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MMORPG「ネオスチーム」日本展開のキーマンに聞く:2度にわたるCBTの手応えと,今後の方向性について
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印刷2006/09/19 23:36

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MMORPG「ネオスチーム」日本展開のキーマンに聞く:2度にわたるCBTの手応えと,今後の方向性について

右が,HUE「ネオスチーム」プロダクトマネージャーのキム・ギュマン氏。左が,同プロデューサーの岡澤知行氏
 「With Your Destiny II」「グラナド・エスパダ」に続く,ハンビットユビキタスエンターテインメントの新作MMORPG「ネオスチーム」9月15日オープンβテストが開始となり,多くのMMORPGファンが参加し始めている注目作だ。
 4Gamer編集部では,そのオープンβテスト開始のタイミングに合わせ,同作日本語版のプロダクトマネージャー キム・ギュマン氏と,プロデューサー 岡澤知行氏にインタビューを行った。正式サービスまでの道のりや,日本独自の展開である「ユーザー参加型運営制度」などについて語ってもらったので,興味のある人はぜひご一読を。



■正式サービスは早ければ年内に実施&アイテム課金方式を採用
4Gamer:
 「ネオスチーム」のオープンβテストが,いよいよスタートしましたね。クローズドβテストの第一次が8月10〜14日に,第二次が9月1日〜10日に実施され,9月15日にはオープンβテスト開始と,実に順調なスケジュールで展開されているようですが,オープンβテストは,いつまで行う予定なのですか? また正式サービスは,いつ頃からスタートするのでしょうか。

キム・ギュマン氏:
 クローズドβテストでプレイヤーのみなさんから指摘された問題点を改善したり,要望に添うように新機能を追加したりといった作業を現在も進めていますが,それの進捗次第といった状況なので,まだ明確な時期はお伝えできないんです。とはいえ,オープンβテスト版のクライアントはかなり安定しているので,正式サービスはその後間もなく開始することになるでしょうね。

4Gamer:
 正式サービスへの移行に伴って,最もプレイヤーが注目するのは料金体系だと思います。HUEの第一弾タイトル「With Your Destiny II」がアイテム課金制,第二弾タイトル「グラナド・エスパダ」が月額課金制となっていますが,ネオスチームに関しては,当初の発表どおり,基本プレイ料金無料のアイテム課金制と考えていて間違いないですか?

キム・ギュマン氏:
 はい。ネオスチームはアイテム課金制でいきます。基本プレイ料金は無料なので,多くのプレイヤーに楽しんでもらえると思います。



■顧客サービスの原点に帰ったユーザ評価報酬制度の導入
4Gamer:
 12日に発表された日本独自の展開である,「ユーザー参加型運営制度」の第一弾(編注:「ゲーム評価報酬制度」の導入キャンペーン「あなたのつまんないを教えて!」で,アンケートに答えると500HC(ハンビットコイン1HC=1円)がもらえる)の特典は,非常に魅力的ですね。

キム・ギュマン氏:
 「あなたのつまんないを教えて!」キャンペーンは,オープンβテストをある程度遊んでもらって,キャラクターレベルが10以上になったプレイヤーを対象としています。参加は一人1回ですが,アンケートに答えれば500HCを報酬として得られるという仕組みは,アイテム課金制のタイトルでは大きな特典ですよね。

4Gamer:
 そもそもユーザー参加型運営制度は,どのようなコンセプトのもと,日本独自で展開することにしたのでしょうか?

