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[GDC 2011]売価99セント。「Angry Birds」のブランド化成功事例
GDC 2011では,同社のCEOであるPeter Vesterbacka(ぺテル・ベステルバチュカ)氏がGDC初登場。「Angry Birds - A Entertainment Franchise in the Making」(生み出されつつある娯楽ブランド)というタイトルでセッションを行ったので,その内容をお届けしたい。
Angry Birdは「製品」ではなく「サービス」
わずか12名の開発チームが完成させたAngry Birds,リリース直後の売れ行きは芳しくなかったらしいが,地元フィンランドからスウェーデン,イギリス,そしてアメリカといった具合に人気が飛び火。世界70か国で何十週にもわたって人気第1位の座を守り続けていたので,プレイしたことはなくとも,聞いたことがあるという人は多いのではなかろうか。
今日(こんにち)では,PSPやAndroid,webOSにも移植されており,売り上げ総計は5000万本。モバイル端末向けゲームタイトルの怪物級ヒット作と評していいだろう。
確かに,99セントの「製品」だと,一度作ったら売るだけであり,任天堂のいう「使い捨て」に合致してしまうかもしれない。だが,Angry Birdsは発売以来,ほぼ2か月ごとにエピソード化されたレベルパックが次々と投入されるなど,アップデートが頻繁に行われてきた。このように,頻繁なアップデートを繰り返し,問題があれば修正しながら消費者の信用を得ていく「サービス」であると,Vesterbacka氏はAngry Birdsを位置づけている,というわけだ。
1つは氏が,「Angry Birdsの場合,ソフト面のアップデートが特徴的だった」と振り返る,「Mighty Eagle」(マイティ・イーグル)である。
Mighty Eagleは,建物を崩す方法がどうしても分からないときに発動できる“お助けマン”のような存在。投げつけたイワシの缶詰に反応して,どんな建物でも必ずぶっ壊してくれる鷲である。
この鷲は1匹99セントで,Angry Birdsのソフトと同じ値段だが,「レベルの攻略法に何日も悩むより,たった99セントで解決する」という方法を選ぶプレイヤーからの引き合いは高く,現在までに,Angry Birds本編プレイヤーのうち,40%を超える人々が購入しているという。
ゲームのDLCを購入する層は一般に10%程度と言われるので,顧客のニーズを相当にうまく掴んだといえそうだ。
Vesterbacka氏は,「イーサン君は,史上最も若いレベルデザイナーになった」と言って会場を笑わせていたが,こういった継続的なサービスが,Angry Birdsのファンを生み出し続ける源泉になっているのは間違いなさそうである。
“使い捨てでは終わらない”99セントタイトル
そもそもこのコマーシャルは,20th Century Fox(20世紀フォックス)が今春の全米公開を予定しているアニメーション映画「Rio」のものだったのだが,20th Century Fox側は,映画に出てくる「飛べない,丸い鳥」という設定がAngry Birdsの影響を受けたものであると認め,事前にRovio Mobileとの提携交渉も行っていたとのこと。その後,映画のタイトルも正式に「Angry Birds Rio」へ変わっている。
今回は映画だが,両社は,上手くいけばテレビアニメ化したいという思惑も持っているようだ。
99セントだから使い捨て,ではなく,使い捨てでは終わらない。“99セントゲーム”でデベロッパの目指すべき方向性の一端が示されたように感じられた。
→Rovio Mobile
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