連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第39回:「袖振り合うも多生の縁」
著者近影
すれちがい通信―――携帯型ゲームで用いられる通信方式。対応ソフトを特定のモードで動作させている状態で同じ状態の本体が通信範囲内に認識されたときに,文字通り「すれちがう」程度の短時間で自動的に行われる通信のことを指す。<民明書房刊 〜これが私の生きるwiki〜参照>
ニンテンドーDSが登場して間もなく「nintendogs」ですれちがい通信を体験し,そのテクノロジーの素晴らしさにゲイムの夜明けを実感したはいいが,だからといってその後,とくにすれちがい通信で日本を揺るがすほどのゲイムは現われなかったなぁ……なんて感慨にふける昨今いかがお過ごしでしょうか。
っていうか,凄いわよすれちがい通信。いや,ニンテンドーDS版の「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」でもすれちがったりはしたんだけど,なんか今回の「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」のすれちがい方は半端じゃない。これが新作の力ってやつなのかしら。
ドラクエIXが面白くないって人は,一体どんなゲイムを面白いと感じるのか聞いてみたい。前回も書いたけど,ストーリーも雰囲気も,何もかもがドラクエっぽくて安心できるわ。
だが! 私が今回言いたいのはそういうことではないのよ。だってゲイムの内容に関しては,基本的かつ客観的に見ても面白いわけだけど,それって結局,遊ぶ人それぞれの好みによって変わる部分もあるわけじゃない? だから私がまだプレイしてない人に対して言えるのは「ドラクエIXは,ちゃんとドラクエだねえ」ってことぐらい。
何が何でも面白がれと強要するつもりはないし,そもそも興味を持っている人の多くはすでにプレイしてるでしょうよ。だから私は今回,ドラクエIXの内容ってよりも,ドラクエIXのすれちがい通信について触れてみるわ。っていうか検証してみたわ。
あるゲイプロレスラーが移動中,どこでどれだけの人とすれちがうか,そしてどこですれちがえば一番効率がいいか,をね。ある種の攻略記事みたいなものかもしれないわね。
……とその前に,ドラクエIXをプレイしているのに,まだすれちがい通信をやっていない人に告ぐ。すれちがい通信を試さないプレイは,ドラクエIXの面白さの何割かを味わえていないんだよ,と。カップラーメン作ってて,食べたあとに薬味の袋を発見してあら残念,みたいな経験ない? まさに,すれちがわないドラクエIXは,薬味のないカップラーメン。
悪いことは言わないから,すれちがってみなさいな。Wi-Fi通信と違って,ほかにお金や機械が必要なわけではないんだし。
私の周りには「やり方が分からない」からすれちがってない同僚レスラーがいたから,ひょっとしたら読者の中にもそんな人がいるかもしれないので,ヤリ方まで教えてあげる。リッカの宿屋でリッカに話しかけて「呼び込みにいく」を選ぶだけ。さあどうよ簡単でしょ? さあこれでアンタもLet'sすれちがい!
てなわけで,検証結果をば。
まず前提として,すれちがいを検証したのは東京でのお話。だから,地方の人はピンとこないだろうけどスマン。でも,こういうことでもないと,東京に住んでて良かったわーと思えないからいいでしょ。田舎は食べ物がうまい! 人が温かい! 星空が綺麗! 一方で東京はゴミゴミしてる! 空気が悪い! 物価が高い! でも,すれちがえる! これでいいじゃない。
お互い良いところも悪いところもある。お互い認め合って日本は一つになるべきだ。
<家>
私が住んでいる世田谷は,住宅街で子供も多く,近くを電車が走っているはずなのにすれちがわず。やっぱ外に出ろってことか。
<駅>
新宿駅ではすれちがいまくり。一度にすれちがえる人数上限の3人が,すぐに釣れる。2分の電車待ちで9人の捕獲に成功。電車内でも新宿→渋谷間で9人とすれちがう。ていうか,構内でどれだけの数の人がすれちがい通信機能をセットしているのか。知ったところで別に何もできないんだけれども。
ちなみに渋谷→三軒茶屋では2人。超リアル。ま,全体的に駅はオススメ。
<車>
世田谷から新宿まで車で移動中,すれちがったのは1人。いかに新宿といえど,さすがに車ですれちがうのは難しいか。しかも,信号待ちですれちがっただけという可能性も否定できない。あまり期待できないみたい。
<原チャリ>
車と同じく世田谷から新宿まで。1人。渋滞に巻き込まれても1人。咳をしても1人。スピードは関係ないらしい。
<プロレス会場>
3人×4。500人弱の観衆の中で検証。開場後,試合前,休憩中,試合後の4回DSをチェックしたら3回ともMAXに。その中にプロレスラーの名前が三つあったのはご愛嬌。
名誉のために名前は書かないが,とある悪役レスラーの名前があったのが気になるところ。そして彼は小悪魔。まあ,本人かどうかは分かんないけどね。っていうか,私の周囲のプロレスラーのうち,だいたい3人に1人はドラクエIXを遊んでいるというこの事実には,素直に驚かざるを得ない。
<秋葉原>
大本命。でも案外ドラクエIXなんて直球過ぎてこのディープな街の住人は,あえてすれちがわないものなのかも……という予感は杞憂に。1分と経たずに3人とすれちがい,結局1時間で50人超。
それに伴い宿屋も一気にMAXまでパワーアップ! 疑ってゴメン秋葉原。ていうか,道行くどいつもこいつもすれちがっているんでしょうな。Tシャツの柄とケミカルウォッシュのジーンズがそう言っている。
きっと石を投げたらドラクエIXを持った人に当たるだろう。でも宝の地図をくれる人はあんまりいなかったけどね。
<夫婦>
地元の知り合いから聞いた落語のような話もとい噺。
離婚の話が出ている夫婦が,家に帰ったらお互いのキャラクターを受信していて,これが本当のすれちがい通信! って思ったんだってさ。
両方知ってるからまったく笑えないわ。どこが笑えないって,相手がドラクエIXを持っているってことを,お互いが知らなかったっていう夫婦の溝が笑えない。
でもおかげで久しぶりに会話したらしいけど。これで仲直りしたらドラクエIXスゲー。
てなわけで,プロレスラーの行動範囲内でのオススメすれちがいスポットは秋葉原に決定いたしましたー! わーい!
で,検証した結果分かったことは,良かれと思って書いた今回の検証記事が,意外に,というか予想以上にどうでもいいことだったってことかしら! エヘ!
でも吐いた唾飲み込まないのがプロレスラー。途中で気づきながらも書ききってやったわフハハハハハ。
まあ,すれちがう人数が増えることで宿屋はパワーアップするし,パワーアップしたらちょっとした施設が地下にできるし,何より見知らぬ人とドラクエIXという時間を共有してるんだなーって思ったら,理屈ぬきでなんだか嬉しくなるし,すれちがった人達のプロフィールを見ていたら「人生って色々あるんだなー」って感慨を味わえるし,またすれちがうために外に出よう! って思えるし,とにかくすれちがい通信は楽しいよってことで今回は一つ。
Let's enjoy すれちがいライフ!
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ドラゴンクエストIX 星空の守り人
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