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ARM,新アーキテクチャ「Bifrost」を採用する新型GPUコア「Mali-G71」と,10nmプロセス世代の新CPUコア「Cortex-A73」を発表
集積するシェーダコアは最大32基で,Midgardアーキテクチャを採用する現行世代のハイエンドGPUコアである「Mali-T880」の最大16基と比べて倍増した。これにより消費電力当たりの性能は,Mali-T880よりも20%向上したと,ARMはアピールしている。
グラフィックスAPIとして「Vulkan」に対応するほか,GPUコンピューティング用APIである「OpenCL 2.0」にも対応するとのことだ。
また,現行の16nmプロセスで製造したCortex-A72よりも,10nmプロセスで製造するCortex-A73は46%も半導体ダイ面積が小さくなるとのことだ。
ARMによる当該プレスリリース(英語)
- ARMのプレミアムIPは、2017年の主力モバイル機器で仮想現実(VR)/拡張現実(AR)体験を再定義します。
- ARM Mali-G71グラフィックスプロセッサは、新しいBifrostアーキテクチャによる優れた効率性と性能を備えています。
- ARM Cortex-A73は、持続的な性能と効率の目覚ましい向上により、過酷なユースケースに対応します。
- 製品は最新の10nm FinFETプロセステクノロジーに最適化されます。
英ARM社(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:横浜市港北区、以下ARM)は、2017年以降の主力機器を再定義するプレミアムモバイルプロセッサテクノロジー製品群を発表しました。ARM Cortex-A73プロセッサとARM Mali-G71グラフィックスプロセッサは、優れた持続的性能と効率により、高いコンテキスト認識機能とビジュアル機能を備えた新製品を実現します。搭載した機器は、消費電力をモバイルの制約内に抑えつつ、より長時間にわたって高解像度コンテンツを実行できます。
ARMの執行副社長兼プロダクトグループ社長であるPete Huttonは、次のように述べています。「スマートフォンは世界で最も普及しているコンピューティング機器であり、新しい世代ごとに体験が向上しています。2017年には、Cortex-A73プロセッサとMali-G71プロセッサを搭載した機器が登場し、高い持続的性能と美しい画像や動画で際立つことでしょう。この技術により、モバイル機器で日常的に4K動画、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)を体験可能となります」
<Mali-G71:ARM Mali GPUの性能を一段と向上>
Mali-G71グラフィックスプロセッサユニット(GPU)は、現在、業界で最も多く出荷されているグラフィックスプロセッサ、ARM Mali製品の市場優位性をさらに高めます。この新しいコアは、グラフィックス性能を50%、電力効率を20%、1mm2あたりの性能を40%向上します。
Mali-G71コアは、現行世代のプレミアムGPUであるMali-T880の2倍に相当する
最大32個までシェーダコアを効率的に拡張することが可能になります。これは、今日のノート型パソコンの中位機種などに搭載されている多くのGPU性能を上回ることを意味します。
また、キャッシュのフルコヒーレンシーをサポートしているため、ソフトウェア開発が簡素化および効率化されます。モバイル機器において高度なVR、AR体験を提供するための最適なコアになり、HiSilicon、MediaTek、サムスン電子などの大手シリコンプロバイダーがすでにライセンスを取得しています。
Mali-G71の基盤となるのは、第3世代のARM GPUアーキテクチャであるBifrostです。Bifrostアーキテクチャは、先行するUtgard、Midgardアーキテクチャの革新を生かし、Vulkan、その他の業界標準APIに最適化されています。
エピック・ゲームズ社のプラットフォームパートナーシップテクニカルディレクターNiklas Smedberg氏は、次のように述べています。「VRは、今日のゲーム業界にとって最も重要な技術的ブレイクスルーの1つです。あらゆるプラットフォーム、特にモバイルで魅力あるVR体験を提供できることは、業界の成長と進化を継続するうえで極めて重要です。また、すばらしいモバイルVR体験を実現するには、最高性能かつ最高のエネルギー効率を実現できる機器が必要です」
