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[GDC 2010]マニフェストは「ゲーマー第一主義」。AMD,PCゲーム産業への積極的な取り組みを宣言
Dessau氏は,「この新しいエコシステムにおいては,ゲーマーやゲームデベロッパからの要望を受けて,製品ロードマップを調整する可能性もある」とまで述べ,これまで以上に,市場ニーズを反映した製品開発を進めていく考えを示している。
「オープンスタンダード」で攻めに転じるAMD
なぜ,このタイミングでAMDは積極的なアプローチに出たのか。その背景には,DirectX 11と,ATI Eyefinity(以下,Eyefinity)の成功があるようだ。
AMD(および旧ATI Technologies)は,DirectX 11におけるテッセレーションや,GDDRメモリの標準化など,これまで数多くの業界スタンダード構築に貢献してきたと謳うスライド |
AMDは,BulletPhysics.orgやPixelux Entertainmentらとともに,Open Physicsイニシアチブを推進する |
また氏は,オープンソースの物理演算ライブラリ「Bullet」(Bullet Physics Library)がOpenCLとDirectCompute 11に採用されたこと,そして,Pixelux Entertainmentの物理演算エンジン「DMM 2」(DMM:Digital Molecular Matter)がOpenCLアクセラレーションに対応したことなどを明らかにし,幅広いゲームプラットフォームで物理演算環境を実現可能な,Open Physicsイニシアチブを積極的にサポートしていく姿勢を見せる。
今回は,そのコンセプトのみが明らかになっただけだが,Open Stereo 3Dでは,Eyefinityによるマルチディスプレイ表示への対応も組み込まれることになっているという。
ゲームデベロッパへの支援も充実へ
それによると,EA DICEが「Battlefield: Bad Company 2」を開発するに当たっては,DirectX 11やEyefinityに対応すべく,同社オリジナルゲームエンジン「Frostbite 2」の改良に協力。結果として,ダイナミックシャドウにおける描画品質の向上や,ゲームパフォーマンスの引き上げを実現できたという。Eyefinityによる3画面出力で得られる広い視野は,マルチプレイにおいて有利に働くともアピールした。
説明会では,Battlefield: Bad Company 2のプロダクトマネージャーを務めたElectronic ArtsのKevin O'Leary(ケビン・オリリー)氏が登壇。「FrostbiteエンジンをDirectX 11へ対応させるに当たって,(描画品質およびパフォーマンス向上の両面で)AMDからは多大なるサポートが得られた」と謝辞を述べていた |
「Aliens vs. Predator」を開発したRibellionのCTO,Chris Kingsley(クリス・キングスレイ)氏。「AMDは気前よく最新ハードウェアを渡してくれるのでうれしい。残念だったのは,Eyefinity対応ディスプレイがもらえなかったこと(笑)」と述べて笑いを取りつつ,DirectX 11周りの実装においてAMDのサポートは大きかったとした |
氏いわく「ゲームデベロッパやゲーマーが,最高のゲームプレイを行えるようにするのが,AMDの技術支援におけるゴールだ」。自社プラットフォームに縛りつけるような支援を意識的に避けてきたのが,デベロッパと長期に亘(わた)って良好な関係を保ってきた理由であると語っている。
旧ATI Technologies時代から受け継がれるゲームデベロッパ支援体制は今後も変わらないという |
AMDのデベロッパサポートチームは,9言語に対応し,世界30か国以上で展開中とされる |
なお,NVIDIAがマルチディスプレイ+3D立体視の「3D Vision Surround」を推進しようとしている点について,前述のRobinson氏が「ゲームの可能性を広げるという観点から,NVIDIAがEyefinityと同様のマルチディスプレイ環境を普及していくことは歓迎する。ただ,自社製品に縛るようなやり方でない場合に限るが……」と,NVIDIA PhysXなどでゲームデベロッパを縛る,NVIDIAの姿勢を揶揄することは忘れなかったことも付記しておきたい。
「AMD Gaming Evolved」プログラムを開始
継続的な支援に期待
これは,AMDが進める「AMD Fusion Partner」プログラム――AMDとパートナー企業による,革新的な製品の創出を支援する目的で2009年9月に開始されたもの。CPUとグラフィックス機能を統合する「Fusion」とは別――の一環。ゲームデベロッパに対する技術支援やマーケティング支援などを通じて,PCゲーム産業の継続的な発展を支えていこうというわけである。
その背景には,「DirectX 11タイトルの制作には,DirectX 9版やゲーム機向けタイトルとは,まったく異なるプログラムレベルのアプローチが必要になり,結果としてデベロッパ側の負荷が増大している」ことがあるようだ。一方のデベロッパ側は,DirectX 11によるグラフィックス品質の向上や,Eyefinityによる新しいゲームプレイ環境の実現は,PCゲーム市場の明るい将来を切り開くうえで重要な武器になると捉えており,AMDとの利害も一致する。
あとは,どこかの国の政権与党のように,なし崩し的に尻すぼみになってしまうことなく,この「ゲーマー第一主義」というマニフェストが貫かれるのを祈るばかりだ。
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(C)2009 Advanced Micro Devices, Inc.
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