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既存のRadeonにも対応した最新ドライバソフト「AMD Software 23.2.1」が登場
Radeon RX 6000シリーズやそれ以前のGPU,そしてAPUのユーザーにとっては,2022年12月に登場した「AMD
同時に,新作ゲームに対する最適化や,Radeon RX 7900シリーズのみ先行で提供されていた新機能の搭載,リモートプレイ機能「AMD Link」の接続を改善したほか,Windows 11におけるゲームの全般的な性能向上など,いくつかの新機軸を含むちょっとした大型アップデートとなっている。
順を追って概要をまとめていくと,まずAdrenalin 23.2.1においては,「FORSPOKEN」への最適化が行われた。AMDによると,「Radeon RX 6950 XT」で前バージョンとなるAdrenalin 22.11.2と比べた場合,4K解像度時に約7%のフレームレート向上が得られるそうだ。
また,リメイク版「Dead Space」にも対応したが,こちらは性能が向上したとは述べていないので,AMDが動作を確認したという理解でいいだろう。
ほかにもAdrenalin 23.2.1では,多数の既発ゲームにおいて性能が向上しているとのこと。AMDが挙げているタイトルは,以下の10タイトルだ。Radeon RX 6950 XTでこれらのゲームをプレイすると,4K解像度で3〜19%程度の性能向上を得られるそうだ。
- Marvel’s Spider-Man Remastered
- Sniper Elite 5
- Shadow of the Tomb Raider
- Quake II RTX
- HITMAN 3
- Marvel’s Guardians of the Galaxy
- F1 22
- DOOM Eternal
- Borderlands 3
- Hogwarts Legacy
ちなみにAMDは,Adrenalin 23.2.1に合わせて更新されたAMD公式Blogでは,Windows 11の登場以降,AMDがドライバの改善によってRadeon RX 6000シリーズの性能向上に取り組んできたことをアピールしていた。一例を挙げると,2021年10月にリリースされた「Adrenalin 21.10.1」とAdrenalin 23.2.1を比べると,30%近く性能が向上したタイトルもあるそうだ。
ビデオエンコードでにも,Radeon RX 7900シリーズに対して提供されていた機能のうち,「AV1」のハードウェアエンコードを除く機能がRadeon RX 6000シリーズ向けに組み込まれた。「AMD
- フレームを事前分析してストリーミングの画質を向上させる「Pre-Analysis」機能
- エンコード前の映像にフィルタ処理を施して画質を向上させる「Pre-Filtering」機能
- 深層学習の事前学習を使って,ユーザーインタフェースにおける文字のボケなどを改善する「Content Adaptive Machine Learning」(CAML)機能
また,Radeon RX 7900シリーズで利用できる「OBS Studio」向けの新しいハードウェアエンコーダが,Radeon RX 6000シリーズでも利用できるようになったとのこと。ただ,本稿執筆時点で最新版だった「OBS Studio 29.0.2」を「Radeon RX 6700 XT」上で動作させてみたところ,H.264しか選択できない。Radeon RX 6000シリーズはH.265のハードウェアエンコーダを搭載しているが,まだOBS Studioでは利用できなかった。
AMD Linkの改良は,Radeon RX 400シリーズ以降の全Radeon GPUにおいて,H.264やH.265のストリーミングが改良されて,接続性が向上しているとのこと。なお,Radeon RX 7900 XTでは,新しいAMD Linkクライアントのダウンロードが必要になるそうなので注意してほしい。
そのほかにも,Radeon RX 7900シリーズで先行して提供されていた新しいVulkan拡張への対応や,多数の不具合修正がAdrenalin 23.2.1で行われている。対象のGPUやAPUを使っているのであれば導入してみるといいだろう。
→AMDのドライバダウンロードページ
https://www.amd.com/ja/support
→4Gamerの最新ドライバリンクページ
https://www.4gamer.net/games/999/G999902/FC20110422001/
英文のリリースノートから,新機能を含めたポイントをまとめておこう。
●Adrenalin 23.2.1の対応GPU
- Radeon RX 7900シリーズ
- Radeon RX 6000シリーズ
- Radeon RX 5000シリーズ
- Radeon VII
- Radeon RX Vegaシリーズ
- Radeon RX 600・500・400シリーズ
- Radeon Pro Duo
- Radeon RX 6000Mシリーズ
- Radeon RX 5000Mシリーズ
- Radeon 600シリーズ(OEM向け)
●Adrenalin 23.2.1の対応APU
- Ryzen 7000シリーズ
- Ryzen 6000シリーズ
- Ryzen 5000Gシリーズ,Ryzen PRO 5000シリーズ
- Ryzen 4000Gシリーズ,Ryzen PRO 4000シリーズ
- Ryzen 3000シリーズ,Ryzen PRO 3000シリーズ
- Ryzen 2000シリーズ,Ryzen PRO 2000シリーズ
- Athlon PRO 200GEシリーズ
- Ryzen Mobile Processors with Radeon Vega Graphics
- Athlon Mobile Processors with Radeon Vega Graphics
- Ryzen PRO Mobile Processors with Radeon Vega Graphics
- Athlon PRO Mobile Processors with Radeon Vega Graphics
- Radeon 600シリーズ(Ryzen 6000 APU)
●Adrenalin 23.2.1が統合するコンポーネント(※比較対象はAdrenalin 22.11.2)
