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[G★2005#084]「Neo Steam」プロデューサーインタビューを掲載
Hanbit Softが現在韓国でオープンβテストを行っている新作MMORPG「Neo Steam」は,3国家による大規模PvPなどを特徴としたゲームだ。日本ではハンビットユビキタスエンターテインメント(HUE)がサービスを提供する旨,すでに発表されている。
Neo Steamを作ったのは,実は「ポトリス2」を開発したのと同じチームである。MMORPGで主流のファンタジー要素は残しつつも,さりげなくメカっぽいものを入れられる設定を作っているところなど,言われてみれば納得のゆく話だ。今回はゲームの内容と方向性について,プロデューサーのHong Chan Hwa氏に話を伺ってみた。
■PvPに勝つことで,クエストへの道が開かれる
4Gamer(以下4G):
本日はよろしくお願いします。オープンβテストが開始されて間もないですが,正式サービスに向けた準備の進捗状況はいかがですか。
Hanbit Soft Hong Chan Hwa氏(以下Hanbit):
順次進めています。課金サービスが始まるまでに,PvP用のエリアを追加したり,高レベルプレイヤー向けのエリアを追加したりしていくことを予定しています。
4G:
なるほど。NeoSteamにおけるPvPとは,どのようなシステムになるのでしょうか?
Hanbit:
PvPができるエリアには,レベル20から40までのプレイヤーが集まります。PvPをしなければ手に入らないアイテムがありますので,それを集めるためにはここで戦う必要があります。
4G:
それはPvPエリアでドロップするということでしょうか? それとも,本当にPvPをすることでしか,手に入らないアイテムがあるのでしょうか?
Hanbit:
実際にPvPをやる必要があります。PvPで相手を倒すとドロップする「ソウルクリスタル」というアイテムですね。
4G:
そのソウルクリスタルはなんに使うアイテムなのでしょうか?
Hanbit:
PvPエリアにはクエストもあって,そのために使うアイテムです。PvPで倒した相手の数だけソウルクリスタルが手に入りますが,これはPvPエリアでボス級のモンスターと戦うクエストに参加するために必要となります。
ボス級モンスターを倒せば,当然よいアイテムが手に入るわけですね。そしてそのクエストは,レベル20用,40用,60用の三つが用意されています。
4G:
なるほど,それであれば積極的にPvPに乗り出したほうがお得そうです。では次に,ゲームの基本的な設定についてお聞きしたいのですが,このゲームはスチームパンクの雰囲気を取り入れてますよね。どういう経緯でスチームパンクを取り入れたのでしょうか。なにか演出や世界観で狙っている方向のようなものがあれば,ぜひお聞かせ願いたいのですが。
■「ネオスチーム」は資源? テクノロジー?
Hanbit:
まず,Neo Steamでは,にスチームパンク的なものを使っているのではなくて,既存のMMORPGでお馴染みのファンタジー要素とスチームパンクの要素を組み合わせようとしています。メカ的なものとしては,移動用のスチームライドやスチームバルーン--これは熱気球ですね--そういったものが加わっています。まだ導入はされていませんが,国同士の戦いで使う攻城戦用機械もあります。
4G:
先日,ほかの方にお話を聞いたときには,説明中に「宮崎 駿」とか「未来少年コナン」といった単語が出てきたのですが,そういった映像作品を意識して作られているのでしょうか?
Hanbit:
ええ。以前からそういうのが好きでしたので。
4G:
ちなみにそれは,ご自身の個人的な趣味ですか?
Hanbit:
個人的な趣味といえばそのとおりですが,実はうちの開発者はみんな大好きですね(笑)
4G:
Neo Steamでは「スチームが使えるようになると面白くなる」と聞いたのですが,具体的にどのようなことか教えていただけないでしょうか。また,その「スチーム」とは別に「ネオスチーム」というものがあるようですが,両者の関係はどうなっているんでしょうか?
Hanbit:
スチームとネオスチームは似たようなものなのですが,例えば,核融合をさせてエネルギーを作るじゃないですか。それと同じようにネオスチームを使ってスチームを作ると考えてください。
4G:
大本にネオスチームがあって,そこからスチームを作るわけですか?
