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ミステリー界の重鎮,西村京太郎さんも駆けつけたPSP「西村京太郎トラベルミステリー 悪逆の季節」発売記念カンファレンスレポート
本作はトラベルミステリーで有名な小説家,西村京太郎さんが原作と監修を務める本格推理アドベンチャーゲームだ。本作の開発者および西村京太郎さんが登場した,カンファレンスの模様をお伝えしよう。
和田氏は,3DO用ソフトとして発売された同名タイトルのリメイクである本作について,3DO版はゲームファンや「ドラゴンクエスト」シリーズの産みの親である堀井雄二氏に絶賛された作品だったと述べた。
3DO本体の普及台数が十分ではなかったこともあってか,当時はあまり注目されなかったが,今回,より多くの人に「悪逆の季節」を遊んでもらいたいという想いから,普及の進んだPSPでリメイク版を制作するに至ったと語った。
ちなみに,西村京太郎記念館がカンファレンス会場となったのは,西村さんからの提案によるものだったそうだ。
続いてプロデューサーの中野 魅氏が登場し,本作の紹介を行った。
本作には,西村作品では欠かすことのできない,十津川警部と亀井刑事のトツカメコンビが登場する。張り込みや尾行,そして時刻表トリックの解明などの捜査術を駆使して,「ボウガン殺人事件」をきっかけに次々と起こる連続殺人の謎に挑むという内容になる。
また,「『悪逆の季節』はゲームのためだけのオリジナルストーリーで,小説やドラマのファンも新鮮な気持ちで楽しんでもらえるのではないかと思います」と述べ,小説やドラマのファンにもプレイしてもらいたいと語っていた。
つまり本作には,西村さんの作品のファンがゲームをプレイしたり,ゲームをプレイした人が西村さんのほかの作品にも興味を持ったりするという相乗効果も期待されているようだ。
カンファレンスの締めとして,いよいよ西村さんが登場して中野プロデューサーを交えたトークセッションが行われた。最後に,そのトークセッションでの質疑応答をまとめてお届けする。
――本作はどのようなストーリーなのでしょうか?
中野 魅氏(以下,中野氏):
まず東京で謎の殺人が起きます。これを十津川警部が捜査していく中で,今度は南紀白浜で次の殺人が起こってしまうんです。最初この二つは別々の事件と思われていたんですが,少しずつこの二つはつながりがあるんじゃないかと十津川警部が考え,その方向で捜査が進んでいくという展開になります。
――東京と南紀白浜という距離のある場所の点と点を結ぶ線が徐々に見えてくるわけですね。
中野氏:
はい,まさにトラベルミステリーというわけです。
――西村さんの作品をゲーム化するにあたって,気をつけた部分はどこでしょうか。
中野氏:
やはり十津川警部ですね。いろんなメディアで彼は出てくるわけですが,このゲームでの十津川警部はどう物語を展開していくのか,プレイヤーが彼をどう操作してどう推理すれば楽しくなるのか,といった部分は非常に気を使いました。
――トラベルミステリーをゲーム化する楽しみってどんなところですか?
中野氏:
こういった題材のゲームを作っていると,いろんなところに取材に行くんですけど,取材じゃなかったら絶対に行かないようところに行くのが楽しかったりしますね。
――西村さんは,自身の作品がゲームになることについてどのように考えていますか?
映像関係の作品はやはり小説とは違うので,すごく嬉しいと思っています。そこから影響されることもありますしね。映像作品を見て,ここの部分はこうしたらかっこいいなとか。
――西村さんはゲームを見てどのような印象を持ちましたか?
西村さん:
十津川警部が少しカッコ良すぎなんですよね。自分ではもっとドロ臭いんじゃないかと思ってるんです。でも,だんだん原作のほうの十津川もカッコよくなっていってるんですよね。だんだん設定が変わって,最初は165cmだった身長も今は173cmになっちゃって,かなり伸びたんですよ(笑)。
――西村さんはゲームで遊んだりしますか?
西村さん:
ええ,やります。サスペンス系は好きなんですけど,ピョンピョン跳んだりするアクションゲームは苦手ですね。もう手が追いつかないです。サスペンスなら,自分で考えてじっくりできますよね。でもこの前,自分のゲームをやったら難しかったです(笑)。
――西村さんは,列車に乗ったときに細かいところまでチェックしているんですか?
西村さん:
はい。一両編成でもチェックしますよ。トイレがついてるか,ついてないかとかだけでもトラベルミステリーって変わってきますからね。「これならトイレに死体隠せるな」とか。トイレがないと死体は隠せませんからね(笑)。あと窓が開く/開かないも気になりますね。それによってもだいぶ違ってきますから。
――ゲームをプレイする人に注目してほしい部分はどこでしょう?
中野氏:
今回はプレイヤーが十津川警部になって捜査本部を指揮する立場になります。聞き込みや,証拠集めを地道にやって事件の謎を少しづつ解いていき,だんだん真相に迫っていくというミステリーならではの展開を楽しんでほしいです。
あとゲームなので,プレイヤーが大切な証拠品をスルーしてしまうこともあり得ます。やる人によって展開が違ってくるというのはゲームならではの醍醐味だと思います。
――西村さんの今後の展望をお聞かせいただけますか?
西村さん:
あと2,3年で500冊くらいだと思うんですけど,それまで頑張りたいですね。500冊までいったら,少し休もうかなと思っています。
――最後に,このゲームをプレイする人にメッセージをお願いします。
西村さん:
とにかくゲームを楽しんでほしいですね。ついでに原作も読んでやってください(笑)。
- 関連タイトル:
西村京太郎トラベルミステリー 悪逆の季節 東京〜南紀白浜連続殺人事件
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