インタビュー
プレイヤー間の壁を取り払えるか? サービス開始から4周年を迎える「ドラゴンネスト」の今後の運営方針やアップデート予定について聞いてきた
今回はドラゴンネストの運営プロデューサーに就任した西田哲史氏と運営チーム YAMAMOTO氏に,今後の運営方針に関する声明,すなわち“マニフェスト”を聞いてきた。また,新キャラクターやレベルキャップの引き上げなどといった,今後のアップデート計画についても情報が得られたので,ドラゴンネストの現役プレイヤーはもちろんのこと,最近ご無沙汰しているという人にも目を通してもらえれば幸いだ。
正式サービス開始から4周年
日本ならではの問題点にピンポイントで対策を行う
これまでの運営チームは,韓国で実装されたアップデート内容を,できるだけ早く日本へローカライズすることを目標としていました。スピードを優先するために,アップデートの仕様はそのままの形でローカライズすることも多かったのですが,自分としてはそれではお客様が満足するサービスを提供できていないと考えています。
というのも,4年間も運営しているタイトルなので,さまざまな問題を抱えているわけですが,それらの中には日本固有のモノも少なくないんです。単純なローカライズでは,それらの問題に対処しきれていないのが実情です。
自分が運営プロデューサーに就任するにあたり,まず日本版における現状の問題点を洗い出すことにしました。そしてローカライズで対処しきれない問題に対しては,専用のアップデートを行うべく,開発元のEYEDENTITY GAMESと調整を進めています。(西田氏)
西田氏は日本版ドラゴンネストの問題点を洗い出すために,現在のプレイヤーを以下の四つのカテゴリに分けて整理していったという。
【1】新規・ライト層
レベルキャップに到達していない。最低限必要な装備が揃っていない
【2】ミドル層
装備はある程度揃っているが,Lv70のネストダンジョンがクリアできない
【3】コア層
エンドコンテンツ(現在だとブラックドラゴンネスト)をなんとかクリアできる
【4】強コア
エンドコンテンツを余裕でクリアできる
ゲームを進めていくにつれ,プレイヤーが【1】→【2】→【3】→【4】とステップアップしていくのが理想だが,実際には【2】→【3】の間には大きな壁が存在している。ミドル層がゲームを進めたくても,ハードルが高すぎてモチベーションが続かず,最悪ゲームから離脱するケースも出てきているそうだ。
また,全体の約7割のプレイヤーが【1】と【2】に含まれており,上位との差は縮まらない。ハードルの問題は早急に解決すべきだと西田氏は指摘する。
この“ハードル”について詳しく分析していくと,「格差」と「バランス」の二つに大別できると西田氏は説明する。「格差」とは課金装備によるキャラクター性能や,プレイヤースキルを向上させるための環境の有無のことを指す。一方の「バランス」は,クラス間のスキルバランスや,ダンジョンの難度,クリア報酬が適切でない,といったものを意味する。これらのハードルに対し,西田氏ら運営チームはそれぞれ対策を練っている。
現在予定されているアップデートを,以下に紹介していこう。
【格差に関する問題と対策】
・問題点:
課金アイテムの有無により,キャラクター性能に大きな差が出てしまう。
・対策:
ガチャの「シュパンボックス・シュパンピュクシス」「パンドラコイン・パンドラピュクシス」におけるドロップ確率を見直し,レアアイテムの入手難度を体感できるレベルで緩和する。
・問題点:
パーティ募集の条件が厳しく,強い人ばかりがパーティで募集される状況だが,プレイヤースキルを向上させるための環境が整えられていない。
・対策1:
“初心者向けギルドシステム”を実装する。初心者のプレイヤーはこのギルドに自動的に加入し,自分と近いレベルのプレイヤーと一緒にクエストを行うなど,少しずつゲーム内のコミュニケーションに慣れてもらうのが狙いだ。
・対策2:
ドラゴンネスト公式サイト内で,用語集や攻略動画などを掲載した特設ページを用意する。こちらは,いわゆる“公式wiki”のような形で,必要なノウハウを伝えていく。
【バランスに関する問題と対策】
・問題点:
スキルバランスが悪く,不人気のクラスがパーティプレイに参加しにくい。
・対策:
これまで以上の頻度でバランス調整を行い,その際は一度のアップデートで一つのクラスに対して集中的な底上げを行う。ちなみに5月のアップデートでは「グラディエーター」に対する底上げが検討されている。
・問題点:
ダンジョンの難度やギミックの面倒さなどが原因で,挑戦する意欲が湧かない。
・対策1:
バトルと直接関係がなく,面倒臭さやストレスを感じさせるギミックは減らす方向で調整を行う。
・対策2:
キャラクター性能に関係なく,誰でも同じ条件で参加して楽しめるコンテンツを開発する。
・問題点:
ダンジョンをクリアした際の報酬のバランスが悪い。
・対策:
各コンテンツにおける報酬を,難度や労力に見合ったものに再調整する。例えばネストダンジョンにおいて,“最上級アルテウム/ダイヤモンド”は選択式報酬の金箱から出現しないように変更する。
それぞれの実装時期は現在調整中だが,格差対策は2014年6〜8月前後,バランス調整は2か月に1回か少なくとも四半期に1回単位で何かしらのアップデートを行いたいと,開発元に要請しているとのこと。また,アップデートを実装するよりも前の段階で,そのコンセプトなどをプレイヤーに伝えていくそうだ。
