ロシアならではのクエストも登場！　高クオリティを誇るブラウザMMORPG「フラゴリア」先行レポート

　9月10日，ブラウザMMORPG「フラゴリア」のオープンαテストが開始となる。フラゴリアはロシアで開発され，ブラウザゲームの本場ドイツをはじめ，2009年後半には中国，北米，日本など世界各国で展開を予定しているタイトルだ。

古くからの洋RPG好きには，何となく懐かしい感じのするスクリーンショット。しかしよく見ると，その思い出より数段美しいグラフィックスであることに気づかされるはず

　本作の最大の特徴は，本格的なMMORPGがFlash上で動作するところである。そのクオリティは，システムおよびグラフィックスいずれの面から見ても，独立したクライアントを持つ2DグラフィックスのMMORPGと遜色ない。また推奨環境を満たしていれば，ゲーム用に特化したPCでなくとも，高いクオリティを再現できる点も大きなポイントだろう。今回，4Gamerではアクワイアにお邪魔し，ローカライズの真っ只中のフラゴリアに実際に触れてみたので，さっそくレポートしよう。

「フラゴリア」公式サイト

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本格的な作りである一方
ブラウザゲームとしての手軽さも重視する日本展開

　本作の舞台となるのは，200年前に世界地図から消えたという伝説の大陸「フラゴリア」。豊かな自然に恵まれたこの大陸は，ある日，巨大な地震に襲われる。さらに地震によって発生した地表の割れ目から謎の光が発生し，大陸を包んだ。光が消えたあと，大陸のあったところには一面の海が広がっていたのである。

スタート地点。ここからチュートリアル用の四つの初期マップのいずれかに移動できるが，どこにいってもプレイ内容はほぼ同じ

　さてフラゴリアはどうなったかというと，実は大陸ごと異世界に飛ばされていた。その影響で，死者や動物はモンスター化し，生き残った人間を襲うようになったのだ。そうした厳しい環境の中，識者達の研究により，大陸中に散らばった謎の光の欠片を集めれば，元の世界に戻れるかもしれないことが判明する。そこでプレイヤー達は，光の欠片を求めて荒廃した大陸を冒険することとなったのである。

最初は武器の装備や戦闘のやり方などを学ぶ。何かしらMMORPGをプレイしたことがあるなら，まず迷うことはない

蘇生手段を学ぶクエスト。いきなり死亡状態になるので，知らないとかなりビックリしてしまうかも

　……と，いかにもファンタジーRPGといった趣きの設定で始まるフラゴリアだが，実際のゲーム内容もMMORPGとしてビックリするほどオーソドックスだ。操作はW/A/S/Dキーによる移動，Tabキーによる攻撃対象のターゲット，数字キーによるスキル発動のショートカット。広大なマップにはダンジョンが配置され，その奥にはボスが待ち受けており，討伐すればレアアイテムをドロップすることもある。また転職やペット，あるいはPvPやオークションといったプレイを拡張するシステムも一通り揃っており，精緻に描かれるグラフィックスと相まって，ともすれば本作がFlash上で動作しているMMORPGだということを忘れてしまうほどである。

廃鉱山のダンジョン。作業中に死んでいった人々の無念が，モンスターとなってプレイヤーに襲いかかる	PvP専用エリア。水面には倒された人々が浮かんでいる。このほか，1対1で決闘するタイプのPvPも用意される
雲の上にあるフィールド。クエストで赴くことになるのだが，あまり広くはない	こちらは海中のフィールド。プレイヤーもNPCも，なぜか普通に活動できている

　そんなこんなで，既存のMMORPGをある程度知っている人達にとっては，実のところMMORPGとしての目新しい要素は“ない”と言い切ってもいいほどオーソドックスな本作。そんななかで特徴的といえるのは，いくつかのクエストが，ロシアの童話をモチーフにしている点だ。中には，知恵を持ったパンが食べられないよう機転を利かせて逃げ回るという，童話ならではのシチュエーションもあって，非常に異国情緒を感じられる内容となっている。加えてこのテストプレイは，ほかのプレイヤーがほとんどいない状態で行ったため，いい意味で，クラシカルな──といっても1980年代後半〜90年代だが──欧米産スタンドアローンRPGのリメイク版をプレイしているかのような錯覚に陥ったことも付け加えておこう。

ロシアの童話に登場する，知恵を持ったパン。本作では，モンスターに食べられないよう，うまくプレイヤーを利用する演出になる

こちらもロシア童話モチーフのクエスト。農作物の取り分について農夫と熊が知恵比べする話だが，ゲームではアレンジされている

中央のジャバ・ザ・ハットみたいなモンスターが村人をさらうという話。これも童話をモチーフとしている

こちらは雪だるまに変身。なるほど，ロシアの雪だるまは妖怪風なのかと妙に納得。ちなみにペットのパンダは大変可愛い

　また，本作は動作の負荷を軽減するため，プレイヤーの種族は人間に固定され，外見も男性2種類，女性1種類のみとなっている。選択肢が少なく若干寂しいところではあるが，それを補うのが「変身」システムだ。これは専用アイテムを使って，文字どおり，外見を本作に登場するモンスターに変えてしまうもの。能力的に変化があったり，ゲームの進行が変わったりといったことはないのだが，非人間キャラでプレイしてみたいという人には嬉しいシステムといえるだろう。なお，本作はモンスターの一体一体まで，細かくモーションが作り込まれており，それは変身したプレイヤーにも適用される。気になるモンスターに変身して，モーションをジックリ観察するのもなかなか面白いかもしれない。

ペットは，クエスト報酬などで卵を入手する。ペットにはオスメスがあり，同種を交配して新たな卵を入手することも可能

運営ディレクターのアンナ・トンベルグ氏

　さてテストプレイの最後，ガイドしてくれた運営ディレクターのアンナ・トンベルグ氏に，どういったプレイヤー層をターゲットにしているのか聞いてみた。すると，ブラウザゲームということで，より幅広い層にアピールしたいのは事実だが，その中でもかつて「Diablo」などに夢中になった世代にプレイしてほしいという答えが返ってきた。
　すなわち，以前は昼夜の別なく欧米のオンラインゲームやマルチプレイに興じていたが，今は満足なプレイ時間もゲームPCも持ち合わせていない，いわば“大人になってしまった”世代に，手持ちのノートPCなどで毎日短時間ずつでも遊んでもらおうというわけだ。そのため，ロシアではグループプレイ前提のバランスとなっているダンジョンやボスモンスターも，日本では一人もしくはペアで攻略できるよう調整する予定とのことだった。

　なお，オープンαテストのデータは以降のサービスには引き継がれない。次のテストは10月中旬予定で，4Gamerでも随時情報をお伝えしていく。このレポートを読んでフラゴリアにピン！　と来た人はぜひぜひチェックをお願いしたい。