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印刷2005/12/22 18:00

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コーエー,「三國志11」を発表 シリーズ初の3D一枚マップを採用

 2005年9月に行われた東京ゲームショウ2005の取材中に,人気の歴史ストラテジー,三國志シリーズの新作についての情報を得た。そのとき,「正式発表は,2005年内を目指している」(コーエーSP本部リーダー・中村真一氏)とのことだったが,本日12月22日,その言葉どおりに発表されたので,早速お伝えしよう。

 ただ,「とりあえず発表しました」というところなのか,今のところ情報は多いとはいえない。その代わりにいくつか画像を入手したので,このページにすべて掲載しておこう。

 何はともあれ,まずは三國志シリーズそのものについて,軽くおさらいしておく。中国の四大奇書の一つ「三国志演義」をベースにした国盗りタイプのストラテジーゲームで,1985年に第一作が誕生して以降,そのシリーズ作すべてがヒットを記録している。信長の野望シリーズと共にコーエーの看板タイトルであるだけでなく,「国産ゲーム」という大きなくくりで見ても,代表的な作品といえるだろう。
 大ヒットの理由は,そのゲーム性もさることながら,魅力あるキャラクター達の存在も大きいはずだ。桃園で義兄弟のちぎりを交わした劉備,関羽,張飛,天候を操り不可能を可能にする軍師 諸葛亮,自身の才覚を十分に発揮し強大な帝国を築き上げた“乱世の奸雄”曹操,「断金の交わり」(金属をも断ち切るほどの強い契り)で結ばれた孫策と周瑜などなど,とにもかくにもタレント揃いなのは,この記事を読んでいる人には説明するまでもないだろう。
 三國志シリーズは,彼ら登場人物の魅力を引き出す演出が実にうまく,「キャラクター」と「ゲーム」が人気を引っ張り合う形で,これほどまでのヒットシリーズへと育っていったのだ。

 ところで,このところの三國志シリーズには,「ゆらぎ」があった。
 収録されたすべての武将でプレイできる「全武将システム」を引っさげて登場した「三國志 VII」が空前の大ヒットを記録し,その内容を発展させた「三國志 VIII」も好調なセールスを見せた。
 ところが続く「三國志 IX」では,全武将プレイシステムは廃され,従来のシリーズ作が持つ面白さを追求した内容となる。そのゲーム性は拡張パック「パワーアップキット」で完成にいたり,これは古くからのファンにも「傑作」と高く評価された。
 そして「三國志X」で,全武将プレイシステムが復活したのは,ご存じのとおりだ。これは,“人気の高い”「VII」「VIII」と,“評判の良い”「IX」の“いいとこ取り”を目指して作られたと想像できる。

まずは,メイン画面。3Dエンジンは,「信長の野望・革新」と同じものだろうか。ただ,山などの描き方が水墨画風で,面白い。インタフェースにある「行動力」という言葉は「全武将プレイ」を思わせるが,それ以外の部分はむしろ「君主プレイ」向きか?


イメージイラスト。「三國志X」のものと同様,動きのある絵柄だ。関羽が一番前とは珍しい構図だが,何か意味があるのだろうか
 さて,「三國志11」である。コーエーのもう一方の雄,信長の野望シリーズは,11作目でタイトルを「信長の野望・天下創世」とし(つまり従来の伝,記,録が付くタイトルから脱却し),新時代の幕上げを告げた。そして三國志も,11作目で,タイトルが従来のローマ数字(IやIVといった数字)から,アラビア数字(3や5といった数字)に変わっている。
 まぁ,あまり数字が大きくなると,ローマ数字ではパッと見で分かりにくいという事情もあるのだろうが,「これまでとは違う作品にする」という意気込みと捉えてもよいだろう。

 前置きが長くなったが,現時点で判明している三國志11の情報を紹介していこう。
 まず発売時期だが,2006年春と発表されている。ちなみに前作「X」では,2004年1月に「春発売」と発表され,結果延期もあって同年7月に発売された。
 むろん単純には比べられないが,三國志11も5〜7月くらいではないだろうか。まぁ現時点では,3月(つまり今期中)に発売される可能性もあるが,遅いと思っておいて早く発売されたときのほうが嬉しいものだ。

 リリースにある文字情報は,このほか価格が1万800円(税別),特典付きの「プレミアムBOX」が1万3800円(税別)になることと,発表と同時(つまりこの記事の掲載と同時)に公式サイトが,
http://www.gamecity.ne.jp/sangokushi/11/
にオープンすること。そして,以下のような文章のみだ。

中国史を揺るがす壮大なる戦いが、そこにある!

