インタビュー
新サーバー設置を含む“サーバー改編”に着手。「リネージュ2」の統括プロデューサーに聞く経緯と今後の展開
2004年に正式サービスが開始された本作は,血盟戦や攻城戦,レイドボス戦など大人数で挑むコンテンツを軸とし,自由度の高いMMORPGとして多くのプレイヤーに支持されてきた。
サービスインから14年が経過した今でも,根幹にある“軸”は変わっていない。これまで,あえてゲーム性を変えないことで一定の人気を保ってきた本作だが,オンラインゲームをめぐる環境が移り変わるなかで,1つの大きな決断をすることとなったようだ。今回はエヌシージャパンのリネージュ2統括プロデューサー 新井友和氏に,「サーバー改編」を決断した経緯と,改編後の展開について聞いてみた。
大規模戦闘の活性化を図るため「サーバー改編」を決断
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。公式サイトならびに4月21日に配信された「りね2てれび 春の特別生放送」でも公開されましたが,リネージュ2ライブサービスで,2018年5月23日に「サーバー改編」,いわゆる統合が行われることになるそうですね。これを決めた経緯を教えてください。
新井友和氏(以下,新井氏):
2004年に正式サービスをスタートしたリネージュ2は,今年で14周年を迎えますが,今なお多くのお客さまにプレイしていただいております。しかしながら,一部のサーバーで攻城戦やボス討伐,オリンピアードなど大規模コンテンツに十分な人数が確保できない状況が見受けられました。
4Gamer:
プレイヤーからサーバー改編をしてでも,1サーバーあたりの人数を増やしたいと願う声が大きかったということでしょうか。
2014年頃から「サーバーを改編しないのか」との問い合わせが多くなっていました。2015年にクラシックサービスを開始しましたが,新規,あるいは復帰者の多くは,こちらを選ぶケースが多く,ライブサービスのプレイヤーはあまり増えなかったんです。これもサーバー改編に踏み切った要因の1つです。
4Gamer:
昨年10月のアップデート「GATHERING OF WORLD HEROES」もそうですが,大人数でチャレンジするコンテンツは今後も増えるでしょうし,ライブサービスのプレイヤー人数は,気になりますよね。
そのサーバー改編を検討するキッカケでもあるクラシックサービス開始からは,3年ほどが経ちます。すぐに改編を行わなかったのには,どんな理由があったのでしょうか。
新井氏:
もっとも新しい「キャスティエン」サーバーがオープンしてから12年が経過しているんですね。そうなると,もうサーバーごとにお客さま同士のコミュニティが固まっており,それぞれで異なった慣習や文化を持っています。そんな状況で,サーバーをまとめてしまって本当にいいのかと悩んでいたんです。実際に,改編によって血盟がバラバラになってしまうのではないか,という不安の声もありました。
4Gamer:
なるほど。
新井氏:
加えて,技術的にどんな形でサーバー改編が行えるのかを検討する必要もありました。全部のサーバーをまとめてメガサーバー化してチャンネル制にするという案もあったのですが,14年前のゲームということもあって実現が難しく,結果的に新規に立ち上げたサーバーに,複数のサーバーを組み込む形になったわけです。
4Gamer:
新しいサーバーで,新しい世界をみんなで一から作っていこう,と。
新井氏:
はい。お客さまのために現状で“できる”ことから何が最良なのかを検討してこの形に決めました。逆に“できない”ことは,運営としてきっちりケアしながらやっていきます。
4Gamer:
現状で12のサーバーが稼動しているわけですが,それを3つのサーバーに改編するということで,その組み分けにも悩んだのでは?
・アンタラス :バーツ/カイン/ドビアンヌ/ジグハルト
・ヴァラカス :リオナ/フランツ/ヒンデミット/ルナ
・リンドビオル:エリカ/キャスティエン/ゴースティン/テオン
新井氏:
組み分けは,人口ももちろんですが,サーバーごとの文化とプレイ状況を重視して選びました。オリンピアードや攻城戦のデータを長期間にわたって収集/分析し,PvPやPvEが盛んなサーバー同士を組み合わせて,より活性化させる形を取っています。
4Gamer:
改編後にどうなるのか楽しみですね。支配状況がリセットされ,新たに血盟間の抗争がスタートすると考えるとワクワクしてきます。
新井氏:
ええ。サーバー改編の組み合わせ発表後はコミュニティも活性化しているようで,強力な血盟に対して連合を作るとか,今から取り決めをしているようです。実際にオープンしたら,どうなるのかは分からないですが(笑)。
4Gamer:
かつて同じサーバーでライバル同士だった血盟が,改編後のサーバーで同士となって覇権を狙いに行くとか,熱い展開もありそうです。
新井氏:
そうですね。単純に人口も増えますので,改編後のサーバーでは,今よりももっとコミュニティが活気づくと考えています。パーティマッチングも増え,ソロ中心でプレイしている人でも,コミュティの輪に入れる機会が多くなると思いますので,この機会に遊んでみてほしいです。
4Gamer:
現役のプレイヤーにとってはさまざまな想いがあるでしょうが,ここまでお話を聞く限り,プレイヤーのことを考えた,前向きなサーバー改編になりそうです。
新井氏:
もちろんです。単純にサーバーを統合するだけではなく,新しい仕組みを取り入れたりして,お客さまにとって損のないように,また,いつ戻ってきても楽しめるよう環境を整えてまいります。
4Gamer:
改編直前の時期ではありますが,事前にやっておいたほうがいいことがあれば教えてください。
新井氏:
サーバー改編の一番のネックになるのは,残せるキャラクターが7人までという点です。これは血盟主のキャラクター,レベルが高いキャラクターが優先されます。削除されてしまったキャラクターのアイテムは復旧できませんので,アイテム整理だけは行っておいてください。
