男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第705回「幸せの見つけ方」

著者近影（著者は右）

　世の中には，つらいことが多い。戦争はさらに激化しそうだし，物価はどんどん上がりそうだし，本を出すことが決まっているのはいいものの原稿はさほど進まず，そんな中でも毎週の連載原稿の締め切りは容赦なく迫ってくる。
　一方で，ちょっとした幸せも世の中にはいっぱいある。飼っている犬が「お手」を覚えたのも，飼っている犬が吠えないのも，地方での仕事から帰ってきたら飼っている犬が尻尾を振って喜んでくれたのも。生きていれば不幸せも幸せもあるんだ。要は，何に目を向けて感じるかって話だ。
　もちろん，つらい世の中から目を背けず行動したり，声を上げることが必要なタイミングもあるだろう。それでも私は，幸せなことからも目をそらさずに生きていきたいと思う。公平に言えば，現実にはしっかりと目を向けなければならない。ただし，人間の強さは均一ではない。だから，皆に合わせる必要はない。つらい現実から目を背けて，身近な幸せに目を向ける瞬間があってもいいと私は思う。

　今は一人一人がメディアを持つ時代だ。自分の身近な幸せを報告したときに，誰かに何かを言われるかもしれない。今つらい思いをしている人がいるのに，とか。よくこんなときに，とか。
　面倒臭いことになるから，わざわざ表立って取り合う必要はないけど，内心で思っておけばいいよ。「余計なお世話だ」と。幸せなだけの人生を送っている人なんて，そんなにはいない。不幸せなだけの人生を送っている人も，おそらくだけど多くはない。いるのは幸せを見つけられる人と，自分が不幸だと思い続けている人だ。
　良い悪いじゃない。自分の人生について，どう思うのも自由だ。自分の人生を評価できるのは自分だけだから。幸せだと思えば幸せだし，不幸だと思えば不幸。他人がどうこう言う話じゃない。他人の人生について，私が幸不幸を判定するのはおこがましい。だからこそ，自分の人生は自分で幸せを見つけたい。幸せだと思い込みたい。とはいえ，現実はつらいことが多い。根本的に直したほうが幸せに感じられることがあるならば，変えたほうがいい。
　私の本業であるプロレスは，一時でも幸せな時間を提供できるようもがく仕事だ。だが，それは提供するところまでで，受け取った側がどう感じるかまではコントロールできない。だからこそ，自分がどう幸せと感じるかには敏感でいたい。幸せという商品を届けたいなら，自分だったらどう幸せに感じるかを知っておいたほうがいいから。要は，幸せを届けることで幸せになってもらい，それを感じ取ってまた幸せに思う。そういう業種なのですよエンターテイメントって。

　で，何が言いたいかというと。ゲイマーの小さな幸せの一つに「思いがけないゲイムが面白かった」というものがあります。私，それに当たりましてね。しかもそれが無料だったという話なのです。
　どういうことかというと，Playstation Plus エッセンシャルの2022年10月の「フリープレイ」で遊べる，「Rogue Explorer」（PlayStation 5 / PlayStation 4）が思った以上に面白かった。そういうことなのです。ほかにも今月は「HOT WHEELS UNLEASHED」と「SUPERHOT」もフリープレイで遊べるんだけど，ゴメン，まだプレイしてない。ひょっとしたらこの2タイトルも面白い！　ってなるかもしれないけど，まだプレイしてないから嘘はつけない。
　ひとまずRogue Explorerが思った以上に面白くて幸せっていう話です。アクションゲイムなんだけど，ゲイムとして完璧じゃないんですよ。これはしっかりと述べておかないとフェアじゃないんで。グラフィックスが優れているわけでも，操作性が優れているわけでもない。だから，人によっては私が感じたほど面白いと思えないかもしれない。
　ただ，徐々にキャラクターが強くなっていく成長は感じられる。そこが私的には面白い。アクションゲイムとしては難しい類かもしれない。でも，死んでもペナルティがそんなにないのですよ。むしろ，どうせ手に入れたアイテムや装備を失うこともないんだしって勢いで，何度死んでもOK。
　本来の意味とは違う気もするけど，死にゲイって言えなくもない。死なないために頑張るゲイムじゃなくて，死んでも成長できるゲイム。この割り切りはとても清々しい。だって，細かいことを気にせず遊び続ければ，いい結果が生まれるんだから。


　大人は子供に「失敗を恐れるな！」的なことを言いがち。けれど，大人の世界は失敗が許されなかったりもするわけで。みんなの意見が可視化できる世界で叩くわけじゃん。そりゃ，失敗しない選択をするような世の中になるよ。そんな中，Rogue Explorerは言ってくれる。「あ，どんどん失敗してください」って。
　現実世界は，失敗したらペナルティが待っている。原稿を書かなきゃ怒られる。怒られるぐらいならまだいいほうで，たぶん干される。それが怖くてちゃんと書いてる部分もあるってことは，ペナルティがあるから世の中が回っている話でもあるけど。とはいえ，やはり失敗してもペナルティがさほどない世界もあっていい。少なくともゲイムの中では。
　というわけで，毎回言ってるけどPlayStation Plus エッセンシャルはオススメです。無料なら遊んでみようかな？　ってゲイムに出会えるから。一生のうちに出会える人や作品，知識などはたかが知れてます。でも，偶然にでも出会えて，かつ自分の人生にプラスになるなんて，とても幸せなことだと思うんです。


　Rogue Explorerに限らず，自分にとって楽しいゲイム，人，コンテンツにこれからも出会っていきたいなと思った今週でした。では人生で偶然出会えてうちに住んでる保護犬が鳴いているんで，今日はこの辺で。また来週。

今週のハマりゲイム
PlayStation 5：「地球防衛軍6」
Nintendo Switch：「アイドルマネージャー」
iOS：「ロードモバイル」
iOS：「ウイニングイレブン カードコレクション」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，今週末の10月15日（土）18：00より，北海道・サッポロ・イーワン・スタジアム大会「God Bless DDT 2022 TOUR in SAPPORO【DAY1】」を，翌16日（日）13：00より同会場で「God Bless DDT 2022 TOUR in SAPPORO【DAY2】」を開催します。ディーノ選手は両大会に，飯野“セクシー”雄貴選手とのフェロモンズとして出場します。ディーノ選手は「北海道で万が一雪でも降った日には，ハクのことを思い出してしまう。2日もハクに会えない悲しさに耐えられるだろうか。雪さえ降らなければ精神的に安定して試合も圧勝する」と語っていました。