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ATI,世界初のGDDR4対応GPU「Radeon X1950 XTX」を発表 Radeon X1600/X1300のマイナーチェンジも
型番からも想像がつくように,今回登場した3モデルはいずれも既存のRadeon X1000シリーズから見るとマイナーチェンジだ。競合メーカーであるNVIDIAのラインナップを意識しつつ,同時に変動する市場の要求に合わせてラインナップを調整(修正?)してきた,といったほうが分かりやすいだろうか。
このため,アーキテクチャ面では,Radeon X1000シリーズのそれを踏襲しており,GPU(グラフィックスチップ)に何か新機能が追加されたわけではないが,新製品だけに,スペックなどが気になる人は少なくないだろう。今回は,既存のGPUともどもラインナップを整理しつつ,発表された3モデルをチェックしてみたいと思う。
■Radeon X1950 XTXは世界初のGDDR4対応GPU
さて,開発コードネーム「R580+」ことRadeon X1950 XTXが持つ最大の特徴は,GPUのアーキテクチャやコアクロックはRadeon X1900 XTXからそのままに,組み合わせるグラフィックスメモリをGDDR3 SDRAMからGDDR4 SDRAMへ切り替えた点にある。民生向け量産品でGDDR4 SDRAMを採用した製品は,Radeon X1950 XTXが世界初だ。
ATIのJoe Macri氏がDRAMセクションでチェアマンを務めるなど,ATIは電子デバイスの仕様標準化団体「JEDEC」(Joint Electron Device Engineering Council)と深いつながりがある。そうした優位性が発揮され,競合他社に先駆けての採用となったのだろう。
Radeon X1950 XTXが採用した2GHz相当のGDDR4だが,すでにGDDR4はサンプル品で3.2GHz相当(データレート3.2Gbps)が存在しているから,近い将来,そのくらいまでは行くことになるはずだ。
GPUコアクロックが変わらないので,Radeon X1950 XTXは,本質的にはX1900 XTXのGDDR4メモリ組み合わせバージョンといった解釈で問題ない。スペックは表1で比較してみたので,参考にしてほしい。
メモリ帯域幅が広がったため,GPU側のメモリレイテンシは低減され,パフォーマンスが若干向上するのは間違いないが,その率は型番の“+50”でイメージされる程度に留まると思われる。
だが,イメージ画像から分かるように,チップクーラーがまったく新しくなった点には,注目しておきたい。チップクーラーは,市販のarctic cooling製品(いわゆる“ZAV”シリーズ)に似た形状と説明すると分かりやすいだろうか。GPUやメモリチップの発熱は銅製のヒートシンクに伝わり,排気口から遠く離れた場所のファンが起こす風で,すべてケース外へ排出される仕組み。ATIは,これを「High Performance Fansink Design」と名付けているが,Radeon X1900 XTXが持つ「熱いうえにファンがうるさい」イメージを,この鳴り物入りで登場した新型クーラーがどこまで払拭できるか,注目したい。
■Radeon X1650 Proは完全なるマイナーチェンジ
■Radeon X1300 XTは地味ながら興味深い仕様
一方,Radeon X1300 XTは,型番こそ“これまでなかったピース(XTモデル)が埋まっただけ”で,一見地味だが,実はちょっとした戦略を伴って投入された製品である。
まずはローエンドGPUのスペックを比較した表3を見て,続けて先ほどの表2をチェックしてほしい。
そう,Radeon X1300 XTは,Radeon X1300型番ではあるものの,コアはRadeon X1600(RV530)そのものなのだ。実質的には,Radeon X1600 Proが改名されたような製品となっている。
その証拠に,1億5700万というトランジスタ数や,5基という頂点シェーダユニット数,12基というピクセルシェーダ数など,主要なスペックは完全に同じだ。
NVIDIAのGeForce 7300 GTも,製品型番こそバリュークラスの「GeForce 7300」だが,その実,コアはGeForce 7600の「G73」そのものであった。実質的には「GeForce 7600 GSの低クロック版」であり,頂点シェーダユニット5基,ピクセルシェーダユニット8基は,まさにGeForce 7600の構成となっている。
ピクセルシェーダユニットが12基と多く,コアクロックが高いのがRadeon X1300 XT,動作クロックが低くピクセルシェーダユニットも8基しかないが,ROPユニットの数はRadeon X1300 XTの2倍,8基あるのがGeForce 7300 GT。これが両者の機能的なポイントになるだろう。
まあ,ローエンドだとあまりパフォーマンスについての議論は盛り上がらないが,Radeon X1300 XTとGeForce 7300 GTのトータル性能は拮抗すると見られ,オーバークロック動作まで視野に入れると,そこそこ面白い戦いになると思われる。
なお,ATIによれば,Radeon X1650 ProとRadeon X1300 XTについては,PCI Express x16−AGP 8X変換チップ「Rialto」を組み合わせたAGP 8X仕様グラフィックカードのリリースが予告されている。AGPは,なおも生き残るようだ。
■予価どおり登場するなら
■“身近なハイエンド”になるRadeon X1950 XTX
なお,これに合わせて,搭載カードの想定売価が349ドルとされていたRadeon X1900 GTは,249ドルへと100ドル下がっている。Radeon X1900 GTについては,レビュー記事を参照してほしい。
Radeon X1650 Proは,グンと安くなって99ドル。Radeon X1300 XTは89ドルとなり,ATIによる分類上は「メインストリーム」に引き上げられた。正直なところ,Radeon X1600シリーズのパフォーマンスはRadeon X1900シリーズと比較してずいぶん下になるので,ATIがいうところのメインストリームクラスは,GeForce 7600とGeForce 7300の間あたりに位置づけられるのが正しいように思う。
今世代のグラフィックスカードは,型番がいよいよよく分からなくなってきたが,ATIとNVIDIAの想定する売価で判断するなら,価格相応の性能が得られる,分かりやすい状況ともいえる。それだけに,今回の価格設定が,日本でも適切に反映されることを願いたい。(トライゼット 西川善司)
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(C)2006 Advanced Micro Devices Inc.
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