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続・「リーグ・オブ・レジェンド」の不人気チャンプ,アーゴット様の話。リワークで大幅な変化を遂げて,誰だコイツは!
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印刷2017/07/29 00:00

プレイレポート

続・「リーグ・オブ・レジェンド」の不人気チャンプ,アーゴット様の話。リワークで大幅な変化を遂げて,誰だコイツは!

 2017年7月26日,「リーグ・オブ・レジェンド」の不人気チャンピオンである「アーゴット」が,ついにリワーク(設定や性能の見直し)された。リワークの話自体はずいぶん前から出ていたし,紹介ページも7月7日に公開されていたので,分かってはいたものの,ぶっちぎり不人気のまま長年放置されてきたので,アーゴット使いとしては感無量だ。
 どのぐらい不人気だったのかは,筆者の愛を込めた紹介記事を見てほしいが,今回のアップデート前までは,全135チャンピオン中ワーストクラスである。

 では,今回のリワークで,我らがアーゴット様は一体どのようなチャンピオンに生まれ変わったのか。さっそく見ていこうではないか。

世界中のアーゴット使い(何人いるんだろう)待望のリワーク。実装後から積極的にピックして本稿を書いてはいるものの,筆者もまだ研究中なので,間違ったことを言っていたらごめんなさい
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カッコイイ見た目のチャンプに大変身


 まずはビジュアルから。これまでは残念なおデブさんという感じだったアーゴットだが,新ビジュアルは意外にもカッコイイ。贅肉だるだるだった腹は引っ込み,機械化マッチョな雰囲気だ。スキンの見た目も大きく変わり,とくにやられ役のザコキャラにしか見えなかった「なんて巨大な カニゴット」は,今ではもはやレイドボスである。誰だコイツは

新旧カニゴットを比較。誘拐犯のザコキャラから,一気にボスに進化した。ゲーム内モデルも非常にカッコイイが,これまでのショボいモンスター感が好きだった人からは不評かもしれない
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 外見の変化で最も大きな部分は脚部だろう。これまであまり役に立っていなかった細い4本脚は,立派な6本脚となった。ゲーム内モデルの歩行モーションは必見のデキで,ガションガションと可動する脚は,カッコよさと同時に蜘蛛のような気味悪さも感じられる。多脚キャラとして,ようやくビジュアル面で個性を発揮できたといったところか。

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 設定も,仕方なく機械化で蘇生された元死刑執行人から,ゾウンの支配者と戦う残虐な機械人間に変更されている。これはこれで賛否両論あるとは思うが,個人的には,以前の“ガレンにやられただけで何の活躍も描かれていない”ストーリーよりは良いかと思う。一新されたアーゴットのストーリーは,公式サイトのユニバースでチェックできる。


スキルは全面的に差し替え


 続いて性能面を見ていこう。今回のアーゴットのリワークはかなり大規模で,スキルの性能はまるっきり異なるものになっている。

固有スキル:エコーフレイム
 アーゴットの脚部が巨大な6本脚になったと述べたが,なんとこの脚のデザインはスキルの効果に直結している。「エコーフレイム」は,通常攻撃時にその方向にある脚から炎を放ち,扇状の範囲内にいる敵ユニットに物理ダメージを与えるというもの。一度炎を放つと,その脚はクールダウンに入ってしまうので,効率よくダメージを与えるには「違う脚を敵に向ける」ことが必要となる。つまり,6本の脚から出る炎を全部当てようと思ったら,「敵の周りをぐるぐる回る」という,独特の操作を行わなければならない。

脚部の向きは,進行方向に関わらず常に固定。「どの脚を敵に向けるか」を考えながら戦うのが重要だ
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Q:コラプトシェル
 もともとEのスキルだった「コラプトシェル」はQに。指定地点に榴弾を発射する範囲攻撃だが,着弾してから若干の間をおいて爆発するので,当てるのに慣れが必要になった。
 敵チャンピオンに命中させるとダメージとスロウを与え,さらにロックオンする効果も健在。攻撃の要となるスキルであることに変わりはない。

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W:パージ
 自身にシールドを展開し,一定時間近くにいる敵に速射攻撃を加えるスキル。通常攻撃ができなくなるが,右腕から弾丸を撃ちまくり,さらにクールダウン中でなければエコーフレイムも発動する。ロックオンしている対象を優先的に狙うので,コラプトシェルを当てた相手を蜂の巣にしてやろう。逆に言えば,ロックオンしていなければお話にならない。
 リワーク後のアーゴットは防御スキルがこれだけなので,使用中は非常に硬いものの,効果が終わるとあっさり死ぬ。発動中は移動速度が低下する欠点もあるので,使うタイミングが重要なスキルだ。

