インタビュー
あなた好みのアンドロイド少女と甘いラブラブ生活を送るハンゲームの恋愛育成シム「えれも〜ど」スタッフインタビュー
恋愛シミュレーションゲームといえば,昔から定番として存在しており,現在も多くのタイトルがリリースされている人気ジャンルの一つ。だが,オンラインゲームで,しかも3Dのブラウザゲームとなってくると,急に珍しい存在になってくる。
恋愛シムでオンラインゲームと聞いて,まず思い浮かぶのが「大勢のプレイヤーで恋人候補のNPCを奪い合う」といったスタイルだが,本作は「恋愛“育成”シム」となっている。いわゆる自分だけの女の子を育てていくタイプで,これ自体もまた,そう珍しいジャンルではないが,オンラインゲームとなるとどうだろう? ほかにもチャレンジ精神旺盛な試みがぎっしり詰まった作品であり,ハンゲームとしてもあまり前例がないため,本格的な開発を行う前に,まずはプロトタイプ版で反響を見てみたいということらしい。
「えれも〜ど」公式サイト
今回はそんな本作について,メインスタッフ3名にインタビューを行ってきた。彼らのキュアロイドにかけるたっぷりの愛情,とくとご覧あれ。
NHN Japan 里吉洋樹氏 |
KUROGANE 鍬差正則氏 |
シナリオライター 天河信彦氏 |
コミュニケーションを通じて自分だけのキュアロイドを作りあげる
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
さっそくですが,皆さんは「えれも〜ど」で,それぞれどういったお仕事をされているのですか?
NHN Japan 里吉洋樹氏:
NHN Japanの里吉と申します。えれも〜どの企画立ち上げ,スタッフの確保やプロジェクト全体の推進など,いわゆるプロデューサー業を行っています。
KUROGANE 鍬差正則氏(ニーソックスソムリエ):
制作・開発を行っている株式会社KUROGANEで,ディレクターを担当している鍬差です。
天河信彦氏(ニーソックス 評論家):
シナリオライターの天河です。ゲームデザインの提案やキュアロイドの世界観,シナリオを中心に担当しています。
4Gamer:
えれも〜どは12月8日から24日まで,プロトタイプ版が公開中ですね。まずはこのゲームを知らない人に向けて,概要をあらためてお聞かせください。
里吉氏:
えれも〜どは,自分だけのアンドロイド“キュアロイド”との,会話やメンテナンスを通じて,いわゆる“萌え”や,愛しいという気持ちを育んでいくゲームです。1日のプレイ時間は短めで,日々少しずつ変わっていくコミュニケーションを,のんびりと楽しめる作りになっています。
天河氏:
キュアロイドの性格は最初は真っさらの状態なので,ゲームの序盤では無表情・無感情ですし,機械的な会話しかできません。ですが,日々触れ合っていくことで,少しずつ喋り方や性格などが変わっていきます。そのプロセスを楽しめるような仕掛けが,いろいろと盛り込まれているんですよ。
4Gamer:
どれくらいの期間プレイすれば,性格の変化が実感できるのでしょうか?
天河氏:
例えば最初のメーカーアップデートが行われることで,キュアロイドがプレイヤーの名前を呼んでくれるようになります。このようにして性格が段階的にアップグレードしていき,最終的には人間と話してるのと,ほぼ同じ感覚で接することができるようになります。しかも,プレイヤーがどのように接したかで,キュアロイドの性格は分岐していき,発生するイベントなどもそれぞれ大きく違っていきます。
4Gamer:
そうやって,自分好みのキュアロイドを作り上げていくわけですね。
里吉氏:
はい。一般的な恋愛シミュレーションゲームだと,キャラクター設定がきっちり決まった女の子が何人かいて,その中からプレイヤーが気に入った子を攻略していく,という形式が多いですよね。
でもその形式は,オンラインゲームにはあまり向かないんじゃないと思ったんです。一人の女の子を多数のプレイヤーで奪い合ったり,逆に,同じ名前や設定の女の子のコピーがたくさんいたりとか,そういう状況は皆さん望んでいないんじゃないかな,と。
4Gamer:
そもそもオンラインゲームで恋愛シミュレーションが少ないのは,そういった理由が大きいのでしょうかね。
里吉氏:
かもしれませんね。私もしばらく悩んでいたのですが,萌えジャンルには“アンドロイド”という,素晴らしい題材があることに気付きました。でもアンドロイドといっても,量産型=コピーでは物足りないので,プレイヤーが自分好みに女の子を作っていける設定にしようと。このようにして,えれも〜どのコンセプトが次第に固まっていったわけです。
重要なのは「自分だけのキュアロイド」を
生み出せるということ
天河氏:
初期状態のキュアロイドは,基本コスチュームに関しても,最初はいかにもアンドロイドっぽい,白と黒のシンプルなデザインとなっています。ですが追加衣装などはいろいろ用意してあります。
4Gamer:
外見でカスタマイズできる幅はどれくらいですか?
