連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第211回「『ファンタジーライフ』は人生そのもの」
それにしても凄いわよね。おめでとうなんて思っていなくても,定型文として上記の言葉を使うだけで,何となくめでたい感じになってしまうんだから。
この時期になるといつも思い出すのが,とんち小坊主でおなじみ,一休さんのエピソード。正月で浮かれている町を,一休さんがドクロを持って「お気をつけなさい」と言いながら練り歩くの。で,町の人々から「縁起でもない」って散々罵られるんだけど,気にせず歩きながら歌を詠むのね。
「門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」って。これは,「誰でも正月が来ると,一つずつ年をとる(数え年ね)。という事は,正月が来るたびに死に近付くということ。だから正月が来たといって,めでたがってもいられない。生きているうちに徳を重ねろ」という意味なのね。
私はこのエピソードを,アニメの「一休さん」で見たんだけど,愉快なとんち話を期待してテレビの前に座っていた子供が,一休さんが罵られて終わるエピソードを見せられたときの衝撃たるや!
今なら,ここに込められたメッセージも理解できるし,嫌いな話ではないんだけど,子供にはちょっと理解しにくいわよね。どんよりした気持ちの中,「面白かった? じゃあね〜!」なんて言われましても……。ともあれ,こんな風に幼少時代のトラウマとも言える思い出があるから,お正月はおめでたいものだって思えないのかもしれないわね。
もちろん,お正月にめでたさを感じられない理由はこれだけじゃないわ。プロレスの会社って,年末年始はかき入れ時なもんで,本業がたてこみ過ぎて忙しくなるのよ。で,テレビを見られないもんだから,季節感が本格的にゼロになってしまう,と。もう後楽園ホールに住んだほうがいいんじゃねーかってくらい,年末年始は後楽園にいた気がするわ。
そしてもう一つ。今回は年末年始ということで,この連載が1回お休みだったわけ。これはこれで恐怖を感じるものなのよ。毎週原稿のネタを探すことに必死になってると自分で思い込んでいたのに,いざ一週間空いてしまうと,もう今日が何曜日かすら分からなくなってるの。毎週,この連載の原稿を書くことで,1週間のリズムを作り出している私がいることに気付かされたってわけね。大切なものは無くしてから気付く。これって恋なのかしら? うん違うわね。
そんな感じで今年も「男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ」,無料で読めるなりのクオリティで頑張ってまいります。具体的には締め切りを1日以上はぶっちぎらないつもりで頑張りますので,よろしくお願いします。
さて,そんな感じで今回は年末年始にヤったゲイムを紹介するわ。まずは,Wii Uの「ZombiU(ゾンビ U)」を……と思ったんだけど,結局2012年内に担当さんにWii Uの代金を払えなかったから,Wii Uのタイトルを紹介するのは,ちょっとはばかられるのね。だから延期で。
もう徳政令ってことでいいんじゃないかなあ。どちらかというとキングボンビーじゃないにせよ貧乏神憑いてるの私のほうだし。物件持ってないし(編注:坊主丸儲けカード使いたい)。
面白そうなゲイムだってことはすでにみんな分かっているだろうけど,実際に遊んでみるとちゃんと面白いんだよ! っていうのは,あらかじめ言っておきたいわ。それでも遊んでいない人,そしてまだこのゲイムのことをよく知らない人に向けて,私がこのゲイムのどこを面白いと感じたかを紹介してみるわね。
まず,ファンタジーライフには12のライフ(職業)があって,それらを自由に選べるの。「どの職業を選んでもゲイムの内容は一緒でしょ?」と思う人もいるでしょう。それに関してはね,多くのゲイムと同様,確かに一緒です。操作性とかストーリーなんかはね。
言ってみればこのゲイムに登場する12の職業って,ただのライセンスなのよ。で,転職システムもあるから,全部の職業を体験できちゃうの。そしてプレイを進めるうちに,ついつい全職業に手を出してみたくなっちゃう作りになっているの。
つまりプレイヤーは,その気になればどんな職業にだって就けるわけ。それでいて,12種類全部をヤらなきゃいけないってわけでもない。本当に好みで選んでいい。一つの職業を突き詰める楽しさもあるし,まんべんなく育てる楽しさもある。その自由さがとても心地いい。
ただ,問題になってくるのは,そのおつかいに対してプレイヤーが「だるい」と感じてしまわないかという点。つまり,プレイヤーがおつかいとうまく付き合えるかどうか,そういう作りになっているかどうかが,RPGのキモだと思うわけ。
そういう意味で,このファンタジーライフはおつかいだらけで,なおかつ,おつかいをしたくないならしなくてもいいという,理想のボディを手に入れているわ。というのも,一応の目標は設定されているんだけど期限は定められていないから,放っておいていいのよ。で,誰かに何かを言われなくたって,別の街へ行ったりもできる。つまり,プレイヤーが能動的におつかいを選べるわけね。だから,だるさを感じない。これこそ,RPGとしてファンタジーライフが優れている証拠だと私は思う。
そして,私が思うファンタジーライフの最大のポイントは,無駄が多いこと。「無駄」と表現するといい意味にとられないかもしれないけど,これ,いい意味だからね? このゲイム,進行に直接関係しない無駄が多いのよ。服の種類が多かったり,色を変えられたり。釣り人や料理人って職業が用意されている時点で察しが付く部分でもあるんだけど,要は“ファンタジーライフ”のうちの“ライフ”部分がしっかりしているの。
確かに,人生は無駄を含めて人生だもん。そらまあ,無駄が多いほど豊かになるわな。そもそも,ゲイムだって無駄っちゃあ無駄だし,もっと言えばエンターテイメント全般が,人生においては無駄なものでしょうよ。なくたって生きていけるもの。でも,無駄があるから人生は豊かで楽しいものになるわけで。
そういう意味では,ファンタジーライフにおける一見無駄な要素はエンターテイメントそのものであり,ファンタジーライフは人生そのものなのかもしれないわ。そしてそこから,「無駄を楽しめ」という意志が伝わってくる。
……ま,ここまで文字数を使ってきて言いたいのは,「ファンタジーライフはめちゃくちゃ面白い」ってだけのことなんだけどね。それだけのことを,ファンタジーライフにならって無駄を多めにしたためてみたわけです。結果,意味があるっぽいでしょう? これもまた人生。フハハ。
とにかくオススメでございますよ。たぶん誰がプレイしても面白いと思うんでぜひ。
そんな感じで,年明け早々にステキゲイムを紹介できた2013年は幸先がいいとしか言えないわね。今年は一体どんなゲイムライフになるのかしら。ソーシャル景気が持続するのか,はたまたコンシューマゲームも盛り返してくるのか,それともまた違った形のゲイムが台頭してくるのか。
何となくだけど今年って,ゲイム業界にとってポイントとなる年なのでは? と私は踏んでいるわ。ゲイム業界が提示するNEXTは何なのか。Wii U代金はいつ無かったことになるのか(編注:支払ったときです!),今年こそ偽装結婚はできるのか。今年もよろしくお願いします。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「龍が如く5 夢、叶えし者」
PlayStation Vita:「地球防衛軍3 PORTABLE」
PSP:「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園」
Wii U:「ZombiU(ゾンビ U)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ファンタジーライフ」
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版」
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