連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第46回:「彼女ができました」
著者近影
我輩はゲイである。名前はまだない。嘘である。名前は男色ディーノである。名は体を現しすぎである。イヤ,逆である。ゲイであるから男色ディーノと名乗っているのである。ただ,男塾つながりでいくと江田島塾長ではなく,ただの男塾鎮守直廊三人衆なわけであるから,この口調は間違いである。……そこらへんはどうでもいいのである。
えー元に戻すと,私はここだけの話,ゲイなのね。大学のときから。つまり,後天的な男色なわけ。なので,中学高校時代は普通に女子が好きだったの。
何が言いたいかというと,「ラブプラス」が凄く面白いってこと。
前もどこかで書いた気がしないでもないけども,私「ときめきメモリアル」が好きだったのね。ゲイムとして面白かったから。「こんな髪の色の女いねーよ」と思いながら,あるいは口に出して言いながらも,延々とプレイしていたものよ。
ちなみに,スピンオフ作品であるドラマシリーズで一番好きなのは「彩のラブソング」。私,小中高とサッカー部だったから,「虹色の青春」も取っ掛かり的にはよかったんだけど,虹野さんがね……。
ドラマシリーズってことでお話は一本道なわけだけれども,主人公と虹野さんのやりとりにシンパシーを感じられなかったというか。あまりにも理想主義な虹野さんと会話していると,日頃の自分のダメさ加減を痛感させられて,少々つらかったわ。まあ,途中で主人公=自分じゃないと思ってプレイすればいいことに気付いてからは,それなりに楽しめたけど。というかむしろ,比較的現実主義の秋穂みのりというキャラクターには救われたわ。
……っていう痛々しい思い出がスラスラ出てくるほど,ときメモを好んでプレイしてたのよ。で,この度KONAMIから新しい恋愛ゲイムが発売される,と。そらまあ楽しみにしますわな。で,発売日に買いますわな。
でも,いつも私がゲイムソフトを買ってる店に行くと,私があたかもギャルゲイ好きであるかのような誤解を招くことになりかねないから,あえてエリアをはずした店で購入しますわな。
すると,その店はその店で明らかにギャルゲイを好きそうな店員がニヤリと笑いかけてきますわな。その目は私に「同志よ」と語りかけてきているわな。
ま,待て。わしゃそういうんじゃないわ! やめろって! このままだと予約特典みたいなものを付けてきそうな勢い。わしゃ予約なんざしちゃいないし,クリアファイルとか必要ないしそれを人前で使う勇気はないし,その前にゲイだし……な,なにィ!!(日向くん風)
なんと野郎,握手を求めてきやがった!! やめろ私は君とは住む世界が違うんだ同志じゃないって何回言えば分かるんだ一回も言ってないけど! なんてこった。なんという清らかなスポーツマンシップ。戦い終わればノーサイドってやつ? なんだこの目から溢れ出る,この世で最も美しい液体は!? 相手をひとたび認めれば,たとえさっきまで戦っていた相手とも握手を交わす。できる。できるよ世界平和。ギャルゲイを通して世界平和は実現するよこのペースでいくと。Imagine all the people。想像してごらんよ,みんなが世界を分かち合うんだって!
そして彼は口を開く。
「ファンです。試合頑張ってください!」
あ,そっち。そっちですか。プロフェッショナルレスリングのほうでしたか。KONAMIのギャルゲイではなく。世界平和でもなく。当然同志でもなく。ただのプロレス好きの店員さんでしたか。私が言うのもなんだけど,プロレスなんて野蛮なもの見てないでラブプラスやったほうがいいよ。こりゃなかなか世界平和は難しいですな。世の中にはいろんな人がいる。今はそれでいい。それが分かればいい。でもクリアファイルはいらない。リング上という職場では使い道がないので。
さて,そんなこんなで購入したラブプラスだけれども。一言でまとめれば「こんな女いねえよ」ってとこかしら。もちろん,いい意味で。
冒頭でも言ったとおり,私は高校時代はノンケだったわけ。だから,女を好きだった時期もあるから分かるんだけれども,男も女も高校生ってこんなにピュアじゃないよ? いや違うな。ピュアだけれども,もっといいことに対しても悪いことに対してもピュアなわけで。どんなに「いい子」だと周囲から思われていても,心の中にドス黒い何かを飼っているものなのよ,その時期って。
ラブプラスでは,そのドス黒い何かがヒロインの3人からは感じられないの。あ,嘘ついた。小早川凛子からはやや感じられるかも。それでもまあ,あのドロドロした行き場のないあの感じではない。要するに,キレイなのね。人間として。だから,リアリティはない。
だが,それがいい! それでいい! だって,ゲイムだもん。ときメモ→ラブプラスとプレイしてきた私が思うに,ギャルゲイのヒロインに必要な要素って,リアリティじゃないのよ。ある部分では,リアリティも大事だけれども,それより男子が求める女子像を投影することが一番大事なのではないか,と。
で,私が今回ラブプラスで感じたのは声の力。私は声優さんを特別重視してないから,その世界の細かいことは,正直なところ分かんない。なんなら会話中タッチペン連打して喋らせないくらい。でも,声が入っていることで女子像がハッキリイメージできるってことは分かる。そして,無機質なはずのキャラクターに存在感を吹き込む声優さんって,なんだかスゲーなってことも分かる。声優さんはファンタジスタだわ。そこは認めよう。
ときメモのときは,声がどうこうっていうのは感じなかったんだけれども,ラブプラスは「恋したあと」も描かれている今までにないゲイムだから,ヒロインをより身近に感じられて,声の大事さにも気付かされたんでしょうね。
ちなみに,押しに弱い私は,一番最初に告白してきた高嶺愛花と付き合っているわ。本当は姉ヶ崎寧々狙いだったんだけどね……。なんか,あんなこと言われちゃったら愛花をむげにはできなくて……。まあつまり,まんまと作り手の思惑に乗せられているということかしら。
いやホント,理屈ぬきで面白いわよ。
ただ,ちょっと憂いていることあるの。それは,このゲイムに出てくるような女子達が「本当にいる」と思ってしまう男が多くなると,日本の少子化は進むだろう,ということ。それくらいの破壊力をこのゲイムは秘めている。くれぐれも言っておくけど,騙されちゃダメよ。あんたが美少女3人から同時にモテるなんてことあるわけないのよ。
あと「今日はもういいことないかもしれない。だってあなたに会ったあとだから なーんてね,ふふっ」これはもはやギャグだと思う。ここら辺のセリフを真に受けちゃダメ。あの女は全国の同志たちにも同じこと言ってんだから。しょせん,女とはそういうもんよ。でも……それがいい!!
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