V-RangerをサポートするGeForce 8600 GT搭載カード「VT8603TS51」
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BIOSTAR MICROTECH(以下BIOSTAR)は,COMPUTEX TAIPEI 2007の会場近くにあるホテルで別途製品展示を行っている。4GamerがBIOSTARを取材したさい,同社製グラフィックスカードの一部で,ユーザーがグラフィックスカード標準搭載の
グラフィックスチップ(GPU)クーラーを取り外して,市販の製品に換装しても製品保証を続ける,すでに一部地域では保証を開始しているという話を聞いたのでお伝えしよう。
BIOSTAR製グラフィックスカード裏面。GPUクーラーは4か所ネジ留めされているだけで,簡単に取り外せる
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BIOSTARによると,GPUクーラー交換後も製品保証を受けられるのは,同社独自のGPUオーバークロック機能
「V-Ranger」をサポートする,GeForce 8600/8500シリーズのGPUを搭載したグラフィックスカード。これらの製品は,ネジを4個外すだけでGPUクーラーを簡単に着脱できるようになっており,ユーザーによるGPUクーラーの換装が容易になっている。このGPUクーラーは,リファレンスクロックでゲームをプレイするには,十分低騒音レベルで運用できるが,オーバークロック状態での常用は想定されていない。そのため,オーバークロックで動作させる場合,冷却性能の高い市販のGPUクーラーに換装することを推奨しているというわけである。
グラフィックスカードのGPUクーラーで製品を差別化するという手段は,グラフィックスカード市場における最近のトレンドだ。「どこどこのGPUクーラーベンダーと協力して,この製品を開発した。競合するベンダーのソリューションより何℃低く,何dB静かだ」というようなアピールは,COMPUTEX取材中にあちこちのブースで何度も耳にした。その意味において,冷却周りでの差別化を思い切ってやめてコストを下げ,ユーザー自身にGPUクーラーの選択を委ねるというBIOSTARの試みは非常に興味深い。
V-RangerをサポートするGeForce 8600/8500シリーズ搭載グラフィックスカードは,皆同じ形状のGPUクーラーを採用する。写真はGeForce 8600 GTS搭載の「VR8603TS21」
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この保証についてだが,例えば
「GPUクーラーの換装時に,誤ってカードにダメージを与えてしまった」のは保証内だが,
「GPUクーラーを換装して,オーバークロックを試しているうちに壊してしまった」のは保証外となる。それをどう判断するかなどの基準は,各国のBIOSTAR販売代理店と調整する必要があるとのこと。現時点ではマザーボード製品の代理店しか存在しない日本では,残念ながら実現の可能性は今のところ低い。
ただ,実現さえすれば,PCゲーマーのグラフィックスカード選択方法に一石を投じることにはなるだろう。BIOSTARは,AMD 690G搭載マザーボードなどで日本での知名度が上がってきているタイミングなので,グラフィックスカードでも国内市場へ参入することを期待したいところだ。(佐々山薫郁)