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石油が枯渇した近未来の戦場はどんな感じ? 「フロントライン:フュエル・オブ・ウォー日本語版」のレビューを掲載
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印刷2008/04/30 21:27

レビュー

石油資源が枯渇した未来世界の戦争を描くFPS

フロントライン:フュエル・オブ・ウォー
日本語版

Text by 松本隆一

»  2007年のFPSラッシュも収まらぬ今日この頃,2008年春の期待作として登場したのが「フロントライン:フュエル・オブ・ウォー日本語版」。いくつもの新機軸を満載したこのニューカマーを,2007年のタイトルもまだ消化しきれておらず,いろいろごっちゃになっているらしい筆者が紹介しよう。


4月25日にズーから発売されたミリタリーFPS,「フロントライン:フュエル・オブ・ウォー日本語版」は,テキストだけでなく音声まで完全に日本語された,気合いの入った一本だ。シングルプレイもマルチプレイもかなり楽しめるという,一粒で二度おいしいゲームなのである。さあ,残りわずかになった石油資源を独り占めしよう
画像集#002のサムネイル/石油が枯渇した近未来の戦場はどんな感じ? 「フロントライン:フュエル・オブ・ウォー日本語版」のレビューを掲載
 氷河期の襲来だの,宇宙人の襲来だの,コンバインの襲来だの,FPSの描く未来というのはどうもかなり暗めである。事の性質上,世界中がすごく平和で,バラの花が咲き乱れる爽やかな高原で笑いさざめきながら鉄砲を撃ち合うというのはやはりいただけないので,仕方ないのだが,ここに紹介する「フロントライン:フュエル・オブ・ウォー日本語版」(原題,Flontlines: Fuel of War。以下,フロントライン)が見せるのは石油が枯渇し,打ち続く食糧危機やエネルギー危機でかなり殺伐となった未来の姿だ。石油を採り尽くした人類は,残りわずかになった資源をめぐって二つの陣営に分かれ,それぞれの生存を懸けた第三次世界大戦に突入するというものだ。

 フロントラインを開発したのはニューヨークに本拠を置くKaos Studiosで,以前「こちら」でお伝えしたように,もともとは「Battlefield 1942」の最もよく知られたMOD,「Desert Combat」を作ったTrauma Studiosのクリエイター達によって立ち上げられたデベロッパだ。Desert Combatのレベルの高さに感心したDigital Illusions(現EA DICE)によってTrauma Studiosは買収され,その多くが2005年に発売された「Battlefield 2」の開発に携わったというのはよく知られた話だが,それだけに,2006年4月の制作発表以来,Desert Combatの制作者が一から作り上げるフロントラインとはどのような作品になるのかという興味が一部で集中したのである。
 ちなみに欧米でのパブリッシングはTHQが,日本ではコンシューマ機版をTHQジャパンが,PC版をズーがそれぞれ担当している。PC版の発売は2008年4月25日で,日本語版ではテキストだけでなく,音声まですべて日本語化されているという気合いの入った日本語化っぷりだ(英語音声への切り替えはできない)。

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 当初は2007年内のリリースを予定していたTHQだったが,その年が空前のFPSラッシュとなったため競合を避け,発売日を延期したとされている(その旨の公式発表はないが)。
 私の判断はしばしば当たらないので有名だが,THQのその判断は賢明だったかと。どういうもんかFPSには「シングルプレイのいい年」と「マルチプレイのいい年」があり,「コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア」「BioShock」の2007年は間違いなく前者だったような気がするからだ。まあ,CoD4のマルチプレイも非常に面白いけど,マルチプレイがメインのタイトルとして期待されていた「Unreal Tournament 3」「エネミー・テリトリー クエイク・ウォーズ」(以下,ETQW)などの結果は,デペロッパ/パブリッシャの予想を下回っているだろう。だが,ここへきて上記2タイトルが復調の兆し(つまりプレイ人口の増加)を見せており,もしかすると2008年はマルチプレイFPSの年になるのではないかと予想している。マルチプレイ専用のこれといったタイトルは今のところ発表されていないのだが,今年はマルチプレイFPSに関心が移り,その嚆矢としてフロントラインはなかなかいいんじゃないかと思うのだが,ええ,ちょっと強引だという気はしています。

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マルチプレイFPSにでかい兵器が出てくるとどうも大味になるなあ,というコアな向きもいらっしゃるだろうが,撃ち合いに自信のない私は兵器が好きだ。科学の力に頼りたい
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「エクストラ」から「野戦マニュアル」を選べばバックグラウンドストーリーやロール装備の詳細がすっかり分かってしまう。やけに読みやすいと思ったら,日本語じゃないか(編注:しらじらしい)
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BFシリーズのプレイヤーならまったく違和感がないであろう出撃画面。マップ上の二つの拠点を占領することで,最前線(Frontline)が右に左に移動するのである
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舞台となるのはトルクメニスタン,カザフスタンなど中央アジア諸国からロシアにかけて。ロケーションは多彩で,平原の戦いあり,屋内の戦闘あり,市街戦あり

