インタビュー
「ダンジョン シージ 3」,Obsidianの開発スタッフにメールインタビュー。ゲームの見どころやエッブ王国の歴史,キャラクターの特徴などを細かく聞いてみた
スクウェア・エニックスから2011年7月28日にリリースされた「ダンジョン シージ 3」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)は,北米のデベロッパであるObsidian Entertainmentが開発したアクションRPGだ。ファンタジー世界「エッブ王国」を舞台に,4人のキャラクターから1人を選んで冒険を繰り広げるという内容で,アクション要素がかなり重視された作品だ。さまざまに用意された多種多様な「アビリティ」と「タレント」による成長要素や,数え切れないアイテム類,そして,ロードすることなくシームレスにつながるエッブ王国のマップなど,特徴的なシステムをいくつも持ったダンジョン シージ 3。最近,欧米産のRPGが注目される機会が増えているが,そんな中にあって,誰でも手軽に楽しめる1本になっているといえるだろう。
Lead Designerを務めるNathaniel Chapman氏 |
Project DirectorのRich Taylor氏 |
ゲームの概要については,2011年7月28日に掲載したレビューや,5月3日および5月30日に掲載した概要記事に詳しいので,ぜひ参考にしてほしいと思うが,このたび,開発に当たったObsidianのスタッフに,ダンジョン シージ 3についての簡単なメールインタビューを行った。答えてくれたのは,同社のLead Designerを務めるNathaniel Chapman氏と,Project DirectorのRich Taylor氏だ。
メールインタビューということで,一問一答形式になっているため,一つの質問について掘り下げていくということはできなかったが,ゲームの要点についてはおさえられているはずだ。購入を考えている人は,ぜひ参考にしてほしい。
6年ぶりのシリーズ最新作,「ダンジョン シージ 3」のレビューを掲載。4人の個性的なキャラクターを操って,失われた王国の再建を目指そう
ダンジョン シージ 3はアクションとRPG,
どちらの面白さも感じられる作品
4Gamer:
最初に「続編制作」の話が来たとき,どのように感じられましたか。また,開発目標はどのようなところに置かれたのでしょう。
Nathaniel Chapman(以下,Chapman)氏:
そうですね,「ダンジョン シージ」シリーズの名に恥じないような作品を目指そうと思いました。実際の開発にあたっては,主に戦闘システムなどのゲーム要素を改良したり,より深みのあるストーリーを演出したりすることで,技術面でシリーズを進歩させることを目標に置きました。
4Gamer:
従来作である「ダンジョン シージ」シリーズがほかのRPGと違う部分は,どこだと考えましたか。そしてそれは,今回の最新作でも生かされているのでしょうか。
Chapman氏:
ダンジョン シージといえばたくさんのバトルと,さまざまなお宝が手に入る,テンポのいいゲーム運びです。それに加えて,ロード時間がないことですね。これらはすべて,ダンジョン シージ 3に受け継がれています。
4Gamer:
今回,コンシューマ機へ移植するにあたって,最も気をつけた部分はどこでしょうか。また,最新作にはこういう新機軸を盛り込んだ,ここを見てほしいというところがあれば,教えてください。
Chapman氏:
そうですね,コンシューマ機への移植にあたって,従来作から最も大きく変更されているのは,「操作性」や「バトルシステム」で,ダンジョン シージ 3はRPGとコンシューマ機向けアクションゲームを融合させたようなシステムになっています。
1作目の「ダンジョン シージ」では,パーティー内の複数のキャラクターを動かすことができましたが,キャラクターを直接操作することはできませんでしたし,ゲームが自動的に処理する部分が多くありました。一方,最近のゲーマーは,もっと自分で操作している感覚が得られるシステムを好むと思い,今回のようなアクションを重視したシステムを採用しました。
我々は,ダンジョン シージ 3は,アクションとRPG,双方の面白さをうまく取り入れていると思っています。本質的にはアクションゲームでありながら,RPGのステータスシステムが根底にあり,RPGらしいストーリーと会話システムがあります。欧米のタイトルには,このようにアクションとRPG要素をうまくブレンドしたゲームはあまりないと思います――まあ,日本のゲームとは,少し事情が異なるかもしれませんが(笑)。
4Gamer:
エッブ王国の歴史について教えてください。本作は従来作とどのようにつながっているのでしょうか。また,従来作をプレイしている人に新たに知っておいてほしいエッブ王国の新情報などがあれば,教えてください。
Chapman氏:
シリーズ最初の2作品のあと,激動の時代が訪れ,エッブの民を守る第10騎士団は新たな敵,ジェイン・カシンダーによって滅ぼされました。本作では,主人公達が第10騎士団復興を目指す様子がストーリーの中心になります。従来作をプレイしていない人も,ダンジョン シージ 3の世界を十分理解できますので,安心してください。
4Gamer:
