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植松伸夫氏の懐かしの名曲を,中山博之氏がピアノ演奏。FFシリーズ生誕25周年記念ピアノコンサート「PIANO OPERA music from FINAL FANTASY」の模様をレポート
このコンサートは,植松氏が制作総指揮を担当し,中山氏がピアノで同アルバムに収録された楽曲を演奏するという内容で,大阪では8月3日にザ・フェニックスホールで,そして東京では8月11日に銀座ヤマハホールで開催された。今回は11日に行われた東京・昼の部を取材したので,その様子をお伝えしよう。
ヤマハホールのステージ中央に,グランドピアノが1台置かれ,中山氏が1人でピアノ演奏を行うという今回のコンサート。
演奏は初代FFの「プレリュード〜オープニング・テーマ」からスタート。美しく,そして誰の耳にも馴染み深い旋律に,来場者は皆うっとりと聴き惚れていた。そんな1曲目が終了し,中山氏の「植松さんの音楽を愛するいちファンとして精一杯演奏します」という挨拶とともに,植松氏がステージに登場。来場者からは盛大な拍手が贈られた。
植松氏はまず「ファイナルファンタジーはオーケストラやロックバンドのコンサートはあるけど,ピアノのコンサートは少ないんです。今年は25周年ということで,ファミコンやスーファミの頃の譜面に脚光を当てて,ピアノソロ用にアレンジするという企画からアルバムが完成しました」と語り,今回のコンサートについて,「せっかくなので生のピアノで聴いていただく機会を作ろうということで企画しました」と解説した。
続く演奏は「街メドレー」「バトルメドレー」「反乱軍のテーマ」の3曲。3曲といっても,反乱軍のテーマ以外はFF I・II・IIIよりそれぞれの曲をつなげたメドレーで,ボリューム的にもかなり聴きごたえのある内容となっていた。演奏後のMCで,中山氏は疲労によるため息を一つついたあと,「たくさんのボスと戦って,経験値とギルがたくさんもらえた気がします(笑)」と語り,来場者の笑いを誘っていた。
ここでステージには再び植松氏が登場し,中山氏とのMCコーナーへと移行する。植松氏に愛称の“ショパン”で呼ばれる中山氏は,「小学校の頃にソフトを買って,曲を耳コピして,音楽室のオルガンでそれを弾いて,みんなのヒーローになれました」というエピソードを明かす。
このMCコーナーでは,プログラムにある演奏予定以外の曲を,来場者からのリクエストとして受け付けるというおまけ企画もあった。しかし,来場者から「魔導師の塔」「遙かなる故郷」といった声が上がっているにもかかわらず,植松氏は「FFIVの愛のテーマね!?」と一蹴。爆笑のなか,結局「愛のテーマ」が中山氏によって演奏されることとなった。出来レースの感もあったものの,プログラムにない1曲が聴けたのは,来場者にとって嬉しい出来事だったのではないだろうか。
こうして和やかにMCコーナーが終了し,演奏が再開。「仲間を求めて」(FFVI),「離愁」(FFV),「幻獣を守れ!」(FFVI)が披露された。この3曲は,これまでアレンジされることが少なかったが,ファンの間でも好きな人が多いのだという。中山氏も「幻獣を守れ!」はとくに好きなのだが,オーケストラで演奏されるイメージが強く,ピアノ単色にアレンジすることに悩んだそうだ。しかし弾いていて気持ちのいい曲に仕上がったので,今回のプログラムに入れたとのことである。
続いてFFIIIの,ラスボスとのバトルシーン「最後の死闘」が演奏され,約1時間の第一部は終了となった。
約15分の休憩の後,後半の第二部がスタート。「魔導師ケフカ」(FFVI),「果てしなき大海原」(FFIII),「妖星乱舞」(FFVI)と,怒濤の演奏が続く。とくに演奏時間が長いことで知られる「妖星乱舞」は,このピアノアレンジでも15分近い内容となっており,その迫力に来場者の誰もが圧倒されていた。
そしてコンサートの最後を飾ったのは,FFVの名曲「ビッグブリッヂの死闘」である。テンポが非常に速く,ピアノによる演奏は難しいとされる曲であり,さらに大阪ではこの曲を演奏した際に,会場内のエアコンの風で譜面が飛んでしまうというハプニングがあったそうだが,今回はそういったこともなく,見事に演奏をやり遂げた中山氏に盛大な拍手が贈られていた。
最後のMCで,中山氏は「小学校のとき耳コピしていたことが現実となり,夢がかなった」と語る。続いて植松氏は「ファイナルファンタジーというシリーズが25年という長い時間を生きてこられたのは,皆さんの応援のおかげです」と語り,「好評なので,VII,VIII,IXのPIANO OPERAも作りたい」と,ファンに期待を持たせる発言を残して,ステージをあとにした。
そして終演後も鳴りやまない拍手に,アンコールとして再び2人がステージ上に登場。演奏の前に,植松氏より次のようなサプライズ告知が行われた。2007年より全世界で開催されているオーケストラツアー「Distant Worlds music from FINAL FANTASY」の日本公演が決定,今年12月に大阪と東京で開催されるという。日時や会場については現在調整中で,後日スクウェア・エニックスの公式サイトなどで詳細が発表されるとのことだ。
アンコールで演奏された曲は,FFVのリックスの村で流れる「はるかなる故郷」。ピアノにマッチした美しい旋律に,来場者の誰もがしっとりと聴き入り,演奏のすべてが終了した。
なお今回演奏された曲はすべて,アルバムPIANO OPERAで聴ける。FFI〜VIからの懐かしい曲ばかりが揃い,当時からのファンも大いに楽しめる内容になっているので,ぜひ一度聴いてみてほしい。
アルバムのジャケットにもあるクリスタルが会場のロビーに展示され,多くの来場者が記念撮影をしていた |
会場で販売するグッズにサインを入れる植松氏と中山氏 |
「PIANO OPERA music from FINAL FANTASY」セットリスト
【第一部】
1.プレリュード〜オープニング・テーマ(FINAL FANTASY)
2.街メドレー(下記がメドレー演奏曲)
街(FINAL FANTASY)
街(FINAL FANTASY II)
故郷の街ウル(FINAL FANTASY III)
3.バトルメドレー(下記がメドレー演奏曲)
戦闘シーン(FINAL FANTASY)
戦闘シーンI(FINAL FANTASY II)
戦闘シーンII(FINAL FANTASY II)
バトル1(FINAL FANTASY III)
バトル2(FINAL FANTASY III)
4.反乱軍のテーマ(FINAL FANTASY II)
5.仲間を求めて(FINAL FANTASY VI)
6.離愁(FINAL FANTASY V)
7.幻獣を守れ!(FINAL FANTASY VI)
8.最後の死闘(FINAL FANTASY III)
【第二部】
1.魔導士ケフカ(FINAL FANTASY VI)
2.果てしなき大海原(FINAL FANTASY III)
3.妖星乱舞(FINAL FANTASY VI)
4.ビッグブリッヂの死闘(FINAL FANTASY V)
【アンコール】
1.はるかなる故郷(FINAL FANTASY V)
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