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[E3 2011]多人数での近距離乱闘がめちゃ熱い。「MAX ANARCHY」のプレイレポからプロデューサー稲葉敦志氏のインタビューまでをまとめて掲載
近接戦闘に特化したゲーム性と多人数によるオンラインマルチプレイがウリとなる本作は,一体どのようなプレイフィールなのか。今回は,出展されていたデモ版をプレイした印象と,プラチナゲームズのスタッフによるデモプレイの様子をまとめてお伝えする。
さらに,本稿の最後には,開発プロデューサーの稲葉敦志氏へのメディア合同インタビューの様子も掲載するので,ぜひとも目をとおしてほしい。
遠距離ゲーの時代は終わった!? 今,熱いのは乱戦だ
もっと簡単に爽快感が得られて,みんなでワイワイ楽しめるならちょっとバカっぽくてもオッケー! なんて思っている人にしてみれば,MAX ANARCHYはまさに待ち望んでいたゲームになるかもしれない。
各キャラクターの攻撃は,お約束の小攻撃と大攻撃に加えて,キャラクターの個性に合わせたキラーウェポン(キャラクターごとにモチーフとなっている武器)を使った特殊なものが用意されている。
ほかにも,ワンボタンで簡単に出せる投げ技や,カウンター攻撃のようなものが存在し,強襲とコンボチェイン,そして,これらに対する反撃を想定した戦闘システムになっているようだ。
なお,移動時は,走り出しから一定距離を走り続けると1段階加速するというちょっと変わった仕組みになっている。
「MAX ANARCHY」公式サイト
さて,E3 2011の会場に出展されていたプレイアブルデモは,最大4人での対戦が可能で,現時点で公開されているほとんどのキャラクターを使用することができた,ちなみに会場では,「ゼロ」という近未来の忍者のようなキャラクターが一番人気だった。
実際にプレイしてまず驚いたのが,プレイ感の気持ちよさだ。キャラクターの動かしやすさや自由度,パンチの打撃感,技の演出などなど,すべてを列挙するのは大変だが,とにかくスカッとはじけるような面白さがあると感じられた。
事前に公開されている情報から,ゴツいキャラクターがリアルな動きをする洋ゲーライクなゲームだと思っていたのだが,プレイしてみるとその考えは一変。むしろ日本人が好みそうなプレイフィールだと思う。
ただ,筆者のほかにも同じ考えを持ったプレイヤーがいて,実践しているところを見たが,結託したほかのプレイヤーに返り討ちされるというシーンが何度もあったので,一概にこの作戦が有用とも言えなそうである。
ものすごく余談だが,上記のような状況で,「マチルダ」と「サーシャ」が結託してジャックを倒しているところを見たときは,なんだか男女の関係のもつれとその先の結末にすら見えてしまった。
個性溢れるキャラクター達については,4Gamerでも紹介しているので,気になる人は「こちら」の関連記事でチェックしてほしい。
「MAX ANARCHY」公式サイト
主人公2人の視点が絡み合って展開するシリアスなストーリーモード
プラチナゲームズのスタッフが解説を交えてストーリーモードのデモプレイを見せてくれたので,ここからはその模様をお届けしよう。
ストーリーモードは,いかつい喧嘩野郎の「ジャック」とイケメン警察官の「レオ」を主人公として,2人の視点が交じり合うシリアスなシナリオで描かれている。
ちなみにジャックは,モノクロの世界で鮮血だけが真っ赤という独特の感性を爆発させていたWii用アクション「MADWORLD」に登場したキャラクターである。とはいえ物語のつながりはないとのこと。
ストーリーモード自体はミッション形式で進み,2人の主人公にそれぞれ個別のストーリーとミッションが割り当てられている。レオのストーリーをプレイしているときにジャックがボスとして登場することもあるなど,2人がただならぬ関係であることがうかがえる。ともあれ,物語を進めていけば,2人が戦っている理由なども当然明らかになってくるだろう。