従来作のキャラクターは出てこないようですが。
Chapman氏:
ダンジョン シージ 3の時代は,前作の何年もあとです。作中に過去の作品のキャラクターへの言及はありますが,初めてプレイする人のために,過去作の物語を知らなくても楽しめるようにしています。
特徴ある,4人のキャラクターが
王国の再建を目指して戦い続ける
4Gamer:
4人のキャラクターの特徴を教えていただけますか。彼ら4人はどのように決まったのですか。また,初めてプレイするという人は,誰を選べばいいでしょう。
Chapman氏:
ルーカス(ルーカス・モントバロン)は近接攻撃メインのキャラクターです。彼の覚えるアビリティは効果が明確なものが多く,2つの攻撃スタンスも分かりやすいので初心者におすすめです。剣と盾を持って戦う「片手持ちスタンス」は単体の敵に対して有効で,回避や防御で攻撃をキャンセルしてすぐに守りの体勢に入れます。
大剣を使う「両手持ちスタンス」は集団の敵に有効ですが,攻撃スピードが遅く,回避にも制限があるためリスクがあります。操作方法が覚えやすく,慣れればさまざまな技を組み合わせて奥の深い戦いを楽しめるキャラクターです。
それから,アンジャリも初心者におすすめです。彼女は人間と炎の精霊の姿を持っているのですが,精霊に変身すると,遠距離攻撃や範囲攻撃がメインの攻撃手段になります。ルーカスよりは少しクセがありますが,すぐにコツをつかめると思います。
ルーカス |
アンジャリ |
あとの二人は少しトリッキーなキャラクターです。ラインハルト(ラインハルト・マンクス)の「ダイナミクススタンス」は攻撃範囲が非常に狭く,逆に「エントロピースタンス」は近接した敵にまったく効果がありません。彼を使用するときは小まめにスタンスを切りかえて戦わなければなりません。
カタリーナは,基本攻撃は分かりやすいのですが,アビリティが強力である代わりに,使いこなすには慣れが必要です。「ソウル・ディフェンス」という技があるのですが,これは範囲内に入った敵をのけぞらせて後退させる技です(ダメージは与えません)。カタリーナのほかの攻撃と組み合わせて使うと絶大な効果が得られるのですが,アビリティ単体ではあまり効果を発揮しません。
ラインハルト |
カタリーナ |
4Gamer:
個性的なモンスターが数多く出てきますが,彼らを作り出すに当たって,気をつけた部分や,苦労した部分などありますか。
Rich Taylor(以下,Taylor)氏:
モンスターはアーティストとゲームデザイナーが協力して作りました。例えば,デザイナーが工場のようなステージには,その場に合った大きくてパワー系のモンスターがほしいと案を出し,アーティストと協力して,大都市の工場に登場するサイクロプスを生み出したという感じですね。
ほかにも,デザイナーが魔法使いのような見た目のスケルトン系の敵がほしいと言うと,アーティストとアニメーターがゲーム序盤に登場するスケルトン・ウィザードを作ってくれたりしました。デザイン的に最も苦労したモンスターはラスボスなのですが,結果的には開発チーム全員が満足する出来になりましたので,ぜひお楽しみに!
日本のRPGの影響も受けている
ゲームエンジンは独自開発のもの
4Gamer:
スクウェア・エニックスからリリースされるダンジョン シージ 3ですが,日本のRPGから影響を受けた部分はありますか。
Chapman氏:
はい,あります。「聖剣伝説2」は私が大好きなゲームなんですが,ローカルのプレイヤー同士で協力してストーリーを進めるマルチプレイシステムはこの作品の影響を多く受けています。ほかには,開発中に「デモンズソウル」をプレイしていた開発メンバーが多かったので,もしかすると無意識のうちに影響を受けていたかもしれませんね。
4Gamer:
スタッフは何人ほどで,どれほどの期間,開発が続いたのですか。
Chapman氏:
正確な人数は覚えていないのですが,40人くらいでしょうか。開発期間は2年ほどです。
4Gamer:
今回は,サードパーティのゲームエンジンではなく,内部制作のものを使われたそうですが,どういうものなのか,特徴など教えてもらえますか。
Chapman氏:
はい,オリジナルのゲームエンジンは「Onyx」という名前で,社内で開発したものです。アーティスト達の要望を取り入れて開発したので,美しいグラフィックスや魔法のエフェクトの仕上がりはこのエンジンのおかげだと言っていいと思います。
Taylor氏:
今回開発したゲームエンジンはRPGに特化したもので,そのための機能を豊富に持っていますが,ほかにも,作品のニーズに合わせた専用ツールをいくつか開発しました。例えばアーティスト達がゲーム内の美しい魔法エフェクトを作れるように,高度なVFX編集ツールなどです。
4Gamer:
最後に,日本のプレイヤーに何かコメントをお願いします。
Taylor氏:
日本のみなさんが,ダンジョン シージ 3をプレイしていただけるのを心待ちにしています。海外ゲームならではのゲーム性とストーリーが特徴のRPGを目一杯楽しんでいただければ幸いです。
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ダンジョン シージ 3
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