［E3 09］意外とできている！ 超期待のアクションRPG「Dragon Age」がプレイアブルで出展

　派手なアクションやお色気シーンのあるトレイラーで，多くのRPGファンを沸かせた「Dragon Age: Origins」に関しては，既にこちらでお伝えしたとおりだ。会場では，SCEAブースの「God of War III」，Microsoftブースの「Halo 3: ODST」と同じくらいの行列ができており，時間の都合からなかなかライブデモを見る機会がなかったのだが，Electronic Artsの裏ブースにおいて，30分以上に渡って実際にXbox 360版を遊ぶことができたので報告したい。


　本作では，ヒューマン，デイリッシュ・エルフ(Dalish Elves)，そしてドワーフの3種族がプレイアブルキャラクターとして登場し，それぞれに2キャラクター，つまり六つのストーリーが用意されている。それぞれ，ヒューマン・ノーブル，メイジ，シティ・エルフ，デイリッシュ・エルフ，そしてドワーフ・ノーブルとドワーフ・コモナーの6人だ。
　タイトルにもなっているように，プレイヤーはまず主人公がどうやってThe Grey Wardens（灰色の番人）という戦士ギルドに入隊することになるのかが語られる，Originと呼ばれるプロローグをプレイすることになり，六者六様のバックグラウンドストーリーが用意されているのだ。

試遊する筆者に付いてDragon Age: Originsの説明をしてくれた，テクニカルデザイナーのアンソニー・リンチ氏

　今回，プレイできたのは，デイリッシュ・エルフのLynaという女性キャラクターである。導入部分のオープニングムービーは，デモ版ではカットされていたため，どういういきさつなのかは詳しく理解できなかったが，デモ担当者のテクニカル・デザイナーAntony Lynch（アントニー・リンチ）氏によると，デイリッシュ・エルフの宿営地の近くで目撃された怪しいヒューマンを追ううち，辿り着いたエルフの遺跡がプロローグ時の舞台となっているらしい。レベル1なのに火炎の属性のマジカルウェポンを背負っていたが，それも何らかの理由があったと思われる。

　Dragon Ageでは，エルフは一般のゲームによくあるような，聖なる森の生き物としては描かれていない。長い間ヒューマンからの差別を受けて迫害され，もはや少数民族となって放浪の旅を続けているという設定で，そのためにヒューマンを深く恨んでいる。その近辺を歩き回っていたヒューマンというのは，やがてプレイヤーを灰色の番人に入隊させることになる，ダンカンという名のキーパーソンなのだが，デイリッシュ・エルフ達の会話のあちらこちらから，ヒューマンに対する憎しみが感じられるものだった。



　一方のライブデモも見てみたが，こちらはヒューマンのノーブルキャラクターMalcolmでプレイしており，ゲームの中盤程度まで進んでいるとのことで，キャラクターも銀色のアーマーをつけている。
　プレイヤーは，NPCとの会話の選択や，必要なアイテムを与えること，またクエストをこなすことによって，Approve/Disapproveレートを変化させられる。このとき相手が異性であれば，“お誘い”も起こり得るようだ。
　デモに登場していたのは，プレビューのトレイラーにも登場していたと思われるMorriganという名のシェイプシフターで，彼女に探していた魔法の本を渡すことで，「寒いの。私のテントに来てよ」と主人公が誘われていた。
　実際のシーンはカットされていたために，本当にどこまで描写されているのかは不明だ。ただ，BioWareはMass Effectでもかなりセクシーなキスシーンを表現している前科（？）がある。
　Dragon Ageは，流血だけでなく，上記のようなお色気シーンや，差別という社会問題にまで取り組んでいるなど，さすが大人向けのゲームらしい要素を備えている。

　面白かったのは，もう一人，旅の仲間にLelianという赤髪の若い女性がおり，会話を投げかけてみると「あなたがMorriganのテントに入っていくのを見たわよ」とやきもちを焼いていたことだ。「私とMorriganのどっちを取るの？」などと聞かれて，デモでは「Morriganとの大人の関係を大事にしたいんだ」というような会話を選択すると，LelianのDisapproveレートがいきなり10も加算されていた。
　パーティメンバーがパーティに加わる理由はさまざまなようだが，こういうメインストーリーとは直接関係のないインタラクションを通して，意志の疎通や目的の理解が得られず，パーティから離れていってしまうキャラクターも少なくないとのことだった。



　Xbox 360版とPC版ではHUDが異なるようで，PC版ではナンバーキーに合わせたスロットが画面下に用意され，特殊スキルやスペルをアサインできる。Xbox版は，Aボタン以外のボタンがスロットの代わりに利用され，その他のインベントリを開いたり，ログを見たりといった操作は，トリガーボタンでダイヤル式インターフェイスを引き出すことで行うようになっている。いずれにせよ，BioWareは以前の作品で失敗した経験を考慮してか，PC版とXBox 360版のインターフェイスをこまめに変えてくるというスタンスをとっているようで，元々PCゲームのデベロッパとして身を起こしたBioWareらしい，ファンへのいたわりも感じられる。
　当初は見慣れたトレイラーの印象から，アクション性に重心が置かれた作品だと思っていたが，Xbox 360版をプレイした感覚では「NeverWinter Nights」を思わせる，手堅いRPGになっていて好印象だった。NPCとのインタラクションや，ストラテジー性のあるバトルシーンなどでは，多くの正統派RPGを手掛けてきた彼らのノウハウの継承が感じられ，さすがと唸らざるを得なかった。

　Dragon Ageは，PC版とXbox 360版ばかりでなく，PLAYSTATION 3版も10月20日にリリースされる予定。発売されれば，大人のRPGファンから大絶賛を受けるのは間違いなさそうだ。