ユニティ・テクノロジーズ社のCMOであるClive Downie氏は、次のように述べています。「これは簡単な計算です。世界のスマートフォンの数はすでにPCの2倍を超え、さらに増加しています。つまりスマートフォンはVRゲームの普及を加速する上で最も重要な機器ということになります。ARMはモバイルVR/ARエコシステムを前進させる先見性の高い投資をしています。モバイル機器に効率的で高性能なテクノロジーソリューションを創造することで、ARMは仮想世界でできる事の上限を引き上げ、それはすべての人々に大きなメリットをもたらします」
<Cortex-A73:モバイルSoCの効率と性能を向上>
コアあたり0.65mm2未満(10nm FinFETプロセステクノロジー)の実装面積で、Cortex-A73は最小かつ最高効率のARMv8-A「ビッグコア」です。この高度なモバイルマイクロアーキテクチャは、持続的性能および電力効率をCortex-A72より30%向上させます。
サイズと効率の改善により、シリコンプロバイダーはCortex-A73をARM big.LITTLE構成で使用しやすくなります。また設計者は、ビッグコアを拡張し、GPUや他のIPを1個のSoCにまとめる機会を豊富に得られます。これまで、HiSilicon、Marvell、MediaTekなどパートナー10社がCortex-A73のライセンスを取得しています。
Huawei社コンシューマービジネスグループのハンドセット事業部社長であるKevin Ho氏は、次のように述べています。「さらなるクオリティと卓越したスマートフォン体験を提供するため、Huaweiは今後もプレミアムスマートフォンの総合性能を高めます。ARMがIPを開発するシステムレベルのアプローチは、当社の設計チームが機器全体で効率と性能を最大化するために不可欠な要素です」
ARM最新のプレミアムIP製品群は、スマートフォンだけでなく、大画面のコンピューターや産業用ゲートウェイ、車載インフォテイメント、スマートTVなど、他のコンシューマエレクトロニクスに必要な優れた性能密度とスループットを提供します。
<パートナー各社のコメント>
HiSilicon
HiSilicon社のTuringプロセッサビジネスユニット担当副ジェネラルマネージャーであるDaniel Diao氏は、次のように述べています。「性能と効率を同時に引き上げることは複雑な問題であり、HiSiliconはできる限り包括的な方法でSoC設計に取り組む必要があります。すべてのCPU、GPU、CCIインタコネクトIPがキャッシュコヒーレントシステムで協調することをARMがすでに検証してくれていることが、当社チームの設計サイクルをスピードアップし、大量の演算を必要とするアプリケーションに対処する可能性を与えてくれます」
Marvell
Marvell Semiconductor社のカスタム/コンピューティングソリューション担当副社長であるMark Montierth氏は、次のように述べています。「Marvellは、画期的な特長や機能を備えたARMベースのSoCを提供する業界リーダーです。新しいCortex-A73により、当社は引き続き、消費電力と性能の新基準を確立するクラス最高のソリューションを提案できます。Cortex-A73は、MarvellのMoChiアプリケーションプロセッサ製品群に高性能で電力効率の高いプロセッサを提供します」
MediaTek
MediaTek社の副社長兼ワイヤレス通信ビジネスユニット担当ジェネラルマネージャーであるRolly Chang氏は、次のように述べています。「MediaTekのお客様は、これまで以上の低消費電力と高性能を求められる中、最高級の体験を可能にする機器を開発しています。ARMと提携することにより、当社のSoC設計が次世代のモバイル機器で妥協のないプレミアム体験を提供できます」
サムスン電子
サムスン電子社のプロセッサ開発チーム上級副社長であるJae Cheol Son氏は、次のように述べています。「次世代のプレミアム体験は、モバイルVRおよびARで可能な上限をどれだけ引き上げられるかで決定します。Mali-G71のような拡張可能なGPUは、サムスンの設計チームが複雑化するモバイルVR/ARのユースケースに対応するのを助けると期待されます」
- 関連タイトル:
Mali,Immortalis
- 関連タイトル:
Cortex-A
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