サーバー改編詳細の紹介ページ(公式サイト)
4Gamer:
“倉庫キャラ”を持っている人は,チェックしておいたほうが良さそうですね。
新井氏:
せっかく育てたキャラクターを削除することになってしまい,本当に申し訳ない気持ちですが,何卒ご理解をお願いいたします。あと,名前の重複は変更する必要があります。名前の変更は早い者勝ちとなりますので,こちらもご注意ください。
12年ぶりとなる新サーバー「パプリオン」を改編と同時にオープン
4Gamer:
今回のサーバー改編にあわせて,12年ぶりとなる新サーバーもオープンするとのことですね。
新井氏:
はい。「パプリオン」という竜の名を冠したサーバーになります。リネージュ2では,ライブサービスとクラシックサービスの2つのサービス形態がありますが,パプリオンサーバーは,「ライブサービス新サーバー」という新しいサービスとなります。
サーバーがオープンする5月23日から8月1日までの間はキャラクターのレベルに関係なく無料でプレイできます。
新サーバー紹介ページ(公式サイト)
4Gamer:
改編後の既存サーバーとは,まったく違ったサーバーとなるんですか。
基本的な仕様は同じで,ライブサービス同様の最新アップデートが展開され,レベルキャップなども一切ありません。ただ,既存のサーバーと新サーバーとではアデナというゲーム内マネーの価値が異なります。そうなると,いきなり既存サーバーと同じサービス形態にするのは難しいと考えています。
ですので,約2か月間の無料期間中は,獲得経験値やドロップ率がアップし,さらにミッションやイベントをクリアすることで装備品を支給するなどして,スムーズに成長できるような仕組みを導入する予定なので,その間に改編したサーバーに追いついてほしいです。
4Gamer:
新規参入はもちろんですが,復帰組でも,もしかしたらパプリオンサーバーのほうが遊びやすいかもしれませんね。横並びでスタートできるのも,大きな魅力ですし。
新井氏:
はい。同時期に始めるほかのプレイヤーの方々と,切磋琢磨しながらコミュニティを形成してもらって,お客さまそれぞれが自分の楽しみ方を探してもらえるとうれしいです。
なお改編後のサーバーについては,しばらくしてから「サーバー移動サービス」を実施する予定です。バランスの都合から新サーバーには移動できませんのでご注意ください。
4Gamer:
既存サーバーから人やアイテムが流入してしまっては,新サーバーの意味が薄れてしまいますからね。
サーバー改編後すぐの6月には次期大規模アップデートを実施
4Gamer:
サーバー改編と新サーバーについてお聞きしてきましたが,これから先の,中〜長期的な展開で発表できることはありますか。
新井氏:
内部ではロードマップがきっちり決まっているのですが,現段階で公表できることは少ないんです。ここでは,オリンピアード関連で新しい動きがあるかも,とだけ言っておきます。
4Gamer:
分かりました。では,「りね2てれび」の配信でも発表していた,直近となる6月の予定について教えてください。
新井氏:
アップデート日は,2018年6月予定で進行しています。ライブサービスでは,既存のレイドボスのリニューアル「フリンテッサ極限戦」などが実装されます。ここでは,新しいボスアクセが登場します。ほかにも職業バランスの調整やインスタンスダンジョンの追加などがありますのでご期待ください。
4Gamer:
クラシックサービスについてはいかがでしょうか。
クラシックサービスは,2018年6月のアップデートから大きく変わります。このアップデートでは「アデンクロスロード」というサブタイトルで,今までにない「属性システム」が導入されます。具体的には,火/水/風/地の属性が4すくみのような形になっています。プレイヤーは属性専用の狩場で戦い,属性レベルを上げていくことになるんです。
4Gamer:
こちらは,ライブサービスにないシステムですよね。ああ,それでクロスロード,分かれ道ということなんですか。
新井氏:
はい。以前より,クラシックサービスはライブサービスとは違った方向性で進化していくと話してきましたが,ようやくここで明確な分岐点を迎えることになります。
4Gamer:
クラシックサービスは育成に特化したサービス,というのがより顕著になりそうですね。
新井氏:
キャラクターのレベル上げがメインなのは変わらないのですが,属性レベルによって好みのステータスをアップしていけるようになります。また,火/水/雷/大地それぞれの属性レイドボスの登場で,対応するボスアクセが入手できます。さらに,ライブサービスではお馴染みの,セブンサインの使者であるアナキムとリリスがレイドボスとして追加されるなど,コンテンツ量が一気に増えて遊びの幅が広がるアップデートになります。
4Gamer:
かなり盛りだくさんな内容ですが,これは6月に全部実装されるのでしょうか。
新井氏:
すべて実装します。韓国では2回に分けて行われたアップデートを一度に実装する形ですね。
イシューがたくさんあり,新たな分岐点を迎えるリネージュ2ですが,運営チームはこれからも,もっとゲームを盛り上げられるよう努力していきたいと考えてます。
4Gamer:
では最後に,プレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
新井氏:
リネージュ2ライブサービスは,5月23日にサーバーの改編を行うと同時に新サーバーをオープンし,6月に大型アップデートを実施します。最高の環境でリネージュ2を遊んでいただけるように準備をしてきました。引き続き皆さまに楽しんでいただけるよう誠心誠意サービス運営を行っていきますので,今後ともよろしくお願いします。8月にはオフイベもできたら……と検討しています。
4Gamer:
そうなんですね。続報に期待しています。本日はありがとうございました。
「リネージュ2 ライブサービス〜Epic Tale of Aden〜」公式サイト
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