連載
インディーズゲームの小部屋:Room#671「NUTS」
近頃はずっと部屋に籠っているので,スマートウォッチに「運動しましょう」と叱られている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第671回は,5人組の開発チーム,Joon, Pol, Muuutsch, Char & Torfiが開発した「NUTS」を紹介する。本作は自然保護区の中にある森でリスの生態を観察するというアドベンチャーゲームだ。このままでは手足が衰えて火星人になってしまう……。
本作の舞台となるのは,メルモス自然保護区。このメルモスの森には絶滅危惧種のリスが生息しているが,とある企業によるリゾート施設の建設が計画されており,その影響を調査するために,リス達の生態を調べるのがゲームの目的となる。
森の中には上司であるニーナ・ショルツ教授が手配してくれたキャラバンがあり,昼間は森のあちこちにカメラを仕掛け,夜はキャラバンに戻って録画をチェックするというのが基本的なゲームの流れ。森のどの場所から調査を始めればいいのかは,ショルツ教授がGPSで指示してくれる。
カメラは最大3台が設置可能。まずは指示された地点の周囲に仕掛けて,リス達がどこから来て,どこに行くのかを確認しよう。調査対象のリスはいつも同じルートを移動する習性があるので,録画映像からリスの通り道を予測し,次のカメラの設置場所を決めるのだ。これを繰り返して,彼らがどこにエサを溜め込んでいるのかなどを突き止めていくのが面白い。
しかし,自由気ままに森を移動するリス達の調査は,かなり根気がいる作業であることは言うまでもない。撮影のチャンスは1日に一度,ほんの一瞬しかないので,彼らがどこに巣を作っているのかを突き止めるには何日もかかる。筆者は野生動物のドキュメンタリー番組が好きでよく見ているのだが,動物カメラマンの苦労を身をもって感じることができた。これは本当に大仕事だ……。
プレイヤーに指示をくれるショルツ教授は,貴重なリス達の生息エリアを明らかにして,リゾート施設の建設を阻止したいと考えている。終盤はこの建設計画にまつわるサスペンスチックな展開が待っており,意外なことにストーリーからも目が離せない。淡いパステル調のグラフィックスも魅力的なゲームに仕上がっているので,興味を持った人はぜひどうぞ。そんな本作はSteamにて,2050円で発売中。オススメです。
■「NUTS」公式サイト
https://nuts.game/キーワード
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