プレイレポート
【FFXIレポート08】多くのプレイヤー層に向けた“緩和”が目立つ内容。2008年9月の大規模アップデートを詳しく解説
とりあえずは,アップデートでの大まかな更新内容について,FFXIの公式サイトをザッと確認してもらいたい。本稿ではこれらの内容に実際に触れたうえで,FFXIプレイヤーに今後大きな影響を与えそうなものを,厳選してお伝えしていく。とくに,現在高レベルプレイヤー達がもっとも注目している新ウェポンスキルについては,導入までの経緯やその背景なども含め,詳しく解説した。最後までじっくりとご覧いただきたい。
レベル差を気にすることなく一緒に遊べる“レベルシンク”
ソロ/パーティプレイに関係なく満足なレベリングが可能に!
レベルシンクの導入は,FFXIのサービス開始以来最大のトピックの一つかも。これを機にプレイスタイルが大きく変化することだろう |
似たようなシステムはほかのMMORPGでも見受けられるが,それらと比較してレベルシンクの特徴といえるのは,取得経験値のペナルティが一切ないということ。また,装備品の性能も自動的にレベル相応に引き下げられるため,面倒な準備作業を行わずとも冒険ができる。分かりやすい例でいうと,レベル75のキャラクターが,レベル15前後のパーティに加わって,一緒に“バルクルム砂丘”でレベル上げをすることも可能なのだ。
近年のFFXIは,運営期間の長期化に伴うプレイヤーの平均キャラクターレベルの上昇や,(人によっては)他国プレイヤーとの意思疎通の難しさなどが原因で,レベリング時のメンバー集めが難しくなりつつあった。しかしレベルシンクの導入により,この問題は(根本的な解決には至らないものの)大きく改善されることになる。
たとえ知人やリンクシェルの仲間とレベル差が開いてしまった場合でも,レベルシンクを利用すれば気軽にパーティを編成し,一緒に冒険ができるわけで,これは大半のプレイヤーにとって嬉しい変更だろう。
ちなみに,装備品の性能が自動的に引き下げられるのは,レベルが制限されるコンテンツの全般にも適用されている。これには各種バトルフィールドやアサルトなどが当てはまるが,注目すべきはなんと言っても,「プロマシアの呪縛」用のレベル制限エリアである。要するに,プロマシアミッションのことだ。
実装当時はあまりにも難度が高かったプロマシアミッションだが,その後たび重なる緩和策が施され,順当なゲームバランスに落ち着いている。そういった中,このミッションの最後のハードルは,ミッション本編ではなく準備段階,すなわちメンバー全員分のレベル制限エリア用での装備調達にあった。長らくプロマシアミッションを敬遠していた人にとっては,最大のチャンスが到来したといえるだろう。
レベルシンクを設定中。画面のパーティ内にはレベル31のキャラクターが含まれるが,このあと一時的に,レベル29へと引き下げられる |
レベル75の装備を身にまとったキャラクターが,そのままレベル30制限の“プロミヴォン”で冒険している。ただし武具やスキル値は相応に低くなる |
FFXIではこれまでも,ソロプレイでの冒険を行いやすくする調整が行われてきている。今回の調整も踏まえると,レベル30前後までは問題なくソロでレベル上げができそう |
従来だとソロプレイの場合,レベル10前後から次第にレベル上げがキツくなってくる。しかし現在は,格下のモンスターを乱獲し続けているだけで,もしかするとレベル30近くまではスムースに上げられるかもしれない。
この経験値量アップと,先述のレベルシンクの導入により,「6人のパーティをきっちり編成してから出発」という従来の常識に,必要以上にこだわる必要はなくなった。少なくとも,パーティの希望要請を出して長時間何もせずにいるくらいなら,素材狩りでも行いつつ,そこそこの経験値を獲得しているほうが有意義だろう。
ソロプレイ/パーティプレイに関係なく,かなり遊びやすいゲームになったなぁ,という印象。個人的には,同社が次にどのような手を打つのか非常に気になる |
6年前にリリースされたFFXIは,基本的には「EverQuest」世代のMMORPG,すなわちパーティプレイを前提としたバランスであった。今回の調整でソロプレイがラクになり,遊びの幅がグッと広がった |
それ以外の主なアップデート内容については,スクリーンショットを交えてざっと紹介していこう。
「ミシックウェポン」用のWSがクエストで別途会得可能に