- Display Driver Version:22.40.01.45-230210a-388153C
-AMD -Soft ware -Adre nalin -Edi tion (←22.20 .29.10 -221 130a -386 220E -AMD -Soft ware -Adre nalin -Edi tion) - Radeon Settings:2023.0210.1918.1963(←2022.0819.1259.1936)
- 2D Driver:8.1.1.1634
- Direct3D:9.14.10.01525(←9.14.10.01523)
- OpenGL:23.02.221211_b5b27f1(←22.11.221102_65bb9ce)
- OpenCL:31.0.14001.45012(←31.0.12029.10015)
- AMD Windows 31.0.14001.45012(←Driver:31.0.12029.10015)
- Audio Driver:10.0.1.24
- Vulkan Driver:2.0.250(←2.0.233)
- Vulkan API:1.3.237(←1.3.217)
●Adrenalin 23.2.1おける最適化
- FORSPOKENへの最適化
- Radeon RX 6000/7900シリーズにおいて,10タイトルの最適化
●Adrenalin 23.2.1における新要素
- Dead Spaceに対応
- Vulkanにおいて,MLIRベースのIREEコンパイラをサポート
- 新たなVulkan拡張に対応
- Radeon RX 6000シリーズにおいて,ストリーミングのPre-filter,Pre-analysis,CAMLをサポート
- 接続性が向上した新しいAMD Linkに対応
- Radeon RX 6000シリーズでOBS Studio向けハードウェアエンコーダをサポート
●Adrenalin 23.2.1で解決した問題
- Windows 11 22H2において,「Delayed Write Failed」というエラーメッセージが表示され,AMD Softwareが起動しないことのあった問題(※Radeon RX 7900シリーズはAdrenalin 23.1.2で解決済み)
- 「SpaceEngine」をプレイ中に,動作やロード時間が遅くなることのあった問題(※Radeon RX 7900シリーズはAdrenalin 23.1.2で解決済み)
- Radeon RX 6000シリーズを搭載したPCで,Steamの「ポイントショップ」をスクロールさせると表示が破綻することのあった問題
- Radeon RX 5700 XTなど一部のAMD製グラフィックス製品で,「Enhanced Sync」を有効化すると,「Fortnite」や「YouTube」動画再生の性能が低下することのあった問題
- 「Door Kickers 2」プレイ中に表示が破綻したり,ゲームがクラッシュしたりすることのあった問題
- 「Emergency 4」プレイ中に,テクスチャが欠落したりチラつくことのあった問題
- Radeon RX 7900シリーズにおいて「Baldur's Gate 3」をVulkan APIを使用してプレイしようとすると,起動時にクラッシュすることのあった問題
- Radeon RX 6000シリーズや以降のグラフィックス製品において,「Sea of Thieves」をプレイするとカクつきが発生することのあった問題
- Radeon RX 6000シリーズや以降のグラフィックス製品において,「Battlefield 4」でポストプロセスのクォリティ設定を「High」または「Ultra」にしてプレイすると,(映像が?)破綻することのあった問題
- Radeon RX 7900シリーズにおいてHogwarts Legacyをプレイすると,木の葉が白抜けすることのあった問題
- 一部のマルチディスプレイ環境において,Chromium系のブラウザを使用して2つ以上の動画を同時に再生すると,システムが断続的にカクついたり,ユーザーインタフェースがチラつくことのあった問題
●Adrenalin 23.2.1における既知の問題
- Radeon RX 7900シリーズに高解像度,高リフレッシュレートに対応する一部のディスプレイを接続すると,アイドル時の消費電力が高くなることがある
- Radeon RX 7900シリーズを搭載したマルチディスプレイ構成の一部で,ゲームや動画再生時がカクついたり,映像が乱れることがある
- 「EA SPORTS FIFA 23」で「Premium Gold Pack」を開こうとすると,アプリケーションがクラッシュすることがある
- Radeon RX 7900シリーズにおいて,VRゲームやVRアプリの一部で想定より性能が低いことがある
- ハイブリッドグラフィックスを使用する一部のノートPCにおいて,ドライバアップグレード後に「AMDバグレポートツール」がポップアップしたり,システムのハングアップが発生することがある。この問題は,工場出荷時にリセットする設定でドライバをインストールすれば回避できる
- Ryzen 7 6800U?など一部のAMD製品(※AMDのAPU製品?)において,「Netflix」でビデオ再生中に,ディスプレイをまたいでウインドウを移動させたり,最小化状態から最大化したりすると(表示の?)破綻が生じることがある
- Radeon RX 6700 XTなど一部のAMD製グラフィックス製品で,Winodwsアプリ「映画とテレビ」を使って動画を再生中,ウインドウをディスプレイ間で移動させると一時的に表示が乱れることがある
- Radeon RX 6700 XTなど一部のAMD製グラフィックス製品で,ゲームと動画のウインドウを切り替えると一時的に表示が乱れることがある
- アプリによってはエンコードの最大ビットレートが100Mbpsに制限されることがある(※動画ストリーミングにおけるエンコードか録画時のエンコードかなどの詳細は未記載)
- Hogwarts Legacyにおいて,レイトレーシングを有効にしたときの性能低下に関する問題は,デベロッパと協力して解決中とのこと
- 関連タイトル:
AMD Software
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