さて,本作には「ATE」(アクショントリガーイベント)というものが用意されているという。このATEについて,プラチナゲームズのスタッフが詳しく教えてくれたので,簡単に説明しておきたい。
なお,キャラクターが集まった状態というのは,AIが自動的に判断するそうだが,今回のテストプレイ時には発生しなかったので,ATEの発生頻度は不明だ。
ただ,プラチナゲームズのスタッフいわく,このATEは,本作の戦闘においてかなり重要な要素であるとのこと。「こちら」で紹介したムービーで,その混沌とした状況を確認してほしい。
ちなみに,このほかにもモードが多数用意されており,遊びの幅はかなり広くなっているらしい。今後の情報に期待したいところだ。
「MAX ANARCHY」公式サイト
プロデューサー稲葉氏がMAX ANARCHYで目指したものとは
――MAX ANARCHYを制作することになった経緯を教えてください。
稲葉氏:
MAX ANARCHYは,アクションを作ろうというところから始まったんです。でも,普通に敵を倒していくアクションだとBAYONETTA(ベヨネッタ)で究極までやってしまったんですよね。じゃあ,今度は互角の敵と戦おうと思ったんです。そうするとやっぱり格闘ゲームに行きつくじゃないですか。
ただ,1対1の格闘ゲームだと,すでに究極的なものがいっぱい出てるので,横に広げていこうかと。そういう意味で,こだわりというより,挑戦したいという気持ちから生まれた作品です。
――対戦格闘というジャンルは初めてかと思いますが,そのあたりで何かありましたか。
稲葉氏:
オンラインの近接格闘対戦ゲームって作るのがめちゃくちゃ面倒なので,誰も作りたがらないんですよ。ごまかしが効かないから。だから,あえてそういうところにアプローチしてみたいなという思いが強いですね。遠距離武器を入れ過ぎると結果的にシューティングゲームになっちゃうんで,そのあたりは割り切って作りました。
――3Dの戦闘を制作するうえで,難しかった部分はどこですか?
稲葉氏:
MAX ANARCHYの戦闘は,1対1ではなくて乱戦なので,たとえば視界の外からいきなり蹴りとかが飛んでくるんですよ。それをいいとするか悪いとするか。普通のゲームならダメなんだけど,乱戦格闘だからいいよねというようなジャッジをするのが大変でしたね。
稲葉氏:
正直,何もかも見えてしまうのは面白くないと思うんですよ。ゲームの中で,はっきり見せるものと雰囲気で分からせるもの,両方ともありだと思うので,今回はあえて後者を選択しました。
――ストーリーモードはシリアスですが,正直,マルチプレイはバカっぽいですよね(笑)。そこは対比を狙ったものですか?
稲葉氏:
ストーリーはやっぱりちゃんと味わってほしいので,二人の主人公を活かしてすごくシリアスなものに仕上げました。マルチプレイの場合は,みんなでわいわい遊ぶゲームなのだからバカっぽくてオッケー。バカにされるのではなくて,バカっぽいけどカッコイイとかバカだけど笑えるとか,そういうノリを目指しました。
――そういえば,何かすごいネタキャラクターがいるらしいですね。
稲葉氏:
実はいろんなキャラクターにネタを仕込んでます。例えば,アメリカでウケるキャラクターもいますし,日本のネタでウケるキャラクターもいると思います。
稲葉氏:
ああ,そういうのもありますね。ほかにもジェスチャーやボイスが特定の国の人にはウケるとかいうのもあります。
――ステージのほうにもいろんなネタが仕込まれているようですが。
稲葉氏:
MAX ANARCHYは,フィールドが相当広いので,ステージ全体がギミックになるようにしたかったんです。なので,ステージのギミックそのものも戦いの道具として使えるような,大がかりなものを作りました。
――人が集まりすぎるとステージのギミックが発生すると聞きましたが?
