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スクウェア・エニックスから発売予定のサバイバルホラー「シンギュラリティ」の秘密に迫る。海外ゲームファンは要チェック
4月28日に掲載した記事でもお伝えしたように,スクウェア・エニックスは,「シンギュラリティ」(PlayStation 3/Xbox 360),「ケイン アンド リンチ2 ドッグ・デイズ」(PlayStation 3/Xbox 360),「ブラーレーサーズ」(PlayStation 3/Xbox 360),そして「スプリームコマンダー2」(PC/Xbox 360)を2010年上期中にリリースすることを明らかにした。これにあわせて,海外タイトル専門ブランド「エクストリーム・エッジ」を立ち上げ,国内販売を受け持つActivisionタイトルや,傘下のEidosが制作したゲームの販売およびサポートを行っていくとしている。昨年(2009年末)の「コール オブ デューティ: モダン・ウォーフェア」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)で勢いのついたスクエニの海外ゲームは,2010年,さらに加速するようだ。日本はもうすっかり初夏だが,洋ゲー好きの人達には春が来たのである。
「エクストリーム・エッジ」公式サイト
「シンギュラリティ」公式サイト
スクウェア・エニックスは,各タイトルのプレイシーンなどをメディアに向けてあらかじめ公開しており,本日,同社からスクリーンショットやムービー,そして資料などが届いた。というわけで,順ぐりに紹介していこうと思うのだが,まずはリリース予定の4作の中からまず,シンギュラリティについて紹介していきたい。
個人的には,2009年ドイツのケルンで開催されたゲームイベント,GamescomのActivisionブースに展示されていた「Singularity」をプレイして以来(関連記事)の久々の再会である。あのときブースにいたActivisionの担当者はすぐにでも発売されるようなことを言っていたが(←うろ覚え),その後,新情報がぱったり途絶えてしまったタイトルだ。
Gamescomのレポートにも書いたような気がするが,そのときはまだ荒削りなところが残っており,時間を操作するパズルもいま一つ魅力に欠けていたものだった。
2009年のホリデーシーズンに発売された大作,Call of Duty: Modern Warfare 2との競合を避けたということもあるだろうが,それよりも,そうした評価を多くのメディアから受けたことから,制作を巻き戻してさまざまなところを作り込んでいたという話だ。実際のプレイシーンが見られたシンギュラリティは,良い意味で8か月前とはずいぶん違った雰囲気になっていた。
開発はActivision傘下のRaven Softwareが行っており,ここは1990年代初めからゲームを作ってきた老舗デベロッパの一つ。「Soldier of Fortune」(2000年),「Quake 4」(2005年),そして「Wolfenstein」(2009年)など,大作/話題作の経験も豊富なメーカーである。
シンギュラリティは「時間」をテーマにするFPSで,主人公はアメリカ軍の偵察部隊に所属するパイロット,ネイト・レンコ。本人の名前がロシア風であることとはたぶん関係ないが,ある日,彼の所属するチームはカムチャツカ半島の沖に位置するロシアの謎の島の調査を命じられる。他国の領土を侵犯する以上,完全な隠密行動が要求される特殊任務だ。しかし,レンコ達がその島に接近したとき,謎の大爆発が発生してヘリは墜落。生き残った彼は,島の秘密を解き明かしつつ,なんとしてもそこから脱出しなくてはならないという状況に陥る。
その島のどのへんが謎なのかというと,東西冷戦が始まったばかりの60年前,ソビエト連邦の独裁的指導者スターリンの命令によって,新たな革命的エネルギー源の実験が,この島に置かれた収容所で行われた。だが現在,この島では何らかの大事件がおこったようでソ連政府は島を封印した。とはいえ,異常事態は60年後の現在も続いており,他国のことながらそれを憂慮したアメリカ政府がレンコ達を派遣したらしい。
島には実験施設の無残な廃墟が残っており,誰も住んでいないはずなのに,怪しい人影が見え隠れする。そして,レンコがとある建物の奥に進んでいくと,突然フラッシュバックが起き,60年前に起きたことが目の前に再現されたりするからビックリだ。
“シンギュラリティ”という単語にはいろいろな意味があるが,本作のタイトルが意図しているのは「特異点」という意味だ。島にある特異点を中心に時空にゆがみが生じており,過去の出来事がフラッシュバックするだけでなく,60年前の世界に放り出されることさえあるというから,二度ビックリ。
膨張する特異点。逃げ惑う人々。今がいつなのか分からないまま,レンコは死にかけていたある人物を助け出す。直後,ふたたび元の時代に戻ったレンコが見たものは「マジすか?」……という感じのバックグラウンドストーリーが用意されている。
ゲームが進むと,レンコはTMD(タイム・マニュピレーション・デバイス)と呼ばれる謎のアイテムを手に入れることになるのだが,これは,狭い範囲の時間を進めたり遅らせたりできるという驚異的なシロモノ。これもまた,この島の秘密と関係があるのだが,詳しくは分からない。
Gamescomのリポートでも書いたが,壊れた橋に向けて時間を巻き戻すと,元の姿に戻って渡れるようになったり,壊れたスイッチを元どおり使えるようにしたりと,これを使ったパズルがいろいろと用意されている。謎解きだけでなく,時間を進めて敵をミイラにしちゃったりなど,戦闘でも使える。
敵としては,異形のクリーチャーなどが出てくるのが確認でき,「Unreal Engine 3」によって細かく描かれた廃屋の雰囲気と相まって,全体としては密室系ホラーといったムードが濃厚だ。1950年代のソ連の秘密施設だけに,ちょっとレトロな感じのアイテムも多数登場するので,それもまたグッド。また,実際には確認できなかったものの,不気味なクリーチャー以外に――それが誰なのか詳しくは教えてもらえなかったが――銃を撃ってくる国籍不明の敵兵士などが登場してきて,プレイヤーを窮地に陥れるのだ。
武器も1950年代風のものから現代的なものまで豊富に用意されており,このあたりの,「FPSとしての基本的な出来」については,ベテランのデベロッパが開発しているだけに,十分期待できるだろう。
ゲームは基本的にオープンエンドではなく,リニアな一本道だが,ある程度のルート選択の自由はあるという。ゲーム全体が似たようなロケーションではちょっと辛いかもしれないが,同じ場所が時代によって異なって見えるのであれば面白いだろう。また,体力回復は,最近のタイトルで一般的になっている自動回復ではなく,アイテムによるもの。アイテム探しのためのマップ探索も,重要な要素になりそうだ。
雰囲気の良いグラフィックスと,爽快感のある戦闘シーンが印象的な本作だが,このゲームの評価はおそらく,TMDを使ったパズルと物語の展開によって決まるだろう。プレビューではあまり見せてもらえなかったが,壊れたものを単純に直すだけでなく,時間をうまく使った面白いパズルがどれだけ用意されているかが最も興味深いところ。時間をテーマにしたFPSは過去にもいくつかあるが,いずれも時間操作をうまく使い切れているとはいえなかった。シンギュラリティの出来映えが楽しみである。
また,物語についても未知数だが,タイムパラドックスをテーマにしたSFには面白い作品が多いので,こちらも期待したい。果たして,60年前に起きた事件とは? レンコは無事に元の世界に戻ることが出来るのだろうか? シンギュラリティの発売は2010年が予定されている。
「ケイン アンド リンチ2 ドッグ・デイズ」紹介記事
「ブラーレーサーズ」紹介記事
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(C)2010 Activision Publishing, Inc. Activision is a registered trademark and Singularity is a trademark of Activision Publishing, Inc. All rights reserved. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.
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