Hanbit:
そうです。資源のようなものですね。
4G:
先ほどのたとえでいうと,ネオスチームが原子力で,スチームがそこから作られる電気のようなものだという理解でいいでしょうか?
Hanbit:
はい。そういう感じで理解してもらえば結構です。そしてスチームを使うというのは,Diabloのソケットアイテムやマテリアルのようなもので,埋め込むスチームの違いによって,得られる効果がいろいろあるわけです。いいものもあれば悪いものもあります。どのスチームをどのアイテムに埋め込んで使うかで,使えるスキルも変わってきます。
4G:
先日画面を見せていただいたときには,一般装備とは別ウィンドウでスチームの装備画面がありましたね。
Hanbit:
一般アイテムは通常の装備画面,スチーム関係のアイテムは専用の画面になります。アイテムには,普通のアイテムと,セミレアドロップアイテムとスチームアイテムの3種類がありますが,このうちスチームアイテム以外は一般のインベントリで扱います。
スチームアイテムで強化されるスキルは,どの種族でも使えるもので,一般のスキルよりはるかに強力で,再使用までに少し時間がかかり,そしてスチームエネルギーを消費します。
4G:
だとすると,スチームエネルギーの補給方法が気になるところですね。体力のようにじっとしていると回復していくものでしょうか? それとも街に行って買わなければならないものでしょうか?
Hanbit:
町ごとに補給器があり,お金を払って補給します。それ以外では,敵からスチームエネルギーを吸い取る機能を持ったマシンもあります。
ただし,お金を払えばいくらでも持てるというものではなく,キャラクターそれぞれに割り当てられた量があって,例えば,あるプレイヤーはどんなにお金があっても,1時間あたり1000しかスチームを補給できないとか,そういった感じになります。
スチームの割り当てを使いきってしまったら,しばらく時間をおかなければなりません。また,実はPvPエリアにはネオスチームの鉱山のようなものがあるのですが,そこでもやはり,割り当てられた量しか補給はできません。
■NPCが自分から頼み事をしてくるクエスト
4G:
ふーむ,確かに個性的なシステムですね。それと,ゲーム全体としてクエストを重視しているということですが,クエスト関係について聞かせてください。
Hanbit:
NeoSteamのクエストの特徴としては,クエストNPCがプレイヤーキャラクターの状態を知っていることが挙げられます。プレイヤーがクエスト開始の条件を満たしている場合のみ,プレイヤーに話しかけてくるのです。つまり,本当にNPCに頼まれるわけですね。
クエストで,ほかのNPCに会わなければならないとか,どこかに行かなければならないとかいった場合には,マップ上に旗のマークが立ちますので,それを目指して進めばよいようになっています。名前だけ教えられて,居場所の分からないNPCを探さなければならないようなことはありません。
4G:
なるほど。それは実に合理的だと思います。
Hanbit:
また,クエストが非常にうまくいった場合などには,NPCが大喜びするなど,感情表現のあるリアクションを返してきます。
4G:
ふむふむ。では,どんな種類のクエストがあるか教えていただけますか?
Hanbit:
まず,チュートリアルクエストがありますし,ギルドを作るためのクエストもあります。
4G:
ギルドを作るためのクエストですか?
Hanbit:
そうです。ギルドを作るためにはクエストをこなさなければなりません。そのほかに,一般的なクエストがいろいろあります。これは,やってもやらなくてもゲームの進行自体には関係ありません。
それに加えて,先ほどお話ししたPvPエリアでのクエスト,あとは転職のためのクエストがありますね。
4G:
単刀直入に聞きます。プロデューサーとしてNeoSteamで一番見てもらいたい部分は,どんなところでしょうか?
Hanbit:
根本のところに立ち返ってしまうのですが,ファンタジーとスチームパンクの要素が混じり合っている,独特の世界を見てほしいですね。先ほど述べたように,そこに住んでいるNPCが自分から話しかけてきたりする部分を含め,その世界で生活しているような感覚を,ぜひ味わってほしいです。
4G:
なるほど,そこで生活しているような感覚ですか……クエスト関係以外でプレイヤーに話しかけてくるようなNPCはいるのでしょうか?
