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NVIDIA,ミドルレンジ向けGeForce 8「GeForce 8600/8500」を発表
DirectX 10をハードウェアレベルでサポートするGPUとしては,世界初のミドルレンジ向けとなる3モデルだけに,搭載グラフィックスカードの価格は1万5000円〜3万円のレンジに収まる見込みで,GeForce 8ファミリー普及の起爆剤となり得る存在だ。
■基本的なスペックはGeForce 8800のそれを踏襲
■80nm製造プロセス,メモリバスは128bit
まず,DirectX 10世代のプログラマブルシェーダ4.0(シェーダモデル4.0,SM4.0)には完全対応。GeForce 8800で採用された統合型シェーダ(Unified Shader)アーキテクチャをGeForce 8600/8500も踏襲している。GeForce FX/6/7世代のように,決まった数のピクセルシェーダ(Pixel Shader)/頂点シェーダ(Vertex Shader)ユニットを搭載するのではなく,両ユニットとしても利用できる汎用的なストリーミングプロセッサ(Streaming Processor)を搭載しているのだ。
低描画負荷でより高いサンプル数のアンチエイリアシングを実現するCSAA(Coverage Sampled Antialiasing,効果はぜひレビュー記事で確認を)や,「GeForce 7」で採用していたものから改善を果たし,より低いCPU負荷で高解像度ビデオの再生を可能にするという新「PureVideo HD」にも,GeForce 8800から変わらず対応している。
GeForce 8600/8500固有の特徴としては,製造プロセスルールが80nmで,GeForce 8800の90nmよりも微細化されている点が挙げられる。ミドルレンジ向けグラフィックスカードで求められる消費電力の低減に一役買っているといえそうだ。
一方,ミドルレンジ向けらしい制限もある。最大のものはグラフィックスメモリのバス幅で,GeForce 8600/8500のそれは128bit。GeForce 8800シリーズでは最低でも320bit(最高384bit)なので,差は顕著だ。描画負荷が高くなると,上位モデルにはまったく歯が立たない場面も出てくるだろう。
なお,4月17日時点におけるGeForce 8ファミリーのスペックは以下の表にまとめたので,参考にしてほしい。
概要をまとめたところで,ここからは発表された3モデルのGPUについて,個別に説明してみよう。
●GeForce 8600 GTS
ストリーミングプロセッサの数は32基で,96基の「GeForce 8800 GTS」からすると3分の1にまで削減されているものの,一方でコアクロックは675MHz。これは,「GeForce 8800 GTX」のリファレンスよりも100MHz高い値だ。さらに,グラフィックスメモリクロックもGeForce 8ファミリー最速の2GHz相当(実クロック1GHz)を実現している。
グラフィックスメモリチップはGDDR3が採用され,リファレンスでは容量256MBまでの対応。デュアルリンクDVIにより,最大2560×1600ドットの高解像度出力をサポートする。高解像度ビデオ用の著作権保護機構「HDCP」にも標準対応だ。
搭載グラフィックスカードはPCI Express用の6ピン補助電源が必要とされるものの,カード自体の消費電力は71Wで,少なくともGeForce 8800シリーズと比べると大幅に下がっている。NVIDIAは,シングルグラフィックス構成なら350W,NVIDIA SLI構成時には450W以上の定格出力を持つ電源ユニットを推奨しているので,参考になるだろう。
●GeForce 8600 GT
ストリーミングプロセッサ数はGeForce 8600 GTSと同じ32基で,グラフィックスメモリがGDDR3 256MBまでの対応になるのも同じ。HDCPはオプション(=標準では搭載しない)扱いとなるが,カードメーカー側の判断によって対応させることもできる。
最大の違いはコアクロックとメモリクロックがそれぞれ540MHz,1.4GHz相当(実クロック700MHz)に抑えられている点。逆にいうと違いはそれくらいしかないため,メーカーによってはクロックアップモデルが登場してきそうな気配だ。
カードの消費電力は43Wと低く,GeForce 7600 GTのリファレンスカードと同様,PCI Express用補助電源なしで利用できる。NVIDIAが推奨電源ユニットの出力は,シングルカードで300W以上,SLI構成で350W以上とのことだ。
●GeForce 8500 GT
ストリーミングプロセッサ数はGeForce 8600シリーズからさらに半減した16基で,さらにコアクロックは450MHz,メモリクロックは800MHz相当(実クロック400MHz)にそれぞれ下げられており,GeForce 8600とはパフォーマンス的にけっこう差がつきそうな気配だ。
グラフィックスメモリはDDR2のみの対応となり,容量はリファレンスデザインで256/512MBに両対応。GeForce 8600 GTと同様に,PCI Express用補助電源は必要としない。
■搭載カードは明けて18日に発売
■複数のメーカーから大量ラインナップの予定
DirectX 10時代の,真の幕開けを告げるミドルレンジ向けGPUだけに,注目している読者は多いだろう。今回4GamerではGeForce 8600 GTS登載カードを入手し,レビュー記事を掲載しているので,ぜひそちらもチェックしてほしい。(ライター・宮崎真一)
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Copyright(C)2007 NVIDIA Corporation
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