プレイレポート
ロアのもうひとつの可能性に迫る「エミル・クロニクル・オンライン」大型アップデート「アナザークロニクル〜もうひとつの物語〜」先行プレイレポート
このアップデートは,本作に新コンテンツ「アナザークロニクル」が実装されるもので,2014年と2015年のECO祭で情報が公開されたこともあり,ファンの期待が高まっている。今回4Gamerでは実装に先立ち,ECOの運営スタッフの寺田美絵氏と榊田 毅氏,そして深田將之氏からコメントをもらいながら先行プレイしてきたので,その内容をレポートしよう。
※スクリーンショットに表示された数値などは,正式実装時とは異なる場合がある
「エミル・クロニクル・オンライン」公式サイト
「アナザークロニクル」実装前に「イリスと記憶の書架」をおさらい
「アナザークロニクル」では,“ロア”のもうひとつの可能性が語られるという。しかし,その肝心の「ロア」とは何だったか……というECOプレイヤーもいるかもしれない。そこでアナザークロニクルを紹介する前に,ロアについて軽くおさらいをしておこう。
ECOでは毎月1本のショートストーリーが配信され,1年をかけて大きな物語を完成させる「通年イベント」というものが行われている。ひと月ごとに魅力的なキャラクターが登場し,クリアするとそのキャラクターのアバターアイテムが手に入ったり,キャラクターが“パートナー”として手に入るくじが実装されたりと,ECOファンに人気のコンテンツだ。
「ロア」というのは,2013年の通年イベント「イリスと記憶の書架」に登場したキャラクターで,「物語」,つまり本のなかの住人だ。「イリスと記憶の書架」では,彼女たちが自らの物語の世界から飛び出し,ECOの世界でプレイヤーと出会い,さまざまな事象を解決していくといったストーリーが展開される。今回実装される「アナザークロニクル」は,このロアたちがキーとなったコンテンツとなるわけだ。
ロアを題材に選んだ理由として,寺田氏は「ロアは物語を読んだ人たちのイメージが形になった実体のない存在です。そんな彼女たちだからこそ『もしも』が描きやすい」と話す。そしてその「もしも」が「アナザークロニクル」の物語になるとのことだ。
なお,「イリスと記憶の書架」は,2013年内で完結・終了したコンテンツだが,アナザークロニクル実装に先立ち,2015年8月20日に永久実装され,いつでもプレイできるようになっている。まだ触れたことのないプレイヤーは,アナザークロニクルを楽しむためにも,この機会に遊んでおこう。
ロアが生み出した心象風景が「もしも…」の物語を紡ぎ出す
それでは,あらためて大型アップデート「アナザークロニクル」を説明しよう。
大型アップデート「アナザークロニクル」は大きく分けて,ロアと共に本の世界を冒険する「Another Ancient Arc(アナザーエンシェントアーク)」と,ロアのもうひとつの存在「アナザー」の力を借りて,プレイヤーキャラクターをパワーアップさせるシステム「Another Chronicle(アナザークロニクル)」の2つのコンテンツで構成されている。
物語の始まりは,エミル世界の北方にあるノーザンプロムナードから行ける不思議な図書館「エンシェントアーク」。2015年の通年イベント「タイニー・かんぱにー」にて,さまざまな方面で自由にふるまいまくっている「タイ兄さん」が,エンシェントアークで封印されていた「ナコト写本」を発見してしまう。そして,ロアたちの協力で封印が解かれたナコト写本から,ロアと同じ姿をした影のような存在「アナザー」が生まれてしまったのだ。この「アナザー」の正体を確かめるべく,プレイヤー達はロアと協力して冒険することになる。
この詳しい経緯については,8月20日にスタートしたプレイベント「アナザークロニクル〜プロローグイベント〜」で語られている。イベントの参加条件は,三次職クロニクルジョブでBaseLv95以上,DEM種族の場合は「真の顔」入手イベントクリアとなっている。
プロローグイベントをある程度進めていないと,9月17日に実装される「アナザークロニクル」には参加できないので,実装後にすぐプレイしたいなら,いまのうちに進めておこう。なお,「アナザークロニクル〜プロローグイベント〜」も永久実装となっている。
冒険の舞台となるのは,ナコト写本内に広がるアナザーの願望が作り出した世界「Another Ancient Arc(アナザーエンシェントアーク)」だ。
プレイヤーは,ここをロアたちと共に冒険することになる。今回実装されるのは,チュートリアルとEXキャプチャー1,EXキャプチャー2の計3シナリオ。チュートリアルを除き,1つのEXキャプチャーにつき登場するロアは2体で,合計4体のロアとそのアナザーとの物語が楽しめる。
