連載
インディーズゲームの小部屋:Room#699「Arboria」
年に一度の健康診断で朝からフラフラな筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第699回は,Dreamplantが開発した「Arboria」を紹介する。本作は,トロルの戦士となって危険なダンジョンに挑む,ローグライクなアクションRPGだ。珍しく早起きしたうえに,血を抜かれたりバリウムを飲まされたりと,まるで罰ゲームだよ……。
本作のストーリーは,生命の源である「父なる木」が病に侵され,絶滅の危機に瀕しているトロルの一族「ヨトゥン族」が,その根を治療するために,凶悪な生物がはびこる地下世界に戦士を送り込むというもの。プレイヤーはこの選ばれし戦士となり,潜るたびに構造が変化するダンジョンを攻略していく。
大きな特徴となっているのが,シャーマンが部族の指導者となっている原始的な生活様式と,それに似つかわしくない高度な機械文明が入り混じった独特の世界観だ。ゲーム内の用語もかなり独特で分かりにくいが,本作では武器のことを共生生物(Symbiont),魔法のことを突然変異(Mutation),パッシブスキルのことを改造(Mods)と呼ぶことを,まずは覚えておこう。
武器となる共生生物は,剣,斧,槍,ハンマーなど,さまざまな種類があり,これらを使った近接戦闘がメインとなる。基本的なゲームの流れは,ダンジョンを探索して病に侵された根を治療しながら,次の階層に通じるゲートを見つけるというもの。ただし,病気になった根を癒そうとすると敵のウェーブ(波状攻撃)が発生し,これをすべて撃退しなければならなくなるので注意が必要だ。
ダンジョン内でもう1つ大事なことは,通貨でもある聖なる鉱物「ヴェリ」を集めること。ヴェリは青白い鉱石を破壊したり,敵を倒したりすることで入手できる。ダンジョンは一度潜ると死ぬまで出られないが,階層と階層のあいだには「ロックルーム」と呼ばれるチェックポイントが存在し,ここにある機械を使ってそれまでに集めたヴェリを地上に送ることができる。
また,ロックルームでは「エンハンサー」という機械を使って,キャラクターの基礎能力を1つだけ選んで向上させられる。本作では,いくら敵を倒してもキャラクターが成長しないので,エンハンサーによるパワーアップは非常に重要な要素だ。もしもダンジョン内で倒れてしまったときは,また新たなトロルの戦士が生み出されるが,その際に神に捧げるヴェリの量を決められ,それに応じて基礎能力が高くなるのも面白い。
根を治療すると部落内の施設が徐々に復興していき,神に捧げずに取っておいたヴェリを使って,武器や魔法などの強化が行えるようになる。こうした,ややこしいシステムや設定を抜きにしても,近接攻撃がメインの戦闘はスピーディで緊張感があり,アクションゲームとしても完成度の高いゲームに仕上がっているので,我こそはトロルの戦士なり! という人はぜひ挑戦してみてほしい。そんな本作はSteamにて,2050円で発売中だ。
■「Arboria」公式サイト
https://arboriagame.com/- 関連タイトル:
Arboria
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