インタビュー
7年越しの夢だった天下統一がついに実現。「信長の野望 Online 〜新星の章〜」アップデート直前インタビュー
今回のアップデートの目玉となるのは,7年越しの悲願ともいえる,天下統一を目指す「天下人システム」だ。しかしそれにとどまらず,2009年12月の「一門の刻」アップデートで実装された一門の機能拡張を始め,よりMMORPGらしさを前面に押し出したアップデートになるという。
よりMMORPGらしいということはどういうことなのだろうか。その真意を確かめるため,アップデートを直前に控えた3月18日にコーエーを訪れ,開発プロデューサーの渡辺知宏氏と,開発ディレクターの今村一太氏にインタビューを行ってきたので,その内容をお伝えしよう。
「信長の野望 Online」公式サイト
これまで培ってきたコンテンツを踏まえ,新たな境地を目指す「新星の章」アップデート
本日はよろしくお願いします。さっそく,「新星の章」がどのようなアップデートになるのかを教えてください。
渡辺知宏氏:(以下,渡辺氏)
はい。まずは,新星の章のコンセプトからお話ししようと思います。
信onのサービス開始から7年を迎えるにあたって,今までよりも1ランク上の遊びを提供したいという思いがありました。これまで,どちらかといえばファンタジー的なアプローチで作ってきたコンテンツもありました。ただ昨今,史実的な戦国武将というものが見直されてきた背景もあって,ファンタジー的なものよりも,「天下統一に向けた戦国の変動」,「時代のうねりの中で生きる」というところを,より進化させた拡張パックの制作を目指しました。そこで,新しく生まれ輝くようにという想いを込め,今回の拡張パックを「新星の章」と名付けたのです。
4Gamer:
新しく生まれ輝くとの意味を込められているとのことですが,今までのコンテンツは残るんですよね?
渡辺氏:
もちろんです。今までのコンテンツは,長い間積み重なって今の信onの世界を作ってきたものです。今までのものは今までのものとして遊べますので,安心してください。それらは違った面で強化していくことになると思います。
4Gamer:
なるほど。では,今回のアップデートは“合戦”がメインコンテンツということになるんですか。
渡辺氏:
戦国時代と言えば戦いですが,実際にはそれを支えるための生産活動などいろいろな営みがあります。そういうところを含めて,世界が構築されているという形になります。ですからガッツリと合戦したい人だけが楽しめるということではなく,戦国の世界を支えるといった形でも遊べる要素を増やしていきます。
4Gamer:
これまでも生産がありましたが,それが重要性を増すということですか。
今村一太氏:(以下,今村氏)
生産については,材料の入手方法などに難しい制限があったりして,作りたいものが作れないといったプレイヤーの方からの意見を多くいただいていました。今回はそのあたりのハードルを思いっきり下げて,多くのプレイヤーのみなさんにいろいろなアイテムを生産していただけるよう,間口を広く取れるような形に変更しています。
4Gamer:
なるほど。合戦も生産もこれまで以上に楽しめるという形になるわけですね。
21の国が天下を目指して戦い合う! 天下人システムの真髄に迫る
では,アップデートのメインとなるであろう,“天下人システム”について教えてください。
渡辺氏:
そうですね,今回のアップデートの根幹となるのが,“戦国時代を再現”した天下人システムになります。
これまでのシステムでは,頻繁に勢力図が塗り変わる戦国時代の再現が難しい状況でした。その再現のためには,勢力図が塗り変わりに対応したシステムを考えなければ駄目だということになり,天下人システムを投入するに至りました。
4Gamer:
天下人システムとは,具体的にはどのようなシステムなんでしょうか。
渡辺氏:
天下人システムは,全国に配置された100以上の城/砦/櫓といった領土を,合戦に勝利して獲得していく,「信長の野望」らしい要素をもったコンテンツです。これまでは,21の国同士で長期的な争奪戦を行っていましたが,このアップデートによって,短期間で勢力図が変化するスピード感のある戦国時代が表現できるようになります。
また,プレイヤーが領土を攻略していくと,勢力の拡大と滅亡というものが地図上で形として見えるようになるので,天下統一という目標に向かって進んでいることを実感できると思います。
ただ,天下統一ということで,ゲームとして一つの勢力が全地域を支配する流れを想定していましたが,本来,そういった流れはプレイヤーが一致団結して組織的に動かないかぎり,そうそうありえないことです。ですので,天下人システムでは,天下人得点というものによって勢力のランキングを上げていくことで,天下統一までの道のりを表すようにしています。
4Gamer:
ランキングというのはプレイヤーのランキングですか? それとも勢力のランキングですか?
