反響をいただいたので,「経験値合算」も心待ちにしている方は多いのではないかと予想しています。
4Gamer:
ほかのプレイヤーと交わりながら長く遊ぶゲームなので,場合によっては「今の環境に疲れた」なんて人もいるでしょう。「経験値合算」なら,手軽に環境を変えられますよね。
2020年下半期にライブサービスで大きなアップデートが実施される見込み
4Gamer:
「リマスター」以降の展開についても教えてください。
イ氏:
韓国の20周年アップデートで,最上位コンテンツに多数の変更が実施されました。「ドラゴンレイド」の対象であった“四大竜”「火竜ヴァラカス」「水竜パプリオン」「風竜リンドビオル」「地竜アンタラス」が通常のフィールドに出現するようになり,その代わりに四大竜の上位にあたる「暗黒竜ハルパス」が,最上位コンテンツのドラゴンレイドとして登場します。このアップデートはライブサービス向けに,今年2020年の下半期に実装する予定で調整中です。
4Gamer:
別軸で運用していくオリジンサービスについてはいかがでしょうか?
イ氏:
オリジンサービスのアップデートも引き続き行っていきます。内部の作業としてはライブサービスの「リマスター」アップデートがひと段落したら,オリジンサービスのケアに注力する予定です。
4Gamer:
2つのサービスを両立させていくのは大変かと思いますが,アップデートの方向性は違ったものになっていきそうですね。
イ氏:
オリジンサービスでは,「PvPを主体としたリネージュ本来の面白さ」を感じてもらえるように,ライブサービスは,「キャラクターの育成を楽しんでいる皆さんに満足していただけるよう」テコ入れをしていく予定です。どちらかを重視するのではなく,差別化を図りながらバランス良く両立させていきたいと考えています。
4Gamer:
分かりました。では最後に,4Gamerの読者に向けてメッセージをお願いします。
イ氏:
古き良きリネージュは,日本で今年18周年を迎えましたが,20周年,30周年と長く運用を続けることを見据え,今回の「リマスター」アップデートを実施いたします。まずは,生まれ変わったリネージュを楽しんでいただければ幸いです。我々日本サービスチームは,末永く愛されるタイトルになるよう今後もアップデートを行ってまいります。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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