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極私的コンシューマゲームセレクション:第22回「ルミネスライブ!」
» 今回の「極私的コンシューマゲームセレクション」では,編集部の大路政志が,Xbox 360の「ルミネスライブ!」を取り上げる。当初はPSP版「ルミネスII」を紹介すると言っていた大路なのだが,PSPが壊れるほど激しくゲームを遊んでしまい,急遽「ルミネスライブ!」をダウンロード購入。相変わらず締め切りギリギリまでプレイしていたようだ。
あえて,Xbox 360で落ち物パズルを楽しむ理由
初代「ルミネス」のキャッチコピーは,“音と光の電飾パズル”。心地良い音楽と美しいエフェクトが,落ち物パズルのゲーム性を盛り上げてくれる |
フィールド上方からランダムに落下してくるブロックピースを移動/回転させ,それらを用いてルールに基づいた形(フィールドの横一列をブロックピースで埋めたり,同色のピースを特定の形にまとめたりなど)を作り出すことで,該当部分のブロックが消滅,得点が得られる。それを繰り返し,ブロックピースがフィールド最上段まで積み上がるまでに,何点稼げるかを競うというのが,いわゆる落ち物パズルの基本的なルール/ゲーム性である。
シンプルながら奥の深いアクションパズルが楽しめるテトリスのゲーム性は,世界中の人々に瞬く間に受け入れられ,大ヒットを記録した。現在でも,テトリスライセンスのゲームは世界中で(そしてさまざまな形で)愛されているし,落ち物パズルジャンルの新作も数多くリリースされている。
2004年にキューエンタテインメントが開発したPSP用ゲーム「ルミネス」も,そういった落ち物パズルジャンルに含まれるゲームである。PSPと同時に発売されたタイトルであること,さらに短時間で気軽にプレイできるゲーム性は,PSPの利便性とも相まってスマッシュヒットを記録。その後,2007年2月にPSP版「ルミネスII」が発売され,2007年3月には,Xbox 360のXbox Live アーケード専用タイトルとして,「ルミネスライブ!」が登場している。
……実は,今回筆者は「ルミネスII」を紹介しようと思っていたのだが,バンダイナムコゲームスのPSP用3Dアクション「ガンダムバトルクロニクル」を遊びすぎたせいか,PSPの十時キーが壊れてしまい,まともにゲームができなくなってしまった。ちなみにそれに気づいたのは,本稿の締め切りの数日前という状況だ。
そんなわけで急遽,Xbox Live アーケード専用タイトルとしてダウンロード販売されている「ルミネスライブ!」を購入し,記事執筆のために遊んでいるのだが,いやぁ,やはりルミネスシリーズは面白い。
“タイムライン”という独自要素が興味深い
シンプルかつ奥の深いゲーム性
ルミネスシリーズでは,画面上方から落下してくる2色からなる正方形のブロックを移動/回転させ,同色のピースで2×2ブロック以上の四角形に揃えることが基本ルール |
ルミネスライブ!の基本的なルールは,画面上方から落下してくる2色からなる正方形のブロック(4つのピースで構成されている)を移動/回転させ,同色のピースで2×2ブロック以上の四角形(長方形でも構わない)に揃えること。
ただしテトリスなどとは違い,同色ピースを四角形に揃えただけではブロックは消えない。一定のスピードで画面の左から右へ,BGMのテンポに合わせて流れていく「タイムライン」がブロックを通過して初めて,対象ブロックが消える。タイムラインが通過するまでに複数の同色四角形を作れば,一度で多くのブロックが消せ,高得点を狙えるという仕組みだ。
もちろん落ち物パズルの基本ルールに則り,ブロックが画面上部まで積み上がってしまえば,ゲームオーバーだ。タイムラインが生み出すブロック消失のリズムを考慮し,連鎖消しや同時消しの仕込みを行いつつ,ブロックを次々と消していくわけである。
ちなみに,たまに落ちてくるスペシャルブロックを用いて2×2以上の四角形を作れば,そのブロックのタテ/ヨコにつながっている同色ブロックをすべて消すことが可能。落ち物パズルとしては定番の要素だが,これも気持ちいいプレイを楽しむのに欠かせない要素といえるだろう。
狙い通りに大量のブロックを消せたときの快感は,本作の醍醐味の一つ。まぁこの画像は狙ったわけではなく,偶然撮影できただけなのですが…… |
テトリス(画面の横一列以上をブロックで埋める)や「ぷよぷよ」(タテ/ヨコに同色のぷよを4つ以上くっつける)で培った「消しのテクニック」が通用しないという部分も大きいのだろうが,両作品とは違ってフィールドが横長,つまり天井が低いので,効率よくブロックを消すための仕込みを熱心にやりすぎると,すぐにブロックが積み重なっていってしまうのだ。