里吉氏:
髪型,髪色,目の色,肌の色,バストサイズ,ヒップなど。バストサイズはA〜Eのほか,ちっぱいなAAも選べます(笑)。これはもう,自分好みにカスタマイズ可能ですよ。
4Gamer:
衣装も好きなように着せ替え放題なんでしょうか。
天河氏:
衣装に関しては,今回のバージョンでは自由に着せることができますが,将来的には必ずしも思いどおりにはならないような作りにしようと思っています。例えばツンデレなキュアロイドの場合,クローゼットで着替えさせようとしても,こちらのお願いした服を着てくれない,なんてことにしたいなぁ,と。
4Gamer:
ツンデレなキュアロイドですか〜。性格には,どれくらいの幅があるのでしょうか。
里吉氏:
現在公開しているプロトタイプ版では,比較的シンプルな分岐になっていますが,最終的には大きく分けて「天然」「ツン」「クール」「無邪気」「真面目」「電波・妄想」の6系統に分岐しています。
性格によって口調や表情などが変わり,進行するとより豊かに,そしてより人間に近い感じになっていきます。
4Gamer:
私もプロトタイプ版を軽くプレイさせてもらいました。キュアロイドとの対話は,いわゆる“人工無能”ですよね。
里吉氏:
人工無能の要素も入っていますね。プレイヤーが喋った内容を見て,そこから新たな会話が派生したりします。例えばキュアロイドが「どこに住みたい?」と聞いてきて,プレイヤーが「大崎だよ」と答えたとしますよね。するとキュアロイドが,「大崎にはハンゲームを運営しているNHN Japanっていう会社があるよね!」といった感じで,会話がどんどん広がっていくんですよ。
天河氏:
単語だけじゃなくて,ゆくゆくは時期や場所とも絡められるといいですね。リアルで“ゴッホ展”が開かれていたら,デートのイベントでそこへ行けるようになったり,福井県なら時期が来れば“越前ガニ解禁!”というイベントが発生したり。オンラインゲームの良さの一つに,アップデートができることが挙げられますので,そういった対応もしやすいんですよ。
4Gamer:
ほかのプレイヤーが入力した単語なんかが,サーバーを通じて出てきますよね。
天河氏:
ええ,キュアロイドとの会話内容はデータベースに蓄積されていきます。そのキーワードがヒットすると,単語に応じたイベントが発生する形ですね。
4Gamer:
最近は「ラブプラス」の例もあり,必ずしもそうとは言えなくなっていますが,恋愛シミュレーションといえば,基本的には結末(エンディング)が必要なジャンルです。一方でオンラインゲームといえば,終わりのないジャンルですよね。その点,えれも〜どではどうなのでしょうか。
天河氏:
エンディングを迎えて終わり,というゲームではないですね。結末はなく,最近のアニメだと「らきすた」「けいおん!」といった,日常の何の変哲もない話が続くような,そんな雰囲気のゲームを目指しています。
里吉氏:
そういった日々の中で,キュアロイドに対して「この子はお世話してあげなければいけないんだ」という想いを抱くよう刺激していきたいです。さらに,毎日いちゃいちゃしてる感じがあるといいですね(笑)
「えれも〜ど」はハンゲームの
弱い部分をフォローするために生まれた?