稲葉氏:
人が一か所に集まりすぎると,いくら乱戦とはいえつまらなくなる可能性がありますからね。単純にキャラクターをいろいろなところに散らすというギミックもあれば,それぞれのキャラクターが避難場所を探すといったものもあります。中には,特定のキャラのみがピンチになるなんていうギミックも。
これから順次公開していく予定ですが,オススメは溶鉱炉みたいなところ。やりたいことをやれるという感じが好きです。
――攻撃のバリエーションが豊富ですが,1キャラあたりどのくらいの種類を用意しているんですか?
具体的な数は分かりませんが,攻撃パターンが少ないとつまらないじゃないですか。だから,人海戦術というか,個々のキャラクターデザイナーがどれだけ原画を超えられるかみたいなところの話でした。これ以上の攻撃バリエーションが増やせないからこのキャラクターは終わり,というような作り方ではないです。最初に個性を設定して,この個性を表現するにはこれだけの攻撃が必要だろうという考え方でやっているので,どのキャラクターもリッチだと思いますよ。
――今までにないジャンルを作ったということを前面に押し出していますが,E3に出展してみて反響はいかがですか。
稲葉氏:
今回出展したものは,少ない人数でしかプレイできないのでまだ分かりませんね。オンラインだったらこれをメインにしたいというモードがほかにあるので,その評判は今後改めて知りたいなと思っています。
新しいジャンルといっても複数のプレイヤーで戦う対戦ゲームっていうのは存在してたわけです。でも,その多くはローカルなものでしたから,オンラインでその面白さを表現するということが新しいと思っているんですよ。そこで大人数での対戦というものを実現したいし,感想を聞いてみたいです。
びっくりしたのは皆さんがすぐになじんでいることですね。難しいのではないか,やりにくいのではないか,という声が開発中にいろいろありまして,もしかしたらあまりプレイしてもらえないかもしれないと思っていたんですが,やっぱり斬新なものならば受け入れてもらえるんだなという感触がありました。
稲葉氏:
慣れれば格闘ゲームならではの駆け引きみたいなものもあります。ただ,1対1の駆け引きの中に,さらに大勢の駆け引きがある。喧嘩と一緒で,タイマンのつもりでやっていたら思うようにいかないというゲーム性もあると思います。
開発初期は,開発チームがプレイするとすごい楽しそうにプレイするのに,それ以外の人がやると全然勝手が分からないという温度差の激しいゲームになっていたんです。突き詰めていったら,すごいマニアックな楽しみ方が発見できたんですよね。もちろんそのまま仕上げるのはまずいので,多少手を加えてますけどね。
――格闘ゲーム的な駆け引きの面白さを追求すると,2Dライクな画面のほうが間合いなどがとりやすく,適しているような気がしますが,3Dでどのような駆け引きの面白さが追求していけるのか,もう少しだけ教えてください。
稲葉氏:
3Dの格闘ゲームだって,じゃんけん的な駆け引きは残っていると思うんですよ。空間を常に把握しながら戦わなければいけないんですけど,相手が何をしようとしているのか予想しないといけないのは同じなんですよね。戦略と戦術を同時に考えなくてはいけないのでかなり大変だと思いますが,慣れるとたまらなく面白いですよ。ちなみに,駆け引きだけを楽しめるようなモードも用意してます。
稲葉氏:
僕はデベロッパなので,それについては決めかねますが,発売したあとになるべく問題が起こらないようにテストしていきたいなと思っています。ただ,そのテストがオープンなものかは,まだ決まっていません。
――発売後にキャラクターの調整などを行う予定はありますか?
稲葉氏:
発売後の予定はまだ決まってません。
――それでは最後に,ファンへのメッセージをお願いします。
稲葉氏:
MAX ANARCHYは,これまでになかったジャンルのゲームになってます。最初に触ったときは戸惑う可能性もありますが,一度慣れてしまえばどこまでもハマれる作品になっていると思いますので,ぜひプレイしてみてください。よろしくお願いします。
――ありがとうございました。
「MAX ANARCHY」公式サイト
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お詫びと訂正
初出時,稲葉氏をディレクターと記載しておりましたが,正しくはプロデューサーです。お詫びして訂正いたします。
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