連載
連載「PCゲームを持ち出そう!」。第19回はクライムアクション「Manhunt 2」のPSP版を紹介
なお,Manhunt 2は日本国内では正規に販売されていないため,入手するには,海外ゲームを取り扱う販売店で並行輸入品を購入する必要がある。
編集部で試した限りでは,本作は国内版のPSPでも動作したが,4Gamer編集部およびソニー・コンピュータエンタテインメントでは国内版PSPでの動作を保証しかねるので,その点はあらかじめご了承を。また本作は海外版のソフトであり,ゲーム画面や各種メッセージ,マニュアルなどはすべて英語なので,注意してほしい。
また,本作にはとても暴力的でグロテスクな表現が多数含まれている(米国ではMatureレーティング=対象年齢17歳以上)ので,その点にもご注意を。
暴力性の高さが話題となった
あの「Manhunt」が帰ってきた
前作のManhuntは,謎の男に雇われた主人公がスナッフフィルムの役者となり,次々に殺人を犯していくというストーリーで,そのあまりの暴力性の高さに発売禁止となる国もあったほど(関連記事)。
Manhuntについては,4Gamerの連載「奥谷海人のAccess Accepted」の第3回でも取り上げているので,関心のある人はご一読を。
それでは,発売直後から各所で話題を呼んでいるManhunt 2のゲーム内容を紹介していこう。
なお本作は,Xbox 360,PLAYSTATION 3,そしてPSP用に販売されており,今のところPC版のリリースについては未定だ。
Manhunt 2のストーリーには前作とのつながりはない。主人公は,Danny LambとLeo Kasperの二人。Dannyはとある医学実験プロジェクトのリーダーを務めていたが,ゲームの開始時点では大部分の記憶を失っている。どうやら,そのプロジェクトの重要な秘密を握っているようで,「ハンター」と呼ばれる者達に追われる羽目となる。
本作は,物語性を重視して作られているとアナウンスされており,殺人そのものがフォーカスされていた前作と比べると,表現がずいぶんソフトになっている。
ゲームの基本はステルスアクション
ストーリーは一本道で,何らかのアクションをとれるときは,右下に使えるボタンのアイコンが表示されるため,進め方についてさほど悩む場面はないだろう。
敵は,こちらの居場所を察知すると一目散に襲いかかってくる。真っ向勝負するのもありだが,なかなか手強い。複数の敵に囲まれると,多勢に無勢で勝ち目はあまりなく,ボコボコにされるのがオチ。そんなときは,ダッシュで逃げて暗い場所に身を潜めるといい。
Executionを行ったときの攻撃方法,つまり挿入されるイメージシーンの内容は,そのとき持っている武器によって変わる。武器には,ペン,注射器,ナイフ,斧,バール,電動のこぎり,警棒など,攻撃を想像するだけで,陰鬱な気持ちになりそうなものが多数用意されている。
また,そのときの場所などによってもイメージシーンの内容は変化する。例えば街中のマップでは,マンホールの近くでExecutionに成功すると,相手を倒した後にマンホールの蓋で頭部を叩いて息の根を止め,そのままマンホールに落とすというシーンが挿入されたりするのだ。
Executionさえ決まれば,無用な戦いをしなくて済む(決めるのが困難な場面も多いが)。トライ&エラーを繰り返し,できるだけ真っ向勝負を避けながら進める方法を探していくというのが,本作の基本的なプレイスタイルといえるだろう。
なんともいえない雰囲気を醸し出す
グラフィックスとサウンドはかなりの出来
グラフィックスのクオリティは,PSPのゲームとしてかなり高い部類に入る。注目したいのは,画面全体にざらつき感を出すノイズエフェクトが用いられていること(無効にもできる)。
このエフェクトにより,古いテープに録画された映像を見ているような,不気味な雰囲気が醸し出され,それが不安感を煽るのだ。
キャラクターの動きもなかなかのもので,敵と殴り合ったり,ストンピングで息の根を止めたりする様子などがよく再現されている。また,階段で戦っているとき,自分よりも下にいる敵に対しては自動的に蹴りを繰り出すなど,芸が細かい。
サウンド面もよくできていると感じた。常に不快な環境音が鳴っており,敵が現れるときや,ゲームに何かしらの進展があるときにはドキッとさせる効果音が聞こえてきたりする。
また,攻撃が当たったときの音もよく再現されており,とくに素手で殴り合っているときの鈍い音は,実に痛そうなのだ。
Manhunt 2の見どころはココ!
例えば,序盤に敵を仕留めたとき,Dannyが自分の犯したことの重大さから吐いてしまったり,敵のバックをとると,「今だ,仕留めろ!」「殺せ!」「何をためらっている」などの声が聞こえてきたりする。なかなか局面を打開できず,同じ場所で躊躇していると,「そろそろ決断するときだ。行け!」とけしかけられたりもするのだ。
そしてExecutionに成功すると,「そうだ,お前が殺ったんだ」「やればできるじゃないか」「いいぞ,今のをよく覚えておくんだ」などというセリフが聞こえてくる。
特定のポイントに来ると突然敵が飛び出してくるなど,驚かせるための“お約束”の演出も,当然ながら多数盛り込まれている。
仕掛けもさまざまで,切断した敵の頭部を腹話術人形のように使い,敵の仲間を欺いてまんまと敵の施設に潜入するといった,とんでもない解決手段も用意されている。
これまでゲームというものをプレイして,今回のような生理的な嫌悪感を覚えた経験は,あまりない。これは個人的な意見だが,良いにせよ悪いにせよ,人の感情に働きかけて何かを想起させることがゲームのあり方であるのなら,その意味で本作は十分に成功していると思う。しかし,だからこそ,感情のコントロールや現実/非現実の把握が未熟な者がやるべきゲームでないことも確かなのだろう。
ゲームをゲームとして嗜める人にとって,本作は細かいところまでよく作り込まれており,グラフィックスやサウンドの面からも,PSP用ゲームとして高いレベルにあると思う。前作のファンや,ゲーム表現の一つの形としてのバイオレンスものに関心を持っている人は,プレイしてみるといいかもしれない。
Manhunt 2
対応機種:PlayStation Portable
メーカー:Rockstar Games(Take Two Interactive)
発売日:2007年10月29日
価格:29.99ドル
公式サイト:http://www.rockstargames.com/manhunt2/
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(C)2006 Rockstar Games. All rights reserved.
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