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エルシャダイの新プロジェクトも進行中か。竹安佐和記氏の個展「竹安佐和記原画展【ELの世界】」初日レポート&竹安氏ミニインタビュー
※pixiv Zingaro……イラストコミュニケーションサービス「pixiv」と,村上 隆氏が主宰するアーティスト集団「カイカイキキ」の共同ギャラリー
竹安佐和記原画展【ELの世界】(Zingaro内紹介ページ)
同個展の初日となった1月19日の会場の模様と,竹安氏への単独ミニインタビューの内容を合わせてお伝えしよう。竹安氏の今後のプロジェクトについて,いくつかのヒントが得られるものとなっているので,ファンはぜひ最後までじっくりと目を通してほしい。
52万5000円(!)のルシフェル&イーノックを中心に,
小説挿絵の原画や「ヘブンリー・セブン」のイラストなどを多数展示
今回の展覧会は,会期の前半(1月19〜24日)と後半(1月26〜31日)とで展示内容が一部切り替わる構成となっている。初日の展示で観ることができたのは,今回の目玉となる,ジークレー印刷のルシフェル&イーノックや,竹安氏がこれまで携わってきたエルシャダイの設定画や小説の挿絵,そして今回のために描き下ろされた「ヘブンリー・セブン」のイラストである。
「ヘブンリー・セブン」とは,竹安氏の作品に共通する世界観「神話構想」における,7人のキャラクター達だ。今回の展覧会で初めて本格的にお披露目された「ヘブンリー・セブン」だが,今後さまざまな展開が予定されているという。
イーノック |
ルシフェル |
また,会場では竹安氏によるサイン会が毎日行われている。クリアファイルセットに一枚ずつサインを入れたり,リクエストに応じてルシフェルを描いたりと,初日から来場したファンに対して気さくに応じる竹安氏の姿も見られた。サイン会ではエルシャダイにゆかりのあるゲストが来場することもあるそうなので,竹安氏のTwitterなどで情報を随時チェックしておくといいだろう。
というわけで,今回は竹安氏に少し時間をとってもらったので,以下に氏へのミニインタビューを掲載しよう。
「ファンと共にキャラクターを育てていきたい」
――竹安氏ミニインタビュー
4Gamer:
今回の展覧会はどういった経緯で開催が決まったのでしょうか?
竹安佐和記氏(以下,竹安氏):
元々pixivさんとは,イラストを描かせていただいたりとご縁はあったんですよ。自社(竹安佐和記が代表を務めるcrimのこと)のコンテンツとして「ヘブンリー・セブン」というイラストを出していたんですが,それを形にして発表できる場を探していて,今回pixivさんとのコラボという形で一緒にやることになりました。実際,pixivさんへお話に行ったときにすごくノリノリで「やりましょうやりましょう」と言ってくださったので,そのままトントン拍子に決まったという形ですね。
4Gamer:
今回のために描き下ろされた作品もあるんでしょうか?
竹安氏:
入り口からみて正面と左手側にある16面のイラストは全部新規のものですね。
4Gamer:
おお,すごいですね。
竹安氏:
今回,何をやる気になったのか,いろいろと自分で手がけました(笑)。
4Gamer:
「これは見逃さないでほしい」という作品はありますか?
「ヘブンリー・セブン」を基にして今回のために作った公式本「ELの世界 VOL.01」が,まず一つ。あとは,エルシャダイのパッケージイラストを模したジークレー印刷のイーノックとルシフェルでしょうか。
4Gamer:
2点セットで52万5000円と,お値段もかなりのものになっていますよね。
竹安氏:
製作作業だけで1か月以上かかってるんですよ。1時間に1cmずつしか印刷できないらしくて,すっごく時間かかるんです。しかも職人の技術がないとキャンバスを張ったりできないなどと,非常にマニアックな手法で作られています(笑)。
4Gamer:
ちなみに,今回のような「個展」という形は初めてになるんでしょうか?
