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Qualcomm,エントリー市場向けの新型SoC「Snapdragon 450」を発表。搭載端末は2017年末に登場の予定
Snapdragon 450は,世界市場ではミドルクラス,国内においてはエントリー市場向けスマートフォンでの採用が多いSnapdragon 400シリーズで初めて14nm FinFETプロセス技術を用いて製造されるSoCで,既存の「Snapdragon 435」と比べて,CPU性能とGPU性能がそれぞれ25%向上しているという。
搭載製品は,2017年末までには市場に登場する予定とのことだ。
製品概要を確認しておくと,Snapdragon 450は,CPUコアにARM製の「Cortex-A53」を8基採用し,GPUコアとしてQualcomm製の「Adreno 506」,モデム機能としては「Snapdragon X9 LTE」を統合したSoCである。
実のところ,ここまで挙げたSnapdragon 450の仕様は,2016年2月にSnapdragon 435と同時に発表となった,ミドルクラス市場向けSoC「Snapdragon 625」の仕様と極めて似通ったものだ。
製品情報ページを見比べたところ,目立つ違いは,CPU最大クロックがSnapdragon 450の1.8GHzに対して,Snapdragon 625は2.0GHzだったり,カメラ機能の最大画素数がSnapdragon 450の約1300万画素に対して,Snapdragon 625は約2400万画素だったりと,若干下回っていること程度である(表)。
もっとも,Snapdragon 450は4K解像度の動画をサポートしなかったり,セキュリティ機能も少なかったりするので,同じSoCのリネーム版というわけではないだろう。
Snapdragon 450 | Snapdragon 435 | Snapdragon 625 | |
---|---|---|---|
型番 | 未公開 | 8940 | 8953 |
製造プロセス | 14nm | 28nm | 14nm |
CPUコア | Cortex-A53 | Cortex-A53 | Cortex-A53 |
物理コア数 | 8 | 8 | 8 |
最大動作クロック | 1.8GHz | 1.4GHz | 2.0GHz |
GPUコア | Adreno 506 | Adreno 505 | Adreno 506 |
メモリコントローラ | LPDDR3 933MHz | LPDDR3 800MHz | LPDDR3 933MHz |
統合型モデム | Snapdragon X9 LTE | Snapdragon X8 LTE | Snapdragon X9 LTE |
カメラ画素数 | 最大1300万画素 | 最大2100万画素 | 最大2400万画素 |
ただ,ゲームにおいて重要なCPUとGPUはほぼ同じであれば,性能面でもSnapdragon 625搭載端末と,それほど大きな差はないと期待できる。4Gamerでのテストでは,Snapdragon 625搭載端末がゲームにおいても良好な性能を発揮しているので(関連記事),Snapdragon 450搭載端末も,それに匹敵するほどまではいかないにしても,価格対性能比に優れたものとなる可能性はあるだろう。
2017年末から2018年にかけて登場するエントリー市場向けスマートフォンが,ゲームにおいてどれくらいの実力を発揮できるのか。ちょっと楽しみではないだろうか。
QualcommのSnapdragon 450 製品情報ページ(英語)
Qualcomm Snapdragon 450 Mobile Platform to Bring 14nm FinFET Process, Enhanced Dual-Camera Support and Fast LTE Connectivity to Mid-Range Smartphones and Tablets
概要:
クアルコムはMobile World Congress上海2017において、Snapdragon 400シリーズの新しい製品としてQualcomm Snapdragon 450 Mobile Platformを発表しました。
Snapdragon 450はミッドレンジのスマートフォン・タブレット向けで、ミッドレンジで初めて14nm FinFETプロセスを採用し、前世代のSnapdragon 435から電池寿命、グラフィックス性能、計算処理能力、イメージング性能、LTEの通信性能などにおいて大きく改善しています。
Snapdragon 450 Mobile Platformの主な性能
- ARM Cortex A53 CPU オクタコアを搭載し、Snapdragon 435から25%性能改善
- Qualcomm Adreno 506 GPUを搭載し、Snapdragon 435から25%グラフィックス性能改善
- 電源管理の改善によりSnapdragon 435よりも最大4時間長く利用可能、また、ゲームを行っている環境で30%の消費電力を削減
- Qualcomm Quick Charge 3.0をサポートし、典型的なスマートフォンで約35分で電池残量無しから80%の充電が可能
- カメラ機能の強化により、13MPと13MPのデュアルカメラ、あるいは、シングルカメラでは21MPをサポート
- 1080pのビデオ録画・最大60fpsの動画再生
- 1920x1200 フルHDディスプレイをサポート
- ダウンリンク・アップリンクの両方で2x20MHzのキャリアアグリゲーションをサポートし、ダウンリンク最大300Mbps・アップリンク最大150Mbpsに対応
Snapdragon 400シリーズではこれまでの累計で1,900以上の製品が開発されています。
Snapdragon 450は2017年第3四半期に出荷開始予定で、Snapdragon 450を搭載した端末は2017年末までに発売開始される見込みです。
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