インタビュー
「SDガンダム カプセルファイター オンライン」関係3社にインタビュー。2010年末以降,海外版に先行実装のコンテンツが続々登場
CJインターネットジャパンがサービス中の「SDガンダム カプセルファイター オンライン」(以下,SDGO)は,世界的な人気を獲得しているアニメ「機動戦士ガンダム」シリーズを題材とするオンラインアクションだ。
本作では,11月と12月にアップデートが実施され,機体を7段階までアップグレードできる“オーバーカスタム”や,最大6人対6人で行う対戦コンテンツの追加,そして「カプセルマシン」の価格見直しなどが行われる予定となっている。
今回4Gamerでは,版権管理/プロデュース,開発,そして運営に携わる以下の3社4名にインタビューを行い,アップデートの内容をはじめ,サービスの現状やプレイヤーの動向,そして今後の展開などについて話を聞いてみた。
・版権管理/プロデュース:BANDAI KOREA Digital Business Section Assistant Manager 村上省吾氏,キム・ヒョンギル氏
・開発:韓国SOFTMAX 開発統括部長 キム・ドヒョン氏
・運営:CJインターネットジャパン パブリッシング事業部 部長/プロデューサー 秋山隆利氏
・運営:CJインターネットジャパン パブリッシング事業部 ゲーム事業チーム プロデューサー 河辺 健氏
「SDガンダム カプセルファイター オンライン」公式サイト
12月下旬のアップデートでシステムをバージョンアップ。これによって新コンテンツ導入への土台が完成
また,それに合わせ,1回につき20コインだったカプセルマシンの料金がこれまでの50%オフとなり,1回あたり10コインに変更される点も大きなトピックといえるだろう。
さらに,「オペレーター」の雇用に必要なCP数も,タイプによって異なるものの,最大50%オフ,平均では20%オフとなり,全体的に利用しやすくなるといっていい。
これまでお伝えしてきたように,そもそも本作はBANDAI KOREAが企画,韓国SOFTMAXが開発を担当し,韓国で最初にサービスインしたタイトルだ。現在は5つの国/地域でサービスされているが,それぞれの国/地域で提供されているゲームクライアントは,マスターバージョンである韓国版をベースとしている。
河辺氏によると,12月下旬に行われるアップデートによって,日本版のゲームクライアントは韓国版と同等のバージョンになるという。つまり,これまではバージョンの違いから実装できなかったさまざまなコンテンツを載せられるだけの土台が,このアップデートで準備されるわけだ。
12月下旬以降,これまで日本では導入できなかった,韓国で2〜10月にかけて登場した新コンテンツが,この土台の上に追加されていく予定となっている。
例えば,最大6人対6人での対戦コンテンツのほか,これまでクライアントのバージョンが異なるため実装できなかった機体,そして原作アニメシリーズをベースとする「ミッション」の続編などが登場する。ただしこれらは,12月下旬以降のアップデートで順次実装される予定のことだ。
また,2011年の早い段階でSランク機体の追加も予定されている。
まずは“目当ての機体を手に入れづらい”という不満の解消を目指す
アクティブプレイヤーの課金率はかなり高く,例えば,一般的な基本プレイ無料のオンラインRPGと比較すると,数倍以上に上るという。このことについて秋山氏は,「当初から,より多くのプレイヤーに有料アイテムを利用してほしいと考えていました。プレイヤー一人あたりの平均利用額を抑えたかったので,その点は狙いどおりになっていると思います」と述べた。
その一方,CJインターネットジャパンがプレイヤーに対して行ったアンケートの結果,SDGOのサービスに対して不満に思っている人が多いことが分かったという。
とくに多く寄せられたのは,登場機体に対する以下のような意見だった。
・海外版に登場している機体が実装されていない
・現在日本では「機動戦士ガンダムUC」が人気を集めているのに,同作の機体が登場しない
・ガンダムを題材とするほかのゲームに登場している機体が実装されていない
これらの意見について,河辺氏と村上氏は次のように述べた。
「バンダイは玩具メーカーでもあるので,『ガンプラ』シリーズとタイムリーに連携するといったことも視野に入れています。今後の展開に期待してください」(村上氏)
