企画記事
大画面テレビの全画面表示で「モンスターハンターポータブル 3rd」を遊びたい! 1万5000円あればできるPSPのテレビ出力導入ガイド
型番PSP-2000以降のPSPには,専用のケーブルを使うことでテレビなどのディスプレイ機器にPSPの画面を表示できる機能がある(公式サイト)。この機能を使って大画面テレビで「MHP 3rd」を遊びたいところだが,話はそう簡単ではない。使ったことがある人には分かってもらえると思うが,この機能にはちょっと制限があるからだ。
PSPの外部ディスプレイ出力機能は,PSP規格のゲームを全画面表示はできない。テレビに表示させると,ドットバイドットの実寸に近い表示となり,黒い枠付きで表示されてしまう。なお,メニュー画面のXMB(クロスメディアバー)や一部コンテンツの全画面(フルスクリーン)表示は可能だ(詳細は公式サイトで確認してほしい)。
この仕様については,テレビ側に画面出力に関する設定があれば,以下の写真のように変更することで,ある程度調整が可能だ。ただ,黒枠が残ったり,アスペクト比(縦横の画面比率)が微妙にPSPの表示とは異なっていたりと,全画面表示することは難しい。
ワイド設定 |
ズーム設定 |
パノラマ設定 |
4:3設定 |
最近の液晶テレビの中には,東芝のREGZAシリーズのように,PSPの画面を全画面表示できるモードを備えているものもある。そういったディスプレイ機器は非常に魅力的だが,新しくディスプレイ機器を買うとなると,やはりそれなりの価格になる。「PSPをテレビ画面に出力できる」という理由だけで購入するのはためらわれるというか,リッチマンではない筆者にとっては,そんな余裕はないのだ。残念ながら。
とはいえ諦めるのはまだ早い。世の中にはそのものズバリ,PSPの画面をディスプレイに全画面出力することを目的としたアダプタがあるのだ。
現在入手できる製品としては,ゲームテックの「ワイドdeポータブル」(税込1万2600円)や,タイムリー取り扱いの「HDMI UpScaler LKV8000」(税込6980円)がある。このくらいの価格帯であれば,プアな筆者でもなんとか投資できるレベルだ。
そこで今回は,「ワイドdeポータブル」と「LKV8000」を実際に使ってみて,使用感はどのようなものかを,読者の皆さんにお伝えしていこう。
※注意事項※
本記事で紹介している「ワイドdeポータブル」「HDMI UpScaler LKV8000」は,PSPおよびソニー・コンピュータエンタテインメントのライセンス商品ではありません。製品を使用して,PSP本体,UMDディスク,ディスプレイ機器などに故障や不具合が発生しても,メーカー,4Gamer編集部および筆者は一切の責任を負いません。あらかじめご了承ください。
アダプタを選ぶ,その前に
型番は,PSP本体の下に貼ってあるシールの一番右端を見れば分かる。写真の場合はPSP-3000(※ハンターズモデル) |
ディスプレイ機器の裏側にあるコネクタ類をチェックしてD端子またはHDMI端子があるか確認しよう |
外部ディスプレイ出力機能が搭載されているのは,型番で言うとPSP-3000シリーズおよびPSP-2000シリーズで,PSP-1000シリーズはこの機能を持たないため,残念ながら諦めるか買い換えるしかない。
なお,PSPgoも外部ディスプレイ出力機能を備えている。「MHP 3rd」は今のところUMD版しか販売されていないため今回は検証の対象外としたが,「HDMI UpScaler LKV8000」はPSPgoに対応しているので,チェックする価値はあるだろう。
ディスプレイ機器側においても条件がある。今回紹介するアダプタは,テレビ側とD端子もしくはHDMI端子で接続するため,これらの端子を持たないテレビでは出力ができない。さらに変換アダプタをつなげるといった方法もなくはないが,さらにコストがかかるうえ,アクロバティックな手法になるため,ここでは割愛する。
また,このうちD端子においては,D2以上の「プログレッシブ出力」対応のテレビである必要があるので,あらかじめテレビの取扱説明書などで確認してほしい。
この条件を満たせば,あとはアダプタを購入して接続するだけである。手順は非常に簡単だ。
D端子 |
HDMI端子 |
製品の紹介
■PSP用フルスクリーン出力アダプタ「ワイドdeポータブル」
http://www.gametech.co.jp/products/catalog/8842/8842_1.html
「ワイドdeポータブル」の給電は,PSP本体付属のACアダプタを使用する。「ワイドdeポータブル」とPSPを接続するケーブルは給電用のコネクタも備えているので,充電しながらのプレイも可能だ。