4Gamer:
恋愛シミュレーションゲームを,「オンラインゲーム&ブラウザゲーム」の分野で作るという企画は,そもそもどのような経緯で立ち上がったのでしょうか。
里吉氏:
そういったなか,今年の春ごろ,鍬差さんに軽い気持ちで相談してみたところ,こちらがびっくりするくらい乗り気になっていただいて(笑)。そこから本腰を入れてプロジェクトを進めてきました。
鍬差氏:
私は今まで,どちらかというと暴力的なゲームを多く担当してきましたが,私個人は,恋愛シミュレーションゲームが大好きなんです。そうやって遊びながら,クリエイターとしても手がけてみたいという気持ちがふつふつと沸いてきたので,里吉さんからの相談は嬉しかったですね。
里吉氏:
そして実際にプロジェクトを立ち上げるにあたり,鍬差さんが「どうしても呼びたい人がいる」と言って紹介してくれたのが,シナリオライターの天河さんでした。
天河氏:
最初は衝撃的でしたね。夜の10時頃に2人から電話が掛かってきて,妙にノリノリなわけですよ。2人が「やろう! やろう!」と騒いでいて,何を騒いでいるんだと思ったのですが,話を聞いていくにつれ,「おれもおれも!」となっていました(笑)
4Gamer:
当時の現場が想像できますね(笑)
ハンゲームというと現在かなりの勢いがあるオンラインゲームパブリッシャですが,開発会社のKUROGANEとして,実際にプロジェクトで取り組んでみて,どんな印象でしたか?
鍬差氏:
最近は企画を持ち込んでも対応が渋めのところが多いんです。仮に企画が通ったとしても,それまでに半年以上かかっていたりとか。
ですが今回のプロジェクトは,話が決まってから承認が降りるまで2か月未満でした。このスピーディさは私の経験上,結構凄いことで,開発一筋のメーカーとしては,とても手応えを感じています。
4Gamer:
ハンゲーム側としても積極的だったんですか?
里吉氏:
そうですね。今回のプロジェクトを立ち上げるにあたり,何より大切にしたのは,開発陣が情熱を持って取り掛かってくれるかどうかです。とくに本作の場合,作り手側に情熱がなければ,そういうところがお客様にすぐ伝わってしまうと思うんですね。そういった意味では今回,鍬差氏,天河氏,そしてイラストレーターの戸部氏と巡りあえたのは,本当にラッキーでしたね。
4Gamer:
ゲーム開発経歴から見て,相当硬派なイメージがあったので,このゲームで名前を見たのは意外でした。
里吉氏:
それがですねぇ,こう見えて中の人は全然違うんですよ。鍬差氏は某タイトルで今でも,毎日チュッチュしています(笑)
今しか遊べない……かもしれない?
公開中のバージョンは「プロトタイプ版」
4Gamer:
えれも〜どは現在“プロトタイプ版”なんですよね。この反響を見て,正式版の開発を決めるというのは本当の話ですか? ダメだったら,この段階で本当にお蔵入りにするんですか?
里吉氏:
はい,そうなんです。もしかすると,えれも〜どは,「今しか遊べない」オンラインゲームになってしまうかもしれません。
だからこそ今,お客様からの率直な感想を,ぜひ聞いてみたいのです。とくに,「自分のキュアロイドを育てていく」という基本コンセプトに関して,どのような印象を持たれたか,ぜひ聞かせていただければと思います。
4Gamer:
完全に“手探り”の段階なんですね。
里吉氏:
見てのとおり,えれも〜どはかなりチャレンジングなプロジェクトです。個人的には絶対に楽しいと思うんですけれど,プロデューサーという立場からすると,これをいきなり本制作して,「ビジネスとして成立できるのか?」という不安はぬぐい切れません。なので,まずは必要最低限の機能だけを作ったプロトタイプ版を公開して,皆様の反応を見させていただくことにしました。
4Gamer:
具体的には,どういう部分に不安があるのすか?
