プレイレポート
新たなオープンβテストが行われた「RAGNAROK Online 2: Legend of the Second」をプレイ。カラーシステムなど独自の新システムの遊びごたえは?
クローズドβテストの情報が伝えられたときには,多くの人が「まだ作っていたのか」という反応がそこかしこで見られた本作。実は日本でも2007年にオープンβテストが行われているが,その後,2010年にそれまでのデータを完全に放棄し,「ラグナロクオンライン」(以下,RO)の世界観を受け継いだまったく新しいゲームとしてゼロから作り直すことが発表されていたのだ(関連記事)。
そんな紆余曲折を経てようやく新たなオープンβテストに漕ぎつけた作品だけに,期待と不安が入り混じるファンも多いだろう。
今回のオープンβテストで,本作がどのような感じに仕上がっているのか。正式サービスに向けて本格稼働が始まった「RO2」を韓国サーバーでプレイしてみたので,そのレポートをお届けしよう。
「RAGNAROK Online 2: Legend of the Second」公式サイト(韓国語)
キャラクター作成は選択式
表情まで変わって見える瞳のバリエーションは超重要!
“2012年2月22日午後2時22分”という,「2」が7つ連続で並ぶ日時を選んでのOBTスタートとなった「RO2」。開始直後には何度も緊急メンテナンスが行われたり,カードシステムのDUPE(複製)バグが発覚したりと,始まりは荒れ模様となった。それでも開始後には毎日のように新ワールドが追加され,本稿の執筆時点では5つのワールドが稼働しているなど盛況となっていた。
さっそく筆者も遊んでみようということで,ワールドを選択してキャラクターの作成を行った。
キャラクター作成は,まずソードマン/アコライト/アーチャー/マジシャン/シーフの5つから1つを選ぶことになる。「RO」にあったノービスはなくなっている。また戦闘職とは別に,シェフ/アルケミスト/ブラックスミス/アーティザンという4つの生産系の専門職業があり,これらを組み合わせた“デュアルライフ”が本作の特徴となっている。
アコライト |
アーチャー |
マジシャン |
シーフ |
シェフ |
ブラックスミス |
アルケミスト |
アーティザン |
キャラクターカスタマイズは,髪型の種類が男女ともに15種類ずつ,髪と目の色がそれぞれ15色ずつ,顔のパターンが男女各9種類,声が男女各5種類,瞳のパターンが10種類から選べる。
瞳のパターンは,少女漫画風や猫のような縦スリット,光のないぼんやりした瞳など,意外とバリエーションに富み,このパーツを変えただけで顔の雰囲気がガラリと変わる。顔のパターンは,同じ顔でも例えばシーフでは釣り目がちになり,アコライトだと穏やかな顔になるなど職業に合わせて雰囲気が変わるのは面白い。
キャラクターは6〜7頭身。「RO」と言えば3頭身キャラクターのイメージが強いが,メインのキャラクターイラストはずっと7頭身だった。「RO2」のキャラクターはこのイラストをそのまま3D化したイメージで作られているので,これが本来の頭身だと言えるのかもしれない。
筆者は今回,ソードマンとシェフの組み合わせでプレイしてみた。性別はもちろん(?)女性だ。
さて,日本でオンラインゲームをプレイしていると,ワールドにログインしてみたら8割女性だったなどは非常によくある光景だが,今回韓国のテストに参加してみたところ「RO2」に関しては,筆者の体感では男女が割と均等にばらけているように見えた。
スキルのショートカットをポチポチ
戦闘は非常にオーソドックス
移動はW/A/S/Dキーとクリックの併用が可能。スペースキーでジャンプができる。戦闘は画面下のショートカットにセットしたスキルをポチポチと押していくオーソドックスなスタイルだ。
戦闘中は,一般的なMMORPGと同様に,回復ポーションが利用できる。クールタイムは数秒なので,ガブ飲みしながらの戦闘も可能だ。戦闘終了後は自然回復するが,食事を取ることや座ることでより早く回復できる。
ただ,そんなバランスのせいか,敵の攻撃は結構強く,うっかり複数の敵をリンクさせるとガリガリと体力が削られてしまう。さらに,ボスは分身や子分を召喚してくるので,ボス戦などを回復薬なしで戦うのはかなり厳しい。
なお,スキルはツリー構造になっていて,レベルアップでもらえるスキルポイントを消費して,覚えたり強化したりしていく形式だ。
またレベル25になれば2次職に転職するためのクエストが発生し,ソードマンは「ナイト」と「ウォーリア」,アコライトは「プリースト」と「モンク」,アーチャーは「レンジャー」と「ビーストマスター」,マジシャンは「ウィザード」と「ソーサラー」,シーフは「アサシン」と「ローグ」にそれぞれ分岐する。
