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印刷2008/08/21 11:58

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天下統一しないV / 第4回:一領具足で 一万石で 長宗我部家[後編]

天下統一V 天下統一しないV
第肆回:一領具足で 一万石で 長宗我部家[後編]

 

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大内領で,強そうな敵将がいなかった丹波を制圧

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普通このイベントが起こると,味方が増えて嬉しいものだが,「大内家に対抗する勢力」は,現在我が家だけである。意味なし

 土佐(高知県)から播磨(兵庫県南部)へ,1万石から100万石へと成長を遂げた長宗我部家。だが大内家の覇業を食い止めるべく展開した外交が裏目に出,大内,六角,朝倉と都合700万石くらいの敵に囲まれるハメになったというのが,前回までのあらすぎるすじだ。この苦境にどう対応するかという宿題が,今回の課題としてまるまる残っているわけで……ええと,どうしたもんかな,これは。

 確かに困った状況ではあるが,見かけほど絶望的ではないと,冷静に分析してみる。なぜ六角と朝倉を同時に敵に回すハメになったのか? 石山本願寺の一件を別に考えるなら,それは六角と朝倉が敵同士だったことに起因する。つまり,どちらも我が家を相手にする以前に,互いを主敵として激烈な闘争を繰り広げているのである。畿内近国は,近江(滋賀県)北部あたりを最前線として一進一退の状況で,基本的にスタンドオフなのだ。
 というわけで,両家のことはセットで気にしない。六角家は丹波(京都府西部)の領有にこだわりがあるらしく,せっかく我が家が手に入れた城にも散発的に攻撃をかけてくるのだが,わざわざそこに割ける兵力は少ないようで,とうてい快進撃とはいえない状況だ。我が兵站基地たる播磨の安全が脅かされない範囲ならば,六角家との関係をこれ以上悪化させないことを優先し,丹波の領地は切り取られるに任せよう。

 

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とはいえ,大内勢の主力はこのインパクト。可能な限り足止めして,さっさと逃げるのが吉のようだ

 後門の狼二匹はそれでよいとして,問題は前門の虎たる大内への対抗策である。あちらは350万石,こちらは100万石。地力で決まるような戦い方をしたら,先に倒れるのはこちらだ。

 とはいえ, 100万石 vs. 350万石は,10万石 vs. 35万石ほどシビアではない。それはなぜか? 350万石分の兵力は,1点に集中するのがより難しいからだ。こちらが全軍を一丸にして運用すれば,個々の戦場での戦力比は1:2を割ることも多い。もし敵が比較的戦力を集中する傾向にあったなら,こちらは逆に分散させて,奪われる数以上の城を奪っていけば,長期的な形勢は有利に傾いていく。敵の出方一つなので戦いの場所や形をコントロールできないのが難点ではあるものの,それなりにしのぎ方はあるものだ。

 

 

茶釜や銘刀など要らん!

 

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大内家と石高が並んだ頃,所持金を比べてみた。石見銀山の収入をひたすら溜め込んだのか(?),大内家の資産は倍の石高を持つ山内上杉家すら,軽くしのぐ

 とはいえ,基本的な不利を覚悟で数合わせと部隊捌きに終始するばかりでは,あまり前向きとはいえない。この戦いを優位に運ぶべく,我が家に投入可能な材料はまだあるだろうか?
 ある,と思う。それは意外なことにお金である。このシリーズを長くプレイしている人ならピンと来るかもしれないが,本作ではプレイが進むにつれて資金がダブつきだす。自家他家問わず,大名家の基本的な情報はいつでも参照可能なので,しばしば見ていると厖大な資金を積み上げたまま滅びていく大名家の多さが目立つ。
 史実ではきっとそのお金が,安土城の天守閣や聚楽第の黄金の茶室,狩野派の襖絵や茶釜の名器に化けていったのだと思うが,天守閣以外はこのゲームで扱われない要素である。つまりお金のままだ。

 

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 小身とはいえ我が家でも,もはやお金は年貢の季節が来るごとに積み上がっていくばかりで,空気も同然になり始めていた。そして他家も,これをうまく使っている様子はない。このデッドストックを利用できれば,他家を出し抜く材料になるだろう。
 ここまで考えてくれば,答えは自ずと明らかだ。プレイの後半戦では兵力の補充にジャブジャブお金を使ってしまったほうが強いのである。序盤の感覚のまま「兵隊100人が1000貫文じゃ,自然回復に任せたほうがよい」と思い続けていてはいけない。どうせ余っているのだから。