前回の大規模アップデートで物議を醸した「バルラーンの秘宝」に関しては,このたび正式に「ミシックウェポン」(Mythic:神話的な)と名付けられた上で,システムが大きく変更された。というのも,ミシックウェポンから“ウェポンスキル”(以下,WS)が分離され,それぞれ別にクエストが用意されることになったのである。かなり込み入った話になるので,順を追って見ていこう。
ミシックウェポンを取得するクエストの流れは,前回の導入時から大きな変更はなく,依然としてハイエンドプレイヤー向けのままである。しかし新たに追加されたWS用の会得クエストは,ミシックウェポンのそれと比べ,かなりお手軽なバランスとなっている。
両者の関連性については,ミシックウェポンの装備時に限り,新WSの発動後に“アフターマス”(Aftermath:余波)と呼ばれる強烈な追加効果が発生。とはいえ,たとえミシックウェポンを持っていなくても,アフターマスが発生しないだけで新WS自体は使える。
要するに,超ハイエンドプレイヤーでなくても,新WSでそれなりの恩恵を受けられる,という方向性で調整されたわけだ。
なにせ新しいウェポンスキルが実装されること自体,久々である。多くのプレイヤーが注目して当然といえるだろう |
画面上部のヘルプメッセージに“アフターマス”の文字が。レリックウェポンを超える威力が期待できそうだ |
ナイズル島で武器さえ入手すれば,それだけで新WSのクエストを行えるようになる。複数の武器のクエストを,同時に進行させることも可能だ |
どれだけの数のWSを使えばよいのかについては,今のところ詳細不明となっている。ただ,“ナイズル島調査指令”の進行具合によって,難度が段階的に変化するようだ。例えば,“幻灯のカギ”を所持しているキャラクターであれば(=100層までクリア),やり方にもよるが1日前後の労力で新WSを会得できる。一方,ナイズル島の踏破記録をまったく進めていない場合,とても険しい道のりとなる。
実際にいくつかの新WSを使ってみた感想としては,まず,どれもモーションが非常に派手で見ごたえがある。これらについては,「アルタナの神兵」のプロモーションビデオにも一部収録されているので(1分22秒前後),ぜひ確認してみてほしい。
そして肝心の新WSの威力についてだが,どうやら従来のようにTPやステータスなどで単純に算出されるわけではなく,ジョブによってさまざまな要因が関わってきているようだ。その詳細が明らかになるのはしばらく先になりそうだが,少なくとも第一線で使えるくらいの実用性は十分感じられる。アフターマスを抜きにしても,これらの新WSは実に魅力的だと感じた。
経験値を得られるモンスターを相手に,延々とWSを繰り出していく。過去のクエストから察するに,なるべく連携を行ったほうが効率が良いと思われる |
今回の大規模アップデートでは,各ジョブのバランス調整はそれほど行われていない。だが新WSの追加は,全体的な上方修正といえるだろう |
ナイズル島のバランスも大幅に緩和!
今や“ナイズル島調査指令”は,レベル75のキャラクターにとって避けては通れなくなりつつある。新規のプレイヤーも多く,参戦するなら今がチャンスだ |
●リーダー以外のメンバーも踏破記録を共に更新できる
●道中に出現するノートリアスモンスターを倒すと,武器がドロップすることがある
●100層のクリア時に踏破記録が消去されず,さらに二種類の武器がドロップ
●幻灯のカギの所持者は,5層単位で好きなブロックからのスタートが可能
どれもかなり大きな緩和である。武器を取得するハードルも,以前と比べて思いっきり下げられており,それだけに,今までナイズル島に入れ込んできた人は,肩を落としてしまうかもしれない。だがナイズル島に関しては,とあるグレーな攻略法がまかり通ってきた事実を踏まえると,このような緩和措置は必要といえただろう。
100層でHNMと激戦を繰り広げているメンバーを尻目に,リーダー役(画面左)がデジョンで脱出している。今まではこういった攻略が,日常的に行われていた |
この仕様を利用して,「96層からのスタート」を繰り返すことにより,リーダー以外の5人のメンバーは極めて効率的に,100層における武器などのドロップアイテムを獲得できたのだ。ちなみに,リーダー自身がドロップアイテムを獲得できないという点については,同じ踏破記録のキャラクターをもう一人準備し,交互に行わせれば解決する。
この攻略法は厳密には不正行為にはあたらず,処罰対象にもならない。しかし,いったいなぜ,この問題を早期に解決させなかったのか,理解に苦しむという人は多いだろう。結果として,このグレーゾーンの攻略法は今年初頭から広まっていき,ナイズル島に熱心なプレイヤーには「常識」といえる状況になっていた。