カスピ海沿岸にわずかに残る石油資源をめぐり
激しい戦いが


拠点の占領には,ただその場にいるだけのものから,このように敵の対空ミサイルを破壊するもの,コンピュータ端末をどうかするものなど,いろいろ。占領することによって武器/兵器が出現することもあるので,あわてて次の目標に向かわないほうがラッキーかも
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 さて,そんなフロントラインは基本,マルチプレイに軸足を置いたFPSだが,シングルプレイにもかなり力が入っている。
 マルチプレイでは最大64人のプレイヤーが架空の戦場に集い,マップ上に置かれた戦車や装甲車,戦闘ヘリコプターといった大型兵器に好き勝手に乗り込んで,派手なドンパチを繰り広げるというものである。もともとがBFのMOD出身のクリエイター達なので,そういうゲームになるのではないかと思われていたが,フタを開けてみるとまさにそのとおりだったのだ。2002年発売のBattlefield1942以来,1〜2年ごとに一作ずつリリースされてきたPC版BFシリーズだったが,2007年はついに開発の公式発表すらなく,最新作「バトルフィールド:バッドカンパニー」はコンシューマ機専用。たしかにPC用として「Battlefield Heroes」のサービスが予定されているが,こちらは驚くほどカジュアルに変身したオンラインFPSで,課金形態もマイクロトランザクション(このケースでは,アイテム課金とほぼ同義)が採用される。
 というわけで,まずはBFシリーズの新作を待っているプレイヤーにとってのセカンドチョイスとしての立ち位置が,このフロントラインにはある。

 マルチプレイの舞台となるのは,2024年の中央アジアからロシアの首都モスクワまで,シングルプレイのストーリーラインに沿った8種類のマップで,広いものはかなり広く,歩いて移動するには時間がかかるため,速度のあるジープやヘリコプターなどの使い方が戦況に大きく影響するだろう。また,歩兵戦闘を中心とした小ぶりなマップや,地形が複雑なものなど,バラエティに富んでいる。
 プレイヤーは,かつての西側諸国を中心とした「連合軍」か,ロシアおよび中国を中心とした「レッドスター同盟」のいずれかの勢力に属して参戦することになる。使用できる武器は各勢力で11種類ずつ。またプレイヤーが搭乗できる大型兵器は7種類ずつで,対空車両から輸送ヘリ,戦闘機まで各種取り揃えてございますが,お約束として,両勢力の武器/兵器の性能はほぼ同一であり有利不利はない。どの武器/兵器もそれなりにモデルはあるが,いずれも架空の未来兵器となる。もっとも,レーザーや冷凍光線をぶっ放したりといった破天荒なSFウェポンはなく,どれもありそうなデザインと性能を持っているため,ゲームの雰囲気はあくまで「現代戦」という感じだ。

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 ゲームモードは今のところ「Frontlines」の一種類のみで,これは要するに旗取り合戦なのだが,Frontline,すなわち最前線という概念が導入されているのが特徴だ。典型的なマップで説明してみると,まず両勢力から等距離あたりに2〜3個の拠点があると思っておくんなさい。まずはこの拠点を奪い合うわけだが,すべてを制圧することで最前線が移動し,新たな拠点が登場するというシステムだ。最前線が移動してしまうと,それまで目標だった拠点を再び占領することはできなくなるが,ときどき可能なときもあり,再占領に関する厳密なタイミングはよく分からない。制圧する方法としてスモークの焚かれた場所に伏せているだけのもの(スモークの色が変わるので分かりやすい),拠点にあるコンピュータ端末を操作するもの(デフォルトでEキー押下),そして爆弾を仕掛けて目標を破壊するものなどさまざまあり,目標破壊のような不可逆な方法で拠点を占拠した場合,再制圧が不可能になるのかもしれない。
 いずれにしろ,最前線と拠点が決められているこのゲームシステムには,プレイヤー数が少なくてもそれなりに大規模戦闘に参加している雰囲気が楽しめるというメリットがある。BFシリーズのように拠点が広く分散している場合,兵力も分散しがちで,占領した拠点を守っていたのだが,結局誰も攻めてこなかったトホホということも起きるが,これなら常に前線に沿って戦闘が展開するため,全員が狭い場所に集まりやすい。
 こういうゲームシステムを持ったマルチプレイFPSの有名作として,「Return to Castle Wolfenstein: Enemy Territory」およびそのシステムに準拠したETQWが挙げられるが,フロントラインはあちらほどややこしくはない印象。拠点の制圧はどの兵科でも可能だし,あらかじめマップのオブジェクティブなどを知っておく必要はないのだ。
 デメリットとしては戦略の幅が狭くなることが挙げられるだろう。最前線の移動に従って目標となる拠点が変わっていくため,「裏取り」や敵の手薄な地点を突くという戦略は立てられず,ゲーム展開はいつもだいたい似たものになってしまうのだ。
 拠点をすべて占領すれば即座に勝利というわけだが,それぞれのゲームには制限時間が設定されており,時間内に勝負がつかなかった場合は,チケットの多寡で決着が付くことになる。チケットは敵に倒されたり拠点を占領されたりすることで減っていく,おなじみの仕組みだ。いずれにしろ,BFシリーズとETQWのいいとこ取りをしたようなゲームモード,Frontlinesは一度試してみる価値あり。戦場が広いとつい迷子になってしまう私でも不安なく熱中できるのだが,えーと,ここはどこ?

