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[G-Star 2011]モバイルゲーム一筋の「COM2US」が単独でブース出展。韓国のモバイル市場などを聞いた
モバイル/ソーシャルゲーム業界は韓国でも近年成長が著しく,例えばG-StarのB2B(=商談向け)エリアを毎年見てきているわけだが,このところ出展数が急速に増えてきているのが分かる。しかしB2BではなくB2C(=一般来場客向け)エリアで,こういったメーカーが単独でブースを出展するのは,担当者によるとG-Starでは初のことだそうだ。
韓国のゲームショウ「G-Star」は,PCオンラインゲームの出展割合が圧倒的に高いのが特徴の一つであったが,もしかすると状況は次第に変わりつつあるのかもしれない。今回,Com2uS CorporationでSenior Managerを務めるHeewon Kang氏に,会社の概要や,韓国のモバイルゲーム事情などについて話を聞いてみた。
Com2uS Corporationは,今から12年前に設立されたゲームメーカーで,モバイル/ソーシャル一筋の業務を行っている。設立当初は普通の携帯電話向けアプリを開発していたが,2008年にAppStoreのサービスが始まってからは,次第にそちらへとシフト。現在手がけているプラットフォームの比率は,iPhone/iPadとAndroidが約7:3とのことだ。
長らく開発会社一筋だったが,AppStoreなどを通じてグローバル展開を行うようになってからは,パブリッシングも行うようになったという。現在の社員数は350名とのこと。
韓国市場だけを見るとiPhone/iPadのシェアが高いが,ワールドワイドで考えるとAndroid版の需要も高まってきており,最初に前者を開発し,そこから後者へ移植する流れが多いそうだ。
Kang氏によると,今回Com2uSがG-Starに単独出展したのは,韓国モバイルゲーム市場の勢いを象徴する出来事だという。
以前,携帯電話向けゲームを開発しているときは,まだまだスペック的に物足りなかったが,スマートフォンになりスペックが上昇することで,ゲームのクオリティもどんどん上がっているという。
どこにいても手軽に遊べるメリットは絶大で,画面が小さいというデメリットに関しては,iPadやタブレットPCの普及でカバーされつつあるそうだ。そのため,数年後にはモバイルゲームがPCオンラインゲームのシェアを追い越すだろう,との見解を示した。
ちなみに,ほかのPCオンラインゲームメーカーも,この動きを黙って見ているわけではない。とくに顕著なのはNexonで,今年のG-Starはモバイルゲームが中心のブース出展であった。そのほか,NHNは会場外にモバイルゲーム用の特設ブースを構えており,NCsoftも,今後のモバイルゲームへの展開を臭わせていた。
そのことをKang氏に話すと,他社のそういった動きは至極当然で,今後は各社間で競争も激化するものの,モバイルゲームを専門とするCom2uSのノウハウは,そう簡単には他社には真似できない,との回答を示した。
その理由がなかなか興味深い。Kang氏によると,大手メーカーがモバイルゲームに参入するための目的は,現在抱えているシェアや,自社タイトルのファンを奪われないためのものだと指摘。一方でモバイルゲームを専門とするCom2uSは,1人でも多くの人にゲームを届けるためだという。ここのスタンスが違う時点で,タイトルがアプローチできるプレイヤー層がまるで違ってくるそうだ。
どちらがシェアを確保できるかは別の問題として,確かにNexonの「三國志を抱く」や,NCsoftの「Lineage Eternal」(これは映像出展を行っただけだが)などといった重量級モバイルゲームと,Com2uSのモバイルゲームとでは,対象プレイヤーがまるで違っているだろう。
G-StarのB2Bブースにおけるモバイルゲームの出展数は,年を追うにつれ急速に増えてきている。来年のG-Star 2012で,いったいどれだけの数のモバイルゲームが出展されるのか。そしてCom2uS以外にも,こういったメーカーが続々とB2Cエリアにブースを構えるようになるのか。今からとても気になるところである。
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