キム・ギュマン氏:
 必ずしもすべての作品がそうだとは言いませんが,日本で運営されている海外産オンラインゲームでは,プレイヤーの意見/要望が開発側に届いていない,ゲームに反映されていない,という声を,よく聞くんですよね。せっかくプレイヤーがテストに参加しても,開発側にその声が届いていないからゲームに反映されないのか,開発スタッフは検討したけれど,反映が困難だから状況が変わらないのか,そういった情報も開示されない。
 ユーザー参加型運営制度は,そうした不透明な雰囲気や,意見を聞いてもらえないというイメージを払拭したいという想いから生まれました。プレイヤーの声を確実にキャッチし,開発陣に対してそれを確実にパスする。その問題に検討の価値があり,反映が可能なものなら,しっかりとゲームに反映させ,無理な場合はその理由をプレイヤーに報告する。当たり前のことだからこそ,そういった流れをシステム化し,より明確にしていきたいんです。
 「あなたのつまんないを教えて!」キャンペーンは,オープンβテストの期間中,ずっと続けていく予定ですが,それ以外にも,大規模なアップデートが行われたタイミングに合わせて,より積極的にアンケートを行う予定です。

4Gamer:
 なるほど。プレイヤーとしてだけでなく,テスターとしての役割を積極的にこなしてくれる人に対しては,それなりのお礼を用意し,開発/運営側とプレイヤー間の関係を健全化しようという試みなわけですね。
 ちなみに「あなたのつまんないを教えて!」キャンペーンは第一弾ということですが,第二弾,第三弾と,今後バリエーションは増えていくんですか?

キム・ギュマン氏:
 はい。ただ,具体的な内容や実施時期に関しては,まだ検討中です。現在考えているものとしては,ゲーム内で友人を作りやすくするクエストや,ギルド関連のキャンペーンを計画しています。正式発表を楽しみにしていてください。

4Gamer:
 コミュニティの育成/発展に関連するテコ入れは,MMORPGにとっては非常に重要なポイントですからね。日本人には,比較的シャイな人が多いから,その展開には大いに期待したいところです。

岡澤知行氏:
 日本で展開されているオンラインゲームの場合,開発会社が海外,運営会社が日本というケースが多く,連携が取りにくいケースもありますが,ネオスチームの場合は,開発も運営も「ハンビット」ですから,「有言実行」とその「スピード」には,大いに期待してもらいたいです。



■スタッフの目から見た本作のポイント
4Gamer:
 ゲームの内容的な部分に関して聞きたいのですが,本作はソロプレイでも,かなり遊べるゲームバランスだと感じました。そのあたりについては,どのようなコンセプトがあるのでしょうか。

キム・ギュマン氏:
 ソロプレイでも十分遊べるように配慮していますが,基本はやはり,パーティプレイ推奨ですね。気軽に声をかけ合ってパーティを組み,クエストに挑んだり,強力なモンスターに挑戦したりしてもらいたいです。「〜というモンスターを10匹倒しなさい」という討伐型のクエストに関しては,自分だけではなく,パーティメンバーが倒してもカウントされる仕組みになっていますし,仲間が倒した分の経験値も入ります。つまり,単にクエストを楽しむ場合でも,パーティを組んだほうが短時間でクリアできるし,経験値稼ぎの面でもかなりお得というわけです。
 それと,本作ではPvPも楽しめるわけですが,やはり敵国へ侵攻するときには,パーティを組んだり,ギルドを作ったりして大勢で攻めていくほうが楽しいですよね。というか,単独だと厳しいかもしれません。

4Gamer:
 私は第一次クローズドβで,単独で敵国に攻め入って,つらい思いをしました。最初はほかのプレイヤーのあとを追いかけていたんですけど,徐々に離されてしまって,最後は迷子になったところを,モンスターにやられてしまいました(笑)。

岡澤知行氏:
 敵国に攻め入った場合は,強いモンスターが出てきますから,そういう意味でも仲間と共に行動してほしいですね(笑)。

4Gamer:
 ところで,PvPとPKは紙一重的なところがあります。本作では,強いプレイヤーがパーティを組んで敵国に乗り込み,現地のプレイヤーを殺戮しまくることは可能なんでしょうか。

岡澤知行氏:
 本作ではPvPはできますが,PKはできない仕様になっています。じゃあ,敵国に侵入したときにどう戦うのかというと,実は防衛する側のプレイヤーが,侵入してきたプレイヤーに対して攻撃を仕掛けない限りは,戦闘が起きないようになっているんです。だから,敵国の強いプレイヤーが現れても,あわてて攻撃しなければ,戦闘は発生しないんです。

4Gamer:
 一応確認ですが,自国のプレイヤーとは絶対に戦闘できませんよね?