竹安氏:
2011年11月の「太秦戦国祭り」(関連記事)でも個展はやりましたし,エルシャダイの時にもあったんですけど,これまでは“呼ばれて展示する”ということがほとんどだったので。本当に自分で全部やったのは今回が初めてですね。
4Gamer:
では今回は,これまでで最も竹安さんの個性が反映された展覧会になっていると。竹安さんのTwitterによると,設営もご自身で行ってらっしゃるとか。
竹安氏:
そうですね。全部自分でプロデュースしてやらせてもらいました。あまり制限もなく,自由にやらせてもらっています。
アザゼルネザー |
アルマロスネザー |
エルシャダイクリスタル |
背徳の塔 |
4Gamer:
展示作品の中には,ファンの方から送られてきたものも含まれていますよね。
見ていただければお分かりになると思いますが,クオリティがすごくちゃんとしているものが多かったので,「これは勿体ないな」と思って。アーチとか,クオリティがおかしいですよね(笑)。
4Gamer:
アーチの横に「ユーザー寄贈品」と書かれていて驚きました。
竹安氏:
エルシャダイの発売前,ゲームの体験会をやっているときに持っていらしたんですよ。で,これは凄いなあと。
マトリョーシカもイベントで1個いただいて「良いですね」と言ったら,大量生産でくださいました。それと,天井から吊っているフェルトの人形についても,元々ファンの方にいただいたものを今回「もっと作ってくれませんか」とお願いしたものです。
4Gamer:
すごいですね。では今回は,竹安さんの個展である一方で,ファンによる作品の展示の場でもあると。
竹安氏:
ああいうプレゼントだったらなんぼでも欲しいですね(笑)。
4Gamer:
では,会期中も随時募集中といった感じですか。
竹安氏:
そうですね。一緒にできたら楽しいじゃないですか。エルシャダイ自体,お客さんに育てていただいたコンテンツなので,その余韻が残っているのかなという気もします。
4Gamer:
毎日開催されるサイン会では,ゲストの方がいらっしゃる日もあるそうですね。
竹安氏:
エルシャダイでアートディレクターをやってくれた堀くん(堀 壮太郎氏)が来てくれたりとか,あと日程は決まっていないのですが,エルシャダイのトレイラーを実写で全部演じた「エルシャダイ 演ってみた」の人もいらっしゃるそうです。
4Gamer:
そうしたゲストの情報などは,竹安さんがTwitterで発信されていくのでしょうか?
竹安氏:
僕の人脈で「いいよ」という人に来ていただいている,というユルい感じなので,オフィシャルサイトにスケジュール表を出して告知するのではなく,ほとんどが前日告知になると思います。「明日来たらこういう人いるよ」と。この辺りも,僕が仕切っているというのもユルさですよね(笑)。
4Gamer:
たしかに異例だと思います。今回は本当に,竹安さんがすべてをプロデュースしているわけですね。
竹安氏:
関わってくれる方は「愛」のある方が多いですね。だから,ほっこりとした個展になっていると思います。
4Gamer:
ところで,今お聞かせいただける範囲で,竹安さんの今後のプロジェクトについて教えてもらえませんか?
竹安氏:
携帯電話向けのアプリで携わっているものが,来週〜再来週くらい(1月23〜2月3日ぐらいまで?)には発表されていると思います。あと,具体的な内容はまだ話せませんが,エルシャダイが過去に経験したことのない領域でのプロジェクトが,2月上旬くらいに発表できると思います。
4Gamer:
ということは,エルシャダイがゲームや小説とはまた別のジャンルに展開を?
竹安氏:
エルシャダイ関連でも動いている企画があるので,それもまた楽しみにしていてください。
あと僕の活動でいうと,「ヘブンリー・セブン」を育てていきたいです。今回も仕事でお世話になった人たちを呼んで「何かしませんか」と声をかけていたりするので,できたらこれを育てていきたいなと。
4Gamer:
「ヘブンリー・セブン」は,いわばライフワーク的な取り組みになるんでしょうか。
竹安氏:
ライフワークの最初の段階かもしれませんね。今の流行だと,「初音ミク」みたいに物語のないキャラクターがどんどん派生していって,後から物語がついていくというものが多いですよね。僕もキャラクターデザイナーが本職なので,そういうアプローチが今の時代に良いのかなと思っています。
4Gamer:
では,ファンの方々の手によって企画が育っていく部分もあると。
竹安氏:
ファンの間で人気のあるミカエルというキャラクターがいるんですが,彼なんて,ブログ(「MichaelのBlog」)にしか出てこないですからね。ブログで黙々とみんなの質問に答えているだけで,最後に「読んでくれてありがとう」と感謝するという,気分のいいキャラクターで(笑)。彼がファンのみなさんに気に入っていただいて育ったりもしているので,同じようにキャラクターをいっぱい育てていきたいというのが,僕の夢でもありますね。
4Gamer:
「ヘブンリー・セブン」は長いスパンでじっくりと成長するプロジェクトになりそうですね。本日はありがとうございました。
サイン会の模様やインタビューの中で語られた言葉からも分かるように,竹安氏はファンとの交流を大切にしており,その交流を通じて作品を盛り上げていきたいという考えが強く感じられる。また,携帯電話向けアプリや,エルシャダイ関連のプロジェクトなど,水面下で進行中の企画もいろいろとあるようだ。
今回の展覧会は,竹安氏の今後の活動の大きな伏線ともなり得るだろう。熱心なファンならずとも,会場へ一度足を運んでみてはいかがだろうか。
「El Shadda」公式サイト
竹安佐和記原画展【ELの世界】(Zingaro内紹介ページ)
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- 関連タイトル:
El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON
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