里吉氏:
一番大きいのはビジネスモデルですね。オンラインゲームのアイテム課金というのは,競争心に訴えかけるものが普通です。でも本作には,それが当てはまりません。
4Gamer:
たしかに,えれも〜どはオンラインであることは実感しますが,その一方で“対戦”あるいは“コミュニティ”といった要素は,現在のところほとんど感じられませんね。一人で楽しめるゲームという感じがします。
里吉氏:
そこなんですよ。そもそも,オンラインゲームだからといって,必ずしもマルチプレイでなければならないのかな? と思うんです。データがオンラインでアップデートされはするけれど,自分一人で遊べるゲームがあってもいいような気はします。そういった思いはあるのですが,いざ実行するとなると,ビジネスとして成立するのかという不安が生じるわけです。
4Gamer:
なるほど。
里吉氏:
でも,だからといってチャレンジしないのは面白くないですよね。誰も実現できていないことが,できたら凄いんじゃないか? と思いますし。なのでゲームの骨格部分だけ実装したバージョンを公開して,反応を見てみることにしたわけです。
4Gamer:
プロトタイプ版が公開されてまだ日は浅いですが,反響はいかがですか?
里吉氏:
今までにないジャンルということもあり,これがなかなか,予測していなかった結果が出ています(笑)。私達としては,1日に短い時間キュアロイドと接してくれることを想定していたタイトルだったのですが,いわゆる“ゲーマー”な方だと,何時間もログインしっぱなしで「やることがない」という声も聞かれます。これは我々の説明不足だと反省しています。ほかにも,実際にやってみないと分からなかった点が,すでにありますね。
鍬差氏:
最初にプレイヤーの名前を入力する際,「姓を入力してください」というメッセージが出てきます。これに対して「姓って何ですか?」という質問がくるといった事例もあり,反省することが多いですね。仮に本制作が決定したら,ゲームのUIに関しては,ほとんど一から作り直すことになると思います。
キュアロイドに対する想像を絶するコダワリ
4Gamer:
名前入力の話で思い出したのですが,本作はインタフェースが独特ですよね。キーボードから普通に入力するのではなくて,キュアロイドの指先に文字が表示されていましたが,あれにはいったいどういう意味が?
里吉氏:
それには裏設定がありまして,実はキュアロイドというのは,もともと軍事目的で作られたロボットなのです。しかし戦場での損耗率があまりにも高く,これを下げるためにどうするのか,メーカーは考えました。そこで自分自身を保護する,人間らしい感情が必要なのでは,ということで,これを育むためにプレイヤーの元へと送り込まれた……というわけです。
キュアロイドは市場に出回って感情を収集し,自分は大事に思われてるんだという感情を育んだ後に戦場へ投入されます。そのための壮大な目的の一部なのですよ。
4Gamer:
なんか,想像していた答えとは,まったく違う方向へ話が広がってしまった気が。
天河氏:
里吉氏:
それに加えて,女の子と手を合わせて指先でピッピやると萌えるよね,ということで,こういう方法に決めました(笑)
4Gamer:
なるほど。萌えるためには“手話”ではなく,指先の“タッチ”がないとダメなんですね。
天河氏:
ダメです(笑)
キュアロイドはアンドロイドという設定なので,そのあたりの設定にはこだわっています。例えば定期的な充電とか,体温計測とか,LLC(ロングライフクーラント)の排出とか,関節の駆動が鈍くなったらマッサージをしてあげたりとか,定期的なメンテナンスが必要になります。こういったメンテナンスをプレイヤーがちゃんと行ってあげないと,キュアロイドが不具合を起こし,特定のイベントが発生しなくなったりもします。
里吉氏:
キュアロイドの設定に関しては天河さんに頑張っていただきまして,膨大な量があります。こういう,裏設定の広がり方というのは,ほかのオンラインゲームではあまり見られないと思うのですが,もっとあってもいいと思うんですよね。そういう設定がゲーム中ちらりと垣間見えたりすると,感情移入の度合いが違ってきますし。
4Gamer:
天河さんは「とある科学の超電磁砲」「大正野球娘。」などのアニメシナリオ制作でも活躍されていますが,普段の作業時も世界観の設定にはこだわるほうですか?