また,プレスカンファレンス(レポート記事)で公表されたロードマップどおりに機体の追加が進んでいないとの意見も寄せられたそうだ。このことについて秋山氏は,サービス開始前の予測と現状が食い違っていたため,方針を大きく変えざるを得なかったからだと説明した。
「私達は当初,新機体を毎月5体ほど追加していくだけでも十分満足してもらえるのではないかと考えていました。なぜなら,SDGOは対戦に主眼を置いたゲームだからです。つまり,格闘ゲームと同様,楽しみの主体は対戦にあるだろうと。
ところがフタを開けてみると,モビルスーツのキャラクター性に魅力を感じている人が大多数を占めていたんです。そうなると,とにかく新機体を多数投入していく必要があります。そのため,毎月10機体ずつ追加するといった具合に方針を変更することになりました」(秋山氏)
アンケートではこのほか,SDGOのプレイヤーに,原作を持つほかのゲームタイトルには見られない,独特の傾向があることが分かったという。
「一般に,原作を持つゲームでアンケートをとると,原作シリーズの中でも初期作品に人気が集まり,後期になるほど人気が落ちていくものです。ところがガンダムシリーズの場合,どの作品にも熱烈なファンがいるんですね。
先日行ったアンケートで“実装してほしい機体”を3機ずつ書いてもらったんですが,集計したところ,1000種類以上の名前が挙げられていたんです。それほど,プレイヤーの皆さんの好みが分かれているといえます」(秋山氏)
「SDGOを展開している国/地域のうち,韓国と台湾では,基本的にそのとき放映されている作品の機体が人気を集めています。中国では,ガンダムが放映されていないからか,作品に関係なく高性能で使い勝手の良い機体が人気です。また香港では,これまで力を入れてガンダム作品を展開してきたこともあり,日本と同様,好きな作品や機体が細分化されています。
そして日本では,オンラインゲームのプレイヤーの平均年齢から,いわゆる“宇宙世紀シリーズ”の人気が根強いのではないかと予想していましたが,実際には“平成ガンダム”の人気も高いことが分かりました。シリーズ全体が幅広く支持されていることを実感しましたね」(村上氏)
「とはいえ,開発に投入できるリソースには限界があります。毎月10体といっていますが,一人で1体手がけるとしても10人がかかりきりとなるわけです。
また,シリーズのどの作品からどの機体を実装するか選択するのも容易ではありません。今のところ,宇宙世紀シリーズ,平成ガンダムといった具合に3つくらいのカテゴリに分け,偏らないように工夫しています。それでも,皆さんのリクエストに十分応えられているとはなかなかいえない状況ですが……」(河辺氏)
秋山氏は,アンケートの結果を踏まえ,まずは“目当ての機体を手に入れづらい”という状況を改善すべきだと考えているという。
そこで新機体の追加と並行し,SDGOを長期にわたって遊ぶことで,好みの機体が手に入る仕組みを用意することなどを検討しているそうだ。
また,日本でSDGOをより多くの人に遊んでもらえるよう,無料,あるいは無料に近い形でプレイできるようにする方法も考えていると述べた。
SDGOは日本のIPをグローバルプロジェクトとして昇華し,展開していく取り組み
日本で機体のモデリングを行っているトムクリエイトを除くと,SDGOの開発には50名前後が携わっているとのことで,秋山氏曰く「日本でのサービス開始以降,開発スタッフは悲鳴を上げながら作業を進めている」そうだ。
「SDGOは,これまでリリースされてきたガンダムのゲームタイトルの中で,操作できる機体の数が最も多い作品です。とはいえ,皆さんのニーズに応えるにはまだ十分とはいえませんので,日々力を注いでいます。
とくに日本には,多数のガンダムゲームが存在しますので,その中でSDGOを選んでもらえることは大変光栄です」(キム氏)
ところで意外なことに,「この機体なら,この武器が用意されていなければおかしい」といった,ガンダムに対するこだわりを感じさせる意見を寄せてくるのは,日本より,それ以外の国/地域のプレイヤーのほうが多いそうだ。
「各国/地域でのサービスを経てから日本に展開することになったので,日本の皆さんのイメージに合うガンダムゲームになっているか,とても不安でした。4か月ほどが経過して,楽しんで遊んでもらっていることを知り,嬉しく感じています」(キム氏)
