［COMPUTEX 2006＃07］MSIがPCI Express x16対応のMini-ITXマザーボードを展示

　サイズはわずか17cm×17cm。そんな小型の基板に，拡張スロットを2本用意するCore Duo対応マザーボード「MS-9642」を，MSIが展示していた。
　何よりも衝撃的なのは，拡張スロット周り。もっといえば，Mini-ITXマザーボードの一般的な仕様であるPCIスロット×1のほかに，PCI Express x16スロットを1本，合計2本も用意している点である。

MS-9642。よく見ると，PCIスロットの横には，一般的なPCユースでは利用できない位置にPCI Express x1スロットもある

　Intel 945GM Expressチップセットによって提供されるPCI Express x16は，スロットのスペックどおり16レーンで動作。要するに，やろうと思えばここに，GeForce 7950 GX2や，Radeon X1900 XTXを差せるのである。PCI Express x16スロットを持つMini-ITXマザーボードならこれまであったが，さらにPCIスロットもあるため，1スロット仕様のグラフィックスカードと，ゲーム用サウンドカードを同時に利用することだって可能だ。

　現実には，スロットのすぐ上にDIMMスロットがあるため，搭載できるグラフィックスカードはカード裏面に突起がないものに限られそうだ。とはいえ，小型のケースにグラフィックスカードを差して，ゲームコンソール風のゲーム用PCが，これなら現実味を帯びてくる……かもしれない。

　PC2-5300 DDR2 SDRAM対応のDIMMスロットが1本しかないため，デュアルチャネルアクセスを想定しているCore Duoの性能を100％は引き出せないという制約はあるものの，Serial ATA×2，IDE×1と，ストレージ関連のスペックもまずます。これまで（基本的に）オンボードグラフィックスに頼るしかなかったMini-ITXなので，コンパクトさに魅力を感じていても，最終的に無視を決め込んでいた読者は少なくないと思うが，そんな人にとってこのMS-9642は，ちょっとクラっときそうな製品といえるだろう。

　なお，このマザーボードは，基本的に工業用とされており，少ないスペースでわざわざシリアルコネクタを用意してあったり，PCI Express x1接続の1000BASE-T LANコントローラ「Intel 82573L」を3個搭載していたりと，（工業用なのだから当たり前だが）一般PCユーザー向けではない雰囲気。MSIとしても，ゲーマーなど，一般に向けては，どう売っていいか決めあぐねているそうで，現時点では国内発売時期も価格も未定とのことだが，出てくれば，注目を集めるのは間違いない。（佐々山薫郁）