連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第290回「家系図の面白さ」
私が所属するプロレス団体のDDTが,年に一度行うビッグマッチ,両国国技館大会が2014年8月17日にあるんだけど,気付けばあと1か月を切ってしまっているもんだから,ここ最近はいろいろてんやわんや。そこそこ頑張っておる毎日です。
頑張る,といえば,私が思うに“頑張る”にも種類がありましてね。「頑張ります!」と表明することと,実際に“頑張る”こと。これはね,微妙に違うものなの。
例えば,私のように一応人前に出る仕事の人間は,注目してくれてる人に対して姿勢を示さなければならない局面ってけっこうあるのよ。Twitterやブログもそういう場だと思うんだけどね。正直,ファンの人達に向けて使う「頑張ります」という文言には,さほど意味がないと思うの。だって,「頑張ります」とさえ言っておけば,とりあえず見ている人は納得してもらえるから。でも,頑張ってるのはみんなだからね。
言葉として「頑張ります」って使うぶんには問題ないのよ。ただ,私は具体的に何を頑張るのかが分かっていないままに,「頑張ります」を頻繁に使う人のことは,あまり信用していないの。そりゃね,「頑張ります」が嘘だ,とは言わないわよ。たぶん,頑張るんでしょう。でも,何に対して頑張ればいいか分かってなくても,「頑張ります」って言っておけば応援する人に対しては恰好はついちゃうわけ。
頑張りって,頑張ることに意味があるんじゃなくて,正しい方向で頑張ることで成果が上げられて,初めて意味が生まれてくるものだと思うの。ただやみくもに頑張るだけじゃ,成果は上がらないわ。さっきも言ったとおり,みんな頑張ってるんだからね。
そして,プロは基本的に成果を求められるものなの。「こんなに頑張ってるのに誰も認めてくれない」って思ったことがある人は,頑張る方向を間違っているんだと思うわ。
そもそも,認められることを目的とした頑張りだったら,そこそこ簡単に成果を上げられることを選びつつ,より多くに向けて頑張りをアピールすればいいのよ。もしくは,力を持っている人と仲良くなるとか,そういう頑張り方をすればいい。そういう人ってよく嫌われる対象になりがちだけどね。でも,頑張りを認められることが目的なんだったら,定めた目的に対して頑張って,成果を上げている以上,それ自体は決して悪ではないと思うの。
問題は,その先。プロレスの場合,興行主に気に入られていいポジションで起用されたとしましょう。そこで評価を上げられるかどうかは本人次第ってこと。いいポジションで起用されることが目的なのであれば,やはり興行主に気に入られることに全力を注ぐのは間違いではない。
でも,いいポジションで試合をし,そのうえで勝つということが目的であるならば,そのための準備ができていたかの頑張りが問われるわけ。そこで勝つことができれば,その頑張りは正しかったんでしょうね。
さらに言うならば,プロレスは競技としてだけではなく見世物的な価値観が混在しているから,いいポジションで試合をして観客を魅了する,という目標の持ち方もあるわけ。
その場合,頑張るポイントが“興行主に気に入られる”だけでは足りなくなってくるのね。要は,目的の設定の仕方なの。それをどこに定めるかで,普段からの頑張り方が変わってくる。練習を頑張ってる。それは頑張りの一つでしょうね。ただ,練習を頑張ることで頑張ってる気になっちゃあ,それはもう頑張りの無駄遣いだと私は思うの。
目的が定まったら,自分が何を頑張ればいいかが分かる。で,その頑張りって多くの場合,他人には言わないと思うのよ。なぜなら,それって自分の個性を形成するうえでの機密情報だから。秘伝のタレの成分を公開するようなもんで。なので,本当に頑張ってる人は,本当のことを言わないことのほうが多い。
「頑張ります」をよく使う人は,タレを公開しても実は別のところに自信があるか,認めてもらいたい――言い換えると,頑張ってるって思ってもらいたい――か,もしくは何も考えてなくてただなんとなく使っているかのどれかだと思うのよ。
という理由から,どのケースが該当するにしても「頑張ります!」を頻繁に使う人は,私的にあまり信用できない。もし,上司や先輩に「頑張るって言うけどさ,一体何を頑張るんだよ!」とキレられたことがある人は,一度考えてみるといいんじゃないかしら。私が言ってることも,本質的にはそういうことだから。「頑張る」って言葉に逃げるなという。
これはね,モノを作る人の視点から見ると,ちょっと悔しいのよ。思いのほかシンプルで,それでいて深いテーマが潜んでいたから。というのも,私は前作もプレイしてるんだけど,当時は気付けなかったことに今気付いてしまったの。このゲイムが伝えたいことに。
