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印刷2006/04/19 15:52

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「Warhammer Online:Age of Reckoning」開発者インタビュー

 先日行われた「Warhammer Online」プレス発表会の後,開発者に話を聞く機会が得られたので紹介しておこう。発表会の内容は「こちら」ですでに紹介しているが,そこで感じた疑問などを各クリエイターにぶつけてみた。Warhammer Onlineの内容はもちろんだが,各人の背景や嗜好にも触れてみたので,同作に注目している人はぜひご一読を。



■Mark Jacobs(CEO)
 まずは,Mythic EntertainmentのCEOであるMark Jacobs氏に話を聞いてみた。彼はMythicの創設者の一人で,大学院時代にJD(Juris Doctor:日本の法務博士に相当)を取得し,アドベンチャーズ・アンリミティッド・ソフトウェアという会社を設立。これが1995年にインタレスティング・システムズと合併して,現在のMythicが形成されたのだ。
 CEOというと経営面に注力するイメージが強いが,氏はかなりのゲーム好き。「Civilization II」「Aliens Online」「Pirates!」がお気に入りで,現在は「Age of Empires III」もプレイしているらしい。MMORPGでは,「WoW」「DAoC」「CoH」などがオススメだそうだ。
 また氏は,同社の全タイトルの開発に携わっており,現在はWarhammer Onlineのリードデザイナーとしてゲーム設計/システム設計に関する内容に目を通している。多忙だが充実した毎日を送っているそうだ。
 筆者は現在のMMORPG市場について,タイトルが氾濫し,勝ち組と負け組がはっきりしてきたため,そこで成功を収めるのは大変だと考えているのだが,氏は「アジア市場が魅力的なマーケットに成長したこともあって,DAoCをリリースした5年前よりも大きな可能性に満ちています。そこでWarhammer Onlineというタイトルが成功を収める可能性は十分にあると考えています」と話すなど,本作への圧倒的な自信と,アジア市場への興味を示していた。

 そこでアジアに市場について話を移すと,「これまで,欧米産MMORPGをアジアへダイレクトにリリースしても,失敗するケースが多かったわけですが,現地のパブリッシャと確固たる協力体制を築けば,そうしたリスクは大幅に軽減できると思います。これまで当社は,アメリカやヨーロッパ方面に注力していたため,アジアへのアプローチはイマイチな部分もありました。しかし2006年のE3あたりから,アジアへも積極的にアプローチを行っていくし,もちろんパートナーも募集していますよ」とのことで,良いパブリッシャがあったら紹介してほしいなと,冗談交じりで話していた。WoWは400万以上のアカウントがアジア(主に中国/韓国)地域で登録されており,この実績は欧米のデベロッパやパブリッシャにとって,非常に魅力的な数値といえる。今やMMORPGのメインマーケットはアジアにあるのである。
 課金形態やビジネスモデルについても聞いてみた。「アジアでは基本プレイ料金無料のアイテム課金制が主流になりつつあるけれど,Warhammer OnlineはRvRを売りにしている以上,お金でキャラクターの強さが変わってしまうというアンフェアなモデルを採用するつもりはありません。これまでと同じく,パッケージ販売/月額課金のビジネスモデルになると思います」と話していたが,「もしも,アイテム課金的な要素を導入するとしたら,Warhammer Onlineではキャラクターを飾れるので,装飾品などのゲームバランスとは関係ない要素に関して,限定的に採用するかもしれません」とも語っていた。

 なお,プレゼンテーションでは語られなかったエンジンについては,Numerical Designs LimitedのGAMEBRYO最新版を導入するとのこと。これは同社のDAoCで採用しているエンジンと同じものだ。DAoCでGAMEBRYOエンジンを知り尽くしたMythicとしては,妥当なチョイスだろう。
 最後に,今後のスケジュールについて聞いてみたが,「サービスインは2007年になってしまいそうです。しかし,βテストの実施はすでに決定していますし,テストには日本のプレイヤーも参加可能です」とのこと。テスターの募集は公式サイトを通じて行われ,Warhammer Onlineのニュースレター(英語)に登録しておけば,抽選でβテスターに当選するそうなので,興味がある人はぜひともニュースレターに登録しておくといいだろう。



■Lance Robertson(Producer),Destin Bales(Content Director)
 次は,プレゼンテーションでもゲームシステムについて熱心に話してくれたLance Robertson氏(左)と,Destin Bales氏(右)に話を聞いてみた。

 大学ではコンピュータサイエンスを専攻していたというRobertson氏だが,なぜかMythicではプログラマーにはならず,アーティスト,リードアーティスト,アートディレクターと,アートの才能を開花させた。さらにDAoCではプロデューサーを務めるなど,実に多彩な能力を持った人物である。現在,氏はプロデューサーとして開発に参加しており,Warhammer Onlineの内容についてGames Workshopのスタッフと話し合ったり,日々の開発状況をチェックしたりしているという。ちなみに好きなゲームはCivilizationシリーズ,Half-Lifeシリーズ,DAoC,WoWとのこと。
 一方Destin Bales氏は,DAoCのサービスインにも携わった人物で,Warhammer OnlineではContent Directorとして開発に関わっている。Content Directorとは,クエスト,エンカウンター,ゾーン設計/作成,モンスター分布,ダンジョンや建物といったコンテンツの責任者で,プレイヤーの目に見える部分のほとんどの責任を負っている。もちろん(?)Warhammerのファンでもあり,約3000体くらいのオーク/ゴブリンフィギュアを所有しているほか,最近ではオーガアーミーのコレクションを始めたというマニアである。