Hanbit:
現状ではクエスト関係だけですね。独り言を言ったりはしますが,話しかけてはきません。NPCは,最初は単に自己紹介などをするだけですが,すべてのクエストを進めていく過程で,そのNPCがなぜそこにいるのかなどが分かるようになっています。
4G:
ほかに,いかにも「そこで生活している」ように感じさせる要素はありますか?
Hanbit:
PvPなどにしても単に戦うだけでなく,そこで集めたアイテムでクエストができるようになるなど,行動に対するフィードバックが用意されているところですね。
■最後の一か国は,正式サービス後に実装予定
ところで,NeoSteamは日本でのサービスも予定されているわけですが,移植作業はもう進んでいるんでしょうか?
Hanbit:
移植作業への着手も検討中ではあるんですが,実を言うと韓国で課金サービスが始まってから始めたいと思っています。
4G:
分かりました(笑)。まずはこちらでのサービスをテイクオフさせないと,ということですね。気の早い話で申し訳ないのですが,正式サービス後にはどのような方向で展開される予定でしょうか?
Hanbit:
大規模なPvPが入ってきますので,まずは攻城戦兵器などを充実させていきたいですね。また,現在は三つあるべき国のうち,二つしか実装されていないわけですが,正式サービス後に新しい国を実装する予定です。
4G:
え? 途中からの実装となると,その国だけスタートが遅れてバランス的に不利になるのではないかと心配になりますが,何らかの救済措置などは考えていらっしゃいますか?
Hanbit:
ええ,もちろん。二つの方法を考えています。一つはサーバーを変えるということです。もう一つは,防御兵器などAIで動く兵器のAIを調整して,より強いものにすることです。
4G:
ですが,サーバーを変えるとなると,現在動いているサーバーには追加されないということになりますよね?
Hanbit:
そうです。それも一案かと。
4G:
AIを変えるというのは,攻城戦兵器は人間が操作するのではなくてAIで動くのですか?
Hanbit:
2種類あって,AIで動くものと人間が操作するものがあります。そのうち,AIで動くものの強さは調整可能です。
4G:
国対国の戦いでは,プレイヤー数のばらつきなどで弱い国が出来てしまうこともあるわけですが,そういった場合にも,その攻城戦兵器のAIによる調整が行われる可能性はありますか?
Hanbit:
そういう案も出ていますが,ほかの案もあります。国ごとに人数制限を行ってバランスを取ること,がそうです。
4G:
なるほど。話が少々基本的なところに戻りますが,このゲーム全体での,RvRというか,国対国の大規模PvPが占めるウェイトはどの程度のものになるのでしょうか?
Hanbit:
ゲームコンテンツの全体から見て,RvRのそれが占める割合は20〜30%ほどですね。RvRに参加するにはある程度高レベルである必要がありますし,高レベルのプレイヤーキャラクターが大勢必要になります。ちなみにRvRで活躍すると,国から特別な乗り物などが支給されることもありますよ。
4G:
だとすると,キャラクターレベルが上がってくれば,RvRを楽しめる人の割合は増えていくということですね。
Hanbit:
そうですね。モンスターを狩るなど,PvEの部分ではAIの問題もありますから,面白さには自ずと限界があります。やはり一番面白いのは,人間対人間の戦闘になりますね。ですから,最終的にはRvRへ向かうことになります。
4G:
分かりました。本日はどうもありがとうございました。
スチームパンクとファンタジーの融合した世界観をウリとするのみならず,クエストなどにユーザーフレンドリーな仕様を盛り込みつつ,全体としてはRvRといった大規模PvPへ向かう作品であることが,今回のインタビューで明かされた。
「人間と戦うのがいちばん面白い」という見解についてだが,昨今の韓国製MMORPGは何もかもがそこに向かっている状況であり,これはこれで最終的に作品を差別化しづらい気がする。そこでモノを言うのが,本作の個性的な世界観なのかもしれない。もっとも,異なる世界観を立てるなら,その延長でゲーム性そのものも個性的にしてよいとも思うのだが,それはまた別の論点だ。
韓国での正式サービスの後にローカライズ作業の着手するということで,国内でプレイできるのはもうしばらく先になりそうだが,今後出てくるであろう情報にも,随時注目していきたいところだ。(aueki)
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