なお,エンシェントアークと区別をつけるために「アナザーエンシェントアーク」と名前がつけられているが,「エンシェントアーク」からナコト写本の中の世界に入るという設定で,実際のゲーム中には「アナザーエンシェントアーク」という名前は出てこないとのことだ。
アナザーエンシェントアークへは,エンシェントアーク内でEXキャプチャーを受注すれば行くことができる。
アナザーエンシェントアークはインスタンスのイベントフィールド的な扱いで,フィールド内でモンスターを倒しても経験値の獲得やアイテムドロップはなく,狩り場にはならない。プレイヤーキャラクターが倒されてしまった場合,パーティならば「リザレクション」等のスキルや「よみがえーる」などを使用することでその場で復活させることができるし,ソロの場合でも入り口に戻って再チャレンジが可能だ。
ただし,それはEXキャプチャーの制限時間内での話で,それを過ぎてしまうとEXモードキャプチャーは失敗となる。また,ロアたちNPCがモンスターに倒されてしまってもEXキャプチャー失敗となってしまうので注意しよう。
エEXキャプチャーの受注・参加条件は,「アナザークロニクル〜プロローグイベント〜」をある程度進行させた,三次クロニクルジョブのBaseLv100以上,もしくはDEM種族の場合は「真の顔」入手イベントをクリアしたキャラクターであることだ。「アナザークロニクル〜プロローグイベント〜」の参加条件はよりも5レベル高いが,深田氏によると「プロローグイベントを最後までクリアすれば,BaseLv95から100ぐらいまでは上がると思います」とのことだ。
さらに受注する際には,クエストポイントを1消費する。パーティで参加する場合は,受注したキャラクター以外もアナザーエンシェントアークに進む直前にクエストポイントを1消費するので注意しよう。なお,受注回数の制限などはなく,クエストポイントのある限り,何度でも連続してプレイ可能となっている。
アナザーエンシェントアーク内は,一見すると普通のフィールドのようだ。ここでは,ウィンドウに表示される「大目標」と「中目標」の2つに従いながら進行していくことになる。
「大目標」は,アナザーエンシェントアークの進行に関わる目標で,ひとつをクリアするとすぐに次の目標が提示される。いわばメインクエストのようなもので,ひとつずつ解決していけばEXキャプチャーがクリアできる。
「大目標」がメインクエストならば,「中目標」はサブクエストに該当するものだ。EXキャプチャーそのもののクリアには関係ないが,中目標を多くクリアしておくと,最後に得られる報酬が増えることがあるらしい。可能な範囲でこなしておいた方がいいだろう。
ただ,中目標に熱中するあまり,NPCが敵にやられてしまうことにもなりかねないので,状況によってはパーティを二手に分ける,もしくは中目標を諦めるなど,決断を迫られることがありそうだ。
チュートリアルを実際に進めてみると,味方NPCとして登場するイリスが非常に奔放に動き回り,あちらこちらへと振り回される感が強い。そのおかげでよくNPCを見失うことがあるので,目標ウィンドウとミニマップを活用して追いかけよう。
なお,チュートリアルのNPCは強めに設定されていて,倒されることはほとんどないという。寺田氏は「チュートリアルはソロで遊んでもクリアが可能な難度になっています。ほかのEXキャプチャーもソロでクリアできなくないですが,2人以上のパーティを推奨します」とアドバイスしてくれた。
ある程度,大目標を進めていくと,アナザークロニクルのキーキャラクターの一人である「アナザー」が登場した。チュートリアルで登場するイリスアナザーは,NPCのイリスに負けず劣らず強く,さらに奔放に暴れまくる。イリスアナザーが登場してからは,彼女(?)を追いかけていくことになった。
中ボスらしき敵を倒した先は,機械的なフィールドへ。ここでは,敵に混じってもうひとり(?)のキーキャラクター「イレギュラー」が登場する。アナザー以上に謎を秘めたイレギュラーは,チュートリアルでは赤い小さな立方八面体の形をした敵として登場するが,ストーリーによってその姿は異なるらしい。
機械的なフィールドを抜けた先の新フィールドにて,チュートリアルのボスモンスターと対峙する。ここでもちょっとしたイベントが発生するが,それはプレイしてのお楽しみに。このボスモンスターを倒せばEXキャプチャーのクリアとなる。
ボスを倒すと,宝箱があるフィールドへ。赤い宝箱がクエストクリア報酬だ。通常のクエストでは赤い宝箱が4つ出現し,キャラクターそれぞれが開けられる。中目標をクリアしていれば,さらに黄色い宝箱も出現することもあるそうだ。
これら宝箱からは,新実装となる装備品や,パートナーが新たな進化形態になれるアイテム,そしてアナザークロニクルのキーアイテムである「紙片」や「想いの万年筆」が手に入る。ここで手に入る装備品は,これまでのものとは少し毛色が異なり,STRやDEXなどの基本的なステータスではなく,物理攻撃力や魔法防御力などが直接アップするタイプの装備品になるとのことだ。