メカモノで「パージ」というと,装甲などを捨て去り高速で移動しそうなイメージだが,アーゴットの場合は,むしろ移動速度が低下する。おそらく追放,一掃,粛正といった意味でのパージだ
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E:ディスデイン
 指定方向に突撃して,敵チャンピオンを自分の後ろにぶん投げてロックオンする。これまでのアーゴットにはなかった,待望のダッシュスキルだ。ただし,壁は抜けられないし,発動時にタメが入るうえにダッシュ距離も短いので,逃走や追撃の性能はそれほど高くない。
 このスキルのポイントは,後ろに投げるので,後方の脚のエコーフレイムを発動させられること。乱戦中に効率よくエコーフレイムを使うのに便利だ。ディスデインが当たらない距離では,ろくに火力を出せないとも言える。レーン戦中のGank合わせなどにも活躍するだろう。


R:デスグラインダー
 ビーコン付きのドリルを発射し,最初に当たった敵チャンピオンの移動速度を低下させ,ロックオンする。これ自体はただの方向指定の長射程攻撃といった感じなのだが,面白いのが追加効果。刺さった相手の体力が一定以下になると再発動が可能になり,それによって敵を自分の位置まで引き寄せ,処刑する。引き寄せまでにアーゴットが倒されない限り,問答無用でトドメをさせてしまえるのだ。ついに,アーゴットが処刑人らしいスキルを覚えたのである。
 処刑に成功すると,周囲の敵に恐怖を与える効果もある。

デスグラインダーの処刑が発動すると,捕まった敵は死体すら残らず粉砕される。恐怖効果を与えるのも納得だ
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 なお,ここまで読んだ聡明なサモナーはお気づきかもしれないが,なんとリワーク後のアーゴットには,代名詞であった面白スキルの「ハイパーキネティック・ポジションリバーサー」がない。もう一度言うが,ハイパーキネティック・ポジションリバーサーがない。そ,そんなぁ……。


戦い方は全然違う。純然たるジャガーノートに


 上記のスキルを踏まえると,アーゴットの戦い方はどう変化したのか。あくまで,実装後それほど経っていない状態でプレイしてみた感想だが,大きく変わったと言ってよいかと思う。

 これまでのアーゴットは,レーン戦では「EQQQ」のシンプルな長射程コンボで一方的にダメージを与えて有利を作ることが得意だった。また,敵の攻撃を低下させる固有スキル,テラーコンデンサーのシールド,そしてハイパーキネティック・ポジションリバーサーによる強烈なダメージ軽減と,スキルだけでかなりの耐久力を得られたのも大きな特徴だ。
 ハイパーキネティック・ポジションリバーサーによる,対象指定での拘束力も強力だった。

 では,新アーゴットはどうか。まず,射程がかなり短くなっている。元から遠距離にしては短かった通常攻撃の射程がさらに短くなり,連射できて長射程だった「アシッドハンター」も削除されているからだ。もはや「変わったマークスマン」ではなく,純然たるジャガーノートになっており,「メレーよりは長い射程を活かした近接戦闘」が得意なチャンピオンという印象。強力なエコーフレイムとシールドを活用して,メレー相手に有利なダメージ交換を仕掛けていくのが基本の立ち回りだろう。
 メレー相手ということで,適正レーンはトップだ。射程の関係上,ボットでマークスマンと言い張るのは,さすがにもう無理がある。ジャングルもできないことはないが,クールダウンの関係で回るのが早いわけではなく,機動性も低いので,強くはないと思う。

トップで対面したくないのがティーモ。レンジの関係でこちらから仕掛けようがないうえに,対象指定のブラインドで生命線のパージが当たらない。ああ,Rでミンチにしてやりたい
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 トップレーンも慣れるまでは大変そうだ。エコーフレイムを発動するための位置取りが独特なうえに,序盤はクールダウンが非常に長く,攻撃を仕掛けるタイミングの判断が難しい。また,エコーフレイムは勝手に発動してしまうので,レーンを押してしまいやすく,逃げ性能が低いアーゴットではGankに来てくださいと言っているようなものだ。これまでのアーゴットは,逆にプッシュ性能が皆無で困っていたので,レーンでの立ち回りはまったく異なる。
 さらに,エコーフレイムの発動条件に加え,アシッドハンターがなくなったことで,ラストヒットを取るのが難しくなったのも,難点と言えよう。
 コラプトシェルとパージのクールダウンも序盤は長いので,使いどころは慎重に見極めたい。