しかも,タイムラインという仕様があるため,準備さえ整っていればとっさにブロックを消せるというわけでもない。タイムラインのテンポをもしっかりと把握しつつ,自由自在に連鎖消しの仕込みができる人ならば話は別だろうが,筆者のような初心者にとっては,消せるブロックをテンポ良く消していくことだけに専念するのが無難なのかもしれない。
ともあれ,筆者はまだまだルミネス修行中の身なので,本作の本当の面白さ/気持ちよさは味わえていないのかもしれない。テトリスやぷよぷよなどで経験済みという人もいるだろう,あの「考えるな,感じろ」を地でいくようなテクが身につけば,美しいグラフィックスエフェクトや音楽とも相まって,相当に気持ちいいプレイが楽しめそうだ。
とはいえ落ち物パズルは,数え切れないほどのプレイを通じて,定石を強固なものにしていく過程も,また楽しい。リアルタイムのアクションパズルということで若干難しさは増しているものの,そのゲーム性も当然豊かになっているので,アンプラグドなパズルの類が好きな人にも,ぜひ一度はプレイしてもらいたいものだ。
落ち物パズルと音楽が融合した
“ミュージックインタラクティブゲーム”
バラエティ豊かなスキンのおかげで飽きのこないプレイが楽しめる。これは元気ロケッツの「Heavenly Star Skin」というスキンパック。Heavenlyにもほどがある心地よさが味わえるので,こればっかり遊んでしまう |
本作では,「スキン」と呼ばれる独特の概念が採用されている。スキンはいわゆる「ステージ」に相当する単位で,スキンが変わるごとに,背景のグラフィックスとBGMが変化していくという仕組みだ。
ルミネスシリーズでは,当初からグラフィックス/音楽に重きが置かれており,初代ルミネスでは,大沢伸一のソロプロジェクト「MONDO GROSSO」と,信近エリの楽曲が採用されている。またルミネスIIでは,RizeやKen Ishii,MUKU,そして同作を生み出した水口哲也氏がプロデュースする元気ロケッツなどが採用されており,スキンの背景に一部参加アーティストのPVが採用されたことでも,大きな反響を呼んだ(海外版では,ケミカル・ブラザーズやファットボーイ・スリム,ニュー・オーダーまで参加していたのだから驚きだ)。
ルミネスライブ!では今のところ,ルミネスIIほどの大々的なアーティスト攻勢にはなっていないが,追加ダウンロードコンテンツという形で,元気ロケッツの「Heavenly Star Skin」や,各種アーティストのコラボスキンが購入できる。筆者は「Heavenly Star Skin」と,秋冬テーマのスキンパック「Rockin' Holiday Pack」を即入手し,下手なりに楽しんでいるところだ。
ちなみに本作のスタンダードエディション(800マイクロソフトポイント)を購入した場合,12種類のスキンが(ゲームを通じてアンロックすれば)楽しめる。いずれもクールなデザイン/楽曲のスキンとなっているうえ,プレイヤーの操作と映像/音が微妙にリンクしているので,プレイの没入感はいやがうえにも高まる。電子音楽が嫌いじゃない人であれば,本作のグラフィックスと音楽は,無我の境地に導く一助になってくれるのではないだろうか。
Xbox Live アーケードならではの魅力と拡張性
ちなみに現在,ルミネスライブ!のスタンダードエディションは,Xbox LIVE マーケットプレースを通じて,800マイクロソフトポイントで購入できる。追加のゲームモードやスキンパックなどは,大体200〜600マイクロソフトポイント程度で購入でき,なかなかお買い得だ。
「落ち物パズルは携帯ゲーム機で遊びたいなぁ」と思う人も多いだろうが(筆者も一番遊んでいるのはPSP版ルミネスIIだが),ルミネスライブ!には,ダウンロードコンテンツという形で随時拡張パックなどが販売される拡張性と,Xbox 360のスペックを生かした美しいグラフィックス/音楽が楽しめるという利点がある。本作は音と映像に重きが置かれている落ち物パズルなので,「あえてXbox 360でプレイする」という選択肢だって,決して的はずれなものとはいえないだろう。
とりあえず筆者は,移動中や待ち合わせ中の暇つぶしとしてではなく,ゆったりできる家で一服しながら,音楽を聴くような感覚でプレイする落ち物パズルとして,ルミネスライブ!を嗜んでいきたいと思う。
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ルミネスライブ!
対応機種:Xbox 360(Xbox Live アーケード専用)メーカー:キューエンタテインメント
発売日:2007年3月7日
価格:800マイクロソフトポイント(スタンダードエディション)など
CEROレーティング:A(全年齢対象)
公式サイト:http://lumines.jp/
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ルミネスライブ!
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