途切れることなく続くクエストがゲームを引っ張る
ただしメリハリ不足が気になるかも
プレイに慣れてきたところで,スタート地点となるミョルニール山脈から最初に訪れるプロンテラまでの2つのマップで受けられる,メインクエスト/サブクエスト/専門職業クエストなどを,すべて試してみた。
そのほとんどは「なんとかを倒してこい」「なんとかを取ってこい」「誰それと話してこい」といういわゆるお使いクエストなのだが,かなりの分量が用意されている。また,それらのクエストの多くは連続クエストになっているため,クエスト終了の報告をNPCにすると,間髪入れずに次のクエストが始まることも。これがわりと続くことになるので,だんだんと疲れてきて,新しいクエストが始まると「うへぇ」と思ってしまった。
とはいえ,一つ一つのクエストの難度はそれほど高くはなく,序盤のクエストはメインストーリーがらみも含めてすべてソロでクリア可能なので,自分のペースで遊べるのは嬉しいところ。
クエスト画面ではキャラクターがアップになるイマドキの演出も |
採取系のクエストもちょこちょこ挟まっている。敵もアイテムも即湧きなので取り合いはなかった |
クエストの中にはダンジョンや,インスタンスダンジョン内で行うものもある |
インスタンスダンジョンの中で戦う,初めてのボスらしい敵。ソロで撃破できた |
その一方で少し気になったのは,クエストの内容が単調であることだ。中にはフルボイスのカットシーンが挿入されるクエストもあるのだが,ほとんどはテキストで説明が出るだけ。昨今の派手な演出や重厚なストーリーを売りにしているMMORPGと比べると寂しさは否めない。
レベル30以降になると,物語の本質に迫る重要な展開があるらしいので,そのあたりから盛り上がりまくるのかもしれないが,レベル30というと,転職が終わり成長が一段落するゲームの中盤あたりなので,結構長い道のりに感じてしまう。
プレイヤーを助けてくれたイケメン。ストーリーにかかわる重要人物のようだ |
聖女をつれて脱出するタイムアタッククエスト |
日本人に好まれそうなカードシステムやカラーシステム
こうした単調さをカバーしてくれるのが,カードシステム,カラーシステムなどのサブ要素になるだろう。
カードシステムは「RO」にあったカードシステムの発展系となるものだ。モンスターを倒しているとたまにドロップするカードを,キャラクターに装備することで,カードが持っているステータスをキャラクターの能力値に付与できる。一度スロットにはめたカードは取り出すことができず,すでにはめてあるカードを別のカードに取り換えると,以前のカードは消滅してしまう。
カードはトレードしたり,街や村にいるカードマスターのところで合成することもできる。合成したカードは,ドロップしたものより強力だが,合成に失敗すると消えてしまうので,注意が必要だ。
なお,カードの種類はドロップで入手できる一般カードが306種類,合成カードが250種類とかなりのバリエーションがあるようだ。集めたカードを一覧できるコレクションブックもあるので,ただ集めるだけでも楽しめるだろう。
カラーシステムは,「RO2」から導入された新システムだ。カラーは色のことではなく,ギリシャ語で“キャラクターに刻まれた内面的特性”を意味する。
カラー情報ウインドウにずらりと並ぶマス目には,1つずつ異なったカラークエストが設定されている。これは先ほど紹介したクエスト群とは別枠でチャレンジできるもので,特定のアイテムを10個集めたり,アイテムの製作を10回行ったり,一定の条件をクリアすると,そのマスに書かれた報酬が手に入るという仕組みだ。
この報酬として獲得できるものには経験値とお金のほかに,「カラーポイント」と「カラータイトル」がある。
カラーポイントはカラークエストを受けるために必要なもの。もう一方のカラータイトルはキャラクターの名前と一緒に表示される称号で,それを付けることでキャラクターの能力を上げられるというものだ。カラータイトルは自由に付け替えが可能だが,一度付けると2分間のクールタイムがあり,その間は外したり,入れ替えることはできない。
カラークエストの情報ページは現在エピソード3まであり,今後も追加されていきそうな雰囲気だ。細かなマス目全部が違うクエストだと思うと,量の多さにクラクラするが,この細かなマス目を少しずつ埋めていくのは,意外と日本人好みの遊びになるのではないだろうか。
俺は生産で生きる! という人生も選択可能
