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Qualcomm×Lenovoによる5G対応PC型端末が2020年初頭にも登場
だがかつて,まだPCによるインターネット接続は有線が中心だったころ,これほどまでにWi-Fiインフラが整備されて無線によるインターネット接続が一般化すると予想できただろうか。いまでこそマイノリティにすぎない存在だが,Always Connected PCも“PC”いうあり方を大きく変化させうるものだ。携帯ネットワーク接続可能なタブレットが非常に便利なように,PCの常時接続環境もまた新たなアプリケーションや使い方を生み出すきっかけになる。それが来たるべき5Gの時代のいずれかに実現するのだと考える。
PC向けSnapdragon SoCの2世代めで「5G」対応へ
Qualcommは5月27日に台湾の台北市内で開催されたプレス向け記者会見において,世界初となる「5G対応PC」をパートナー企業であるLenovoとともにお披露目した(※「PC」アーキテクチャかどうかは議論があろうが)。
これは,Qualcommが2018年12月に米ハワイ州マウイ島で発表したPC型端末向けSoCの「Snap
スマートフォン向けの5G搭載では,その通信速度の要となる“ミリ波”に対応した専用アンテナモジュールの実装や,それにともなうバッテリー消費の激しさと放熱が大きな問題となっていた。実際,初期のサンプルの多くは筐体が若干大型化しており,技術的にこなれるまで若干の時間を要する印象だった。
一方で,PC型端末向けでは筐体サイズの差からそうした問題は少ないと考えられるので,おそらくは従来のPCとほとんど外見上は変化ないものとして仕上がってくると予想している。実際,今回公開されたデモ用サンプルでは,筐体の天板にある5Gの文字がなければLenovoのYogaシリーズと大差ない外見だ。
今回,QualcommがパートナーとしてLenovoを選んだ理由として「5Gで先頭を走るQualcommと,PC業界で先頭を走るLenovoのトップベンダー同士が組んだ」ことの意義を挙げている。実際,2018年第2四半期の世界のPC市場調査でLenovoはそれまでトップだったHPを逆転しており,現在まで世界シェア1位を継続している。これを5G時代のAlways Connected PCにおいてもリードし続ける立場でありたいという狙いがあるようだ。
Windows on Snapdragonは性能面でも従来のPCとの差をアピールする
2年前にAlways Connected PC型端末を発表したころ,QulacommはPC市場向けのアピールとして「(安定した)常時接続」と「バッテリー駆動時間」という特長をライバルであるIntelの競合製品に対する差別化ポイントとして訴求していたが,それが初のPC型端末向けSoCとなった850が登場したころから変化し,Snapdragon 8cxでは明らかに性能面でもライバルに肉薄することを強調し始めた。単純なピーク性能で凌駕するというわけではないが,「ミッドレンジクラスのPCより高速」「ハイエンドPCと比較して同等の性能なら消費電力ははるかに少ない」という主張に変化している。
実際,今回のプレスカンファレンスにおいても2つのデモ動画が紹介され,正式な型番や詳細なテスト条件は不明ながら,Core i5相当のプロセッサと比較して,Webブラウジングとマルチディスプレイ環境での作業がより高速に処理できる点をアピールしている。Windows 10は現在配信されているMay 2019 Update(バージョン1903)の世代から64bitアプリケーションの動作環境であるARM64が正式サポートされ,これまで性能面でx64に比べて不利だった状況が少しずつ改善しつつある。
Always Connected PCの発表時には,既存のアプリケーションとの互換性重視の方針から「ゲームの動作は想定していない」という状況だったが,これは今後1〜2年で徐々に改善されていくと思われる。その意味で,5Gに対応した常時接続環境のArm版Windows PCは,これまでの「バッテリーはもつが性能はそこそこ」というArmの評価を変えていくことになるかもしれない。そのころには5Gインフラの整備も進み,性能とネットワーク接続の両面で,Snapdragonを搭載したAlways Connected PCが再評価されるのではないだろうか。
Qualcommによるプレスリリース(英文)
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