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シングル,マルチとも現代歩兵の戦闘力はかなり高く,対戦車ロケットランチャーがあれば戦車なども軽く(軽くはないけど)屠れるのだ。とはいえ,過信は禁物である>オレ
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レッドスター同盟のドローン,タイガーランナーは,こんな小さなお姿なのに戦車を一撃で吹き飛ばすから侮れない。しかもスピードが速くて戦車じゃ逃げられないのである
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こちらはドローンヘリ,タイガークロー。搭載した6門のロケットポッドの威力はご覧のとおりなので,マルチプレイでラジコンを見て逃げ回っている自分がちょっと寂しくなる
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ストーリーが二転三転するシングルプレイでは,途中でこのように重車両を受領するシーンなどが出てくる。別に乗らなくてもゲームは進むようだが,せっかくですから,ねえ

「兵装」と「ロール」による
ユニークな兵科(クラス)システム


超最先端のテクノロジー満載というわけではないものの,Unreal Engine 3によって描かれたグラフィックスはそれなりに見事。中央アジアの山岳地帯というゲームとしては珍しいロケーションの雰囲気がよく出ている。いや,行ったことはないんですけど
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 フロントラインのもう一つの大きな特徴は,兵科がないということだろうって,今まで何度も兵科という言葉を使ってきて,いまさら「ないということだろう」なんて言われたら読んでいるほうも困ると思うが,つまり兵科システムがちょいと凝っているってことです。兵科の代わりに用意されているのが「兵装」だ。これは携行する武器のセットを意味し,「アサルト」「サポート」「スナイパー」「アンチタンク」「スペシャルオプ」,そして「クロースコンバット」の6種類があり,例えばアサルトならアサルトライフルとグレネードランチャー,そしてピストルと手榴弾を持ち,アンチタンクの場合,ロケットランチャーとピストル,そして地雷というあんばいだ。
 これに加えてフロントラインでは「ロール」と呼ばれる兵士の役割が決められる。ロールには「地上支援」「EMPテック」「ドローンテック」,そして「航空支援」の4種類があり,それぞれ独自の「ロール装備」が使えるのである。ロール装備としては,フロントライン最大のお楽しみであるラジコンドローンや,修理キット,クラスター爆弾による支援の依頼などが用意されており,使いどころによってはかなり戦況に影響を与えるだろう。
 また,それぞれのロールにはランクがあり,敵を倒すこと,拠点を占領すること,あるいはロール装備を使うことなどでランクアップし,さらに強力なロール装備の使用が可能になるのだ。このランクはプレイごとにリセットされ,またロール装備に関しては連合軍とレッドスター同盟でけっこう違っていたりする。

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 このように,兵装とロールで構成されるフロントラインの兵科システムは多彩で,戦場を駆け回る兵士達がどういう能力を持っているのかパッと見では判断しにくくなっている。とはいえ,マルチプレイを遊べばすぐに分かると思うが,やはり大人気なのはドローンテックのようだ。
 現在,世界各国の軍隊で研究開発が進んでいる遠隔操作兵器だが,さすが2024年だけあって,ばっちり実用化されている。偵察に使えるほか,突撃して自爆するヘリコプターや,強力なミニガンを搭載したラジコン戦車,敵車両の下に飛び込んで自爆するラジコンカーなどがマルチプレイの戦場を所狭しと駆け回る様子は,なんというか,近未来の戦場というよりは,デパートのおもちゃ売り場のような……。
 ドローンはこっちがやられることなく相手をやっつけられるという,まさにアメリカ軍が提唱する「ハイパーウォー構想」そのままの兵器なのだが,問題はドローンに倒されるとたいへん悔しいということだろう。うーむ,おもちゃにやられるオレ様ってどうなの。
 使用する側の難しい点としては,ドローン操作中は自分がどうなっているのかさっぱり分からないので,いつの間にか敵に接近されてやられてしまうことだ。ドローンには電波が届く有効範囲があるので,マップに慣れるにしたがって,だいたいドローン使用者の隠れていそうな場所も特定できるようになり,ドローンの操作に熱中している敵を発見してウフフ,なんてのはちょっとおいしい。まあ,頻繁に視点を切り替えればいいのだけど,なかなか。