岡澤知行氏:
 できませんね。PvPゾーンか,敵国へ行って,敵国所属のプレイヤーと戦う仕様なので,対人戦が苦手という人でも,安心してプレイしてほしいです。

4Gamer:
 所属国といえば,オープンβでは,陣営として技術国家ログウェル共和国,神秘国家エリアッド王国に続いて,自然国家タクシャン連合が実装されるんですか?

キム・ギュマン氏:
 現状,明確な実装タイミングをお伝えすることはできないのですが,鋭意開発中です。本音をいうと,我々スタッフも,早く自然国家タクシャンを見たいし,そこで遊んでみたいと思っています。でも三つめの国となると,ゲームバランスの問題などで細かい調整が必要なので,もうしばらくお待ちください。

4Gamer:
 なるほど。タクシャンの,満を持しての実装を,楽しみにしています。では,オープンβテストで大きく変化する要素はありますか?

キム・ギュマン氏:
 最も大きいのは,スキルバランスの部分でしょうか。スキルのクールタイムが長いという意見が多く寄せられたので,そのあたりを調整しました。また,サーバーを増設したので,より快適にプレイできるようになると思います。

4Gamer:
 スキルの中には「必殺技」的なものがあるので,もしそれらの使用間隔が短くなれば,戦闘はより派手に,よりダイナミックになりますね。

キム・ギュマン氏:
 またオープンβテストでは,自国と敵国の飛行地図を全部集めると,それを組み合わせて統合地図が作れるようになります。気球に乗るのが好きな人は,ぜひチャレンジしてみてください。



■プレイヤーの活動が活発で,作り手側としてはとても嬉しい
バイクと重機が合体したようなデザインの「スチームライダー」
4Gamer:
 本作の世界観の特徴といえば,ファンタジー色だけでなく,SF的なイメージも含んでいる部分だと思うのですが,元々どういった理由から,そうした世界観を選ばれたのでしょうか? 昨今,ファンタジー系のMMORPGが多いので,差別化を図るという意味はもちろんだと思うのですが。

キム・ギュマン氏:
 ネオスチームは,乗り物にこだわったMMORPGです。移動手段として,気球,飛行船,地下鉄なんかは比較的簡単に乗れますし,やや入手が困難ですが,個人用のスチームライダーも用意しています。そういった機械的な乗り物をゲーム内に登場させようとすると,普通のファンタジー設定では,若干無理がありますよね。そこで,「古代の遺産としての科学技術文明を復活させた」というSF的な背景設定が採用されたのです。

4Gamer:
 私もスチームライダーに乗りたかったのですが,パーツを作るのが大変ですよね……。でもクローズドβテストのときには,あまり時間がなかったにもかかわらず,結構大勢の人がスチームライダーに乗っていました。あれはすごいですねぇ。

キム・ギュマン氏:
 ええ,確かに,各パーツの元になる材料集めからして,難しいです。にもかかわらず,短期間でスチームライダーを製作している人が多かったので,私達も驚かされました。わずか2日で,スチームライダーに乗っている人もいましたからね。ギルドに関しても,2日目には10前後のギルドが設立されていましたよ。

岡澤知行氏:
 第二次クローズドβテストの最終日に行われた盆踊り大会も,完全にプレイヤー主導で行われましたね。そうした動きが早くも活発で,運営元としては非常に嬉しかったですよ。
 モンスターのドロップ情報や戦術論議なども,ファンサイトを通じて盛んに交わされているようですし,私達もその勢いに負けないよう,一層気を引き締めていきます。

4Gamer:
 そういえば,クローズドβテストの参加賞として,日本独自アイテムが配布されますね。

キム・ギュマン氏:
 参加賞のイベントアイテムなのですが,李さんのデザインをアイテム化したものを配布します。全職業が装備できるという理由から,剣と鈍器を用意しました。

4Gamer:
 鉄砲や杖はないのですか?