実は,チュートリアルでは宝箱の数が少なく、中目標をクリアしても黄色い宝箱も出現しないが,ブランクイリスカードなどが入手できる。そしてクリア後のイベントで「アナザーブック開放」状態となり,いよいよアナザーのスキルが使用可能になるのだ。
ページを完成させてキャラクターをパワーアップ
新システム「アナザークロニクル」とは
といっても,すぐにアナザースキルが使えるわけではない。ここでは,スキルが使用可能になるまでのステップを紹介しよう。
アナザースキルを入手するためには,まず「Another Ancient Arc(アナザーエンシェントアーク)」をクリアして手に入る「紙片」を集めて,アナザーページを完成させなければならない。この一連のシステムが「Another Chronicle(アナザークロニクル)」と呼ばれるものだ。その始まりとなるのが,先ほど紹介した「アナザーブック開放」である。
アナザーブックウィンドウを開くと,ウィンドウの上側に紙片を集めるアナザーページのスペースと,装着時に使用できるスキル,下側にアナザーページ装着時にアップするパラメータと,アナザーページ解放時にアップするスキルがそれぞれ表示される。
まずは,アナザーページを完成させることが目標だが,ページを完成させるには8か所に対応した「紙片」を手に入れなくてはならない。8か所すべてに対応する個別の紙片を当てはめて,「作成」ボタンを押すとアナザーページが完成するという流れだ。
アナザーページはアナザーのキャラクターごとに存在するため,1キャラクター分の紙片を集めるのは,なかなか大変そうだ。深田氏によると「中目標をしっかりとこなしていれば,1周につき1枚は手に入ると思います」とのこと。クエストポイントは24時間で1ポイントしか回復しないので,確実に中目標もクリアして紙片を手に入れたいところだ。
続いて,ウィンドウ中央右側にあるボタンで,完成したアナザーページを装着する。すると,ウィンドウ下部の左側で表記された分だけ,キャラクターのパラメータが底上げされる。また,この状態になるとスキルウィンドウには「アナザー」のタブが出現する。ここからショートカットバーに,アナザースキルのスキルアイコンを配置できる。
アナザーページを装着したことで,使用可能になるアナザースキルは4つ。一番上の「アナザーブック開放」は,全アナザーページ共通でキャラクターを“アナザークロニクル状態”にするスキルで,その効果は初期状態で3分間だ。使用するとキャラクターは,アナザーブックウィンドウ下部右側の数値の分だけパラメータがアップし,さらにアナザースキルが使用可能になる。
一時的とはいえ,大幅にパワーアップできるアナザーブック開放だが,クールタイムが効果終了から30分と結構長い時間が設けられており,そう気軽に使えるものでもない。ここぞというタイミングで使いたいところだ。
2番目のスキルは,アナザー状態で効果が発生するパッシブスキルだ。攻撃時に一定確率でHPやSP,MPを吸収したり,特定の攻撃がパワーアップするなど,アナザーページによって効果が異なる。3,4番目のスキルは,アクティブスキルだ。どれも強力だが,それ故にクールタイムも長めに設定されている。
さらにアナザースキル(アクティブスキル限定)には「拡張スキル」というものが存在する。これは,既存ジョブが持つ特定スキルを習得していると,アナザースキルに新たな効果が追加されるというものだ。1つのアナザースキルにつき,5つの拡張スキルが設定されている。
アナザースキルを成長させることもできる。そのために必要なのが,「ページ経験値」だ。アナザーブック開放後,キャラクターがモンスターを倒した際に,Base経験値と同じ分の数値がページ経験値としてプールされる。このプールされたページ経験値を消費することで,スキルレベルをアップできる。
各スキルは初期状態で最大レベル3となっている。このレベル上限は,アナザーページを複数枚作成することで開放可能だ。基本的には最初のアナザーページ作成と同様に,8か所全部の紙片を集める必要がある。さらに,2枚め以降の作成時には「想いの万年筆」が必要となる。アナザーページは,最大で5枚まで重ねることができ,装着時やアナザーブック開放時にアップするパラメータの数値や,アナザースキルのレベル上限をアップさせられる(※アナザーページが1ページ追加されるごとに,スキルレベルの上限が3上がる。最大レベルは15)。
この「想いの万年筆」は,チャプタークリア後の宝箱,または紙片を集めて交換することで手に入れられる。
宝箱から得られる想いの万年筆は,どのアナザーキャラクターでも使える万能アイテムだが,交換で得られる想いの万年筆には制限がある。例えばメフィストフェレスアナザーの紙片を集めて交換できる「想いの万年筆(メフィストフェレス)」は,メフィストフェレスアナザーのページを完成させる用途にしか使えないといった感じだ。