天河氏:
シナリオで使う使わないは別として,最初に背景設定をできるだけ作ってからじゃないと,作業に取り掛かれないタイプなんです。
指先タッチによる文字入力のようなエピソードはほかにもたくさんあって,例えば「メモリレベルチェック」を選ぶと目の瞳孔がアップで表示されますが,これはキュアロイドの頭を両手で押さえて,目を覗き込んでいるからです。感情値というのは瞳の奥に表示される情報なんですね。こういった部分を妄想で補完して楽しんでくれたら嬉しいな,と思います。
4Gamer:
そのほかキュアロイドのデザインに対しては,どういったこだわりがありますか?
里吉氏:
最近の恋愛ゲームのデザインは,ひたすら萌え絵というわけではなくて,「ラブプラス」「アマガミ」などのように,ちょっとお洒落なデザインが主流です。えれも〜どでも,「女の子が見ても抵抗感のない絵にしよう」というコンセプトにしています。
鍬差氏:
デザインで一番揉めたのは……,ニーソックスの色ですね(笑)。僕はニーソは絶対に「黒」派だったのですが,基本コスチュームを黒ニーソと白ニーソのどちらにするか,揉めに揉めました。
天河氏:
あとは,最初に戸部さんから上がってきたラフデザインでは,ニーソックスの位置が低かったので,リテイクをお願いしましたね。僕らが一番好きなのは,ニーソックスではなくて,サイハイソックスくらいの高さなんですよ。
鍬差氏:
あれ,今,「僕ら」って言いました?
里吉氏:
……とまぁ,こういったやりとりを眺めながら,プロデューサーとしては「あぁ,この人達に任せておけば安心だ」と,しみじみと思ったわけです。
4Gamer:
そういえば最初にインタビューのお話をいただいたとき,天河さんは“ニーソックス評論家”,鍬差さんは“ニーソックスソムリエ”という肩書きでご紹介を受けたんですよね(笑)
鍬差氏:
待ってください,初耳ですよ。
里吉氏:
もう少し突っ込んだ話をさせていただきますと,“ニーソックスの良さ”ってどこにあると思いますか?
4Gamer:
えーと。
里吉氏:
それは「絶対領域」と言っていいでしょう。言っていいんです。
そして絶対領域を追い求めると,自ずとぱんつへ辿り着くわけです。つまりニーソックスと絶対領域そしてぱんつによる,三点分立の法則が導き出されるわけです。
ニーソの次はぱんつの方向性で揉めに揉めましたが,ようやく意見がまとまり,ノリノリで戸部さんにイラストを発注しました。そして上がってきた下着姿のキャラデザを3Dモデリングを起こしてみたあとで,一つの考えがよぎりました。「ハンゲーム的に,これは無理ではないか」と。
4Gamer:
それは……。
里吉氏:
私はプロデューサーとして,会社との調整において,できる限りのことをしてみました。
しかしハンゲームにたくさんあるピュアなタイトルの数々や,それらで遊んでいる大勢のお客様に多大な影響を与えかねません。なので,泣く泣く作り直し,今のショートパンツ風のインナーになったのです。
鍬差氏:
ぱんつを作ってボツを受けたのは,この業界に入って初めての経験でしたね(笑)
4Gamer:
それにしても,どうして3Dモデリングを選んだんですか?
鍬差氏:
えれも〜どには,2Dのアドベンチャーゲームでよくある,イベントシーンの1枚絵といったものがありません。すべて3Dモデリングで表現しているのですが,それは千差万別な“自分だけのキュアロイド”を表現するために必要なことなのです。
4Gamer:
たしかに,せっかくピンクのツインテールのキュアロイドを育てているのに,イベントシーンのたびにデフォルトの茶髪アホ毛ちゃんイラストが出てくるとしたら,それは残念です。
鍬差氏:
これを実現するために,膨大な表情パターンを作っています。それら単品だけでも相当な数があるんですが,さらに複数を組み合わせてモーフィングさせたりしているんですよ。最初はかなり大変でしたが,ある一定のラインを超えると,組み合わせや応用で効率的になっていった感じですね。
4Gamer:
ブラウザ上で動いていますが,キュアロイドの3Dモデリングって,どれくらいのスペックなんですか?