岡澤知行氏:
 確かに,魔法使いを目指しているのに剣や鈍器をもらっても意味がない,という人もいるでしょうけど,杖は魔法使い系しか使えないし,鉄砲は技術者系しか使えないんです。みんなに喜んでもらえるアイテムを,ということで,今回は剣と鈍器にさせてもらいました。

4Gamer:
 それにしても,面白いグラフィックスですねぇ。おでん型(おでんの具が3種類串刺しになっており,具の面積の広い部分には漢字が描かれている)の二刀流は,かなり装備してみたいです。このデザインを,李さんが担当したのですか?

岡澤知行氏:
 はい。ちょうどオリジナルアイテムの企画を検討していたときに,お互いメッセンジャーに入っていたのですが,試しに依頼したら「やる」と即決してくれまして。以前から,独自アイテムのデザインをやってみたいと考えていたようで,依頼してから30分で,ラフスケッチが送られてきましたよ。

4Gamer:
 30分ですか!? それはすごい。

岡澤知行氏:
 おでん型の漢字のテクスチャなども,すべて李さんがデザインしてくれたんです。ゲームに実装するまでの時間は,だいたい10日くらいでしたね。

4Gamer:
 10日で日本独自アイテムが実装できるというのも,すごいですね……。そのほかの2種類も,剣がとても綺麗ですし,カニのハサミみたいに閉じたり開いたりする鈍器も,ユニークですね。
 今回の参加賞は全職業が装備できるものということですが,クローズドβテストでは,どの職業の人気がありましたか?

キム・ギュマン氏:
 放浪者と召喚系でしたね。ヒューマンの放浪者が強いという話で,かなり人気があったようです。

4Gamer:
 鉄砲撃ちの技術者はどうでしょう?(笑)

キム・ギュマン氏:
 それほどでもなかったです(笑)。

4Gamer:
 そうですか……。それでは最後に,ネオスチームに関心を持っている読者に対して,コメントをお願いします。

キム・ギュマン氏:
 ネオスチームにはさまざまな魅力がありますが,ゲーム内世界のグラフィックスに関しても,かなり力を入れて作り込んでいます。そうした見栄えのいい風景にも,冒険の途中に目を向けてみてほしいなと思います。また,ギルドに参加して,大勢の仲間と国家戦を楽しんでもらいたいです。

岡澤知行氏:
 ぜひ遊んでください! 気軽に声をかけて,友人を作って遊んでください。李さんとか,ねおすちー娘(仮)といった有名人も,何気なく遊んでいたりするので,そのへんにも注目してもらいたいですね。

写真上段:ネオスチームにはさまざまな「乗り物」が登場する。左から地下鉄,飛行艇,気球だ 写真下段:これが,李さんがデザインした装備の一つ,「シルフィード」。左から,デザイン画,CGイメージ,実際のゲーム画面だ


 ネオスチームのスタッフが,日本独自の展開や,プレイヤーと開発陣との距離を縮めることに多大な力を注いでいるのが,今回のインタビューから推し量れるだろう。プレイヤーの声は必ず開発スタッフに伝え,反映できるものはどんどん反映し,無理な場合はきちんと通達する,ということなので,本作を育てるつもりでプレイしてほしい。プレイヤーの意見がゲームをより良く進化させていく,そんな雰囲気を大いに感じ取れた,今回のインタビューであった。(Text by デイビー日高,Photo by kiki)

  • 関連タイトル:

    ネオスチーム

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