 集団戦では,いかにロックオンして敵に貼り付けるかがカギになる。狙うべき相手をロックオンできたら,速射とエコーフレイムを叩き込んでいこう。以前ほど敵を拘束できないので,ピール役よりは前線で暴れたほうが活躍できるはずだ。
 アーゴットならではの働きがしたければ,デスグラインダーの処刑効果を使えるかどうかにすべてが掛かっている。逃げる敵を確実に仕留められるのは非常に強力だが,集団戦でトドメを刺したい相手にきっちり当てるのは難しく,狙いすぎて使いどころを失うこともしばしば。処刑ができない場合,デスグラインダーの威力は低いので,使い勝手はイマイチだ。成功すれば,派手でカッコイイのだが。

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 アイテムビルドについては,連発できるスキルがなくなったので,初手で「女神の涙」を購入して,「ムラマナ」を目指す必要はなくなった。というか,スキルのクールダウンが長すぎてマナに困ることはなくなったし,買ったところでスタックが溜まらない。
 一方,もう1つの必須アイテムだった「ブラック・クリーバー」との相性はさらに良くなっている。というのも,パージの速射は一発ずつ通常攻撃判定が発生するので,物理防御低下効果が一瞬で最大まで発動する。ちなみに,マスタリーの「戦いの律動」も同じ理由で一瞬でスタックが溜まるし,コントロールワードも即破壊できる。

 また,固有スキルの攻撃低下効果やハイパーキネティック・ポジションリバーサーがなくなったことで,守りに使えるスキルも減ってしまった。そのぶん,パージのシールド量は高いのだが,前線に飛び込み,さらにエコーフレイムを使うために敵に張り付かなければならないので,これまでよりも防具が欲しくなるシーンは増えるだろう。
 とはいえ,タンクに仕上げても,行動妨害スキルに乏しいアーゴットではイマイチ。今のところ,武器を優先して必要に応じて防具を追加すべきな気はしているが,悩ましいところだ。

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個性が際立ち,一貫性のあるスキルの効果に


 まとめると,「シールドの硬さを頼りにロックオンした相手を狙い続ける」という基本的な戦闘の流れは,リワークされてもアーゴットのままと言える。ただし,マークスマンからジャガーノートになったことで,レーン戦の立ち回りや集団戦での位置取り,役割が大きく変わったので,以前と同じ感覚で戦うと,あまり活躍できないだろう。

 今回のリワークの良いところは,多脚の機械系キャラという特徴を際立たせつつ,一貫性のあるスキルの効果になったことだろう。ロックオンして乱戦に持ち込み,執拗に狙い続け,処刑する。言ってしまえば「突っ込んでシールド貼りながら殴る」系のキャラになったわけで,強みが分かりやすい。個人的には,これまでのちぐはぐだが個性的なスキルが好きだったので,物足りない気もするが,リワーク後は処刑成功時の気持ちよさという,新たな魅力を感じているのも確かだ。

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 リワーク後の欠点は,機動力が低く,敵を捕まえる能力も高くないくせに,敵に張り付かないと何もできないこと。接近できたとしても,ブリンクスキルなどでパージの射程外に逃げられると火力はガタ落ちなうえ,自身の移動速度は低下しているので追いかけることもできない。
 同様の欠点を持つトップレーナーとしては,「モルデカイザー」や「イラオイ」といった前例はあるものの,彼らは代わりに“ハマれば一気に集団戦をひっくり返すほどの爆発的な火力”を持っている。それに対して,アーゴットが得意なのはシールドを貼りながら継続的なダメージを与えることであり,勝利のためにその特徴をどうやって活用していくかは,しばらく研究が必要になりそうだ。

 これまでアーゴットを使いこんできた筆者の感想としては,「リワーク自体は成功だと思うけど,もうちょっとバフがほしい」といったところだ。好きだから使っているが,趣味以外で,あえてリワーク時点のアーゴットを選ぶ理由を問われると,明確な強みと言えるほどのものが思いつかない。もし,プロプレイヤーが「新しいアーゴット超強い!」と言い出したら,筆者はデスグラインダーで処刑されるしかなくなるが。
 強みが分かってきたらランク戦に投入してみたいと思っているが,リワーク直後はBANされることが多く,満足に使えるのはもう少し先になりそうだ。というか,リワーク前から「Faker選手の真似をしてか,名前の順で一番先頭のアーゴットをBAN」というのをたまに見るのだが,お願いだからやめてほしい。切実である。

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