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[GDC 2009#12]映画にも活用されるHavok物理エンジンの最新技術を写真とムービーで見る
Havok Destructionは,2年前のGDC07でも紹介したので,憶えている人もいるかもしれないが,Havokの技術はあれから順調に展開し,現在では,「X-MEN」「Harry Potter」などといった映画,あるいは,ソニー製テレビ「BRAVIA」などテレビコマーシャルの制作にも使われているという。
Havok Destruction
とはいえ,処理が重くて実用に堪えなければ意味がないわけで,これらをいかに軽くこなすかがキモといえるだろう。
なお,セッション中には,「木組みの橋梁を蒸気機関車が渡る」という動作デモが行われた。セッション中のムービー撮影は禁止されていたが,同じデモが(Havok.comの親会社である)Intelのブースではとくに禁止されず展示されていたので,こちらを直撮りで以下のとおりお届けしたい。
木組みがバラバラになるだけの,単なる剛体処理もあるが,ところどころで,木材が折れる複雑な処理も見て取れるはずだ。
Havok Cloth
デモでは,素材の違いによりさまざまな特性をもった布(?)の実装例や,身体にまとわりつくドレスの例が紹介された。後者について,Intelブースのデモ展示直撮りムービーで以下のとおりお届けするが,赤いドレスを着て踊るデモは,かなり完成度が高い。
Havok AI
Havok AIは,リアルタイムに状況を把握して最短経路を見つけるほか,身体の大きさに合わせて「通れるところ,通れないところ」といった判定を行い,状況に応じた経路を見つけ出す。
デモでは,入り組んだ城を通り抜ける例や,壁の破壊要素もあるシーンで300体のキャラクターと戦車などを同時に動かし,「避けられない場合は戦車に轢(ひ)かれる」という,凝ったサンプルが実演された。
通路が複雑に入り組んだ城内を通り抜けるデモ。身体の大きさのパラメータを変更すると,経路も変わってくる | |
こちらが,300体のキャラクターと戦車が入り乱れるデモ |
複数の技術を組み合わせて実用レベルで動作
“Larrabee Havok”への期待が高まる
Havok.comにとって,Havok DestructionやHavok Clothは,とくに「GDC09合わせの最新技術」というわけではないのだが,同社のほかの製品,それこそ「Havok Physics」やHavok Behaviorと組み合わせた用例が紹介されていたのが印象的だった。Havok Destruction,Havok AI,Havok Behaviorを組み合わせて使ったデモが,十分,実用レベルの速度で動く。
いまやIntel傘下のHavok.comだけに,「Larrabee」(ララビー,開発コードネーム)登場の折りには,きっとものすごいデモを見せてくれるのだろう。
ただ,ちょっと気になったのは,「Core i7-965 Extreme Editon/3.20GHz」に「ATI Radeon HD 4870 X2」を組み合わせたデモ機で動作していた機関車と橋梁のデモ――掲載したIntelブースでのムービーがそれだ――が,爆発の瞬間にカクっと止まって,コマ送りのようになっていたこと。撮影禁止のセッションで行われたデモだと,滑らかに動いていたのだが……。
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