なにせ通常の方法で武器を1個獲得したら,再挑戦にはどんなに早くとも20日(20枚のアサルト用チケット)を要するのだ。「ちょっとズルいかもなぁ」と後ろめたさを感じつつも,お手軽に武器を獲得し続けたプレイヤーは,相当数いることだろう。
このような背景があるため,仮にナイズル島の武器を一般プレイヤー向けのコンテンツで正式に用いることになった場合,上述の人達と,それ以外の人達との間にぎこちない格差が生じてしまう。そのためどこかのタイミングで,武器獲得のハードルを下げる,あるいはリセットする必要があったわけだ。
確かに,上述した攻略法は極めて微妙な問題であり,どのような仕様変更を行ったとしても,どこかしらのプレイヤー層から文句が出ることは避けられなかっただろう。そういった難しい状況ではあったが,今回のナイズル島関連の変更は,最善に近い手だと個人的には思えた。
ちなみに,今まで足繁くナイズル島に通っていたプレイヤーの努力が,完全にないがしろにされたというわけではない。新WSのクエスト難度が,ナイズル島の進行度によって変わっているのは,そういった人へのフォローという見方もできるだろう。
1層から100層へ到達するには,最短でも20日間かかる。長いように聞こえるかもしれないが,ペースを揃えて攻略すれば,全員が同時に100層の踏破記録を得られるのだ |
今回は新WSを会得するクエストの難度調整がキモである。仮に複数の新WSを獲得するなら,たとえ今からでも100層を目指したくなるようなバランスだ |
レリックウェポンからミシックウェポンへ
ハイエンドコンテンツの世代交代
新WSの導入には,このように複雑な背景があったわけだが,それはさておき,現在のナイズル島のゲームバランスは,初心者向けにとても良くまとまっている。アトルガン白門でシャウトを眺めていると,ナイズル島を第1層からスタートするための公募の多さには驚くばかりである。バルラーンの秘宝改めミシックウェポンの着地点として,“武器”と“新WS”とで対象プレイヤー層を分けたことは,こういった反響を見る限り大成功といえるだう。
ナイズル島はランダム性が強いコンテンツであるため,毎回新鮮な気持ちでプレイできる。プレイヤー自身の上達を実感できるという意味では,ほかのどのバトルコンテンツとも大きく違っている。個人的にもFFXIでイチオシなので,これを機に新たに興味を持った人は,4Gamerの過去記事などを参考にして,新WSの会得に向けぜひ頑張ってもらいたい。
「FFXI」“ナイズル島調査指令”の調査報告:より遊びやすくなったナイズル島の「現在」と,装束アイテムのドロップ検証結果を紹介
新WSのダメージ計算式には,なかなかユニークな試みが適用されている。すべての法則は明らかになっていないが,各ジョブの特性を生かした内容であることを期待したい |
レリックウェポンのハードルが若干低くなり,新たにミシックウェポンが置き換わる形に。サルベージは今後,年単位で盛り上がることだろう |
もう一方のミシックウェポンについては,クエストの最大のハードルと噂される“アレキサンドライト”(“サルベージ”でドロップする宝石)について,必要量および入手方法が緩和されている。その結果,現在のこのクエストの難度は,感覚的には「2〜3年頑張ればもしかしたら取得できるかも?」といったところだ。これは約4年前に,レリックウェポンが実装されたときの印象に近い。
これまでハイエンドプレイヤーは,レリックウェポンを獲得するべく,裏世界“デュナミス”へ挑戦し続けた。それが今後は,ミシックウェポンを獲得するために,サルベージへと通うようになるのだろう。今回の大規模アップデートでデュナミスへの入場料が半額になっている点も含め,ハイエンド向けコンテンツが,緩やかに世代交代していくのを感じる。
果たして,最初にミシックウェポンを手にするのは一体誰か。そしてその威力はいかなるものか。現時点では正直なところさっぱり想像できないが,いつか来るであろうその日を,一FFXIファンとして楽しみに待ちたい。
どのコンテンツに人が集まるかを,事前に予測することは難しい。混雑問題については一時期だいぶ改善されていたものの,アトルガン以降は再びちらほら見られるようになった |
ナイズル島やデュナミスの混雑は,かなり前から日常化しており,何かよい解決法はないものだろうかと,多くのプレイヤーが考えているはず。少なくとも,「遊びたいけど遊べない」という状況が長く続くのは,誰にとっても気持ちのいいものではない。そのあたりも含めて,今後のアップデート内容やゲーム内動向にも注目していきたい。
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