 このゲームでは城主を「寄親」にして10人までの「寄子」を配属できる。武将各自の俸禄にもよるが,寄子をフルに付けたときの兵力は3000人前後。この兵力が野戦で敗走して雲散霧消したとしよう。即座に回復させるために必要なのは,銭3万貫とCP(コマンドポイント)13である。これは寄子/寄親関係を解き,全武将に兵を募集させ,再度編成した場合のコストだ。

 

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銭の話に関連して,今回召し抱えた豪商と文化人を。今井宗久,武野紹鴎は,どちらも茶人として有名

 

 史実において,米と銭の交換比率は常に変動していたわけだが,このゲームではシステム上固定されていて,銭1貫文=米1石である。つまり,軍団1個をまるまる復活させても,その年の年貢3万石分でしかないわけなのだ。序盤はとてつもなく高価に見え,後半では何ということもない金額に収まるのは,こういった理由からである。

 

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「天下統一」名物,生まれ変わり武将。宇喜多秀家の生まれ変わりが出てきたと思ったら,ほどなく病死して今度は「政治」能力16というテクノクラート候補に……。ただし「忠誠」が低すぎたため,縁組みでがっちり捉まえる

 

 ついでなので,これを江戸時代前期における貨幣価値で量ってみよう。小判1枚が1両で,これは一分金もしくは一分銀4枚分に相当する。そして1分=1貫文(ちなみに約1000文)だから,1両=4貫文である。つまりゲーム内の銭3万貫は,千両箱で七つと半分くらいだ。当時武具は自弁調達が前提だったとはいえ,現実には「お貸し具足」やら最低限の武器やらが必要だったであろうことを考えれば,そんなところかもしれない。「天下統一」シリーズの魅力としては,こういった基本的な定量性が確保されている点も大きいと,個人的には思う。

 

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 話をプレイに戻そう。一方でCP13はそれなりに大きいのだが,これについては本城に未編成の武将ストックを10人以上確保しておけば,寄子を全員交代させる“クイックチェンジ”が可能になり,当座CP2でしのげる。すなわち,寄子/寄親編成の組み直しで1,寄親武将の直率兵力補充で1だ。あとはCPに余裕の出来たタイミングで,本城に戻された元寄子武将に兵を募集させておけばよい。

 こうした体制をとることで,瞬く間に損害が復旧する我が軍は,大内に対して正面戦力比こそ不利なものの,時間軸方向の優位性を発揮できるだろう。さすがにAIは,よほど追いつめられない限りお金で兵を補充してないようだし。

 

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領地支配が落ち着くと,元大名格の人々が続々と仕官してくる。いったんゲームに登場した人は,要求俸禄が上がり,忠誠値が落ちていることが多い

 

 なお,戦力比が問題なら「兵農分離」策をやめて,農兵の大量動員方式に戻すのも一案であるように思える。ことに領地の規模が大きい播磨なら,大勢の農兵が駆り催せるはずだし。
 考えたすえ,今回はこの方法をとらなかった。理由は行軍負荷の大きさである。例えば播磨北西部から美作(岡山県北部)に入る道は思ったより険しいようで,「兵農分離」策による常備兵軍団でも,居城が遠いと届かなかったりした。

 

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戦線の移動に合わせて,本城も移していくがどうしても兵站線は東西方向に伸びる

 

 そのような戦場へ手弁当の農兵を連れて行こうとすれば,額面の何分の1まで動員可能数が減ることか。まして今回は中国地方をひたすら西に進むことになるため,兵站線は長くなりがちである。農兵の活用を考えるくらいなら,兵力の維持コストを「兵農分離」策で抑え,兵の数は武将の俸禄と持ち城を増やすことで補ったほうが,安定した作戦が可能と判断した。

 

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お家再興イベント。織田家がいつ滅びたかまったく記憶にないのはともかく,北条家の再興は城を七つくらい持っていくことも

 

 

まず500万石,次に上洛

 

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大内を追って九州に攻め入る展開が見えていたので,なんとなく太宰大弐に就任してみた

 まあそんな次第で。美作,備前(岡山県南部)からスタートした対大内戦は,押し合いへし合いを繰り返しつつも戦線を西に移していき,我が軍有利に傾いていった。
 敵を関門海峡の向こうへ追いやった時点で,我が方が350万石まで伸びる。大内は我が家と戦う裏で九州の制圧を進め,畿内の大内方豪族達を動員して紀伊(和歌山県)や河内(大阪府南部)を切り取り,六角家や朝倉家の所領にも食い入っていたため,まだまだ簡単には滅ぼせそうにないのだが,石高すら逆転したいま,もはや脅威ではない。