さらに,今後行われる「4周年イベント」でも,上記の問題への対策を行っていくという。例えば,期間中にログインすることでポイントを蓄積し,それと引き換えに各種特典がもらえたり,プレイヤー全員が“初登場の新武器アバターセット”などをもらえるそうだ。詳細は近日中に発表予定とのことだが,ドラゴンネストの現役プレイヤーだけでなく,休眠プレイヤーにとっても思わず復帰したくなるような魅力的なラインナップを検討しているとのこと。
2014年6月に実施予定のアップデート
日本版のドラゴンネストならではの問題と,それに対する対策は以上のとおりだが,これらの問題については今後のドラゴンネストのアップデートでも,上記のような対策を継続的に行っていく予定とのこと。
今回の取材では,そのあたりの内容も含んだ大型アップデートの情報が得られた。4周年記念を兼ねたアップデートで,ドラゴンネストのコンテンツはローエンドからハイエンドまで大きく拡充される。まずは2014年6月に実装を予定しているアップデート内容から紹介していこう。
・エンドコンテンツを追加
「ブラックドラゴンネスト」のハードコアモードを実装する。
・スキル改編
「エンジニア」「パラディン(予定)」のスキルを集中的に強化する。
・スキル強化
1次職用のスキルを強化。加えて,該当スキルを6レベルまで上げると,追加ダメージが発生するようにする。これまで使い勝手が悪かったスキルにスポットを当て,戦術の幅を広げるのが狙いだ。
・生産改善
上級竜珠を合成する際に,これまでは付与されるステータスがランダムだったが,これが任意で選べるようになる。
・ドロップ改善
セット効果つきのエピック等級装備に関して,これまでは材料品がドロップしていたものから,完成品のみがドロップするように変更される。ユニーク等級以上は従来どおり。
・「カムバックシステム(仮)」の導入
復帰プレイヤーに対して,次のゲームプレイの目標をアドバイスしたり,アイテム特典付与などをサポートするためのシステムだ。これまで運営イベントとして行われてきたが,今後はシステムとして常設される。
2014年夏〜秋にかけて実装予定のアップデート
続いて,2014年6月以降に予定されている主なアップデート内容を紹介していこう。
・レベルキャップを70→80へと引き上げ
ドラゴンネストは過去に,2012年7月と2013年7月のタイミングでレベルキャップの引き上げを行っている。そして2014年も,7月にレベルキャップを70→80へ引き上げすることを予定しているそうだ。
レベルキャップの引き上げに伴い,各3次職用にEXスキルが1種類ずつ追加される(合計28種類)。もちろん,キャラクターレベルが上がることで,既存のダンジョンなども攻略しやすくなるだろう。
レベルキャップ開放に伴い,新たな高レベルプレイヤー向けの狩場として,溶岩地帯をモチーフにしたステージが8か所追加される。
また,この地域における最大の山場となるであろう「ボルケーノネスト(仮)」もレベルキャップ開放後に登場する。ラスボスは“フェニックス”で,見事倒すと“80エピック等級”の武器が得られるそうだ。
・新規キャラクター「レンシア(仮)」
アサシンに続く新キャラクターの,「レンシア(仮)」が現在開発中だ。今回確認できたのはコンセプトアートと貴族出身というキャラクター設定のみだが,見る限り,メイン武器は槍で,中距離レンジのアタッカー職といったところだろうか。右腕に装着している特徴的な小手(?)も気になるところだ。
・ボスモンスターを操れる? 新コンテンツ
最後に紹介するのは,「プレイヤーがボスモンスターを操れる」という,まったく新しいタイプのコンテンツだという。掲載したスクリーンショットを見てもらいたいのだが,プレイヤーはペルガーディアンを操り,足元にいるプレイヤーキャラクター(のように見えるNPC)と戦っているという,攻守が逆転した,よく分からない状況となっている。
バックグラウンドストーリーや報酬など,どういった形で登場するのかは一切不明。EYEDENTITY GAMESのスタッフは,「ネストボスの苦労を皆に味わってほしい」という一心で開発しているそうだ。
今回の取材で得られた情報は大体このようなところだ。
サービス開始からある程度年月が経過したオンラインゲームでは,新規・休眠プレイヤーが「どうせ今からだと追いつけないし……」と諦めを感じてしまうのは,よくある話だろう。ドラゴンネストの運営チームは,これらの問題に対して真剣に対策を練っているようだ。今後,4周年記念イベントなどを通じて,詳細が明らかになるので,続報に注目したい。最後に,西田氏からのメッセージを添えて結びとしたい。
例えば,休眠プレイヤーの方なら,4周年記念イベントに参加すれば,既存のプレイヤー達にある程度追いつくことが可能です。今後予定されているレベルキャップ引き上げ時に,現役プレイヤーの方と一緒に遊ぶことも十分可能で,それが行えるためにはどうすればよいのか? と考えながら,イベントの報酬やアップデート内容などを調整しています。現役プレイヤーの方はもちろん,最近プレイがご無沙汰という人も,ぜひ今後のドラゴンネストに注目してください。よろしくお願いします。(西田氏)
「ドラゴンネスト」公式サイト
- 関連タイトル:
ドラゴンネストR
- この記事のURL:
Published by NHN hangame Corp.
(C)EYEDENTITY GAMES Inc. All Rights Reserved.