渡辺氏:
これは,勢力のランキングになります。
今村氏:
プレイヤーのみなさんのいろいろな活動――合戦や冒険のコンテンツ,生産などといった行動が,勢力の天下人得点として還元され,天下人番付に反映されるわけです。
4Gamer:
つまりプレイヤーは普通に遊んでいるだけで,所属している勢力を天下に近づけていける,というわけですか。
今村氏:
そうです。それを強く意識してもらうために,すでに一門というギルドシステムを実装しました。また新星の章からは,勢力ごとに出される評定(クエスト)を受けて,勢力のために行動できるようになっています。
4Gamer:
天下統一というのは,天下人得点が貯まると達成できるようなものになると考えていいですか?
今村氏:
ある程度,天下人得点が溜まったうえで,さらに条件を満たすと,上位2勢力による天下分け目の決戦が始まります。その際,3位以下の勢力はどちらかの勢力に付くことができます。
渡辺氏:
そういったところで,一つ一つの勢力の動きがとても重要になってくると思います。ですから,最後の最後まで外交などを駆使して小さい勢力とも仲良くなっておくことが重要になるかもしれません。
4Gamer:
なるほど。いかに,ほかの勢力を取り込めるかという戦国時代の様相が再現されていますね。ちなみに,天下人ポイントが上がっていったとき,天下統一に近づくこと以外のメリットはあるんでしょうか? また,天下統一を果たすと,どのようなメリットが享受できますか。
天下統一に近づくと領土が増えますが,特定の領土を支配していると領国市(勢力専門の店)の品揃えに特産物が追加されたり,生産などのバリエーションが広がるようなメリットを考えています。また,将来的なことではあるのですが,クエストが増えたり,一門所領が広くなっていくといったことを考えています。
天下統一した勢力に対するメリットはまだ決まっていませんが,キャラクターの強さや能力,スキルなどに直結するようなものは考えていません。見た目や名誉などでプレミア感を出すような形にしようとは考えています。
4Gamer:
直接的なメリットで,強さのバランスを崩さないようにする配慮ですね。とはいえ,店の品揃えや生産に影響があると,天下人得点が低い勢力は,結局は不利になりそうです。長期の戦いのなかでじり貧になり,ランクが上がらなくなる可能性はありませんか?
今村氏:
そういった可能性はゼロではありません。ただ,「鶏口となるも牛後となるなかれ」という諺もありますが,勢力でトップに君臨するほうがメリットを受けやすくしているので,大勢力に所属するのも良いですが,愛着のある勢力での楽しみ方もありだと思います。プレイヤーの皆さんが,「俺達が盛り立てていくんだ!」という意識で先陣を切って戦うことで,各勢力に俺も俺もと,人や一門が集まってくるようになればと思っています。
4Gamer:
それは熱い展開になりそうですね(笑)。ところで,勢力の移動というのは,いつでもできるものになりますか。
今村氏:
自主的に小さい勢力から大きな勢力へ行くには,いろいろな条件が必要になると思います。また,イベント的な感じで大勢力内のプレイヤーのみなさんや一門の前に,小勢力の大名や武将がスカウトに現れる,なんてことも今後組み込んでいきたいと考えています。
4Gamer:
CPUの武将がスカウトにくるというのは面白そうですね。一門に武将がスカウトに来たら,どうしようという気分になります。
今村氏:
有名武将が自らスカウトにきたら,かなり心揺れ動くんじゃないかなと思います。そういった戦国時代らしさも取り込んでいけたら良いと思います。
渡辺氏:
こういった武将とのコミュニケーションも今回のアップデートで強化した部分ではあります。戦国という世界で一番魅力的なものといえば武将達の存在だと思います。信onでは,武将達は話しかけられる存在ではありましたが,それに留まらず,今回のアップデートで登場する拠点戦で,一緒に戦えるようになります。
4Gamer:
下克上というわけではありませんが,勢力によっては一門ごと抜けられるとダメージが大きそうですね。
渡辺氏:
戦国時代では,大きな勢力の中でも,さまざまな勢力や集団が固まって動いていたことがあると思うんですよ。戦国時代ならではの,各勢力の気持ちの揺らぎみたいな「所属している勢力を裏切るか否か」といった面白さも表現できたらと思います。天下人システムでは,そういった小さな勢力や一門が鍵を握るのではと思っています。
いつでも誰でも参加できる拠点戦。武将の誘導が勝利の鍵に
次に拠点戦についてですが,先ほどのお話で少し出てきましたが,武将と一緒に戦えるということですか。
渡辺氏:
ええ。今までは戦っているところに入っていけず,戦いが終わってから入るという流れになっていたのですが,拠点戦では戦場の中で自由に戦いを挑んでいけるようになります。武将を助けろという感じでプレイヤーのみなさんと武将が一緒に戦ったり,敵武将に対して一斉に突っ込むという感じで戦いを挑むことができます。
4Gamer:
拠点戦は敵の武将を倒せば終わりですか?