さらに想いの万年筆には,上から「虹」「金」「銀」「銅」の4つのランクがあり,ページ数が増えるごとに高ランクのものが必要になる。紙片による交換もランクが上がるごとに必要枚数が増えていく(同じキャラクターの紙片なら,どの部分でも問わないが何十枚も必要になるらしい)とのことなので,ダブった紙片は,しっかり確保しておきたいところだ。なお,紙片および想いの万年筆はプレイヤー同士の取引が可能で,倉庫に入れたり露店に出したりできる。
榊田氏は,アナザークロニクルの企画について「これまでのECOは,NPCと一緒に戦う場面はほとんどありませんでした。そのため通年イベントでも,あまり一緒に冒険している感じがないという意見もいただいております。それを解決しようと試みたひとつが今回のシステムです」と話す。
通年イベントは,NPCと会話を挟みながら一緒に物語を進めていくシーンが多いのだが,展開の都合上,進行の過程が飛んでいたり,移動はプレイヤーキャラひとりだけだったりと,確かに「一緒に冒険している」という感じはあまりなかった。そんなファンからの声に対する返答のひとつが,このアナザークロニクルだという。
実際にプレイしてみると一緒に……というよりは,振り回されている感じが強いが,戦っている途中にもマシンガンのように飛んでくるNPCからのメッセージは,なかなか新鮮だった。
ただ,戦いに集中しているとメッセージを読み飛ばしてしまうことがあり,重要な言葉がなかったのかと心配になったのは,気になる点だ。
なお,今回のアップデートでは,4人のロアの「もしも」のストーリーが語られるという。となると,残りのロアの物語はいつか,というのも気になるところだ。寺田氏によれば,「ロア全員の物語を作るつもりなので,残りの9人についても期待してください。ただ,通年イベントのように1か月にひとつは難しいです」とのこと。年内での次回リリースは難しいらしく,12月のECO祭で発表されるかもしれないとのことだ。榊田氏も「中途半端なものは作れないですから」と,軽々しいものは出せないと認識しており,リリース時期を明言できないといった様子だった。
その代わりというわけではないが,「せっかくロアが出てくるのに,肝心のロアを入手できないのはいかがだろうか」ということで,スペシャルECOくじ「ロアたちの記憶」の販売が9月後半に決定したと榊田氏は付け加えた。
くじから入手できる「BOX」が15種類あり,ロアを選んで入手できるものや,ロアにちなんだアバター衣装を選んで入手できるものなどがあるという。パートナーにロアが欲しかったけど,チャンスがなかった……という人は,この機会にチャレンジしてみよう。なお,このくじの実装により9月17日からは,くじで出てくるものはリサイクルシステムの対象外になるとのことだ。
まだレベルが届かないというプレイヤーは,本稿掲載と同時にスタートする「クエスト獲得経験値1.5倍キャンペーン」を併用してレベルを上げよう。また,アナザークロニクル実装と同時にクエストポイント上限の「15」に再設定されるとのことなので,クエストポイントを惜しまずに使い,一気にレベルアップを狙ってほしい。
最後に,アナザークロニクルを心待ちにしているECOファンへ,それぞれメッセージをもらったので紹介しよう。
今回実装されるアナザーエンシェントアークは,ロアと一緒に協力して冒険するという,ずっとやりたかったことを実現しました。アナザークロニクルでは,それぞれの(アナザー)ロアに沿った,カッコイイスキルを用意しています。ぜひ,遊んでもらえればと思います。
高レベル向けのコンテンツということもあり,とくにECOを長く遊んできてくださったプレイヤーさんにプレイしてもらえればという想いがあります。
もちろん,ロアを知らないプレイヤーさんも,これをきっかけに「イリスと記憶の書架」や,現在展開中の「タイニー・かんぱにー」など,通年イベントや,それらに登場するキャラクターに関心や愛着を持ってECOの世界を楽しんでもらえるようになると嬉しいです。
そして,アナザークロニクルで手に入れたスキルを活用して,ほかのエンドコンテンツをより楽しんでもらえるのが理想です。9月17日を楽しみにお待ちください。
ロアたちは,2013年の通年イベントで登場したキャラクターですが,2年経ったいまも人気が高く,このコンテンツを発表したときはファンの皆様から「待ってました!」「ロアが出てきて嬉しい」との声を多くいただきました。
2013年にやっていたイベントを復活させるだけというのも……と考え,何度も試行錯誤を繰り返して,キャラクターを前面に押し出しつつ一緒に遊ぶ,一緒に戦うという新しいコンテンツが完成しました。ぜひ皆さんも触ってみてください。
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