鍬差氏:
ポリゴン数は約4000ですが,えれも〜どではプレイヤーがカスタマイズできる要素が膨大なので,そのあたりのバランス調整が難しかったですね。戸部さんの絵に3Dモデリングをどれだけ近づけることができるかが,とくに大変でした。
里吉氏:
確かに,プロデューサーの立場としては費用対効果という意味で,2Dではなく3Dを選んだのは一種の賭けでした。でも,1枚絵を多用したアドベンチャーゲームならすでに多数ありますし,僕達は新しいことがやりたかったんです。実際に作ってみた今は,手応えを感じていますね。
4Gamer:
ブラウザゲームということは,起動のたびにデータをダウンロードしているんですよね。これはFlashで行っているのですか?
鍬差氏:
プロトタイプ版はFlashですが,今後もしかしたらUnityに変えるかもしれません。今のバージョンではロード時間が長いんです。ここは何とかしないといけないなと。
里吉氏:
私はブラウザゲームの主流が2Dという時代は,もう間もなく終わるんじゃないかと思っていて,今回のえれも〜どには,それを先取りする狙いもあります。こういうチャレンジは,ハンゲームとしても意義のあることだと思っています。
12月24日,クリスマスイブの夜に悲しい何かが起こる?
4Gamer:
すでにモバイル版の企画もあるとのことですが,こちらはどういった内容になりますか?
里吉氏:
モバイルは,PCとは方向性がまったく違います。現時点ではまだリリースされていませんが,おそらく記事が掲載される頃にはリリースされていると思います。
天河氏:
PCブラウザ版はキュアロイドを育成するのに対し,モバイル版は「キュアロイドの内面をメンテナンスする」というコンセプトになっています。携帯をチェック用の端末に見立てて,例えばキュアロイドの中にウィルスが混入していたら,携帯電話を使って遠隔操作で駆除したり。そのほかにもバッテリーの減り具合を携帯でチェックしたりします。
4Gamer:
残りのプレイ時間はわずかとなっておりますが,これからプレイする人に向けて,アドバイスのようなものはありますか?
里吉氏:
お昼の12時を境に,午前と午後にアクセスすると,それぞれでキュアロイドの衣装アイテムが貰えます。そして最終日となる12月24日の夕方以降かな,ぜひログインしてください。何かが起こります!
4Gamer:
それでは最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
里吉氏:
恋愛シミュレーションゲームが好きな人には,きっと楽しんでいただけると思います。1日のプレイ時間は短い作品ですが,身体のどこかをクリックする都度,キュアロイドの中で何かしらの感情が溜まっていきます。そうやってちょっとずつでも長く遊んでもらえれば,これまでになかった体験ができる,そういうゲームにしたいと思っています。なのでプレイしてみた感想を,ぜひともお聞かせください。
鍬差氏:
キュアロイドは最初は無表情ですが,何日かプレイしていると,確実に変化が現れます。今回は期間限定版なので,全員に味わっていただくのは難しいかもしれませんが,あえてこのようなステップを踏んでもらうことにしています。それだけに,キュアロイドに変化が生じた際,より深い愛着を持ってもらえると思います。天河さんが手がけたシナリオは,いちゲームファンの自分から見ても,こっぱずかしくなってしまったので,お勧めです(笑)
天河氏:
ゲームの序盤は表情や反応が鈍いですが,これはキュアロイドを育むというステップを楽しんでいただきたいからです。継続的にプレイすることでキュアロイドに自分のプレイスタイルが反映されますし,プロトタイプ版の短い期間でも,それを感じてもらえるよう調整しています。
例えば2時間映画では得られない感動が,2クールのTVアニメを見続けることで得られることってあると思うんです。1回のログイン時間は短くて良いので,何日間か遊んでみて,キュアロイドの変化を楽しんでくれたら嬉しいなと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
“12月24日まで”ということで,本当に残りわずかな時間となってしまったが,「こいつぁクるぜ……」と感じた人は,ハンゲームの意欲作「えれも〜ど」を今すぐ体験してみてほしい。あなたの積極的な支持が,本作を本開発へと移行させる一番の原動力となるはずだ。
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