今村氏:
拠点内にある七つの陣を占領していくことになるのですが,最終的には制限時間の終了時にどちらの勢力が多く陣を取っているかで勝敗が決まります。この陣を占領するためには,武将を連れて行く必要があるのです。
4Gamer:
武将を連れて行くというのは,具体的にはどのような手順になりますか。
今村氏:
“共闘の誓紙”というアイテムがありまして,これを武将に渡すと一緒に来てもらえるようになります。そして,相手の陣に辿り着いてそこに1分以上待機させると占領したことになり,自分達の陣となります。
4Gamer:
なるほど。ところでもし,複数のプレイヤーが一斉に“共闘の誓紙”を使用した場合,武将は誰に同行しますか。
今村氏:
あとから使用されたプレイヤーが優先されます。
4Gamer:
そうすると,味方で武将の取り合いになったりしそうですが。
今村氏:
そのあたりはチャットなどを使ってやり取りをして欲しいと思います。実際,社内でのテストプレイでも「俺の勝家を取ったの誰だ!」などといったこともありましたが(笑)。こういった面もゲームとしての面白さの一つであるかなと考えています。相手に勝たないことには意味がないので,プレイヤーのみなさん同士が協力して楽しんでもらえればと思います。
4Gamer:
たしかに,味方の意思統一がバラバラでは戦いに勝てそうにないですね。ほかに拠点戦の特徴としてはどのようなものがあるんでしょうか。
そうですね,巻き込み戦闘というものがあります。拠点戦では事前に徒党を組むことができません。では,どういう戦いになるのかと言うと,敵に襲いかかる,または襲われた瞬間,その場所を中心にNPCも含めて最も近いキャラクターを巻き込んで最大5対5の戦闘になります。
4Gamer:
では,強制的に戦闘に参加させられることになるわけですか。
渡辺氏:
そうなります。拠点戦では基本的に徒党という考え方がなくて,そのエリアの中で自由に組んで戦うので,まさに乱戦という形の戦いになります。
今村氏:
武将の近くにいると,いきなり巻き込まれるなんてこともありますね。
4Gamer:
拠点戦には何名まで参加,そして制限時間はどれぐらいですか?
今村氏:
フィールド内は最大30対30,制限時間は45分です。
4Gamer:
合戦時間は結構長いんですね。
今村氏:
今までの合戦は一週間ずっと続いたりしていましたので,その感覚でいうとあっという間だったと思うのではないでしょうか。
渡辺氏:
この時間は,楽しんで遊べるちょうど良い長さかなと思っています。巻き込み戦闘に関しても一回5分の制限時間があるので,より戦術的にフィールドを使った戦いになっています。
4Gamer:
なるほど。ちなみに,拠点戦はいつでも行うことができるんですか?
渡辺氏:
拠点戦というのは合戦の準備期間に開かれるものですので,合戦用の資源である軍事物資を獲得するために,その拠点の間でいつでもどこでも行うことができます。今までのように地理的な問題,馬を使って移動したり,やられたら戻ったりといったことはなく,すぐに拠点戦に参加・復帰できます。いろいろな制限も緩和されていて,例えば中立以上の関係の勢力の陣に入って戦うこともできます。
今村氏:
ただ,いつでも拠点戦が行えるとはいっても,人が集まらないと戦うことはできません。今のところ,タイムテーブルに沿って,毎時0分に予約登録がスタートする形になっていて,双方に一定数の人数が集まると戦闘開始になります。開始後に30対30を満たしていない場合は,敵対・敵視勢力以外ならばどの勢力のプレイヤーでも途中から参加できるようになっています。
4Gamer:
双方に一定数の人数が集まらなかった場合はどうなるんでしょうか。
今村氏:
それについては,例えば予約スタート時から1時間経っても一定数集まらなかった場合は,その時点の人数で拠点戦がスタートします。そのあたりの時間は今後も調整を加えていきます。
4Gamer:
時間帯によっては,人が多すぎたり,逆に人が集まらないこともありそうですね。
今村氏:
同じ場所の拠点戦でもピーク時では戦場が足りなくなる可能性もありますので,同じ拠点でもゾーンが違う形で用意しようと思っています。逆にピーク時以外,例えば明け方などは1時間に1回ではなく,2時間に1回などにしてみるなど,実装後にプレイヤーのみなさんからの意見を聞いて,調整していければと考えています。
4Gamer:
分かりました。ところで,今どこで拠点戦が行われているかというのは,プレイヤーがすぐに分かるようになっているんでしょうか。
今村氏:
拠点戦を予約する場所(NPC評定衆補佐)へいけば,どこの拠点戦に入れるかが分かるようになっています。
4Gamer:
各地で同時に拠点戦が行われているというと,本当に戦国時代っぽい感じがしますね。
今村氏:
そうですね。拠点戦にはそういった演出的な狙いもあります。
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