音声はRCA端子でのステレオ出力となるが,映像出力ケーブルと一体化しているため,PCディスプレイのようなスピーカーを持たないディスプレイ機器に出力する際は,別途スピーカーや,場合によってはステレオミニジャック(オスまたはメス)をRCAジャック(メス)に変換するアダプタなどを用意する必要があるので気をつけてほしい。
■PSP用HDMIアップスケーラー「HDMI UpScaler LKV8000」
サウンドに付いては,付属のRCA端子付きケーブルで出力するが,本体側の端子はステレオミニジャックなので,イヤホンで音声出力することも可能だ。
また,本製品はPSPgo用の接続端子変換アダプタが付属しており,PSPgoの画面を出力することも可能である。
PSP・ディスプレイ機器との接続方法
「ワイドdeポータブル」編
「HDMI UpScaler LKV8000」編
※アスペクト比がおかしい(縦横比が正しく出力されない)ときは,PSP本体の「設定>外部ディスプレイ設定」内の項目を変更し,テレビ側の設定と合わせてみよう。「テレビタイプ」ではアスペクト比を,「コンポーネント/D端子」ではプログレッシブ/インターレースを設定できる。なお,ディスプレイ機器側でもPSP側でも画面が映らなくなってしまったときは,PSP本体のディスプレイ下,PSPロゴの右にある“□”ボタンを押せば,外部出力をキャンセルできる。
「ワイドdeポータブル」と「HDMI UpScaler LKV8000」を使ってみた
先に一つ断っておくが,PSPの画面をディスプレイ機器に拡大表示した場合の画質に関して,過度な期待を持たないほうがいい。
PSPの画面は約4.3インチ(実測で約96×55mm)で解像度は480×272ピクセルである。従来の標準画質(SD)のテレビの解像度は720×480ドット,いわゆるフルハイビジョン(フルHD)テレビの解像度は1920×1080ドットである。SDテレビでもPSPの4倍,フルHDテレビならPSPの16倍の表示面積になる。画面を4倍,16倍に引き伸ばしたらドット感が目立ってしまうのは仕方のないところだ。出力する画面が大きければ大きいほど,その傾向は顕著になるだろう。
ワイドdeポータブル | LKV8000 |
実際にPSPをテレビに接続して「MHP 3rd」を表示させてみると,解像度の印象はやはりそれなりだが,大画面でプレイできるのは,それを補っても余りある気持ち良さである。また使用する前は,表示遅延が発生するかどうかが心配だったのだが,それは杞憂に終わった。体感的には,PSPの画面を覗き込んでいるときと変わらないレスポンスを得られていると思う。
個人的な感覚だけではなんなので,「ワイドdeポータブル」と「LKV8000」,それぞれをテレビに接続した状態で撮影したムービーを掲載しておこう。撮影にはカシオ製ハイスピードカメラ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC150」を使い,設定を120fpsとした。ムービーは実際の約1/4倍速のスロー再生となるので,表示遅延比較の参考にしてほしい。
ムービー撮影時の条件は以下のとおりで,PSP本体とディスプレイ機器を接続するアダプタ以外は,すべて同じ機材を使用している。
・ヘビィボウガンを使用し,通常弾1のしゃがみ撃ちを30発撃ち切るまで続ける
・ムービーは,1発目の発射エフェクト表示フレームから30発目の発射エフェクト表示フレームまでを採用
今回は「ワイドdeポータブル」「LKV8000」を使用したが,使用感ではどちらも十分実用に足るもので,コストに見合っただけの満足感を得られるだろう。
接続するディスプレイ機器がHDMI端子を備えているなら,7000円を切る価格で入手できる「LKV8000」のほうがコストパフォーマンスが高い。本体のサウンド出力端子がステレオミニジャックなので,スピーカーがないディスプレイ機器に接続しても,自前のイヤホンがあればいいというのは魅力だ。
一方の「ワイドdeポータブル」は,D端子接続なので接続できるディスプレイ機器の幅が広いというのがメリット。また,今回の検証においては,画面が過不足なくきっちりと表示されたのも魅力的だ。また,ACアダプタはPSP本体の付属品を流用するため,全体で使用するケーブル本数が少なく抑えられるのもポイントだろう。
この記事を読んで導入の価値アリと思えた人は,「ワイドdeポータブル」や「LKV8000」の導入を検討してみてほしい。
- 関連タイトル:
モンスターハンターポータブル 3rd
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