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[GDC07#02]独立系ゲーム開発者が台頭の兆し
GDCは,これまでもIndependent Game Festivalを開催するなど,大企業に組み込まれずに独自で資金調達や流通を行う,いわゆる“インディ系”の開発者達を後援する動きがあった。今回のGDC 2007では,初日から2日間にわたって実施される専用サミットが設立されたことで,独立系開発者によりいっそうスポットライトが当てられることになりそうだ。
Independent Game Summitのオープニングを飾ったのは,イギリスの鬼才Jeff Minter(ジェフ・ミンター)氏の登場だ。同氏は,リャマやラクダなどの動物に異常な興味を示した不思議な作品を手がけたことなどで知られ,代表作には「Tempest 2000」や「Attack of The Mutant Camels」などのサイケな作品群がある。
Xbox Live Arcadeのシンセサイザー「Neon」を開発し,現在は「Space Giraffe」という別のLive Arcadeゲームを制作中ということだ。
ミンター氏は,氏自身の業界参加から25年を経て,現在ようやく独立系の開発者達にもチャンスが与えられ始めたと述べるとともに,独立系開発者に対しては,そのチャンスを生かして,オリジナリティあふれるソフトを開発していくよう促していた。
このほか,「Puzzle Pirates」や「Bang! Howdy」の開発元Three Rings DesignのDaniel James(ダニエル・ジェームス)氏や,XboxやPlayStation2にも移植され世界的なヒットになった「Alien Hominid」のThe BehemothからJohn Baez(ジョン・ベーツ)氏らをIndependent Game Summitの初日に招き,それぞれの成功談を中心に,どのように“小さな開発会社”を育てていくかについての講義が行われた。
また,往年の名作アドベンチャー「Sam & Max」の版権を買い取り,“エピソディックゲーム”(一つの作品をテレビ番組のように小分けにする手法)で,現在シーズン第4作(全6作)をリリースしているTelltales GamesのKevin Bruner(ケビン・ブルーナー)氏もサミットの壇上に立ち,自社によるオンライン流通や,ブランドとしてのIP(Intellectual Property,知的財産)維持をいかに行うかといったセミナーも行われている。
ブルーナー氏は,「3年かけて作ったゲームが,発売から2週間ほど話題になるだけで捨てられていく。独立してゲームを開発するということは,自分達の知的財産の未来を,自らの手腕と頭脳で決めていくということにほかならない」と語った。
実際,オンライン流通が普及してきたことだけを考慮しても,独立系の開発者にとっては,大きな道が開き始めたといっていいだろう。金銭や名誉などの夢ばかりでなく,彼らのように「自分達が一番幸せに感じる未来とは何か」を考えながらゲーム制作を行う開発者の数は,徐々に増えてきているのだろう。(ライター:奥谷海人)
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