連載
インディーズゲームの小部屋:Room#394「Beyond Eyes」
コミケで数時間会場を歩き回っただけで,すっかり筋肉痛の筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第394回は,Tiger and Squidが開発した「Beyond Eyes」を紹介する。本作は,盲目の少女がいなくなってしまった猫を探すために外の世界へと足を踏み出すというアドベンチャーゲーム。コミケで入手してきた新作は,次回以降,紹介していきます!(予定)
本作は,事故で視力を失った少女Raeが,ある日姿を見せなくなってしまった,無二の親友である猫のNaniを探すための冒険に出かけるというアドベンチャーゲーム。目が見えないRaeにとっては,慣れ親しんだ自宅の庭を出るだけでも,まさに大冒険だ。Raeは,手で触れたり音を聞いたりすることで周囲の世界を知覚し,それが真っ白いスクリーンに淡い水彩画のような色彩で描かれていくというアートスタイルが本作の大きな特徴だ。
基本的なゲーム内容は,Raeを操作して少しずつ周囲を探索していくというもので,走ることができないRaeに合わせて,非常にゆったりとしたペースで進んでいく。Raeは,小鳥のさえずりや川のせせらぎ,遠くで鳴る鐘の音などを聞くことで,周囲の風景を知覚し,プレイヤーもそれによって初めて,周りに何があるのかが見えるようになる。
また,Raeにとって安心できるものは明るい色彩で描かれる一方で,カラスの鳴き声や犬の吠える声,得体の知れない轟音(正体は車のエンジン音)などは,暗く濁った色彩で表現される。
こうした音に近づくと,Raeは足がすくんで動けなくなってしまい,その側を通り抜けることができないため,回り道をして別のルートを探したり,ちょっとした工夫をして脅威を取り除いたりする必要がある。これらの謎解きは,とくに難しいものはなく,道なりにゲームを進めていけば自然と解けるはずだ。
本作では周囲の音を聞くことが重要な役割を果たしているため,BGMは時折ひかえめに鳴る程度。これにより,プレイヤーはRaeと一緒に周囲の音を聞き,周りの風景を知覚していくという体験を得られ,Raeと一心同体になったかのような感覚を味わえる。
ゲームはのんびり遊んでも2時間程度でクリアできるボリュームだが,盲目の少女が感じる世界の美しさや怖さを,水彩画を思わせる独特の表現で描いたビジュアルは思わず見入ってしまうほどで,一見の価値があるだろう。
果たして,Raeは無事にNaniを見つけることができるのだろうか? ちょっぴり胸を締め付けられる,余韻のあるラストまで,ぜひとも自分の目で確かめてみてほしい。そんな本作は,Steamにて1480円で発売中だ。
■「Beyond Eyes」公式サイト
http://www.beyondeyes-game.com/- 関連タイトル:
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