 プレゼンでは,クエストには複数のタイプがあり,ユニークなモノもあると語っていたので,そのあたりについて詳しく聞いてみた。Destin Bales氏によれば,「一般的なクエストはもちろんだけど,特定のエリアにいる全員を対象にしたクエストや,クエストを通じてほかの種族と競争するようなモノも用意するよ」とのこと。クエストにまでRvRらしさを持ち込むというのは,なかなかユニークな発想だ。またクエストでは,Warhammerの世界観を楽しめるようなものも多数用意するとのことで,遊びながら奥深い世界を学べるようになりそうである。もちろん,すでにボードゲーム版をプレイしている人にとっては,ニヤリとさせられる演出も多くなることだろう。
 プレゼンテーションで説明がなかったので,クラフトなどの要素についても聞いたところ,現状あまりコメントできないとしつつも,「カジュアルプレイヤーでも楽しめるモノにする」と語ってくれた。またギルドシステムは導入されるが,こちらに関しても詳しく話せる段階ではないとのこと。ちなみにプレイヤーハウスは? との問いには「ノーコメント」。ボードゲーム版Warhammerには家の要素が存在しないこともあり,おそらくGamesWorkshopとの間で協議が必要な部分なのだろう。
 カタパルトやバリスタなどを使った攻城戦はどんなところが魅力的か? との問いには,Lance Robertson氏が答えてくれた。「DAoCでは建物を攻撃するというイメージが強かったけど,Warhammer Onlineでは対人を意識した兵器が多数登場するよ。より派手なRvRが楽しめるんじゃないかな」とのこと。どうやらFPSなどに登場する武装車両に近い感覚のものが登場するようだ。また,「FPSの『バトルフィールド1942』は知ってるよね? Warhammer Onlineでは,あんな感じのRvRも楽しめるんだ。インスタンスのRvRもプレイできるようになっていて,そこではCTF(キャプチャーザフラッグ)のような形式のRvRも楽しめるよ」とも教えてくれた。
 そのほか,キャピタルシティを陥落させるとゲームは決着がついたことになり,マップなどが初期化されるという構想についても発言していた。「しきり直し」があることが,どうゲームに影響するのかは,現段階では判断できないが,ある意味,ボードゲーム版を尊重したゲームシステムといえる。



■Paul Barnett(Consulting License Producer)
 Paul Barnett氏は,MythicとGamesWorkshopの2社を兼務し,Warhammer Onlineでは世界観の再現性や,ゲーム内のコンテンツのすべての内容(外見,表現方法)に目を通している。アメリカとイギリスを頻繁に行き来しており,飛行機の客席がオフィスと化しているような多忙な人物だ。
 若いうちから家庭のために働いていたという氏は,下水処理施設の作業員,ゴミ収集業,街でポスターを貼る仕事,バーテンダー,車洗浄係などを経て,インターネット文化が開花すると共にMMO開発に携わるようになった(そのゲームは5年連続でヨーロッパNo.1の人気を誇っていた)。その後ゲーム事業から退き,企業向けのビジネスコンサルタントへと転職。Games Workshopは担当した会社の一つでしかなかったが,Warhamerの魅力にとりつかれてしまい,現在に至るという。
 なお,氏には色覚障害があるとのことだが,フィギュアのペイントテクニックは人にレクチャーできるほどの腕前らしい。ある意味,天才肌の人物である。

 まず聞いたのは,ゲージを溜めることで発動する技について。これはプレゼンでも少しだけ紹介された要素だが,「敵を攻撃してMoraleゲージを溜め,それを消費することで強力な技が出せる」という仕組み。まるで挌闘ゲームのようなシステムだが,いったいどういうものになるのだろう。「Moraleゲージは数段階溜められようになっているんだ。ゲージはどの状態で技を発動してもゼロになる仕様で,マックスまで溜めたときの攻撃は,すさまじいものになるよ」と話してくれた。
 また「Moraleを使った攻撃は,アーミーごとに用意する予定で,例えばOrcならOrcの守護神を召喚できるとか,Chaosなら触手が出てきて大暴れとする,なんていうアイデアがあるよ」とも。ほかのアーミーに関してはまだ言えないとのことで,どのようなものが実装されるのか楽しみだ。
 多数のアーミーが登場するWarhammerの世界だが,Online版ではEmpire,Chaos,Elf,Dark Elf,Dwarf,Greenskinsでプレイできるようになっている。ではほかのアーミーはどうなるのだろう。「ほかの種族はNPCとして登場するよ。スケイブンと……ほかはまだ言えないな」とのこと。登場アーミーはプレイヤーの6アーミー+いくつかのアーミーとなり,どうやら全アーミーが登場するわけではなさそうだ。ひょっとすると拡張パックなどで,続々とアーミーが追加になっていくのかもしれない。そう考えると,今回Warhammer Onlineで使われるマップが,ボードゲーム版と同じでありながらも一部分しか使われないことも納得できるというものだ。
 なお筆者が気になっているのは,マップの東の端にあるNipponという孤島。いまから拡張パックの話をするのもなんだが,ぜひともNipponを舞台にした拡張パックを期待したいものである。

 氏の役割は,Warhammerの世界観を守るという部分が強く,ボードゲーム版とOnline版での橋渡し役といえる。そういう意味では,彼のメディアへの露出は今後増えてくるだろう。今後の動向にも注目したい。
 ちなみに公式サイトには,ムービーを使った「Paul's Video Diary」が掲載されている。画質はイマイチだが,開発中の最新画面が見られるので,ぜひとも「こちら」でチェックしてもらいたい。(Murayama)

  • 関連タイトル:

    Warhammer Online: Age of Reckoning

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