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シングルプレイには対戦車戦闘も登場。敵戦車のリアパネルを狙えば撃破率が高くなるというリアルっぽい設定もある。ちょっとした理由でプレイヤーは戦車を降りられない
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自爆系のドローンはもちろん使い捨てだが,このアサルトドローンは回収して再利用が可能。操縦しながら使用者も移動できれば便利なのだが,それはできないのである
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敵の自走砲に対して空爆要請をしたところ。ロールのランクがアップすれば,CoD4で威力を見せつけたガンシップの支援も可能になる。こちらは高見の見物なので,たいへん楽だ
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今一つ使い勝手の悪いスナイパーライフルだが,使っている私の腕の問題という話もある。ビギナーにおすすめの兵装はやはりアサルト。いろいろなロールとも相性がいい

 さて,欧米での発売からは約1か月経つが,残念ながらマルチプレイ人口はそれほど多くない印象。ニューカマーでもあり,わっと人が集まることはないだろうとは思ってはいたが,やはりプレイヤー人口がそれなりにいないとマルチプレイFPSは盛り上がらない。日本語版の発売で,この状況が多少なりとも変化すれば嬉しいところだ。
 あちらのサイトではクラッシュバグなどがいくつか指摘されているが,すでにパッチもいくつかリリースされており,そういった状況は改善されていくだろう。ちなみに,AGEIA PhysXの物理演算アクセラレータのドライバによってゲームがクラッシュするケースがあり,編集部でもそれでちょっと悩んでいたのだが,公式サイトの「こちら」に対処法が掲載されているので,どうも途中で止まっちゃうぞという人がいたら参照してほしい。

シングルプレイもやたら面白い,お買い得な一本


プレイしている人ならとっくにお気づきだろうが,この画像より上の写真はすべてシングルプレイのもの。時間の都合でマルチプレイの画像は英語版になってしまうが,下に掲載した。この英語の部分が日本語になっているのだなあ,と納得しながらご覧いただきたいが,無理ですか?
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 シングルプレイでは,プレイヤーは連合軍のエリート特殊部隊「ストレイ・ドッグス」の隊員として,第三次世界大戦の勃発に立ち会うことになる。
 マルチプレイ同様,マップ上の拠点を制圧していくことが基本となるが,それだけでなく「拠点を一定時間死守せよ」とか「敵の戦闘車両をすべて破壊せよ」とか,さまざまなミッションが用意されており,飽きることがない。ミッションは全部で8種類(うち,ムービーのみのものが一つ)用意されているが,各ミッションは5〜6種類のチャプターに分かれており,ボリュームとしてはなかなか。まあ,プレイ時間はやや短めだとは思うが,近頃のマルチプラットフォーム展開のFPSは全般的に短めなので,いいんじゃないかしら。
 ゲームシステムとしては,「コール オブ デューティー 2」と同様,プレイヤーが特定のポイントに移動するか,さまざまな目標をクリアするまで,敵が次々に出現してくるというタイプ。ヘルスはいま流行りの自動回復で,バリバリ被弾して目の前が赤くなってきたら遮蔽物の陰に隠れて元に戻るのを待つのだ。弾薬箱はけっこうあちこちにあり,最初から携行している弾数もかなりあるので,ハイテク武器による爽快な撃ちまくりが楽しめる。また,シングルプレイではロールが選べないため,お楽しみのドローンは敵のものを拾って使うことになる。

 ストーリー展開はかなりドラマチックで,敵の奇襲攻撃に始まり,戦術核兵器のむにゃむにゃとか,敵制圧地域への単独潜入とか,メーカーの出自からしてマルチプレイのおまけみたいなもんだろうと勝手に想像していたが,どっこい,シングルプレイだけでもかなり楽しめるのである。

 というわけで,2007年のFPSラッシュで「買ったはいいけど,まだ手をつけていない」というタイトルが山積みになっている人も割といるんじゃないかと思うが(ええ,私もです),このフロントラインはシングル好きにもマルチ好きにもプレイする価値のある一本に仕上がっていると思う。自由度の高いマップや理解しやすいゲームモード,Unreal Engine 3による見事なグラフィクスと多数用意された破壊できるオブジェクト,そして兵装とロールによるクラスシステムなど,最近の流行をそつなく取り入れた,ビギナーでも気軽に楽しめるFPSだ。

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