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[CJ 2006#35]ギャルゲーMMORPG「飄流幻境」に見る,中国ギャルゲー市場考察
宇峻科技といえば,「幻想三国誌」シリーズの開発で馴染み深い台湾のソフトメーカー。この飄流幻境ONLINEの中国におけるパブリッシャが,中広網であったというわけだ。
飄流幻境ONLINEについては,今年(2006年)の台北ゲームショウの記事で紹介したことがある。ゲーム内容に関しては大きな変化はないと思われるので,ゲームの概要については,そちらの記事を参照してほしい。今回は,中国市場での本作の展開を中心に話を聞かせてもらってきた。
中国での正式サービスが5月28日に開始されている本作だが,開発元のある台湾との間に,サービス内容に関してほとんどタイムラグはないという。また課金方式は,アイテム課金ではなく月額課金方式とのこと。このあたりも,台湾でのサービスと同様だ。
ユーザー数について尋ねたところ,最初は「カジュアル系のMMORPGとしては中程度」という遠まわしな回答が返ってきた。とはいえ,中程度というのが実際にどのくらいの数字であるのか筆者には予想がつかなかったので,いくつか矛先を変えた質問を投げた末に,ようやく「総登録ID数で200万」という数字を教えてくれた。やや誇張された数字であるとしても,想像以上に多いという印象を受けるかもしれない。しかし,あくまで総登録ID数の話であり,実際のアクティブユーザーはその数分の1〜数十分の1に落ち込むであろうことを考えると,ありえない数字ではない。
台北ゲームショウの記事では「“若い”を通り越して“幼い”ユーザーが熱心にプレイしていた」と紹介していたが,中国では15〜25歳くらいの学生や若者がプレイヤーの中心であるとのこと。同ブース前ではかなりの頻度でこのくらいの年齢層の人達が列に並んでおり,一目瞭然でこのことを裏付けていた。若者達のお目当ては,同ブースで配布される,ゲームキャラクターのノベルティグッズ。この話を聞いていたのは,開場直後の朝一番であったにもかかわらず,若者達が早くも行列を作っていた。
これまで中国のゲーム市場では,三国志などの中国古代史をモチーフとした武侠モノに人気が集まっていた(実際,今回も三国志をテーマにしたゲームタイトルが数多く出展されていた)。しかしここでも見られるように,一定の割合で,こうした“萌え”要素を含んだカジュアル系ゲームを熱心にプレイする層があり,今後も増加していきそうな勢いを感じられた。
日本における萌えブームは,すでにブームを超えてある種独特な社会現象ともなっているが,もはや若者達の好みは,土地柄/文化を問わない時代になってきたといえるのかもしれない。
もう一つ,パブリッシャがケーブルテレビ局ということで気になったのが,ゲームとのタイアップによるアニメ化の話だ。しかしこれについては,現在はとくに予定がないようであった。どこからどう見ても(少なくともキャラクターに関しては)ギャルゲーとしか思えない本作など,アニメ化にはもってこいの素材だと思うのだが,中国での正式サービスも開始されたばかりであり,このあたりの展開は今後ということなのだろう。
中国市場においては,美少女系ゲームはまだまだメジャーな存在とはいえないかもしれないが,ここでも見られるように,一定以上の規模でそうしたユーザー層が存在することも確かだ。しかも母数となるユーザー数はそれこそ億の単位であり,そのうちの数パーセントを獲得しただけだとしても,無視できない規模となることはすぐにお分かりいただけるだろう。中国でのギャルゲー市場(そんな単語があるのかは知らないが)が今後どういった動きを見せるのか,しばらくは要注目といったところだ。(ginger)
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Wonderland ONLINE
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