「どの機体にどの武器を実装するかについては,各社が協議を日々行ったうえ,私達が決定しています。今や,海外のガンダムファンも相当の知識を持っており,ゲームの細部に関して意見を寄せてくる人はたくさんいます」(村上氏)
秋山氏曰く,キム氏をはじめとするSOFTMAXの開発スタッフは,「ガンダムの話を始めると止まらなくなる」ほどのマニア揃いとのことで,そういう意味では“お膝元”である日本のガンダムファンとのギャップはほとんどないのかもしれない。
ところで,BANDAI KOREAとCJインターネットジャパン,そしてSOFTMAXの3社は,少なくとも週1回,インターネットを通じてテレビ会議を行っているとのことで,綿密に連携をとりつつ開発に取り組んでいるようだ。
「CJインターネットジャパンが日本のプレイヤーから意見を汲み上げ,それを元に,ガンダムに精通したSOFTMAXが開発を行っています。さらに,その内容がBANDAI KOREAによって精査されてから,SDGOのコンテンツは世の中に出ていくわけです」(秋山氏)
「現在,ガンダムに関するさまざまなプロジェクトがグローバルに展開しています。SDGOの開発は韓国で行われていますが,機体のモデリングは日本のトムクリエイトが担当していますし,運営はCJインターネットジャパンが行っています。SDGOというプロジェクト自体,このようにグローバルな取り組みとして進められているんです」(村上氏)
これによって,韓国ですでに実装済みのさまざまなコンテンツが,12月下旬以降,日本版にも登場する予定とのことで,本作を遊んでいる人は待ち遠しい限りではないだろうか。
また,11月のアップデートでは,カプセルマシンの料金や,オペレーターの雇用に必要となるCP数の見直しが予定されている。サービスの現状や,プレイヤーから寄せられている意見をもとにしたこれらの動きがプレイヤーにどう受け止められるのか,見守っていきたいと思う。
それでは最後に,3人から4Gamer読者へのメッセージを掲載しよう。
「ガンダムの本場である日本でのサービスがスタートできたことを嬉しく思っています。現在は,日本を含む5つの国/地域でサービスしていますが,そのほかの地域への進出や,世界大会の実施も目指します」(キム氏)
「日本でのサービス開始から4か月が過ぎました。SDGOを遊んでいるたくさんの人に感謝しています。ガンダムは好きだけどオンラインゲームは遊んだことがないという人も,ぜひ一度遊んでみてください」(村上氏)
「この機体を実装してほしいといったリクエストが毎日のように寄せられており,そのすべてに目をとおしています。皆さんの期待にすぐに応えられない場合があり,心苦しい限りですが,3社が協力し,できる限り早く実装すべく注力していきます」(河辺氏)
「この4か月間で,SDGOは弊社の中で非常に大きなビジネスとなりました。とはいえ私達は,無料でも十分楽しめるサービスを目指しています。11月のアップデートを手始めに,プレイヤーの皆さんと私達の双方がハッピーになれるようなサービスを目指して展開していきます」(秋山氏)
「SDガンダム カプセルファイター オンライン」公式サイト
- 関連タイトル:
SDガンダム カプセルファイター オンライン
- この記事のURL:
キーワード
(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS
Produced by BANDAI KOREA
Developed by SOFTMAX / Published by CJ Internet Japan.
- SDガンダム Gジェネレーションスピリッツ
- 価格:¥2,280円
- Video Games
- 発売日:2007/11/29
- SDガンダム Gジェネレーション・ポータブル
- 価格:¥9,699円
- Video Games
- 発売日:2006/08/03
- SDガンダム GジェネレーションDS
- Video Games
- 発売日:2005/05/26
- SDガンダムフォース コレクションボックス (初回限定生産)
- 価格:¥64,300円
- DVD
- 発売日:2008/09/26