敵軍の将を説き伏せるも武将の命、
武力誇示も戦乱の世を勝ち抜く術、
智略は奸計に通じ、軍略は大軍を動かす。
己が奸雄と呼ばれるか、さらなる強者が現れるか、
いま、壮大な中国を揺るがす争いが始まる…
シリーズ初の3D一枚マップ上で戦略と戦術が融合した
究極の戦略級シミュレーションゲーム!
「三國志」シリーズ最新作、いよいよ登場!


 趣(おもむき)のある文章だが,ここから読み取れることは少ない。具体的な情報は,3D一枚マップが採用されていることのみである。前作で初登場した「舌戦」もあるように読めるが,この文を読み解くまでもなく,今回掲載した画像に,そのものズバリ舌戦中の画像がある。
 しかしまぁ,3D一枚マップというだけでも,コーエーファンならば色々と想像できることはあるだろう。まず思い出すのが,「信長の野望・革新」である。こちらもまた,3D一枚マップを採用した作品だ。革新自体が,三國志IXを発展させたような内容だったことを考えると,この三國志11も,IXの流れを汲むと考えられる。
 ……となると気になるのが,本作は「全武将プレイシステム」を採用しているか,否かだ。IXの流れを汲むのなら,全武将プレイシステムではなく,君主のみを選択できるはず。これに関してコーエーに問い合わせてみたものの,明確な返事はもらえなかった。ただ,このページに掲載したメイン画像を見る限りでは,君主プレイのように思える(たまたま曹操,および孫策でのプレイの画面かもしれないが)。
 ともあれ本作は,三國志IX パワーアップキットや,信長の野望・革新に近いシステムを搭載した,「ゲーム性」に力を入れたタイトルになるのではないだろうか。

 リリースにはほかに何も書いていないうえ,コーエーからも「詳細は年明けまで待ってほしい」と言われているので,これ以上は,掲載した画面写真から想像するしかない。

 メイン画面(上部に3点並べて掲載した画像)は,3D表示でありながら,まるで中国の水墨画のような絵柄となっているのが面白い。山は縦に長く,かつその輪郭は,墨と筆で描いたような太い黒線だ。インタフェースが少なく,左下に二つの矢印ボタンがあることからは,半リアルタイム制が想像できる。つまりこれは,信長の野望・革新と同様に,「時間を進めている場面」(もしくは「時間を止めている場面」)ではないだろうか。
 「月」の概念はあるようだが,3点の画像の日付がそれぞれ「1日」「21日」「21日」なのが気になるところ。つまり,「1日」「11日」「21日」と,10日刻みとなっている可能性は否定できない。信長の野望・革新と同じようなシステムであれば,ここは1日単位で進むはずだが,……たまたまだろうか。
 そういえば,この3点の画像には,軍勢らしきものが映っていない。案外,信長の野望・革新とも,またまったく違うシステムなのかもしれない。


一騎討ち画面。真・三國無双ばりの3D描写に目がいくが,孫策が弓矢を使っているのも気になる

 一騎討ちの画像は,もう,見てのとおり。真・三國無双シリーズを思わせる3D描写となっている。
 とはいえ,さすがにアクション性はないだろう(コマンド類が一切画面に表示されていないので,あり得なくもないが)。メイン画面での山と同様,粉塵の描き方がユニークである。
 おそらくはまた,「気合」なりを溜めて,技を繰り出すシステムとなりそうだ。なんにせよ,早く動いているところを見てみたいものである。


舌戦画面も3Dで描かれている。この画像に限らないが,キャラクターの輪郭も筆で描いたような線だ

 舌戦のシステムは,多少変わっているようだ。橋の上ではないものの,相手と“口撃”で押し合って,落ちたほうが負けというのは,継承されている模様。
 ただ勝負に関係する能力値が,「知力」だけとなっているように見える。「冷静」というのは今の精神状態を表しているとすれば,三國志Xの「特技」にあたるものは存在しないのだろうか。
 また気になるのが,この3点の画像で,周瑜の知力が変化していること。これが,1試合の舌戦での模様だとすれば,これは諸葛亮の技によるものと推察されるが……。


顔グラフィックス。上段は,左から諸葛亮,関羽,太史慈,下段は周喩,孫策,司馬懿

 顔グラフィックスは,(いい意味で)いつもどおり。あと,イメージイラストが公開されているが,ここからゲーム内容について想像するのは,実に難しい。本来イメージイラストは,ゲームのテーマに合わせて作られるものだが,さて,どういうテーマだろうか。
 関羽と呂布がにらみ合っていることだし,一騎討ちに力を入れたゲームになるのだろうか。

 この記事が読者の目に触れる頃にはオープンしているはずの公式サイトには,より詳細な情報が掲載されているかもしれない。ただ,コーエー広報に確認したところ,本格的な情報公開は2006年1月下旬以降を予定しているとのことだ。しばらくは,ここに掲載した画像をもとに,ああだこうだと想像(妄想?)して,気長に続報をお待ちいただきたい。(Iwahama)

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