 

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そこで少弐家が召し抱えられるのは必然か(左)。九州と畿内で攻勢に出る頃,1ターン(1か月半)当たりの攻撃プロットはこんな数に(中)。明らかに加藤清正以外によって建てられた「隈本城」も陥落(右)

 

 周防灘を押し渡って豊後(大分県)を奪った段階で大勢は決したと判断して本城を摂津(大阪府北部)に移し,国親/元親親子の軍団で畿内の制圧にかかる。この間,畿内情勢は予想以上に都合良く進んだようで,馬首を返して丹波領の回復に着手する頃,六角家と朝倉家はちょうど200万石ずつ。朝倉がじりじりと押したものの,スタンドオフが解消されることはなかった模様である。

 

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この画面だと分かりにくいが,実は長宗我部国親の本隊が,大内義隆の本隊に蹴散らされた瞬間。正面からでは分が悪い時期も長かった

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この一騎討ちには我が家の家老,吉田重俊が勝利し,大内義隆は3か月後くらいに亡くなった。事実上,討ち取ったようなもの

 

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本城を攻め落とされた大内家からは,雪崩を打って投降者が出る

 

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 それはそれでちょっと不思議に思ったので,いろいろ見てみると,どうも両家は長きにわたる戦いで,互いに武将が死にすぎた様子。520万石の我が家に264人の武将がいるわけだから,200万石なら100人くらいが相場だと思う。ところがそれぞれ,30〜40人しか武将を抱えていない。どんな戦が展開されたのかあずかり知らないが,ここまで畿内情勢に関わらずに来て,本当によかったと思う……。

 畿内でも基本的には大内領から食っていき,次いでいまも宿敵のままの六角領をいただく。朝倉家とは普通の敵対関係で済んでいたため,こちらの石高がある程度大きくなった時点で和睦し,現在は中立状態である。

 

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朝倉家は手詰まりになるたびこちらに攻め懸かってくるため,何度か和平交渉を重ねている

 

 戦国ゲームでもなんとなく,人が大勢住んでいる地域への侵攻はグダグダにしたくないので,周辺地域を十分に制圧してから山城(京都府中央部)に入り,足利将軍の元居城,船岡山城を一気に落とす。

 

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 500万石を超え,さらに船岡山城を手にした長宗我部家は,「覇者」に認定された。ここまで触れてこなかったが,東日本はほとんど山内上杉家が手にしており,石高だけでいえば山内上杉家が625万石と,日本最強の勢力だった。しかし,見れば山内上杉家は覇者から「地方覇者」に格下げされている。十分な石高(500万石)を手にした以上,京都の支配こそがゲーム的優先目標でもあるのだ。

 朝廷との連絡が密になり,やたらともらえる官位を重臣達に分け与えつつ,石高を山内上杉家と並べた時点で,今回のプレイを終えたい。史実における小田原征伐よろしく,勝利条件上はこれから山内上杉家と大戦争をやるほかないのだが,もはや負ける要素は見当たらない。いまや長宗我部家は名実ともに覇者である。

 

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どちらも大内家からの流出人材と見られるが,この程度の禄高要求なら,いまの我が家には高くない。山内上杉と戦うときは,彼らが主役となるだろう

 

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今回,元主家の嫡男,一条兼定も召し抱えている

 幕府を開くのも悪くないが,ここは関白を目指したいところだ。摂関/羽林家に連なる一条家を滅ぼしたのは大内家であり,大内家を追いつめた我が家は,もともと一条家の家臣である。

 いまや我が家の家臣である一条兼定の猶子にでもしてもらえれば,摂政/関白への就任も,それほど筋違いではない……などと展望を思い描きながら,この記事を締めよう。まあ,またもや有名人の父親の代で覇業を終えてしまったことは,ぜひ不問の方向で……。

 

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石高はトップタイで,朝廷を支配下に置いた長宗我部家

 

 次回は想像するだに恐ろしい,姉小路家に挑戦する。

 

■■Guevarista(4Gamer編集部)■■
戦国時代よりはもう少し前の時代について,余計な蘊蓄(うんちく)を大量に抱えた4Gamerスタッフ。その意味で与えた禄は二度と減らせないとか,足利将軍を担いで都に入るとかいった割とフレーバーに留まる気もする要素に,大いに説得力を感じるそうで,破天荒な下剋上プレイは実のところ微妙な感じらしい。このゲームの場合,そこは諦めてもらうしか……。
  • 関連タイトル:

    天下統一V

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