前作ではこのゲイムって,せいぜい「血をつなげていくことの尊さ」を伝えたいんだ,ぐらいに思っていたわ。でも違う。それだけじゃない。もちろん,そういう要素はあるわよ。決して間違いではないと思う。でも,このゲイムが主張しているものは,もっとシンプルなものだったのよ。
37歳にして,俺屍2をプレイして気付いたゲイムからの主張。これすなわち,「家系図って面白いでしょ?」っていう。自分がこの世に生を受けるには,両親が必要なわけじゃない。で,その両親にも,それぞれ両親がいる。当然よね。
人間は自分の人生しか,自分の目で見た世界しか経験することができない。でも,家系図をたどってみると,両親から始まっていろんな人生のつながりの結果,今自分がいることに気付く。逆に言うと,自分は家系図にとってほんの一部分でしかない。
私の持論に「人生を,人間を描いたコンテンツは面白い」というのがあるんだけど,家系図って,いろんな人生が想像できるし,現実につながっているわけ。他人の家系図でも,自分のことに置き換えて想像できるから,感情移入もしやすい。
ほかのRPGでは,「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズがそれに該当するかもしれないわね。でも,「俺屍」シリーズほど,家系図の持つ面白味を掘り下げたゲイムはない。
これは私の勝手な想像だけど,おそらくこのゲイムは“家系図の面白味のゲイム化”からスタートして,RPG部分だったりストーリーを作ったんじゃないかしら。上で述べた“目的の定め方”っていうものの一つがここにあるんじゃないかと。
もちろん,販売等の目的は別にあるんだろうけど,少なくともゲイムを作るにあたって,“家系図の面白さを伝える”という目的から,そこに付随した遊びや演出が生まれていったんじゃないかと思ったのね。その目的がハッキリしていたから,ブレることもなく,こういうゲイムになったのかな,って。
もちろん,試行錯誤はあったと思うわよ。でも,その試行錯誤も「A案とB案,どっちが家系図の面白さを生かせるか」をベースに考えれば,スタッフ間の意志が大きくブレることはないでしょうし。あくまで想像だけど。
だから,たぶん俺屍シリーズは,上記の話題で言うなれば,ただの「頑張ります」ではなく,「家系図の面白さを伝えられるように頑張ります」だと思うの。要は,何を頑張るかがハッキリしてる。で,俺屍2は,これまでよりゲイム化の部分に力を注いだんだと思う。
というのも,ゲイムとして非常に遊びやすくなってるのよ。チュートリアルであったりだとか,説明してくれる部分が増えたことだとか。前作ですでに家系図の面白味という武器を手に入れていた。そこへ,より遊びやすいようにチューニングを施したのが,この俺屍2なんじゃないかしら。
実際,こういう小難しい考え方を抜きにしても面白いしね。術やら武器やらを戦闘で得ていくのは楽しいし,どんどん子孫が強くなっていくのも楽しい。行ける場所が増えるのも楽しい。街が発展していくのも楽しい。そんなシンプルなゲイム部分も面白いのよね。
これ,普通におススメ。深みもあるし,気軽にも楽しめる。くどいゲイムという印象があるんだったら,そうでもないってことは声を大にして言いたいわ。好き嫌いはあると思うけど,プレイさえしてみれば,何かしら感じるところはあるゲイムだと思う。
と,ここまではゲイムの話なんだけど。現実には家系図について考えるのは,ちょっとつらい環境になってきたわ。37歳ゲイの独身男性が,ここで家系図を止めてしまうのか。養子縁組をすれば家系図的には続くことはできるけども……とかそういうところまで考え出した日には……。
でも,俺屍2楽しいよ! そんなこんなでこれからも人生は続く予定なわけだけれども,ひとまずは私,ここまでの経験を活かして一生懸命頑張ります!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー」
PlayStation 3:「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2014 蒼き侍の挑戦」
PlayStation Vita:「俺の屍を越えてゆけ2」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「妖怪ウォッチ2 本家」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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- 関連タイトル:
俺の屍を越えてゆけ2
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