戦闘の息抜きにもぴったりの生産職
もう1つの「人生」である生産職の育成も,クエストに飽きたときにはぴったりの要素だ。
画面の下には戦闘職業の経験値バーと,専門職業の経験値バーが並んでおり,この2つが成長要素として同列で扱われていることが分かる。
ちなみに筆者が選んだシェフは文字どおり,倒したモンスターから料理の材料を獲って,それを使っていろいろな料理を作ることができる職業だ。
シェフの製作風景。衣装がかわいい |
生産に必要なソースはNPCから購入するが,それ以外はすべてモンスターから入手できる |
作れるレシピは最初は3種類だが,レベルを上げることでだんだんと種類が増えていく。生産品は露天やオークションで売ることが可能だ。
また,自分のスキルを露天に出すことも。と言っても,スキルを露店に並べるわけではなく,スキルを露店にセットしておくことで,ログアウトしている間,ほかのプレイヤーからの持ち込みを受け付けて有料でアイテムを製作できる,つまり製作代行が露店で可能になるわけだ。
アイテムを購入したいプレイヤー側にとっては,売り切れを気にすることなく,素材さえ集めてしまえば作ってもらえるというのは,ありがたいのではないだろうか。
露天で作った料理を販売。置けるのは最大10個まで |
生産代行の設定画面。ログアウトしているときに人の役に立てる優れものの機能だ |
なお専門職業には独自の衣装があり,その姿のまま戦闘することもできる。しかし,残念なことに今のところ複数のバリエーションはないようだ。かわいい衣装だけに,ぜひ一つの専門職業に複数の衣装が欲しいところ。
さて,一般的に生産職と言えば,戦闘職に比べて育て辛いことが多いのだが,本作に関してはクエストの合間に死体から材料を集めて,それを加工していただけで,専門職業のほうが早く成長してしまった。とくにシェフの場合は,材料はクエストと同時進行で集められるので楽なのかもしれない。
ちなみに調理の材料は,シェフの採集技能を使ってモンスターの死体から入手できる。他人が倒したモンスターからでも採集できるので,乱獲後の狩場は採集前のモンスターを求めて,スーパーの特売品売場のようになっていた。
MMORPGとしての要素は一通り揃っているが,まだ方向性は見えない
今回は試す機会がなかったのだが,パーティで入るインスタンスダンジョンや20人で行うレイド,フィールドで行う決闘,レベル25以上で利用できるようになる対人専用のバトルフィールドなども用意されている。
またパーティ希望や募集が書き込める掲示板には,インスタンスダンジョン行きのパーティ募集がズラリと並んでおり,仲間探しには困らなさそうだ。遠距離にいるプレイヤー同士がしゃべるためのチャットルームや,最大100人まで登録可能なギルドなどのコミュニケーションツールも完備されている。
さて,今回のオープンβテストを遊んでみて,UIはしっかりと練り込まれており,操作性も良く自然にプレイできるなど,まずまずの完成度に仕上がっていると感じた。しかし全体的に無難さが先に立って,大きなモチベーションとなるパンチ力がないというのが正直なところだ。現状は,「RO」らしくするという部分に全精力が注ぎ込まれていて,本作を特徴付けるような強力な個性が不足しているのではないだろうか。
現状では,まだ必要最低限のものが揃っているという状態で,「RO」の続編という以外に本作が何を目指していて,プレイヤーにどんな楽しみを提供するのか明確に見えてはいない。
いわゆる「RO」らしさは,プレイヤーの興味を引く最初のとっかかりに過ぎない。今年10年目を迎える「RO」の後継者としてファンの心をつかんでいけるのかどうかは,今後の正式サービスに向けて追加されるであろうコンテンツで,しっかりと遊び方を提示していけるかどうかにかかっているだろう。
各種マウントの画面。右下の空スロットに購入したマウントをはめ込んで使うようだ |
街で見かけたトラ型のマウント。移動速度が速い。乗っているプレイヤーがつけているガスマスクみたいな装備が気になる |
プロンテラの風景。3Dになって感慨もひとしおといったところ | |
城の内部は重厚。かなり作り込まれている |
「RAGNAROK Online 2: Legend of the Second」公式サイト(韓国語)
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RAGNAROK Online 2: Legend of the Second
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